マンション相続には何が必要?|相続税評価額や手続きを解説

マンションを相続する場合、「税金はいくらかかるの?」「どんな手続きが必要なの?」と不安な方もいることでしょう。また、元気なうちに子供たちのため相続税対策を考えている方もいるかもしれませんね。

この記事は、マンションの相続をテーマに、相続の流れから、相続税評価額の計算方法、行うべき手続きまで詳しく解説しています。
最後までお読みいただくと、マンションを相続したときの対応がひと通り分かるようになります。

ご一読いただき、マンション相続を今まさに進めている方も、将来、相続の可能性がある方も、マンション相続をスムーズに行うための参考としてください。

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1.マンションを相続するときの手順5ステップ

マンションを相続するときの手順5ステップ

最初に、マンションを相続するときの手順について説明します。

1-1.遺言書を確認する

遺言書とは、生前に被相続人(他界した人)が遺産の分割方法などを書き記した書類を指します。相続が発生したら、まず遺言書を探すことが第一歩です。遺言書の有無によって、その後の手続きが大きく変わりますので、まずは遺言書を見つけることが重要です。「遺言書なんかあるはずない」と決めつけずに、遺言書を探すようにしてください。

もし遺言書があり、そこにマンションを引き継ぐ人が指定されている場合は、原則として、その人がマンションを相続します。

一方で、遺言書がない場合には、自分たちで誰がマンションを相続するか協議して決めることになります。この話し合いを「遺産分割協議」と呼びます。

遺言書には、「公正証書遺言」と「公正証書遺言以外の遺言(通称、「自筆遺言」)」の2種類があります。

公正証書遺言は、被相続人が弁護士や税理士等の専門家にアドバイスを受けながら作成することが多いです。被相続人が生前に付き合いのあった専門家にたずねると公正証書遺言が見つかることがあります。

公正証書遺言がない場合には、次に自筆遺言があるかどうかを確認します。自筆遺言は銀行の貸金庫に保管されているケースが多いです。自筆遺言を執行するには家庭裁判所の検認が必要です。

1-2.遺産がいくらあるか調べる

遺言書の確認と同時に、被相続人の遺産がいくらあるか調べることが必要です。

相続税は、被相続人の全ての資産が課税対象となるため、「マンション単体で相続税がいくらになる」というものではありません。他に多くの資産を持っており、資産総額が基礎控除額を超えている場合には、その資産に対して相続税が生じます。

なお、マンションと少額の現金だけを相続するようなケースでは、一般的には相続税は発生しないことがほとんどです。国税庁によると、2018年(平成30年)中に他界された方(被相続人数)は約136万人、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約11.6万人で、相続税の納税義務のあった人は全体の8.5%となっています。約91%の人は相続が発生したとしても相続「税」は発生しないことがわかります。相続税については慌てずに、まずはしっかりと被相続人の財産を把握するようにしてください。

〔参考〕国税庁:「PDF平成30年分相続税の申告事績の概要」(令和元年12月 報道発表資料)

被相続人の財産のうち、現金は、その金額がそのまま相続税評価額となります。一方で、マンションのような不動産は別途、相続税評価額を計算します。一般的にマンションの相続税評価額は実際に売ったときの値段よりもかなり低くなります。相続税評価額については「第2章 マンションの相続税評価額の計算方法」にて詳しく解説します。

1-3.基礎控除額を計算する

相続税は、被相続人が残した財産のうち、基礎控除額を超えた部分に対してのみかかります。残された財産が基礎控除額以内であれば、相続税は発生しないことになります。

課税遺産総額 = 相続税評価額-基礎控除額

上の式で計算される課税遺産総額がプラスであれば相続税が発生し、マイナスであれば相続税が発生しません。

基礎控除額は、以下の式で求められます。

基礎控除額 = 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

法定相続人とは、配偶者や子など民法で定められた相続人のことをいいます。例えば、法定相続人が「配偶者と子供2人の合計3人」の場合、基礎控除額は以下のようになります。

基礎控除額
 =3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
 =3,000万円+(600万円×3人)
 =4,800万円

この場合、被相続人が残した財産の総額が4,800万円以下であれば相続税は課税されないということです。4,800万円を超えている場合は、相続税が発生します。

なお、相続税が発生する場合には、相続の開始があったことを知った日から10ヶ月以内に申告と納税をする必要があります。相続税は現金納付が原則ですので、相続税が発生するとわかった人は、納税資金を用意するようにしてください。

お家のいろは コラム
“相続放棄も検討する”

マンションを相続して、相続放棄を検討する場合について説明します。

【相続放棄とは】

相続放棄とは、「相続の権利を全て放棄すること」を指します。相続放棄をすると、マンションなどのプラスの財産も、借金などのマイナスの財産も全て相続できないことになります。相続放棄は、「相続の開始を知った日から3ヶ月以内にしなければならない」という期限があるため、相続の発生が予想される場合は早めに検討しておく必要があります。

相続放棄は、基本的には親が莫大な財産を残して他界した場合に、残された相続人を守るために存在する制度です。ただ、実際には先述の借金などのマイナスの財産がある場合や、遺産分割の手段として相続放棄が使われることが良くあります。

例えば、

  • ・相続人は子供2人のみである(姉と弟)
  • ・姉はすでに嫁いで家を出ており、弟がマンションに被相続人と同居している
  • ・被相続人にはほとんど貯金が残っていない

このようなケースでは、姉が相続放棄を行い、マンションを弟に譲ることがあります。弟は被相続人の亡くなった後も同じマンションに住み続けることができます。

【相続放棄のメリット】

相続放棄を利用することで、遺産分割協議書を作る手間が省けるというメリットがあります。

遺産分割協議書は、専門家に依頼する必要があるため、数十万円のコストがかかってしまいます。一方で、相続放棄は家庭裁判所に申述するだけであり、コストも謄本取得費用等の数千円で済ませることが可能です。手間やコストは相続放棄を使った方がメリットはあります。特定の人にマンションを引き継がせることが決まっており、マンション以外の他の財産も大きな金額ではない場合には、相続放棄を上手く利用するのも一つの方法です。

ただし、相続放棄は一回行うと撤回できないため、慎重に利用するようにしてください。被相財産を全て確認した上で、選択するようにしましょう。

なお、相続税の基礎控除の算出に必要な法定相続人には、相続放棄した人も含まれます。

1-4.遺産の分け方を決める

遺言書がない場合には、相続人全員で遺産の分け方を決めることになります。

相続財産は、何もしないと全て「相続人全員の共有状態」です。現金であれば1円単位で平等に分けることができますが、マンションのような不動産は分けるのが難しい資産となります。不動産があることで、資産を完全に平等に分けられなくなりますので、不平等となることを前提に相続人で話し合うことが必要です。

遺産の分け方には、「現物分割」と「換価分割」、「代償分割」、「共有分割」の4パターンがあります。

現物分割

被相続人の現金や車、マンションなどの財産を現物でそれぞれの相続人に分ける分割方法です。現物分割する場合は、遺産分割協議書を作成する必要があります(遺産分割協議書は、名義変更に必要な書類です)。

換価分割

不動産などを売却して、売却で得た現金を分割する方法になります。比較的不公平感が少ない分割方法です。

代償分割

一部の相続人が財産を多く相続したことで、不公平が生じた場合、その相続人が他の相続人にお金(代償金)を支払うことで調整する分割方法です。代償分割をする場合は、遺産分割協議書を作成する必要があります。

共有分割

不動産を共有持分割合で分ける方法になります。共有分割は、将来売れなくなってしまう物件を作り出す原因となりますので、なるべく避けるようにしましょう。

マンションなどの不動産の売却においては、登記簿謄本の所有者を相続人に名義変更することが原則です。しかし、共有のまま換価分割をする場合は、不動産の名義も共有のまま売却することになります。

分割方法の中で、共有分割は原則として選択すべきではありません。なぜなら、共有物件は売却の際、共有者全員の同意が必要です。多人数物件となると、共有者全員の同意を取るのが難しくなり、将来売ろうと思っても売れない物件となってしまいます。

また不動産を共有のままにしておくと、共有者に相続が発生すると雪だるま式に共有者が増えていくことになります。3世代放置した結果、1つの物件に30人以上の共有者がいるような物件も存在します。

換価分割って何?代償分割との違いや単独名義の注意点を解説

1-5.賃貸か売却かの方針を決める

現物分割や代償分割でマンションを所有する場合でも、自分で使わないこともあります。自分で住まない場合には、賃貸か売却かの方針を決めることになります。立地の良いマンションであれば、賃貸することが可能です。賃貸すれば家賃収入が得られるというメリットがあります

一方で、貸すのが難しいマンションであれば、基本的には売却することをおススメします。理由としては、マンションは取り壊しが難しいため、何代も引き継げるような資産ではないからです。古いマンションは持ち続けるとリスクがありますので、売却できるうちに売ってしまうのが賢明です。

相続物件が戸建てであれば、建て替えによって再利用することができるため、古くても保有しておいた方が良いという考えは成り立ちます。しかしながら、マンションは建て替えがほぼ不可能なため、戸建てとは考え方をしっかり分け、売却を積極的に検討する必要があるのです。マンションを相続した人は、将来の建て替えの可能性が極めて低いことをしっかりと認識しておきましょう。

マンション売却については、この記事の「第4章 マンション売却方法と、知っておきたい税金について」で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

もっと詳しく相続の流れを知りたい方や、配偶者控除などについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてくださいね。

これで解決!遺産相続の手続きの早わかり5つのステップ

2.マンションの相続で発生する税金と費用について

マンション相続の流れのなかで相続税についてお伝えしましたが、マンションを相続する際には、そのほかにも税金や費用がかかります。

主なものは以下の2つです。それぞれについて詳しく確認していきましょう。

  • 相続登記するための費用
  • 必要書類の取得にかかる費用

2-1.相続登記にかかる費用

相続登記には、登録免許税がかかります。相続登記とは、相続する家や土地などの不動産を、現在の所有者である被相続人名義から相続人へと名義変更する手続きで、法務局に申請します。

登録免許税は以下の式で計算できます。

登録免許税 = 土地の評価額※ × 0.4%

※土地の評価額は、区役所でもらえる固定資産評価証明書で確認できます。

名称 料金 備考
固定資産税評価証明書 300円/1通
住民票 300円/1通 市区町村による
不動産登記簿謄本 300円/1通
専門家報酬 6~9万円程度 司法書士に登録免許税の申請手続きを依頼した場合にかかる

このほか、書類取得や法務局までの交通費などがかかります。

2-2.必要書類の取得にかかる費用

相続手続きでは、いくつかの書類を集める必要があります。
それぞれの書類の用途と金額を確認していきましょう。

名称 金額 備考
戸籍謄本 750円 被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍記載のもの
相続人全員の戸籍謄本 3450円×人数分 または全部事項証明書
500円~600円×人数分
相続人全員の印鑑証明書 300円×人数分
被相続人の住民票を削除するための除票 300円

このほかに、相続人が遠方に住んでいる場合は、交通費や郵送費などがかかる可能性があります。

こうした書類は、集めるのに時間がかかったり、抜け漏れがあったりすると相続がスムーズに進みません。
着実に相続を進めるためには、弁護士や司法書士、税理士などの専門家に依頼することをおすすめします。

3.マンションの相続税評価額の計算方法

この章ではマンションの相続税評価額の計算方法について解説します。

3-1.評価の対象は敷地権と建物

マンションは資産として敷地権と呼ばれる土地の権利と、建物の所有権があります。従って、相続税評価の対象となるのは敷地権と建物の2つです。

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。固定資産税評価額は、被相続人に毎年送付されていた納税通知書の中に記載されています。

土地の相続税評価額は、敷地権の評価額として別途求めます。敷地権とは、簡単にいうとマンションの土地の所有権です。マンション全体の敷地は区分所有者が全員で共有していますが、共有持分のことを敷地権と呼んでいます。

マンションでは、建物と土地の共有持分がバラバラに売却されることを防ぐため、共有持分を敷地権という特殊な権利で登記するようになっています。敷地権は、共有持分ですので、敷地全体の評価額を求め、それに登記簿謄本に記載されている「敷地権の割合」を乗じることで求めます。

敷地権の評価額 = マンション全体の敷地の評価額×敷地権割合

マンション全体の敷地の評価額は、マンションの敷地に面している相続税路線価に敷地全体の面積を乗じて求めることを基本とします。相続税路線価とは、国税庁が毎年開示している相続税評価額を決めるための土地単価です。地図上の道路(路線)に単価が表記されているため、単に路線価と呼ばれることもあります。

例えば、以下のようなケースで敷地権評価を計算してみます。

(与条件)
敷地権割合:2,500,000分の8,000
マンション全体の敷地面積:15,000平米
相続税路線価:30万円/平米

マンション全体の敷地の評価額
  =マンション全体の敷地面積×相続税路線価
  =15,000平米×30万円/平米
  =450,000万円

 

敷地権の評価額
  =マンション全体の敷地の評価額×敷地権割合
  =450,000万円×2,500,000分の8,000
  =1,440万円

ここで、建物の固定資産税評価額が600万円だったとします。すると、マンションの相続税評価額は以下の通りです。

マンションの相続税評価額
  =敷地権の評価額+建物の評価額
  =1,440万円+600万円
  =2,040万円

このように計算したマンション評価額に加え、現金や有価証券等の他の資産を合計した総資産額が基礎控除額よりも大きければ、その超えた金額に対し相続税が課税されることになります。

なお、上記で求めた敷地権の評価額は、一番基本的なパターンです。マンションの敷地は広いため、実際には「奥行価格補正」が行われることが一般的です。そこで、次節に「奥行価格補正」について簡単に紹介します。

3-2.敷地権評価でよく使う奥行価格補正とは

奥行価格補正とは、対象地が平均的な奥行に比し、短いもしくは長い場合に行う補正です。敷地は奥行が長過ぎると、道路から離れた部分の利用効率が悪くなるため、その分、土地の価値が落ちます。マンションの敷地は非常に広く奥行が長いため、奥行価格補正を使うと評価額を下げることができます。

奥行補正率は以下の通りです(平成30年分以降用)。

〔出典〕国税庁:「奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正)」

路線価は国税庁のホームページで確認することができます。路線価図の左上には、下図のような地区区分を示す判例があります。

国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」より一部抜粋

例えば、マンションの路線価が「普通住宅地区」であり、奥行きが60mある土地であれば、「0.86」を奥行補正率として用います。

3-3.敷地権評価でよく使う側方路線影響加算とは

側方路線影響加算とは、対象地が角地にある場合の補正です。角地は使い勝手が良くなるため、評価額が上がります。

側方路線影響加算率は以下の通りです。

地区区分 加算率
角地の場合 準角地の場合
ビル街地区 0.07 0.03
高度商業地区・繁華街地区 0.1 0.05
普通商業・併用住宅地区 0.08 0.04
普通住宅地区・中小工場地区 0.03 0.02
大工場地区 0.02 0.01

〔出典〕国税庁:「PDF土地及び土地の上に存する権利の評価についての調整率表(平成30 年分以降用)

準角地とは、下図の左のような一系統の路線の屈折部の内側に位置する土地を指します。

準角地の説明図

3-4.敷地権の具体的計算方法

ここで、以下のような条件で敷地権の相続税評価額を計算してみます。

(与条件)
敷地全体面積:4,200平米
敷地権割合:34,560/10,000,000
地区区分:普通住宅地区
接道条件:角地

角地の説明図

角地の場合は、路線価の大きい方を主たる路線価、小さい方を従たる路線価として用います。また、奥行価格補正や側方影響加算の値は前節2-3. の表の中から普通住宅地区のものを用います。

主たる路線価
  =路線価×奥行価格補正
  =165,000円×0.86
  =141,900円

 

側方路線影響加算
  =主たる路線価+(従たる路線価×奥行価格補正×側方影響加算)
  =141,900円+(150,000円×0.84×0.03)
  =145,680円 ・・・この路線価を計算に用います。

 

敷地全体の相続税評価額
  =求めた路線価×敷地全体面
  =145,680円×4,200平米
  =611,856,000円

 

敷地権評価額
  =敷地全体の相続税評価額×敷地権割合
  =611,856,000円×34,560/10,000,000
  =2,114,574円

3-5.マンションでも使える小規模宅地の特例

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす不動産の土地について、相続税評価額を大幅に減額してくれる特例になります。

マンションの敷地権に対しても、要件を満たせば小規模宅地等の特例を利用することが可能です。マンションの場合、特定居住用宅地等の要件を満たすと、330平米の土地を上限として、敷地権の相続税評価額が80%減額されます。

特定居住用宅地等で小規模宅地等の特例を利用するためには、以下の状況が必要です。

  • 被相続人の配偶者が土地を相続する場合
  • 被相続人と同居していた人が土地を相続する場合
  • 被相続人に配偶者も同居人もいない場合、3年間借家住まいの相続人が取得する場合(通称「家なき子」特例)

小規模宅地等の特例は同居していないと、要件(家なき子)を満たすのが難しく、利用しにくい制度です。減額効果があまりにも大きいため、簡単には使わせてもらえません。「家なき子」特例の要件を満たすケースは滅多にありませんが、要件を満たす可能性のある人は、十分に確認した上で利用の検討をするようにしてください。

マンションでも使える「小規模宅地等の特例」についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事もぜひ参考にしてください。

小規模宅地等の特例はマンションも可能!要件・手続き・注意点を解説!

4.相続時の名義変更の必要書類・税金

換価分割で売却する場合や、遺産分割によって単独所有とする場合でも、マンションの登記簿謄本の名義変更が必要です。この章では名義変更のための必要書類と税金について解説します。

4-1.名義変更のための必要書類

現行(2021年1月時点)では、相続した不動産の登記移転義務はありません。そのため、相続をしたマンションは所有権移転登記をせずに放っておいても構いませんが、法定相続でも売却をするのであれば、取引の安全を確保するために名義変更が必要です。

(1) 法定相続による相続のケース

法定相続による相続の名義変更では、以下の書類が必要となります。

  • 被相続人の10歳前後から死亡に至るまでの継続した全ての戸籍謄本
  • 被相続人の除住民票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • 相続関係説明図(任意)

相続関係説明図は任意の書類ですが、相続関係説明図があると戸籍謄本を返してもらうことができます。戸籍謄本は他の相続手続きでも必要となりますので、戸籍謄本を返してもらえることはメリットがあります。

(2) 遺産分割協議による相続のケース

遺産分割協議によって分割を行う場合には、最終的に「遺産分割協議書」を作成します。遺産分割協議によって名義変更をする場合の書類は以下の通りです。

  • 遺産分割協議書(相続人全員自著・実印押印・印鑑証明書添付)
  • 被相続人の10歳前後から死亡に至るまでの継続した全ての戸籍謄本
  • 被相続人の除住民票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • 相続関係説明図(任意)

遺産分割協議書には、相続人全員が自著と実印での押印を行い、印鑑証明書を添付します。遺産分割協議書は、不動産の名義変更だけではなく、被相続人の銀行口座や自動車等の引継ぎ等にも利用される正式な書類です。不備があると無効となってしまうため、通常は、弁護士や司法書士等の専門家に依頼して作成します。

(3) 遺言による相続のケース

遺言書がある場合は、遺言書に従って遺産の分割を行います。

遺言によって名義変更を行う場合は以下の書類が必要です。自筆遺言の場合には、家庭裁判所による検認の手続きを済ませた遺言証書となります。

  • 遺言証書
  • 遺言者の死亡事項の記載のある除籍謄本
  • 遺言により相続する相続人の住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • 受遺者の戸籍謄本
  • 相続関係説明図(任意)
相続した不動産を売却するには?事前準備や注意点などもわかりやすく紹介

5.マンションを相続する際の注意点

不動産の相続では、いくつかの注意点があります。相続でトラブルにならないためにも注意点を確認しておきましょう。

5-1.相続税の申告・納税には期限がある

相続税の申告と納税の期限は、被相続人がなくなった被から10か月です。

申告期限を過ぎてしまうと相続税に延滞税がかかります。さらに税務署から通知が来るまで放置した場合は、税率が上乗せされます。

また、申告しても納税期限を過ぎてしまうと遅延税がかかります。

【例】相続税が1000万円の場合
以下は、相続税が1000万円のとき、申告や納税期限を過ぎた場合の税率と金額です。

遅延の税率 相続税が1000万円の場合
の遅延税額
申告期限を過ぎた場合 5% 50万円
未申告で税務署から
通知が来た場合
15~20% 150~200万円
納税期限を過ぎて
2か月以内の場合
年3~10%
(金利による変動あり)
30~100万円
納税期限を過ぎて
2か月を過ぎた場合
年9~10%
(金利による変動あり)
90~100万円

相続税は大きな金額になるため、遅延税がかかるとそれぞれ大きな金額が課せられてしまいます。相続税の申告と納税は、期限に遅れないよう十分な注意が必要です。

5-2.相続税が支払い不能なときは延納・物納で対処する

相続税額を支払うことができない場合、延納制度と物納制度があります。

5-2-1.延納

延納は、相続税を最長20年に分割して支払う方法です。延納には利子がかかります。
延納は以下の条件を満たしている場合に利用できます。

  • 相続税額が10万円を超える場合
  • お金で納税できない事由があり、納税が不可能な金額であると認められた場合
  • 延納税額および利子税の金額を保証できる担保の提供が可能な場合
  • 延納申請書・担保提供関係書類を期限内に提出した場合

5-2-2.物納

納税はお金で支払うことが原則ですが、延納を利用しても支払いが困難な場合に、金額相当の物で納税する物納という方法があります。

物納の条件は以下の通りです。

  • 延納を利用しても金銭での納税が難しい事由があり、支払い可能な金額を超えていると認められた場合

物できる品目には優先順位があり、上位1位から順に納めることが可能です。

第1順位
  • 不動産、船舶、国際証券、地方債証券、上場株式等
  • 不動産および上場株式のうち、物納劣後財産に該当するもの※
第2順位
  • 非上場株式等※
  • 非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの※
第3順位 動産

※「物納劣後財産」とは、相続税法施行令第19条に掲げられる財産のことです。詳しくは国税庁のホームページでご確認ください。

5-2-3.相続税は相続人全員が納税する

相続税の納税は、相続人全員がそれぞれ行う必要があります。申告に関しては、相続人の代表者1名が行いますが、納税を代表者が行うと「贈与」とみなされてしまい、贈与税が課せられてしまうので注意しましょう。

不動産の所有者と同居していた配偶者が、所有者が亡くなった後もその家に住み続けたい場合については、下記の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。

配偶者居住権とは?相続で適用されるケースと6つの注意点を紹介

6.マンション売却方法と、知っておきたい税金について

換価分割等でマンションを売却する場合、売却前に複数の不動産会社に査定を依頼することが上手くいくコツとなります。

共有状態のまま物件を売却するには、共有者全員の同意が必要です。共有物件は1人でも反対すると売却ができなくなります。共有物件の売却の合意形成で最も難しいのは「売却価格」です。あらかじめ、「いくら以上で売る」という最低売却ラインを決めておかないと、いざ購入の申し込みが入った時点で、判断が付かず意見が割れてしまいます。

共有物件を売却するには、あらかじめ複数の不動産会社に査定を依頼し、いくらくらいで売却できそうなのかをしっかりと調査することが重要です。

6-1.マンション売却前に、複数の不動産会社に査定を依頼

複数の不動産会社に査定を依頼すると、各社からそれぞれ違った査定額がでてきます。ただし、ある程度似た金額の範囲で出てくるため、漠然と「適正な価格」が分かるようになります。

各社の査定額を横並びにしたら、「いくら以上の金額が出てきたら売ろう」という最低売却価格を皆で決めておくことがポイントです。最低価格は、査定額の中からなるべく低い価格を選んでおくと後がスムーズにいきます。

複数の不動産会社に査定を依頼するには、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」が便利です。

相続で引き継いだマンションは、相続人たちの今の住まいから離れていて遠方にあることも多いのではないでしょうか。遠方にあるマンションの場合、そのエリアでマンション売却を得意とする不動産会社はどこかという情報を得ることが難しいです。

不動産売却 HOME4U」なら、その地域でマンション売却を得意とする不動産会社があらかじめ選定されていますので、不動産会社選びに悩む必要がありません。一括査定サービスの入力情報の中に、売却するマンションの所在地を入力すれば、そのエリア内でマンション売却に強い会社が自動で抽出される仕組みになっています。最大6社に査定を依頼することができますので、最低売却価格を決定する上で十分な情報が集まります。

不動産売却 HOME4U」でマンション査定をしてくれる会社は、専門知識をしっかりと持った不動産会社が多いため、安心して売却を任せることが可能です。売却の方針が決まったら、早速査定を依頼することから始めるようにしましょう。

6-2.相続したマンションを売却したときにかかる税金

相続したマンションならではの、売却したときにかかる税金について解説します。

(1) 譲渡所得の基本式

マンションを売却すると、場合によっては税金が発生することがあります。通常のマンション売却では、「居住用財産」と呼ばれる自宅マンションを売却しても税金が発生しないように、様々な特例があります。しかしながら、相続したマンションは自宅ではないので節税できる特例がないということを知っておくことが重要です。

マンションなどの不動産売却では、「譲渡所得」が発生すると所得税および住民税、復興特別所得税が生じます。例えば相続で共有のまま売却した場合は、各人の持分に応じて税金が発生することになります。譲渡所得の計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用

  • 譲渡価額:売却額
  • 取得費:土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
  • 譲渡費用:仲介手数料等の売却に要した費用

ここで、大きなポイントとなるのが「取得費」です。親が購入当時の売買契約書を残していてくれればよいのですが、残していないと取得費が不明となってしまいます。取得費が不明の場合には、概算取得費というものを用います。概算取得費は、「譲渡価額の5%」です。

概算取得費を用いてしまうと、譲渡所得が大きくプラスとなるケースもあるため、マンション売却時の税金が高くなる可能性があります。売却時の税金を安くするためにも、購入当時の売買契約書がどこかに残っていないかしっかりと探すようにしてください。

(2) 所有期間と税率

譲渡所得がプラスの場合、税金は譲渡所得に税率を乗じることにより求められます。譲渡所得にかかる税率は、所有期間によって決まる仕組みです。1月1日時点において所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得、1月1日時点において所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と分類されます。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%
短期譲渡所得
所有期間 5年以下
所得税率 30%
住民税率 9%
長期譲渡所得
所有期間 5年超
所得税率 15%
住民税率 5%

上記の税率でそれぞれ計算し、さらに2037年までは「所得税」に対して一律2.1%をかけた金額が「復興特別所得税」として納税額にプラスされます。

相続した不動産を売却した場合、所有期間は被相続人の取得日を引き継ぎます。被相続人の所有期間が既に5年超であれば、相続後すぐに売却しても長期譲渡所得の税率が適用されます。

(3) 取得費加算の特例

相続した不動産を売却する場合、「相続税を払った人だけ」に取得費加算の特例が認められています。

相続税を払う人は、相続税を払うためにマンションを売却することもあります。相続税も所得税等も課税してしまうと、税負担があまりにも大きいため、相続税を払う人のみ取得費加算の特例というのが認められているのです。取得費加算の特例を適用するには、以下の要件が必要となります。

  1. 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
  3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

取得費加算の特例を適用すると、以下のように「取得費に加算する相続税額」を控除することができます。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-取得費に加算する相続税額-譲渡費用

取得費に加算する相続税額とは、以下の計算式で表されたものです。

その者の相続税額 × その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額
その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額

相続税の納税義務者は、少しでも税負担を軽くするために、取得費加算の特例の利用を忘れないようにしてください。

相続不動産の売却などを検討していて、売却方法や法定相続分などもっと詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

亡くなった親の家を売る方法とは?相続から売却の手順と税金ガイド

まとめ

いかがでしたか。この記事では、マンションの相続について解説しました。

  • マンションを相続したら、まず分割がポイントとなります。最初に遺言書を探し、場合によっては相続放棄の活用も検討し、必要であれば、遺産分割協議も行います。
  • マンションの相続税評価額は、建物と敷地権の評価額を合算したものとなります。
  • マンションだけでなく、他の資産も全て合算し、基礎控除額を超えているようであれば相続税が発生します。
  • 分割方針が決まったら、名義変更を実施します。安全な取引のためにも、名義変更は必ず実施するようにしてください。
  • マンション売却時には、税金が発生する場合があります。税金を抑えるためにも、購入時の売買契約書の有無を確認するようにしましょう。

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この記事のポイント まとめ

マンションを相続するときの手順は?

マンションを相続する主なステップは5つです。

  1. 遺言書を確認する
  2. 遺産がいくらあるか調べる
  3. 基礎控除額を計算する
  4. 遺産の分け方を決める
  5. 賃貸か売却かの方針を決める

それぞれの内容や相続税がいくらかかるのかについては「1.マンションを相続するときの手順5ステップ」で詳しく解説しています。参考にしてください。

マンションの相続で相続税以外にかかる税金や費用は?

マンションの相続では、主に以下の費用がかかります。

  • 相続登記するための費用
  • 必要書類の取得にかかる費用

それぞれの詳細は「2.マンションの相続で発生する税金と費用について」をご覧ください。

マンションの相続税評価額の計算方法は?

相続税評価の対象となるのは、敷地権と建物の2つです。

  • 建物の相続税評価額 = 固定資産税評価額
  • 土地の相続税評価額 = 敷地権の評価額

敷地権の評価額は以下の式で計算できます。

敷地権の評価額 = マンション全体の敷地の評価額×敷地権割合

マンション全体の敷地の評価額敷地権割合、敷地権評価でよく使う奥行価格補正側方路線影響加算、具体的な計算方法については「3.マンションの相続税評価額の計算方法」で解説しています。

さらに土地の相続税評価額を減額してくれる小規模宅地の特例は、マンションでも利用できます。こちらもご紹介していますので、併せてご確認ください。

相続時の名義変更に必要な書類は?

必要書類や税金は、以下の3つのケースで変わります。

  • 法定相続による相続のケース
  • 遺産分割協議による相続のケース
  • 遺言による相続のケース

それぞれのケースで必要な書類をご紹介していますので、「4.相続時の名義変更の必要書類」を参考にしてください。

マンションを相続する際の注意点は?

マンションの相続では、以下の3つにご注意ください。

  • 相続税の申告・納税には期限がある
  • 相続税が支払い不能なときは延納・物納で対処する
  • 相続税は相続人全員が納税する

それぞれの詳細は「5.マンションを相続する際の注意点」でご紹介しています。

相続したマンションを売却したときにかかる税金は?

相続したマンションを売却した場合、所得税および住民税復興特別所得税を支払う必要があります。
譲渡所得税は以下の計算式で出せます。

譲渡所得税 = 課税譲渡所得(譲渡所得-特別控除) × 税率

税率は不動産の所有期間に応じて変わります。
相続した不動産を売却する場合、相続税を払った人だけに取得費加算の特例が認められています。

譲渡所得の出し方や、取得費加算の特例の適用要件や相続税額の詳細は、「6.マンション売却方法と、知っておきたい税金について」をご覧ください。

マンションの相続にかかる税金は安いものではないので、しっかりと知識を持って大切な資産を受け継げるよう、スムーズな不動産相続を行ってください。

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