初心者でもわかる!事業用物件のビル売却の流れ・方法と注意点

本記事では、ビルの売却に必要なノウハウや費用について解説します。

今、賃貸経営でビルをお持ちの方は、次のような状況であれば、ビルの売却を検討したほうがいいかもしれません。

  1. 空きテナントが増加して、家賃収入が減っている
  2. ローンを滞納し始めている
  3. 相続税対策を考えている

持ちビルの維持には管理費やメンテナンス費用など多額の費用がかかります。将来の収益が見込めない場合には早めに売却を検討した方がよいでしょう。

またビルを売却することは相続税対策にもつながります。ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみてください。

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マンションの売却を考えている方は『マンション売却で失敗・損しないための注意点』をご覧ください。

1. ビルを売却するときの流れ

ビルの売却は事前に相場を調べたり、依頼先を探したり、一連の流れに則って進められます。

そこで、ビル売却の流れとともに、持ちビルを確実に売却するためのノウハウを解説します。また、売却時のトラブルを避けるためのコツもご紹介しますね。

1-1. 持ちビルの相場を調べる=査定を依頼する

ビルを売却する際は、価格設定が肝です。高く売りたいからと、相場とかけ離れた高値を設定してしまうと、売れない可能性もあります。そこで、持ちビルが現在いくらくらいで売れるのか、相場を確認しておきましょう。

手軽に相場を調べるなら、不動産投資物件の情報サイトで近隣にある同規模のビルの売出価格を確認することをおすすめします。

たとえ酷似した物件がなかったとしても、近隣エリアでおおよそどれくらいの価格が設定されているのかはわかると思います。まず「適正価格」の範囲について、大体の目安をつけてください。

1-2. 最も重要!ビルを売却する際の不動産会社の選び方

一般の住宅と異なり、ビルは買い手の絶対数も少ないため、売却はビル売却に実績があり、信頼できる不動産会社に依頼することが大切です。

また、ビルの売却は取引額も大きくなるので、最初から一つの不動産会社に絞らず、複数の不動産会社を比較した上で選ぶ必要があります。

そこで、自分の物件に最適な不動産会社を選ぶためのツールとして便利なのが「一括査定サービス」です。

不動産売却HOME4U

不動産売却の一括査定サービスでは、物件の築年数や所在地などを一度入力するだけで、複数の不動産会社に同時に査定を依頼することが可能です。

不動産会社に一社ずつメールをしたり電話をかけたりする手間が省ける上、複数の会社に査定することができます。

「どの不動産会社が一番高く売ってくれそうか」という見当をつけたり、「その会社が見込み客を持っているかどうか」「類似するビルの売却実績が豊富かどうか」「どのような売却(宣伝)活動を行うのか」などをまとめて比較することができます。

あとから「あっちの会社の方がもっと高く、もっと早く売れたかも…」と後悔しないためにも、この機会に必ず比較してください。

そして、もし不安や心配事があれば、査定の時点で不動産会社に相談すると良いです。 ビルの売却方法として具体的な提案をしてくれたり、不安を解消する対策を考えてくれるかどうか、不動産会社の対応を見極めることができます。

1-3. 不動産会社選定後の流れ4ステップ

売却を依頼する不動産会社を選んだら、売却が完了するまでにやることは4つのステップがあります。

  1. 不動産会社と媒介契約を締結する
  2. 売出価格を決定し、売却物件の売却活動を行う
  3. 不動産売買契約を締結する
  4. 残金の決済・物件の引き渡し

具体的にどんなことに気を付ける必要があるのか、ステップごとに見ていきましょう。

1-3-1. 媒介契約を締結する

まず、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約は、次の3種類です。

  • 専任専属媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約

3種類の媒介契約はそれぞれ法律で定められており、特徴は以下の通りです。

  専任専属媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
他の不動産会社とも媒介契約できるか × ×
売主が自分で買主を探すことができる ×
売却活動の報告頻度 週1回以上 2週間に1回以上 定めなし
レインズへの登録義務 媒介契約から5日以内 媒介契約から7日以内 定めなし
契約期間 3ヶ月以内 3ヶ月以内 行政指導では3ヶ月以内
専任専属媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
他の不動産会社とも媒介契約できるか
× ×
売主が自分で買主を探すことができる
×
売却活動の報告頻度
週1回以上 2週間に1回以上 定めなし
レインズへの登録義務
媒介契約から5日以内 媒介契約から7日以内 定めなし
契約期間
3ヶ月以内 3ヶ月以内 行政指導では3ヶ月以内

一般的に「専属専任媒介」「専任媒介」は他社との競争がない分、力を入れて営業する傾向にあります。

一方、「一般媒介」は競争となる分、対応が後回しになる可能性があります。人気があるエリアで幅広くアピールしたい場合にはおすすめですが、そうではない場合は、買い手が見つからず、売却時期が遅れてしまう可能性があるため、注意が必要です。

おすすめは「専任媒介」です。契約できる不動産会社は一社に限られますが、その代わりに一般媒介のように「自分で買主を探してくる」ことも可能です。また、専属専任媒介からの売却活動の報告も受けることができます。

媒介契約の種類に関しては、「専任媒介契約が一般媒介よりもあなたに有利な3つの理由。」でもご紹介していますので、参考にしてください。

1-3-2 売出価格を決定し、売却物件の売却活動を行う

不不動産会社の担当者と相談して、売出価格を決定します。その後、不動産会社は以下のような売却活動を始めます。

  • レインズ(国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているデータベース)に登録する
  • インターネット広告を出す
  • 新聞等の紙媒体に広告を出す

先ほどの1-3-1でお伝えした通り、「専任媒介」あるいは「専属専任媒介」を選んでいれば、この活動の内容について定期的に報告を受けることができます。

売却(広告)活動は、ビルを高く早く売却するために重要な活動です。不動産会社になおざりにされないよう、きちんと目を光らせておきましょう。

1-3-3 不動産売買契約を締結する

ビルの買い手が見つかったら、売買契約を結びます。契約書の作成や必要な手続きは、基本的に不動産会社の方で進めてくれます。

不動産会社から事前に用意しておくべき書類等の指示があれば、期日までに準備してください。また、契約日には手付金が支払われます

1-3-4. 残金の決済・物件の引き渡し

引き渡し日に買い手から残金を受け取り、所有権の移転手続きの登記申請を行うことで、物件の引き渡し(売却)が完了します。

2. ビル売却時の注意点

ここからはビルを売却する際に気を付けるべき注意点を解説します。

2-1. テナントへの通知を行う

テナントビルの売買の場合、もともとテナントが入っているのであれば買い手もそれを踏まえて買う意思を示しているはずです。その場合、基本的に「オーナーチェンジ」という方法をとり、次のオーナーが従前の契約を引き継ぐ形となります。

基本的に、テナントは出ていく必要はなく、賃貸人の変更・家賃の振込先の変更など通知する「賃貸人変更通知書」を送付します。オーナーの変更について、すべてのテナントに許可をとる必要はありません。

通知のタイミングは、不動産登記の「所有権の移転手続き」が完了した後、つまり引き渡しが完了した後となります。

2-2. 立ち退きを要求する場合は立ち退き料に注意

以下のようなケースで、テナントに立ち退きを要求する場合、立ち退き料の発生に注意が必要です。

  • 売却前に老朽化したビルのリフォームや修繕を行いたい
  • テナントを空にして売却したい

不動産査定を受けたり、媒介契約を結んで行く中で、テナントの有無が売却活動に支障をきたす可能性がある場合には、不動産会社からもアドバイスが出されるはずです。

例えば、老朽化したビルで、リフォームや修繕を行ったほうが利益を見込める場合、テナントを空にすることで買い手をつきやすくさせたい場合は、テナントに立ち退きを求める必要があります。

家賃の滞納などテナント側に問題がない場合で、オーナー側から立ち退きを要求できるケースは以下の通りです。

  • ビルの老朽化土地の再開発で、大規模改修工事や建て替えが必要である
  • 貸主の経済的理由でどうしても物件を処分せざるを得ない など

正当な理由として十分に認められない場合、立ち退き料が必要となります。入居者がすぐに立ち退いてくれればそれに越したことはありませんが、なかなか立ち退いてくれず、訴訟に発展する可能性もあるため、慎重に行いましょう。

2-3. 管理会社への相談・報告

いずれにしても、ビルの売却は、ビルの管理会社とも連携することになります。不動産の一括査定を申し込んだ段階で、管理会社に「売却の予定がある」旨を伝えておきましょう。

管理会社があらかじめ心づもりができるように配慮し、協力が得られやすい体制づくりをしておくことが大切です。

2-4. 敷金の清算を行う

ビルのテナントから預かっている敷金は、売却時には新しいオーナーに引き継がれます

一般的に、新しいオーナーがビルの購入価格からテナント全ての敷金を差し引いて支払うことで相殺する方法を取ります。

テナント側にとっては敷金に関して減額が発生するわけではないため、新貸主に敷金も引き継がれていることを知らせておけば問題ありません。

また、ビルの管理会社が敷金を管理していて、売却のタイミングで管理会社の変更が生じる場合、手続きに時間がかかるケースがあります。スムーズな売却を行うために、事前に保管先を確認しておくことにしましょう。

3.事業用ビル売却で高く、早く売るコツとは

ビルの将来的な収益が見込めない、また金銭的な問題を抱えている場合には、早めに売却に向けて行動することが大切です。とはいえ、不動産はとても高額な取引です。どのように進めればよいか分からない方も多いでしょう。

持ちビルを少しでも高く、早く売るためには、売却価格の相場空きテナントの対処法について知り、必要書類税金などを事前に準備しておきましょう。ここでは売却の際におさえておくポイントを紹介します。

3-1. 売却するビルの査定額は慎重に見極める

査定額は慎重に見極める必要があります。提示されるのはあくまで査定額なので必ずしもその価格で売れるわけではありません

売り手の希望をくんで、少々高めの売出価格を設定することも可能ですが、査定額が相場からかけ離れていると、売れづらくなります。さらに、買い手との交渉により最終的に大幅に値引きすることになる場合もあります。

反対に、早く売りたいからと安易に低く設定すると、相場よりはるかに安い価格で売却され、損をしてしまうこともあります。

査定額はあくまで目安であり、実際の売却価格は上下することを理解しておきましょう。また、できるだけ高く、早く売るには持ちビルの周辺で売りに出されている他物件の相場をしっかり調査し、周辺相場に合わせた価格を設定することが大切です。

3-2. 売却予定ビルのテナントを増やして空きをなくす

ビルを高く売却するには、できるだけ空きテナントを減らしておくこと重要です。収益不動産の価値は、ビルの収益によって売却価格が変動します。

空きテナントが目立つと収益性が低いと評価され、見積もりの際に空室があるとその分の賃料を安く見積もられてしまう可能性もあります。ビルの収益があるほど売却価格も上がりやすいので、できるだけテナントを埋めておくようにしてください。

なかなかテナントが埋まらない場合の対処法として、「フリーレント」を使う方法もあります。フリーレントとは、入居から数カ月の賃料を無料にするサービスのことです。フリーレント期間中は受け取れる賃料は増えませんが、空きテナントがなくなることで売却価格アップにつながります。

3-3. 売却するビルの書類をまとめる

買い手が検討しやすいように、売却するビルの情報を事前に準備しておいた方がよいでしょう。必要な書類は「レントロール」と「過去の修繕履歴」の2種類です。

レントロールとは、テナント状況や賃貸収入をまとめた賃貸条件の一覧です。

  • このビルにはどのようなテナントが入っており、いくらで借りているのか
  • テナントの契約期間はどのくらいか

など、収益物件の売却には必ずといっていいほど求められる書類なので、準備しておきましょう。

過去の修繕履歴は、いつ、いくらかけて、どこを修繕したかがわかる資料です。定期的な修繕や、大規模修繕工事を行ったビルは、安心して購入できるビルだと買い手にアピールできます。こちらもできるだけ事前に準備しておいてください。

4. 覚えておきたい、ビルを売却するときにかかる税金・費用

ビルなど不動産を売却するときは、譲渡所得税などの税金がかかる場合があります。 また税金以外でも、仲介手数料などの諸費用がかかる点は覚えておきましょう。

その際、どんな費用が必要なのか、また、どれくらいの額がかかるのかを把握して、事前に準備しておくことをおすすめします。

ビル売却で事前に念頭に入れておくべき出費は、主に「譲渡所得税」「消費税」「経費」の3つです。それぞれ説明していきます。

4-1. ビル売却で譲渡所得税がかかる場合

不動産を売却して「買ったときの価格より高く売れたとき」、つまり売却で利益を得たときには、譲渡所得税がかかります。 ビルを購入したときの売買契約書で購入金額を確認してみてください。

買ったときよりも高く売れた場合は、確定申告をする必要があります。 (確定申告を行う期間は、翌年の2月16日から3月15日までの1カ月間です。)

その際、ビルを売ることで得た収入(譲渡所得)を計算する必要があります。譲渡所得にかかる税金の税率は、ビルの所有期間によって変わり、長期に所有して不動産の場合、税率が低くなります。

確定申告に必要な譲渡所得の計算方法や譲渡所得税の税率など、詳しくはお近くの税務署の窓口または国税庁のホームページの「譲渡所得の計算のしかた」で確認できます。

なお、買ったときよりも安い価格でしか売れなかった場合は、譲渡所得税はかかりませんのでご安心ください。

(参照・引用元:国税庁「土地や建物を売ったとき」)

不動産の売却時の税金については以下の関連記事をご参照ください。

不動産売却の税金はくらいかかる?計算方法と節税に役立つ11の対策

4-2. 事業用のビルを売却すると消費税がかかる

不動産を売却するとき、土地と、自宅の建物を個人間で売買する場合には消費税がかかりません。しかし、事業用として所有している建物には消費税がかかります

この事業用というのは、会社で所有している建物という意味ではありません。 個人が所有しているものであっても、不動産投資用として所有しているものや、テナントから家賃収入を得ている場合は、事業用とみなされ建物に消費税がかかります。

つまり、自宅でないビルを売る場合は建物に消費税がかかるため、買主から消費税をもらわなければなりません。

また、買主からもらう消費税は基本的に納税しますが、場合によっては納税が免除されることもあります

消費税の納税や免除のケースについて詳しくは、お近くの税務署の窓口または国税庁のホームページの「事業用建物等を譲渡した場合の消費税」で確認できます。

4-3. ビルを売却するときにかかる費用

ビルを売却する際は、譲渡所得税や消費税のほかに、次のような費用を準備しておく必要があります。

  • 売買契約書に貼付する印紙代
  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • 抵当権抹消費用(ローンが残っている場合)
  • 金融機関に支払う一括繰上げ返済手数料(ローンを完済する際に必要)

売契約書に貼付する印紙代

売却代金ごとにかかる印紙代の目安は、以下のとおりです。

売却代金 印紙税
1,000万円超~5,000万円以下 1万円
5,000万円超~1億円以下の場合 3万円
1億円超~5億円以下 6万円

※2020年(令和2年)3月31日までに作成する場合の軽減措置。

参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

不動産会社に支払う仲介手数料

仲介手数料の目安として、売却代金が400万円超の場合は、以下の計算で求めることができます。

不動産会社の仲介手数料 = 売却代金の3%+6万円+消費税

仲介手数料については、以下の関連記事をご参照ください。

不動産売買の仲介手数料とは|上限の決まりや計算方法、支払いの流れ

抵当権抹消費用(ローンが残っている場合)

ビルを購入時に設定したローンが残っている場合は売却代金で完済しますが、その際、忘れずに抵当権の抹消登記をしてください。

抹消登記では、登録免許税として不動産1件につき1,000円に加えて、司法書士に支払う報酬などが必要です。

司法書士報酬は、依頼する司法書士によって料金が異なります。 売却を依頼する不動産会社が紹介してくれるケースもあるので、事前に担当者に問い合わせて大まかな料金を確認しておくとよいでしょう。

まとめ

ビルを売却する際には、必ず複数の会社を比較した上で契約を結ぶ不動産会社を決めましょう。また、高く早く売るコツを把握し、損のないように相場や売買の一連の流れを知っておくことが重要です。

また、ビルに入っているテナントへの対応についても忘れずに行ってください。売却後もテナントと新貸主が良好な関係を築いていけるように、旧貸主としてしっかり対応しましょう。

安心して任せられる不動産会社を選ぶことはとても大切です。ビルの売却にかかる税金や経費の心配事にも親身になって対応してくれる不動産会社と出会うことで、スムーズに進んでいくでしょう。

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マンションを売却する場合のコツや流れは以下の記事をご確認ください。


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