【図解】不動産売却の流れと期間│必要書類や税金

【図解】不動産売却の流れと期間│必要書類や税金

不動産売却を始めるには、まず売却の流れや不動産売却の注意点を理解しておきましょう。また、必要書類や税金対策も押さえておくとスムーズです。

不動産が売れないのでは?」と不安な方も最後までお読みいただくことで不動産売却の基礎を理解でき、安心して取引を進められるでしょう。

この記事を読めばわかること
  • 【図解】不動産売却の基本的な流れと期間
  1. 不動産会社へ売却相談・査定依頼
  2. 媒介契約の締結
  3. 販売活動の開始
  4. 売買契約の締結
  5. 決済と引き渡し
  6. 確定申告
  • 不動産売却に必要な書類
  • 不動産売却にかかる税金
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1.【図解】不動産売却の基本的な流れ

不動産売却の基本的な流れ

不動産売却の大まかな流れは、以下の6つのステップになります。

不動産売却の基本的な流れ

一般的に不動産売却にかかる期間は3ヶ月〜6ヶ月程度と言われており、不動産会社選びや物件の条件によっては、1年程度かかる場合もあります。

短期間での売却を成功させるためにも、基本的な流れを理解しておきましょう。

2.不動産会社に売却相談・査定を依頼する

不動産会社に売却相談・査定を依頼する

まずは、不動産会社に売却相談と不動産査定を依頼します。事前にやっておくべき準備もありますので併せて確認しておきましょう。

2-1.自分で相場を調べる

自分で不動産売却の相場を調べることで、不動産会社に提示された売却額が妥当であるか判断できます。

自分で相場を調べる方法として、「土地総合情報システム」と「レインズマーケット・インフォメーション」があります。

土地総合情報システムは、戸建やマンションの他に、土地や農地などの価格も調べられます。
レインズマーケット・インフォメーションは、戸建とマンションの価格情報を検索でき、データ量が豊富で、更新頻度が高いことが特徴です。

2つとも誰でも無料で利用できるサービスで、不動産の売却相場や過去の成約事例などを確認できます。

2-2.必要書類を揃える

不動産売却では、さまざまな必要書類を揃えなければなりません。

必要書類や提出するタイミング、概要は以下のとおりです。

必要なタイミング 書類名 概要
査定時 本人確認書類 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどの顔写真付きの身分証明書
土地測量図、建物図面 面積や形状、測量方法、隣地との関わりについての書類(マンションであれば不要)
登記事項証明書(登記簿謄本) 不動産の地目や構造、広さや複利関係に関する書類
登記済権利証(登記識別情報通知書) 不動産登記が済んでいることを証明する書類
媒介契約締結時 売買契約書 売主と買主とで取り交わす契約書
建築確認済証、検査済証 工事の計画や作業工程が法律に適合していることを証明する書類(戸建の売却に必要)
重要事項証明書 不動産の内容や取引条件、告知義務などの重要事項が記載された書類
物件の図面、設備仕様書 間取りや設備を確認できる書類
ローン残高証明書 住宅ローン残債がある際に必要な書類
建築設計図書、工事記録書 物件の設計や工事内容が記載された書類(必須ではないがあると物件の信頼性を伝えられる)
耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書 耐震結果やアスベスト使用状況が記載された書類(必須ではないがあると物件の信頼性を伝えられる)
地盤調査報告書、住宅性能評価書、既存住宅性能評価書 地盤状況や住宅性能の評価が記載された書類(必須ではないがあると物件の信頼性を伝えられる)
売り出し中 重要事項に関する調査報告書 管理費や修繕積立金の回収・運用状況が記載されている書類(マンション売却に必要)
管理規約、使用細則 物件の使用規則について記載された書類(マンション売却に必要)
固定資産税納税通知書、固定資産税評価証明書 固定資産税の確認、登記費用の算出に必要な書類
売買契約時 収入印紙 売買契約書に貼る印紙
実印、印鑑証明書 売買契約書の捺印に必要(共有名義の場合は名義人全員の実印が必要)
引き渡し時 住民票 現住所と登記上の住所が違う際に必要
銀行口座書類 代金を振り込みで貰う際に必要

上記のように、不動産売却に必要な書類は、査定時から引き渡し時までのタイミングごとに違います。

また、不動産の種類や売却方法によっても必要書類は異なるので、注意が必要です。

書類が揃わなければ、売却期間が延びる可能性があるので、早めに不動産会社と相談しながら、書類を集めておきましょう。

2-3.不動産査定を依頼する

相場の把握など準備が終わったら、不動産会社に査定を依頼しましょう。

査定方法には、「机上査定」と「訪問査定」の2つがあります。

机上査定は、インターネットや電話で、立地や築年数、面積や間取りなどの情報を伝え、実際に物件を確認しないでおおよその価格を算出する査定方法です。

一方の訪問査定は、営業担当者が実際に物件を確認し、不動産の状態や周辺環境を確かめてから査定結果を算出する方法なので、机上査定よりも精度が高い特徴があります。

まずは、5〜6社程度の不動産会社に机上査定を依頼し、その中でも自身と相性の良い会社を選んで、訪問査定を実施するのが一般的です。

訪問査定の場合も、複数社へ依頼することで、好条件で売却できる不動産会社を見つけられます。

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3.媒介契約を締結する

媒介契約を締結する

売却を依頼したい不動産会社を選んだら、媒介契約を締結します。媒介契約とは、売却活動の方針を決めたり、買主を探してもらったりする際に結ぶ契約のことです。

媒介契約の3つの種類とその特徴、物件購入後のトラブルを未然に防ぐ方法について解説していきます。

3-1.媒介契約の種類を選ぶ

媒介契約の種類には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つがあります。

それぞれの特徴は、以下のとおりです。

専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
複数業者との契約 1社のみ 1社のみ 複数業者と契約可能
自身で買主を探す行為 不可 可能 可能
契約期間 3ヶ月 3ヶ月 指定なし(一般的には3ヶ月)
売却活動の報告義務 1週間に1回以上 2週間に1回以上 報告の義務なし
レインズへの登録 媒介契約締結日から5日以内 媒介契約締結日から7日以内 登録の義務なし(任意)

レインズとは、国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムのことです。

専属専任媒介契約は、1社としか契約が結べませんが、その分不動産会社が懸命に売却活動してくれる特徴があります。

専任媒介契約は、専属専任媒介契約と同じく複数社との契約はできませんが、自身で買主を探す行為が可能です。例えば、不動産会社に依頼しながら、知り合いで購入したい方がいた場合は、個人間での取引ができます。

一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約を結べるので、不動産情報が多くの人の目に留まる特徴があります。

3つの内容を理解して、自身の都合や不動産の状況を踏まえた上で、媒介契約を選択しましょう。

3-2.付帯設備表と物件周辺状況等報告書を作成する

媒介契約を締結する際は、「付帯設備表」と「物件周辺状況等報告書」を作成しておきましょう。

付帯設備表と物件周辺状況等報告書を作成しておくと、物件購入後のトラブルを回避できます。

付帯設備表とは、売却する不動産にどのような設備が付いているのか、どの設備を引き渡すのか、また、どの設備が無いのかなどを記載した書類です。

主な設備は、エアコンや給湯器、ウォシュレットや照明などが挙げられます。

物件周辺状況報告書とは、売却する不動産の建物や土地、周辺環境について売主側が把握している情報を買主に報告する際に作成する書類のことです。

主に、シロアリ被害や雨漏り、給排水管の故障などが挙げられます。

買主から物件購入後に損害賠償を請求(契約不適合責任)されないためにも、物件の状態を明確にしておくと安心です。

4.販売活動を始める

販売活動を始める

媒介契約を締結し、売り出し価格 を決定したら、本格的に販売活動を始めます。

基本的に不動産会社主導で販売活動は行われますが、スムーズな活動を進めるためにも内容を理解しておきましょう。

4-1.不動産会社による広告の開始

買主を見つけるために、不動産会社による広告が開始されます。

具体的な活動は、以下のとおりです。

  • レインズに登録
  • 顧客に紹介
  • 不動産サイトに掲載
  • 住宅情報誌に掲載
  • 新聞の折り込みチラシやポスティング
  • オープンハウスを開催

チラシの作成料や住宅情報誌に掲載する手数料などは、仲介手数料に含まれているので、別途支払う必要はありません。

専任媒介契約や一般媒介契約であれば、自身で買主を探す行為が許可されているので、自ら営業をかけるのも1つの方法です。

4-2.内覧に向けた室内の掃除・事前の資料準備

内覧に向けて室内の掃除や事前の資料を準備し、いつ内覧希望者が現れても対応できるように備えておきましょう。

内覧前の清掃のポイントは、以下のとおりです。

清掃箇所 ポイント
玄関 靴や傘は収納し、砂やほこりを掃き掃除する。
水回り(浴室、洗面台、トイレ) カビや水垢を清掃し、床や壁も綺麗に掃除する。
キッチン コンロやシンクを綺麗に磨き上げ、生ゴミのにおいがしないように消臭する。
リビング 床や窓を拭き掃除する。
床にものを置かないようにし、広い印象を与える。
収納 見られても大丈夫なように整理整頓し、荷物を押し込まない。
ベランダ・バルコニー 床を掃き掃除・拭き掃除し、ものを置かないようにする。

自分で掃除しても生活感が残ってしまう場合は、ハウスクリーニングの利用も検討しましょう。また、引っ越し後の空き家で内覧をする場合、観葉植物や生活をイメージできるような家具を設置するホームステージングもおすすめです。

さらに、マンションなどを購入した際のパンフレットや、不動産の特徴や写真などをまとめた資料があれば、買い手に好印象を与えられます。

パンフレットがあれば、具体的なスペックが把握できますし、まとめた資料を作成したものを渡せば、帰宅後に時間をかけて考えてもらえます。

なお、募集しても内覧が来ない場合は、インスペクションの利用も検討してみるとよいでしょう。

4-3.当日の内覧対応

内覧希望の依頼があれば、当日の内覧対応をします。

部屋を整理整頓するのはもちろんのこと、売主自身も清潔感のある身だしなみを心がけ、好印象を与えましょう。

内覧は、基本的に不動産会社の担当者が行ってくれますが、売主も同席することが可能です。

同席するのであれば、質問には丁寧に明るく回答し、実際に住んでいる売主にしかわからない周辺環境の有益な情報などを伝えてあげれば効果的です。

5.売買契約を結ぶ

売買契約を結ぶ

不動産の買い手が見つかれば、売買契約を結びます。

売買契約は、売主と買主が正式に契約を結ぶ重要な役割があります。以下で内容を詳しく解説します。

5-1.売買契約書を作成する

不動産を売却する際は、売買契約書の作成が必要です。

不動産売買契約書は、売却対象となる不動産について、売主と買主が合意した内容が記載されている契約書のことです。

記載内容は、売買代金の他に、売買代金の支払い時期や手段、手付金の金額、不動産の住所や面積、売主と買主の住所や氏名などの内容が記載されています。

不動産は金額が高いだけでなく、重要な財産と判断されるため、口頭での合意だけでなく、きちんと契約書を作成するのが望ましいです。

5-2.重要事項説明書の読み上げ・契約書へ署名と捺印をする

売買契約書の作成ができたら、重要事項説明書の読み上げと、契約書へ署名と捺印を行います。

売買契約書は、法的拘束力を持つ重要な書類であるため、一度締結してしまうと簡単に破棄することは困難です。

そのため、契約内容を1つずつ確認し、少しでも不明点があれば必ず調べて、理解してから締結しましょう。

契約後に買主とトラブルに発展しないように、丁寧に重要事項説明書を読み上げて確認することが大切です。

売主・買主ともに契約書の内容に合意したら、署名と捺印を行います。

契約後、収入印紙が売却代金に則って貼られた売買契約書を、売主・買主が1部ずつ所有します。

5-3.手付金を支払う

不動産の売買契約では、買主から売主に手付金を支払います。

手付金の相場は、売却価格の10%程度です。
たとえば、2,000万円でマンションを売却したとすると、200万円程度が手付金の相場です。
手付金は、契約後から引き渡しの間に、キャンセルした場合の違約金としての役割もあります。

6.決済と引き渡しを行う

決済と引き渡しを行う

売買契約を終えると、買主は住宅ローンの本審査(1週間~1か月ほど)に入ります。無事に審査が通過し、買主の資金準備が整ったら、決済と引き渡しを行います。通常、不動産の決済と引き渡しは同日に行われるので、流れを理解しておきましょう。

6-1.残金の支払いを済ませる

買主から、手付金を除いた残金の支払いを済ませてもらいましょう。

もし住宅ローンの残債があれば、支払われた代金からローンを完済してください。この時点で返済額が足りないオーバーローンとなってあわてないよう、事前に資産計画を立てておくよう注意しましょう。

なお、買主が住宅ローンを利用して不動産を購入する場合は、同じタイミングで住宅ローンの融資が行われます。

6-2.抵当権抹消の手続きを完了する

売主は、抵当権抹消の手続きを完了させる必要があります。

抵当権とは、住宅ローンの返済ができなくなった際のために、金融機関がマンションや土地などの不動産を借金の担保として確保する権利のことです。

抵当権が設定されたままだと、不動産売却が行えません。そのため、住宅ローンを利用して物件を購入した際は、住宅ローン完済時に抵当権抹消の手続きが必要です。.個人でも手続きは可能ですが、不慣れな場合は司法書士に任せるのが安心です。

6-3.物件を引き渡す

決済が完了したら書類や鍵を用意し、物件を引き渡します。

引き渡しの際に必要な書類には、物件のパンフレットや設備の取扱説明書、検査済証拠や境界確認書、測量図などが含まれます。

鍵は、合鍵も含めたすべての鍵を買主に引き渡します。

7.売却後は確定申告を行う

売却後は確定申告を行う

不動産売却後は、確定申告を行いましょう。

不動産売却で利益が発生した場合は、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税とは、不動産売却で発生した「利益(譲渡所得)」に対してかかる税金のことです。

確定申告を行う際のポイントは、以下のとおりです。

  • 確定申告は翌年の2月中旬から1ヶ月間
  • 特別控除の申請も忘れずに

特別控除を理解しておくと、かかる税金を軽減できます。

7-1.確定申告は翌年の2月中旬から1ヶ月間

確定申告は、翌年の2月中旬から3月中旬までの1ヶ月間で行います。

売却した不動産の管轄のある税務署で申告するのが一般的です。

確定申告に必要な書類と入手場所は、以下のとおりです。

書類名 入手場所
住民票 市区町村役場
登記事項証明書 法務局
源泉徴収票 勤務先の会社から配布
不動産売買契約書のコピー 自分で不動産売買契約書をコピーする
確定申告書・計算明細書 税務署、または国税庁のWebサイト

なお、確定申告の支払いを忘れて期限が過ぎてしまった場合は、「無申告加算税」や「延滞税」などのペナルティが発生するので、早めに済ませておきましょう。

7-2.特別控除の申請も忘れずに

発生する税金を軽減させるためにも、特別控除の申請も忘れずに行いましょう。

マンション売却時に適用できる特別控除として、「3,000万円特別控除」があります。

3,000万円特別控除とは、所定の条件を満たすことで、マンション売却によって発生した利益(譲渡所得)に対して、最大3,000万円まで控除できる制度のことです。

例えば、マンション売却で得た利益が1,000万円だった場合、3,000万円特別控除が適用されると利益が無いと判断されるので、譲渡所得税を支払う必要がありません。

特別控除を適用させると、支払う税金を大きく抑えられる可能性があるので、忘れずに申請しましょう。

まとめ

不動産売却の基本的な流れは、把握できたでしょうか。おさらいすると、売却時の流れは以下の6つのステップでした。

  • 不動産会社に売却相談・査定を依頼する
  • 媒介契約を締結する
  • 販売活動を始める
  • 売買契約を結ぶ
  • 決済と引き渡しを行う
  • 売却後は確定申告を行う

なお必要書類は、本人確認書類をはじめ登記事項証明書(登記簿謄本)、売買契約、重要事項証明書、住民票などがありますが、査定時から引き渡しまでのタイミング、売却する不動産によっても提出する書類は変わるので、不動産会社に確認しておくと安心でしょう。

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