基礎断熱と床断熱の違いは?特徴やメリット・デメリット、費用相場を解説

基礎断熱 メリット・デメリット

この記事では後悔のない「基礎断熱の施工」を判断できるように、基礎的な知識に加え、「床断熱との比較」や「床断熱と基礎断熱を選んでいる人の特徴」、加えて「後悔しないための対策方法」も解説しています。

この記事でわかること
  • 床断熱と基礎断熱の違い
  • 床断熱と基礎断熱を選んでいる人の特徴
  • 基礎断熱のメリット・デメリット&後悔しないための対策
  • 基礎断熱の費用相場と施工費用のシミュレーション
  • 基礎断熱を設置して後悔しそうな事とその対策

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1. 床断熱と基礎断熱の違いと選び方

今まで家を建てるなら床断熱で施工する選択肢しかありませんでしたが、近年「基礎断熱」が注目されており、気になっている方も多いと思います。

床断熱と基礎断熱では、基礎断熱の方が家が暖かくなると言われていますが、その一方でデメリットもあります。
この章では、床断熱と基礎断熱の違いやそれぞれの特徴、どんな人が基礎断熱を選んでいるのかを解説しますので、床断熱にするか基礎断熱にするかの参考にしてください。

1-1.床断熱・基礎断熱とは何か

床断熱とは

20~30年前に建てられた家は、ほとんど床断熱で建てられています。
床断熱というのは字の通りですが、1階の床の下面に断熱材を張る工法のことを言います。

基礎断熱とは

寒冷地の汎用技術として確立した技術で、比較的新しい施工法と言われています。
建物の基礎のコンクリートにも断熱材を設置する施工法をいいます。

<図:床断熱と基礎断熱の断熱層の違い>
図:床断熱と基礎断熱の断熱層の違

1-2.床断熱と基礎断熱の特徴を比較

ここでは、床断熱と基礎断熱の特徴を一覧で比較します。

<表 床断熱と基礎断熱の特徴 一覧>
床断熱 基礎断熱
断熱材の場所 1階の床下面に断熱材を敷く 基礎コンクリートの内側に断熱材を敷く
暖かさ 床下に換気口を設けるため、冬は冷気が床下に流れ込み足元が冷える原因になる 外気が入ってこないつくりなので、床下は室内と同じ温度になり、年間通じて温度が安定する
特徴
  • 床下の換気がよく、カビやシロアリに強い
  • 昔からある技術であるため、品質が安定
  • 床下のカビやシロアリ対策が必要
  • 床下浸水時に復旧作業が手間
  • 結露を防ぐ

床断熱と基礎断熱のどちらが良いということはありませんし、お家を建てる気候や立地によって良し悪しがあります。
この後の章「基礎断熱のメリット・デメリット&後悔しないための対策」で詳しく解説しますので、基礎断熱を選んで後悔しないよう参考にしてください。

1-3.床断熱・基礎断熱を選んでいる人の特徴

ここでは、床断熱・基礎断熱を選んでいる人の特徴それぞれを一覧で比較します。

<表 床断熱と基礎断熱を選んでいる人の特徴 一覧>
選んでいる人の特徴
床断熱
  • シロアリ被害を抑えたい方
  • 暖かい地域にお住まいの方
  • 床暖房を入れる予定のある方
  • 水害が多い地域の方
基礎断熱
  • 全館空調を導入する方
  • 空調コストを重視している方
  • 寒い地域にお住まいの方
  • 熱い地域にお住まいの方
  • 水害被害が少ない地域の方

※全館空調とは、床下を含めた家の中の空気を循環させて、家全体を温めたり冷やしたりする冷暖房システムです。

2. 基礎断熱のメリット・デメリット解説&後悔しないための対策

基礎断熱の最大のメリットは「安定性」と「気密性」が優れている点で、一方のデメリットは「カビやシロアリのリスク」です。
ここでは基礎断熱のメリット・デメリットについて詳しく解説し、さらに後悔しないための対策を紹介します。

<表 基礎断熱のメリット・デメリット一覧>
メリット デメリット
  • 年間を通じて室温が安定する
  • 外気に影響されづらいので光熱費が抑えられる
  • 配管が凍結しづらい
  • シロアリ被害の可能性がある
  • 新築から1〜2年はカビが発生し易い
  • 基礎部分の劣化や破損に気づきづらい

2-1.基礎断熱のメリット

基礎断熱のメリットは、主に以下の通りです。

  • 年間を通じて室温が安定する
  • 外気に影響され辛いので光熱費が抑えられる
  • 配管が凍結しづらい

以下で一つずつ詳しく解説します。

2-1-1. メリット1 年間を通じて室温が安定する

メリット1 年間を通じて室温が安定する

基礎断熱は床下まで断熱材で覆うため、室内温度が地中温度に近くなります。
断熱材に覆われた地面の温度は年間を通して15度前後であり、冬は温かく、夏は涼しくなります。

2-1-2. メリット2 外気に影響されづらいので光熱費が抑えられる

メリット2 外気に影響されづらいので光熱費が抑えられる

断熱材で囲われた地中の温度は年間を通じて安定していて、冬でも床が冷たくならず、快適に過ごせます。

結果、光熱費を削減することができ、年間で約30%安くなることもあります。

2-1-3. メリット3配管が凍結しづらい

メリット3配管が凍結しづらい

床下を通る配管も外気にさらされないので、凍結しづらくなります。
冬に配管が凍結する地域では重要なポイントです。

2-2.基礎断熱のデメリットと後悔しないための対策

基礎断熱のデメリットは、主に以下の通りです。

  • シロアリ被害の可能性がある
  • 新築から1~2年はカビが発生し易い
  • 基礎部分の劣化や破損に気づきづらい

以下で一つずつ、詳しく解説します。

2-2-1. デメリット1 シロアリ被害の可能性がある

デメリット1 シロアリ被害の可能性がある

基礎断熱のデメリットとして、まず挙げられるのはシロアリ被害のリスクです。

シロアリ被害のリスクを高める原因は、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 断熱材により侵入経路が増える
  • 断熱材が基礎にあり、発見が難しい

基礎断熱は基礎に断熱材を施工するため、断熱材の作る隙間にシロアリ被害がでやすくなります。

また、基礎断熱は床下も室内として断熱材で覆うため、目視が難しく、シロアリの発見が難しくなります。

後悔しないための対策1:基礎内断熱を採用する
シロアリの侵入経路を減らすため、基礎内断熱を採用しましょう。基礎内断熱とは、基礎の内側に断熱材を施工するものです。
基礎の外側に断熱材を施工する基礎外断熱は、気密性は高いものの、シロアリの侵入経路を増やします。

後悔しないための対策2:断熱材表面を露出させて定期的に目視確認する
シロアリは早期発見が重要です。断熱材が目視で確認できるよう、表面を露出させて施工してもらい、定期的に目視確認をしましょう。
断熱材は防蟻加工されたものを採用します。
侵入を防止する薬もありますが数年で効果が切れるので、使う場合は注意しましょう。

2-2-2. デメリット2 新築から1~2年はカビが発生し易い

デメリット2 新築から1〜2年はカビが発生し易い

基礎断熱は床下の気密性が高く、換気が難しいため、カビが発生し易くなります。
特に新築から1〜2年はコンクリートから出る水蒸気の影響で、カビが発生し易くなります。

後悔しないための対策:床下エアコンを採用する
床下にエアコンを設置することで、床下を乾燥した状態に保つことができます。
特別な施工は必要なく、床下に普通のエアコンを設置するだけですので、設置コストもランニングコストも安くすみます。

普通のエアコンなので、普通の電気屋さんで修理・メンテナンスも可能です。

2-2-3. デメリット3 基礎部分の劣化や破損に気づきづらい

デメリット3 基礎部分の劣化や破損に気づきづらい

基礎断熱は基礎が断熱材で隠れていて、日常的に基礎部分が確認できません。つまり異変に気付きづらくなります。

基礎はおうちの寿命を決める重要な要素なので、異変はすぐ察知し、補修したい箇所です。
発見が早ければ被害も費用も少なく済みますが、遅れると大きな修繕工事が必要になる事もしばしばです。

後悔しないための対策:定期的に施工業者さんに点検をしてもらう
素人では点検も難しいので、施工業者さんに頼むのが得策です。

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3.基礎断熱の費用相場&設置費用シミュレーション

ここでは、基礎断熱の費用相場と、基礎断熱を設置した場合の費用シミュレーションを掲載しています。

3-1.床下断熱と基礎断熱の費用相場概要

床下断熱と基礎断熱の費用に関しては、大きく変わりません。

床下断熱と基礎断熱の費用は断熱材の種類やグレードによって異なりますが、一棟あたり40坪(約132㎡)の家を施工した場合の断熱材の費用相場はおおむね以下の通りです。

<表 一棟あたり40坪(約132㎡)の断熱材ごとの費用相場一覧>
鉱物系(グラスウール、ロックウール) 約25万〜約30万円
リサイクル系(羊毛断熱材、ポリエステル断熱材) 約50万〜約60万円

鉱物系は安価で断熱性が高めですが、環境への負荷があり、リサイクル系は環境への負荷が低い代わりに、高価で断熱性が低めです。

3-2.基礎断熱の費用シミュミレーション

鉱物系の断熱材を用いて基礎断熱を行った場合のシミュレーションです。

鉱物系の断熱材を用いて一棟あたり40坪(約132㎡)の基礎断熱の施工した場合のシミュレーション
設置費用の合計:約65万円
<内訳>

断熱材本体価格:約25万円
施工費用:約40万円
合計:約65万円

※あくまでも編集部で試算したシミュレーションです。お住まいの地域によって変動するのでハウスメーカー・工務店に確認しましょう。

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4. 基礎断熱を設置して後悔しないための対策3選

ここでは、基礎断熱を設置した際によくありそうな「後悔しそうな事」を想定し、その「対策」を3つご紹介します。

4-1.【事例】30坪台の家に基礎外断熱と吹き抜けを設置したら…

ここででは、害虫被害への「対策」をご紹介します。

想定できる「後悔しそうな事」 想定できる「対策」
  • シロアリ被害にあうかもしれない
  • 害虫駆除の費用や修繕費がかかる
  • 基礎内断熱や床下エアコンを導入する
  • 断熱材は表面を露出した状態で施工する

対策:基礎内断熱や床下エアコンを導入する

対策:基礎内断熱や床下エアコンを導入する イメージ

気密性を重視して基礎外断熱を選択して想定できるのはシロアリ被害。
対策として基礎内断熱や床下エアコンを導入するといったことが考えられるでしょう。

対策:断熱材は表面を露出した状態で施工する

対策:基礎内断熱や床下エアコンを導入する イメージ

シロアリ侵入のリスクを下げるためのポイントとして、断熱材は表面を露出した状態で施工するといった工夫を行うことも考えられます。

まとめ:基礎内断熱を採用し、シロアリの点検を定期的に行うべき

基礎外断熱は気密性については優れているものの、シロアリ侵入のリスクが高いです。

シロアリ侵入のリスクを下げるためのポイントは、下記3点です。

  • 基礎内断熱を採用する
  • 断熱材は表面を露出した状態で施工する
  • 床下エアコンを導入する

また、シロアリ対策は早期発見が重要です。対策をしていても、定期的に点検するようにしましょう。

4-2.【事例】雪国で35坪台の家に基礎断熱を設置したものの…

ここででは、カビへの「対策」をご紹介します。

想定できる「後悔しそうな事」 想定できる「対策」
  • 夏場になるとカビの臭いがする
  • 床下のクリーニング代が毎年かかる
  • 床下エアコンを設置する

対策:床下エアコンを設置する

対策:床下エアコンを設置する イメージ

雪国に住んでいるため、毎年の冬は厳しく、家では暖かい部屋で家族と過ごしたいと思い基礎断熱を選択したケースを想定。

冬場だけでなく夏場も快適に過ごせるものの、入居して数年経つと、夏場はどこからかカビの臭いがするように。
基礎断熱は、床下に湿気が溜まりやすく、特に新築の場合、1〜2年の間はカビが発生するリスクが高いため、カビ対策に効果的な床下エアコンを設置することをお勧めします。

まとめ:床下エアコンを設置するべき

基礎断熱は床下に湿気が溜まりやすく、特に新築の場合、1〜2年の間はカビが発生するリスクが高いです。

カビのリスクを下げるためのポイントは、

  • 床下エアコンを設置する

床下エアコンはカビ対策に効果的で、設置コストもランニングコストも低いため、基礎断熱を採用される際は導入をおすすめします。

ここまで様々な観点から考えうる事例をご紹介しましたが、予算を考慮しながら基礎断熱の仕様を考えるのは大変です。
理想のマイホームを建てるうえで後悔しないためにも、家づくりのとびらで複数社のプランを比較しながら検討を進めるとよいでしょう。

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まとめ

基礎断熱の基礎知識やメリット・デメリット、費用相場、対策などをお伝えしました。
基礎断熱で後悔しないためには、これらをしっかり理解しておくことが大事です。
それではおさらいです。

この記事のポイント

基礎断熱で後悔しないためには?
  • 基礎内断熱や床下エアコンを導入する
  • 断熱材は表面を露出した状態で施工する
  • 床下エアコンを設置する

4.基礎断熱を設置して後悔しないための対策3選」では、事例ごとに対策を紹介しています。

基礎断熱のデメリットは?
  • シロアリ被害の可能性がある
  • 新築から1〜2年はカビが発生し易い
  • 基礎部分の劣化や破損に気づきづらい

2-2.基礎断熱のデメリットと後悔しないための対策」で詳細と対策を確認しておきましょう。

基礎断熱のシロアリ対策は?

基礎内断熱を採用する
断熱材表面を露出させて定期的に目視確認する

詳細は「2-2-1.デメリット1 シロアリ被害の可能性がある」をご覧ください。

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