
「家を売りに出しているのだが、なかなか売れず困っている……」
「自分の家がどうして売れないのか、原因がわからない」
そんなお悩みで、途方に暮れていませんか?売却期間が1年以上かかっているという方も、中にはいらっしゃることでしょう。家が売れない状態が長引くと、とてもストレスが溜まります。
家が売れない原因は、物件にもよりますが、複合的に理由が重なって売れなくなっていることが多くあります。まれに小手先のテクニックだけで改善することもありますが、販売体制から抜本的に変えていかないと売れるようにならない場合のほうが多いのです。
本記事では、「売れない家を売れるようにするための本気の対処法」について解説いたします。売れないと思っていた家は、実は売れる家かもしれません。最後までお読みいただき、ぜひ対処法をそれぞれ実行してみてください。
不動産会社選びで、売却は数百万円「売値」が変わります。
査定価格は不動産会社によって違うので、高く・早く売るなら、複数の不動産会社の査定価格を比較することが大切です。
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Contents
1. 家が売れない4つの原因

家が売れない原因は大別すると以下の4つに絞られます。
「売出価格が高い」
「不動産会社の熱意が低い」
「物件自体に原因がある」
「立地条件が悪い」
この章では、家が売れない4つの原因についてそれぞれ確認していきます。
1-1. 【売れない原因1】売出価格が高い
「売出価格」が高過ぎると、家はなかなか売れません。
家の購入を希望している人は真剣に物件を探しているうちに「相場観」を身につけています。「なんとなく高い」と感じたら、すぐに検討から除外してしまいます。
家の査定を依頼した際、不動産会社から価格が提示されたということは、売れるという証拠です。本当に売れない物件は、査定価格がゼロ円になります。査定価格がゼロ円ではない家が売れない原因は、査定価格が高過ぎるか、もしくは売出価格が高いかということになります。
販売物件の中には、数年に一度、価格が査定できない物件が現れます。それは、どう考えても誰も買わないような物件です。
例えば、「土地代よりも取り壊し費用の方が高くなってしまう、古い建物が存在する物件」などです。このような物件は、購入者が負担するマイナス部分が明らかに大き過ぎ、誰も購入しないため、査定価格としてはゼロ円ということになります。
しかし、一般住宅では査定価格がゼロ円になるような現象は滅多にありません。売れない家は、そもそも査定価格が適正ではなく、売れる価格になっていないことが多いのです。
1-2. 【売れない原因2】不動産会社の熱意が低い
不動産会社の熱意が低いケースがあります。このパターンは本来売れる物件でも存在し、「不動産会社選びを失敗したので不動産会社を切り替えたい」という悩みは常に後を絶ちません。
不動産会社の中には、昔ながらの手法で売却をしており、時代の変化に対応しきれていない会社もあります。今はインターネット広告を駆使するのが当たり前ですが、熱意の低い会社は広告対応も不十分なケースがあります。
購入希望者に家を見つけてもらうには、しっかりと広告を作り込む必要があります。そのため、昨今の不動産会社の多くはインターネット広告に非常に力を注いでいます。しかし中には、古い時代の感覚や手法のままの不動産会社もあり、このような「時代の変化に対応する熱意が低い不動産会社」に依頼してしまうと、家の売却がうまくいかないケースが多くあります。
また、地方の物件では、仲介手数料が安いことで不動産会社の中で優先度が低くなっている可能性もあります。これは、仲介手数料のルールを考えるとわかります。 仲介手数料は、報酬上限額が以下のように定められています。
取引額 | 仲介手数料(別途消費税) |
---|---|
200万円以下 | 取引額の5% |
200万円超から400万円以下 | 取引額の4%+2万円 |
400万円超 | 取引額の3%+6万円 |
不動産会社にとって、高い物件も安い物件も手間は同じです。しかし、仲介手数料は物件価格に一定料率を乗じて求められる仕組みになっているため、安い物件の仲介をすると不動産会社は儲からない仕組みになっています。このため、地方の安い物件の売却案件に積極的になってくれない不動産会社がいることは考えられます。
なお、上記上限ルールとは別に、400万円以下の物件の取引では不動産会社が仲介手数料に現地調査費等の費用相当額を加え、最大18万円まで受領することが可能です。これは2018年1月1日以降からできた比較的新しい制度です。「物件価格が安いと不動産会社のモチベーションが下がる」という問題を受けて、是正された制度です。
現在は400万円以下の物件でも不動産会社が18万円は受け取れる仕組みになっているため、物件価格が安いことによる問題は、徐々に解消の方向に向かっています。
1-3. 【売れない原因3】物件自体に原因がある
物件自体に売れない原因があるケースです。価格の問題とは別に、そもそも売却しにくいという物件は存在します。例えば、事故物件や市街化調整区域内にある物件などです。
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- 事故物件
- 過去に自殺現場となった物件や、殺人事件、火災、忌まわしい事件・事故等があり、心理的な面において住み心地の良さを欠く物件です。大々的に報道された事件のあった物件となると、本当に買い手がつかなくなります。数年間売れずに残ってしまう物件もあり、もはや価格の問題ではなくなってしまいます。
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- 市街化調整区域内にある物件
- 市街化調整区域とは「市街化を抑制する」区域であり、建物を建てるために許可が必要なエリアです。
市街化調整区域内の物件では、首都圏においても土地と建物の合計額で100万円~200万円台のような物件もあります。再建築ができないような物件だと、ほとんど価値がないため、なかなか売れません。
本来、物件自体に問題があれば、それは価格に反映されるべきです。物件の問題があったとしても、問題を適正に反映した価格であれば売却でき、適正に反映されていない価格なら売れません。つまり、「物件自体の問題と価格の問題は基本的に同じ」ということになります。
とはいえ、実際には、価格を相当に安くしてもなかなか売却できない物件は存在します。そのような物件は、粘り強く売り続けていくことが現実的な対応となります。
1-4. 【売れない原因4】立地条件が悪い
家は、立地条件が悪いと売れません。基本的に、購入希望者は生活しやすい場所を優先して家を探します。そのため、立地条件が悪い家は当然不利になります。
例えば、「最寄り駅や学校から遠く、通勤・通学が難しい」「スーパーやコンビニが近くになく、買い物しづらい」「周辺環境がうるさくて落ち着けない」などの悪条件があると、購入希望者は敬遠してしまうのです。
とはいえ、自分で立地条件を改善することは不可能です。そのため、立地条件が悪い家を売却する際は、不動産会社と粘り強く交渉していくことが重要です。

家には、売りにくくなる築年数のラインが2つ存在します。「耐震基準」と、「住宅ローン控除の適用要件」です。
- ・耐震基準
- 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認申請を通した建物は旧耐震基準、昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認申請を通した建物は新耐震基準の建物と呼ばれます。
- 旧耐震基準の建物は、阪神淡路大震災で倒壊してしまった建物が多く、それ以降、悪いイメージが定着しています。耐震基準は購入者にも認知度が高く、旧耐震基準の建物となると、途端に売れにくくなってしまいます。耐震基準を満たすための工事がされているかどうかも売れ行きを左右する場合があります。
- ・住宅ローン控除の適用要件
- 中古住宅では、住宅ローン控除を受けられる物件の要件として、「木造などの非耐火建築物は築20年以内、鉄筋コンクリート造などの耐火建築物は築25年以内」という要件があります。
- つまり築20年超の木造の戸建て、築25年超の鉄筋コンクリート造のマンションは、そのまま売ると購入者は住宅ローン控除を利用することができません。住宅ローン控除が利用できないと、やはり売れにくくなります。
このように、家には売りやすくなるボーダーラインとして「耐震基準」と「住宅ローン控除」の2つがあり、そのラインを越えてしまっている物件は、適切な対処をする必要があります。
2. 売れる物件にする対処法(1):内覧希望者が少ない/来ない場合

物件を売るためには、ケースによって、対処方法が変わります。
- 内覧が少ない、または内覧に来てもらえない
- 内覧はあるが、成約に至らない
ここでは、「内覧が少ない、または来てもらえない場合の対処方法」を5つ解説します。
2-1.物件広告を見直してみる
内覧数が少ない場合、広告が機能していない可能性があります。そのため、不動産ポータルサイトの物件広告を見直してみる必要があります。
物件が売れないという方の中には、自分の物件を広告でチェックしたことのない方も多くいらっしゃいます。まずは買主の気持ちになって、一度、ご自身の物件のインターネット広告を眺めてみることから始めてください。
物件写真は非常に重要です。もし広告に掲載されている写真の枚数が少なければ、写真を増やす改善は必ず行いましょう。また、ご自分の物件と似たような条件の、他物件の広告も見ることも必要です。競合と比べて、自分の物件の魅力が伝わる写真や紹介になっているかどうかを、買主の立場になって眺めてみてください。
なお、広告は、広告が上手い不動産会社に変えないと良くなりません。広告が上手い不動産会社は、インターネット広告を熱心に研究しており、日々進化し続けています。「広告が良いな」と思える不動産会社があったら、後で不動産会社を選び直す際の参考になりますので、何社かチェックしておきましょう。
2-2.付随サービスが良い不動産会社の「専任媒介契約」で売ってみる
ここ1~2年、不動産会社の間では仲介サービスの差別化が進んでいます。その中の流れとして、専任媒介契約で依頼することで、「ハウスクリーニングを無料で行う」「設備の修繕や保証を無料で行う」など、無料で良い内容の付随サービスを行ってくれる不動産会社が増えています。
媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。媒介契約には、「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類があります。
専属専任媒介契約 | 他の不動産会社に重ねて依頼ができない。自己発見取引も不可。 |
---|---|
専任媒介契約 | 他の不動産会社に重ねて依頼ができない。自己発見取引は可能。 |
一般媒介契約 | 他の不動産会社に重ねて依頼できる。自己発見取引も可能。 |
*自己発見取引:自分で買主を見つけてくること
「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を選択すると、1社にしか売却を依頼することができません。しかし、最近では1社専属となる代わりに、無料の付随サービスを付けてくれる会社がいくつも登場しています。無料の付随サービスには様々なものがありますが、例えば以下のような物件を売りやすくする価値のあるサービスが提供されています。
- ハウスクリーニング(3-2.「ハウスクリーニングを実施する」で解説)
- ホームステージング(モデルルームのように家を演出すること)
- 荷物一時預かり(3-1.「荷物を一時的に別の場所に預ける」で解説)
- 設備補修保証(3-3.「 設備の補修や交換を行う」で解説))
- 内装修繕
- インスペクション(2-4.「インスペクションを実施する」で解説)
- 瑕疵担保保険の付保(2-5.「瑕疵担保保険を付保する」で解説)
自分の物件に必要だと思われるサービスがあれば、それを無料で提供している不動産会社を選び直すのも対策の一つです。無料の付随サービスには、各社様々なものが提供されていますので、不動産会社選びの参考にしてみるのも良いでしょう。
なお、今依頼している不動産会社が専属専任媒介や専任媒介である場合、原則として契約期間中は、不動産会社を途中で切り替えることはできません。売主側の一方的な都合で解除しようとすると、不動産会社から「専任媒介契約の履行のために要した費用」が違約金として請求されるのが原則です。
「専任媒介契約の履行のために要した費用」とは、具体的には以下のような費用です。
- 現地調査費用:交通費、写真代
- 権利関係調査費用:交通費、謄本代
- 販売活動費用:新聞・雑誌の広告費、通信費、現地案内交通費
- 契約交渉費用:交通費
専属専任媒介契約や専任媒介契約は、契約期間の上限が3ヶ月です。そのため一般的には契約期間が3ヶ月となっていることがほとんどです。契約は自動更新されませんので、依頼先を変更したい場合は契約期間が終了するのを待ってから、新たな不動産会社に売却を依頼するようにしてください。
なお、媒介契約については以下の記事で詳しく説明しています。
2-3.一般媒介契約で売ってみる
前述の対策とは真逆ですが、一般媒介契約で複数の不動産会社に依頼して売ってみるというのも効果的な対策です。
一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる契約方法です。家が売れない人は、不動産会社選びに失敗している可能性があります。再度、不動産会社を1社だけに絞って選んでしまうのは、不安な方も多いのではないでしょうか。
そのような方には、不動産会社を1社に絞らず、複数の不動産会社に一般媒介で依頼することをおすすめします。
複数の不動産会社に依頼すれば、各社がインターネット広告を実施します。広告が増えますので、買主の目に留まる確率も必然的に上がります。中には広告が上手い会社もありますので、その会社に広告を依頼すれば、物件の魅力も伝わりやすくなるでしょう。
依頼する不動産会社の数を増やすことは、単純ですが効果的です。専任媒介から一般媒介への切り替えは、昔からあるオーソドックスな対策なので、試してみるのも良いでしょう。
2-4.インスペクションを実施する
売れない物件を売る方法として、インスペクションの実施があります。インスペクションとは、建物状況調査のことです。
インスペクションでは主に柱や基礎、壁、屋根などの構造耐力上主要な部分や、外壁や開口部などの雨水の浸入を防止する部分について、専門家による目視や計測等の調査が行われます。
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会では、2017年3月に「土地・住宅に関する消費者アンケート調査」を公表しています。アンケートでは、インスペクションの利用効果についても調査が行われています。インスペクションを実施すると、「自宅の売却が希望価格で売れた」「買手が早く見つかり売却がスムーズにできた」という効果があるのが分かります。売れない物件を少しでも売れるようにするには、かなり現実的な対処法といえるでしょう。

インスペクションの費用は5~6万円が相場です。期間は、インスペクター(検査する人)の手配に約1週間、検査は3時間程度、報告書作成に1週間程度の時間を要します。
インスペクションは、中古住宅に対する買主の不安を解消する一定の効果があります。売れない家は、ぜひ積極的に検討してみましょう。
2-5.瑕疵担保保険を付保する
インスペクションよりさらに踏み込んだ対策として、瑕疵(かし)担保保険を付保するという対処法があります。
瑕疵とは、雨漏り等の通常有すべき品質を欠くことをいいます。瑕疵担保保険とは、売却後、物件に不具合が発見された場合、その補修費用の一部を保険料によってカバーすることができる保険です。瑕疵担保保険を付保すると、築20年超の木造戸建てや、築25年超のマンションでも、購入者が住宅ローン控除を利用できるようになります。
住宅を売りにくくする理由の一つに住宅ローン控除の適用要件がありますが、瑕疵担保保険を付保することで、その障害を打破することができます。また、瑕疵担保保険が付保された住宅は、買主が負担する登録免許税の軽減も受けられるようになります。
瑕疵担保保険は、買主に対して保証書付きで売却できるようなものですが、さらに住宅ローン控除や登録免許税の軽減といった経済的メリットまで加えることができます。物件に目に見える価値を加えることができるため、売却のしやすさはインスペクションよりも上回ります。
なお、瑕疵担保保険を付保するには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 新耐震基準に適合した建物であること
- インスペクション(建物状況調査)に合格していること
昭和56年(1981年)6月1日以降に建築された建物は、既に新耐震基準を満たしています。そのため、1981年6月1日以降に新築されたもので、非耐火建築物なら築20年超、耐火建築物なら築25年超の建物は、インスペクションに合格するだけで瑕疵担保保険を付保することができます。
瑕疵担保保険の保険料は、「保証期間1年、保証金額500万円」のタイプで、一般的に4~6万円です。インスペクション費用とあわせると、10万円前後となります。
瑕疵担保保険の付保による対処法は、是非ともおすすめしたい堅実な対策です。現状、瑕疵担保保険まで付保して売却している物件は多くはありません。十分な付加価値を付けることができますので、瑕疵担保保険を検討してみましょう。
3. 売れる物件にする対処法(2):内覧者が来ても成約につながらない場合

ここでは、「内覧者が来ているのに、成約につながらないケース」について、6つの対策方法を紹介します。
このケースは集客には成功していますが、「内覧してみたら、希望とは違いがあった」などギャップが生じている可能性があります。なるべく広くきれいに見せる工夫が効果的です。
3-1.荷物を一時的に別の場所に預ける
内覧で家を綺麗に見せるためには、荷物を一時的に別の場所に預けるという対策も効果的です。
内覧とは、購入希望者に家の中を見せる行為です。内覧で家が汚いと印象が悪くなるため、なかなか売れないということも生じます。そのため、住みながら家を売る場合は、売主自身による積極的な内覧対応が必要となります。
家が汚く見える原因の一つに、モノが溢れかえっていることが考えられます。極端な例を言うと、床をピカピカに磨いていたとしても、ゴミ屋敷のようにゴミが溢れかえっていれば、汚く見えてしまいます。
家への印象を上げるためには、家の中のモノを減らすことが効果的です。本来は、不要なものは捨ててしまうのが良いですが、捨てる時間がなければ、一時的に別の場所に預けてしまう方法もあります。モノの量を減らして、家を広くきれいに見せる努力をしましょう。
3-2.ハウスクリーニングを実施する
もう一つ、内覧で家への印象を悪くする要因として、キッチンやバス、トイレなどの水回りが汚いという点があげられます。
水回りにカビや汚れ、ニオイがこびりついていると、建物の古さが目立ちます。そこで、水回りだけでもプロのハウスクリーニングを利用して、綺麗にするという対処法も必要となってきます。
ハウスクリーニングは既に実施している人も多いかもしれませんが、もし未実施である場合には、水回りだけでも実施するとよいでしょう。
3-3.設備の補修や交換を行う
設備の補修や交換を行うことも、売却に向けて有効な対処法です。
中古住宅で、買主が不安に思う部分は「設備の不具合」です。設備については、売主が契約不適合責任を負わないことを条件に売ることが多いため、設備の不具合が多い住宅は買主からすると買いにくくなります。契約不適合責任とは、売却後に瑕疵が発見された場合、売主が損害賠償や契約解除を負う責任です。
そこで、設備の不具合部分だけでも補修や交換を行っておくと、買主の心配がなくなります。売主が設備の契約不適合責任を全て免責しても、買主としては抵抗がなくなるため、買いやすくなるのです。
設備の不具合が原因で、今までの購入希望者の反応が悪かった場合には、設備だけでも補修や交換を行っておきましょう。
3-4.水回りのリフォームを行う
売却が非常に難しい案件では、水回りのリフォームが効果的な対策となります。
基本的に売却では、リフォームは不要です。リフォームしてもリフォーム費用が回収しきれないからです。しかし、例えば旧耐震の戸建てで駅から徒歩10分以上離れた条件の悪い売買事例を見てみると、水回りのリフォームを行っている物件はきちんと売却できている事例が多々あります。
首都圏でも、郊外の物件となると、旧耐震で駅から徒歩10分超のような物件は、総額で1,000万円を切るような物件も増えてきます。そのような相場の中で、1,000万円を超す値段で売却できている物件は、水回りをリフォームしている物件が多いのです。
水回りのリフォームとは、具体的にはキッチンやバス、洗面所の交換です。中でもバスの丸ごと交換は、150万円くらいかかりますので、水回りを全て交換しようとすると、200万円程度かかります。
一方で、旧耐震基準の建物なのに売却できている物件を見ると、耐震改修リフォームをして売却されている事例は多くはありません。
耐震改修リフォームとは、旧耐震の建物を新耐震と同等の耐震性を持つ建物に変える工事です。耐震改修も150万円程度かかりますが、同じコストをかけるなら、耐震改修リフォームより水回りリフォームの方が訴求力は高いことがわかります。
また、フルリフォームを行っている物件もほとんどありません。フルリフォームまではする必要はなく、売却するためであれば、水回りリフォームだけで十分に売却できるといえます。
このようにリフォームは、行うならば「水回りだけ」が費用対効果は高いです。ある程度まとまった金額を投じることになりますが、売却につなげるために、資金に余裕があれば水回りだけはリフォームした方が良いでしょう。
3-5.臭いに気をつける
家の中の臭いにも注意する必要があります。たとえ家の中をキレイにしていたとしても、臭いがあれば内覧者の印象は悪くなってしまいます。
家の中で臭いが発生するのは「汗が床に染みついて体臭がする」「高温多湿でカビが繁殖してイヤな臭いがする」などの原因が考えられます。
住み慣れた家の場合、臭いがしても自分では気付きにくいので、内覧では意外な盲点となるのです。そこで内覧者が来る前に、部屋全体に消臭スプレーを吹きかけたり、汚れがひどく、臭いが気になる箇所はクリーニング専門会社へ清掃をお願いしたりするとよいでしょう。
3-6. 売出価格を下げる
売出価格が明らかに高過ぎれば、真っ先に価格を下げるべきですが、適正価格で売りに出していたのに売れない場合は、まずは前節までの対処法を試すべきです。それでも効果が上がらない場合は、そこではじめて価格を下げることを検討します。
ただし、売れない原因が、価格にあるのか、不動産会社に問題があるか分からないため、価格を見直すタイミングで、一緒に不動産会社も切り替えてしまう方が売れる確率が上がります。
今の不動産会社を専属専任媒介や専任媒介で契約している場合には、媒介契約が切れるタイミングで他の不動産会社に査定を依頼して、価格と不動産会社を同時に見直すのが良いでしょう。
不動産会社の見直しなら、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」の一括査定サービスを使って再査定することから始めることをおすすめします。
家が長期間売れず、不動産会社の見直しを検討するなら、HOME4Uの一括査定サービスの利用をオススメします。HOME4Uを使うと、以下のようなメリットがあります。
- 熱意の低い不動産会社の問題を解消できる
- 再査定によって価格の問題を解消できる
- 物件に応じた適切な売り方のアドバイスを受けられる
一括査定サービスを使うことで、熱意の低い不動産会社の問題を解消することができます。また再査定を行うと、売れなかった原因はどこにあったのかが見えてきます。家が売れない状況が続いている方は、必ず再査定を行うようにしてください。
4.家が売れないときにやってはいけない!3つのNG行動
家が売れないとき、たとえ焦っていたとしてもやってはいけない行動があります。ここでは家が売れないときに避けたい行動について、理由とともに説明します。
4-1.【NG行動1】空き家のまま放置する
家が売れないからといって空き家にしてしまうと、家が傷み、余計にメンテナンスが必要になります。最悪の場合は倒壊して近隣に被害を出す恐れもあります。
空き家にして放置すると、シロアリが繁殖して畳が劣化したり、床下が腐食して床が抜けてしまったりすることがあります。また、メンテナンスせずに放置しておくと住宅の耐震性などが低下します。台風などの災害が起こると家が倒壊する可能性も捨てきれません。家が倒壊して近隣に被害が出ると、損害賠償請求される恐れもあります。
このように、家が売れないからといって空き家のまま放置すると、余計に資産価値が落ちてしまいます。家を売れるように工夫することが先決です。
4-2.【NG行動2】一戸建ての取り壊し
家が売れないからといって、一戸建てを取り壊して更地にするのはおすすめしません。なぜなら、更地にしてしまうと固定資産税の特例措置を受けられないからです。
家屋のある土地には、固定資産税の特例措置が設けられています。東京の場合、200平米までの住宅用地は、固定資産税が年間で1/6も減税されます。例えば、評価額2,000万円の家を更地にした場合、固定資産税が年間で約23万円も増えることになるのです。
- 住宅用地の固定資産税
2,000万円×1.4%×1/6=46,666円(年間) - 更地(土地)の固定資産税
2,000万円×1.4%=280,000円(年間)
また、更地にするにも当然工事費用が掛かります。そのため、家が売れないからといって更地にするのはおすすめしません。
4-3.【NG行動3】一戸建てをフルリフォームする
家を売るためにフルリフォームする方法もありますが、多額の費用が掛かるのでおすすめしません。また、フルリフォームで資産価値を上げたとしても、リフォーム費用が売却価格にすべて反映されるとは限らないため、リスクが大きいといえます。
家の購入希望者によっては、好きな場所を自分でリフォームすることもあるので、最初からフルリフォームすることはやめておきましょう。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、売れない家を売るための4つの原因、売れる家にするための11の対処方法と、売れないからと焦ってやってはいけない3つの行動について解説しました。
- 物件広告を見直してみる
- 付随サービスが良い不動産会社の専任媒介で売ってみる
- 一般媒介で売ってみる
- インスペクションを実施する
- 瑕疵担保保険を付保する
- 荷物を一時的に別の場所に預ける
- ハウスクリーニングを実施する
- 設備の補修や交換を行う
- 水回りフォームを行う
- 臭いに気をつける
- 売出価格を下げる
家は複合的な要因が重なって売れなくなっています。1つだけの対処法を行うのではなく、複数の対策を併用することで効果が上がります。この記事で紹介した対処法を実践して、家の売却を成功させてくださいね。