住み替えなどで家を取得する、あるいは手放す場合は不動産の名義変更が必要です。名義変更を行わないと、税金や相続、売却などさまざまな面で不都合が生じる恐れがあります。
本記事では、家の名義変更が必要になる主なケースごとに手続きの流れや費用を詳しく解説します。家の名義変更が必要な方は、ぜひ参考にしてください。
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Contents
1.家の名義変更とは、家の所有者が変わった場合に行う手続き
家の名義変更とは、売買や相続などで家の所有者が変わった場合に行う手続きです。具体的には、法務局で管理される登記簿に記載された所有者の情報を変更します。
不動産を所有しても、登記簿上の名義が変わっていないと第三者にその権利を主張できないことになります。場合によっては、登記簿上の所有者を本当の所有者だと思われてしまうかもしれません。
登記簿の所有者の情報を変更することで、公的に持ち主が変わったことが証明され、真の所有者として認められるようになります。
2.家の名義変更が必要なケース4選
ここでは、家の名義変更が必要な、代表的な4つのケースである「売買」「遺産相続」「生前贈与」「財産分与」について解説します。
2-1.不動産売買
家を購入したり売却したりした際は、売主から買主へ名義を変更する必要があります。一般的には、売主と買主の間で売買契約を結び、買主が売主へ代金を支払ったタイミングで名義変更が行われます。
名義を変更することでその家は自分の財産になります。
不動産売買の名義変更の手続きの流れについては「4-1.売買」、費用については「5-1.購入にかかる税金」「5-2.売却にかかる税金」、必要書類については「6-1.売買」で解説しています。
2-2.遺産相続
家を遺産として相続した場合も、名義変更が必要です。親が亡くなり子どもが相続したなら、親から子へ名義変更を行います。
財産を相続する権利を持つ相続人が複数いる場合は、話し合いを行ったうえで家の新たな所有者を決め、その方に名義を変更します。これらを相続登記といいます。
遺産相続の名義変更の手続きの流れについては「4-2.遺産相続」、費用については「5-3.遺産相続にかかる税金」、必要書類については「6-2.遺産相続」で解説しています。
なお2024年4月1日から、相続による不動産取得後3年以内に登記を行うことが義務化されました。相続登記について詳しくは以下の記事をご覧ください。
2-3.生前贈与
家の所有者が生きているうちに、別の方にその家を無償で譲り渡すのが生前贈与です。この場合も家の名義変更が必要になります。
名義変更することは、第三者に家の新たな所有者を主張するだけでなく、元の所有者に税金が請求されないようにする意味もあります。
生前贈与の名義変更の手続きの流れについては「4-3.生前贈与」、費用については「5-4.生前贈与にかかる税金」、必要書類については「6-3.生前贈与」で解説しています。
不動産の生前贈与について詳しくは、以下の記事でも解説しています。
2-4.財産分与
財産分与は夫婦が離婚したときに、一方が持つ財産を互いが協力して築いたものとして、他方が分配するよう請求する制度です。例えば夫が所有する家を妻に譲渡することになれば、夫から妻へ名義を変更します。
配偶者や兄弟など親族間で行う相続の遺産分割と異なり、財産分与には財産を分ける割合の規定がありません。そのため、分与する財産を決める話し合いは時間がかかることも多いようです。
財産分与の名義変更の手続きの流れについては「4-4.財産分与」、費用については「5-5.財産分与にかかる税金」、必要書類については「6-4.財産分与」で解説しています。
家を売却することになったら、NTTデータグループが運営するの「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」の利用がおすすめです。ややこしい手続きもプロに相談することでスムーズに進めることが可能です。
3.家の名義変更をしないとどうなる?
家の名義を変更しないと、さまざまな不都合が起きる恐れがあります。ここでは特に注意したい以下4つのトラブルを紹介します。
3-1.売買や新築ができない
家の名義変更をしていない状態だと、売買や新築ができません。不動産の売買は、原則として不動産の名義人本人が行う必要があるからです。
また、家の新築ができない場合もあります。家を新築する際、金融機関などから住宅ローンの借り入れを行うと、一般的に新築した建物と土地を担保にする必要があります。しかし、名義人本人の許可を得なければ、抵当権を設定して、新築した建物と土地を担保にすることができないのです。
3-2.税金のトラブルになる
家の名義変更をしないと、その家にかかる税金は元の所有者へ請求されます。新たな所有者は、本来払うべき税金から逃れることになり、元の所有者とトラブルになる可能性もあるでしょう。
3-3.ローンを借りられない
家の名義が変更されていないと、その家を担保にしたローンを借りられない恐れがあります。所有者だと主張する方と登記簿の名義が違っていると、金融機関は本当の所有者が確認できず、担保設定ができないためです。
3-4.相続時に迷惑をかける
いつか自分がこの世を去ったとき、所有する家の名義が元の所有者のままだと、相続する親族に迷惑をかける恐れがあります。
家を相続するには、元の所有者から亡くなった方へ名義を変えなければいけません。そのため、相続する親族が名義変更の手続きや費用を負うことになってしまいます。
4.【ケース別】家の名義変更手続きの流れ
ここからは、各ケースにおける家の名義変更手続きの流れを解説します。
4-1.売買
- 売買契約の締結
- 必要書類の準備
- 代金の決済と引き渡し
- 登記申請と審査
- 名義変更完了
売買では、初めに売主と買主の間で売買契約を締結します。その後、必要書類をそろえたうえで買主による代金の支払い、つまり決済を行います。決済後には速やかに家の引き渡しと登記申請に移ります。法務局による登記の審査が終わると、名義が変更され手続きが完了します。
4-2.遺産相続
- 相続人の確定
- 遺産分割協議
- 必要書類の準備
- 登記申請と審査
- 名義変更完了
遺産相続では、まず亡くなった方の相続人が誰かを確定します。そのうえで、相続人同士で遺産をどのように分割するか話し合う遺産分割協議を行います。もし、法定の相続割合以外で遺産を分ける場合は遺産分割協議書を作成します。
その後、必要な書類を準備し法務局へ登記申請を行います。法務局による審査が終わると登記が実行され名義が変更されます。
4-3.生前贈与
- 贈与契約の締結
- 必要書類の準備
- 登記申請と審査
- 名義変更完了
生前贈与では、贈与をする方と受ける方との間で贈与契約を結びます。口頭でも契約は成立しますが、話の行き違いによるトラブルを防ぐため、できるだけ贈与契約書を作ることをおすすめします。
その後、必要書類をそろえ法務局に提出し、滞りなく審査が終われば名義変更が完了します。
4-4.財産分与
- 財産分与協議
- 財産分与契約の締結
- 必要書類の準備
- 登記申請と審査
- 名義変更完了
財産分与では、まずどのように財産を分けるかを協議します。そのうえで財産分与の内容を記載した財産分与契約書を作り契約を結びます。その後、お互いの必要書類をそろえ法務局に登記申請をし、審査を経て名義変更が完了となります。
家の売却を検討中の方は、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「不動産売却 HOME4U」の利用がおすすめです。複雑な手続きもプロに相談することで円滑に進めることができます。
5.【ケース別】家の名義変更にかかる費用
家の名義変更にかかる費用である、「ケースごとにかかる税金」「共通してかかる登録免許税と印紙税」「手続きを司法書士に依頼した場合の報酬」の3つについて解説します。
5-1.購入にかかる税金
- 不動産取得税
-
家を購入すると不動産取得税が課税されます。税額は、建物の固定資産税評価額に4%(住宅用の建物であれば3%)をかけて算出します。その際、新築住宅は1,200万円、中古住宅は建築年月日に応じた額が、固定資産税評価額から控除されます。
5-2.売却にかかる税金
- 所得税・住民税
-
家を売却して得た譲渡所得の額に対し、所得税と住民税が課税されます。税率は売却した家の所有期間で変わります。
家を売った年の1月1日現在で、その家の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、以下の税率が適用されます。
区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 15.315% | 5% |
短期譲渡所得 | 30.63% | 9% |
出典:「“土地や建物を売ったとき”. 国税庁. (参照2024-06-14)」をもとに、お家のいろはが独自に作成
5-3.遺産相続にかかる税金
- 相続税
-
家を遺産相続で取得すると、建物の相続税評価額に税率をかけた相続税が課税されます。税率は、遺産の総額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引き、残りの額を相続割合で分割した額で決まります。
相続税については詳しくは以下の記事をご覧ください。
5-4.生前贈与にかかる税金
- 贈与税
-
家を贈与されると、その家の評価額から基礎控除の110万円を除いた額に、定められた税率をかけた贈与税が課税されます。
贈与税には、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の直系の孫や子が受けた贈与に対し、贈与税ではなく相続時に相続税で課税する相続時精算課税という軽減措置が設けられています。
また、婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産などを贈与したときに適用される配偶者控除もあります。
- 不動産取得税
-
家の贈与を受けた場合は、「5-1.購入にかかる税金」でお伝えした不動産取得税がかかります。
5-5.財産分与にかかる税金
- 所得税・住民税
-
財産分与で家を譲り受けると、その家の時価から購入したときの費用と譲渡にかかった費用を引いた譲渡所得に、所得税と住民税が課税されます。ただし譲渡所得が0円以下の場合は課税されません。
- 不動産取得税・贈与税
-
財産分与で家を譲り受けても、その家が夫婦の共有財産であり、さらにその財産を精算する目的で分与されたと認められた場合は、不動産取得税や贈与税は課税されません。
家の購入 | 不動産取得税 |
家の売却 | 所得税・住民税 |
遺産相続 | 相続税 |
生前贈与 | 贈与税 不動産取得税 |
財産分与 | 所得税・住民税 (譲渡所得が発生した場合) |
5-6.登録免許税・印紙税
- 登録免許税・印紙税
-
家の名義変更において、すべてのケースで必要になるのが名義変更登記の際に納める登録免許税です。
税額は家の固定資産税評価額に以下の税率をかけて算出されます。
売買 2.0% 遺産相続 0.4% 生前贈与 2.0% 財産分与 2.0% また各ケースにおいて契約書を作成した場合にかかるのが印紙税です。こちらは契約書に記載される額に応じて印紙の税額が決まります。
出典:「“No.7140 印紙税額の一覧表”. 国税庁. 2024-04-01. (参照2024-06-07)」をもとに、お家のいろはが独自に作成
5-7.司法書士に依頼した場合の報酬
家の名義変更手続きを司法書士に依頼した場合の報酬相場は、日本司法書士会によると以下のようになっています。
売買 | 43,000円~64,000円 |
遺産相続 | 61,000円~78,000円 |
生前贈与 | 41,000円~55,000円 |
出典:「“司法書士の報酬アンケート”. 日本司法書士会連合会. 2018-01. (参照2024-06-07)」をもとに、お家のいろはが独自に作成
このアンケートで調査されていない財産分与の報酬は、本稿の調査によると7万円~10万円と比較的高額なようです。
実際にかかる費用は、家の評価額、名義人の数などで変わります。司法書士に依頼する際は、事前に見積もりを取り寄せたうえで検討するようにしましょう。
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6.【ケース別】家の名義変更に必要な書類
ケースごとの家の名義変更に必要な書類をお伝えします。手続きを行う条件によっては、別の書類も必要になることがありますのでご注意ください。
6-1.売買
該当者 | 必要書類 |
---|---|
売主 | 家の登記識別情報または登記済証 印鑑証明書 固定資産評価証明書 |
買主 | 住民票 |
仲介を依頼した不動産会社 | 売買契約書 |
6-2.遺産相続
該当者 | 必要書類 |
---|---|
亡くなった方 | 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) 住民票除票または戸籍の附票 |
法定相続人全員 | 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) 固定資産課税明細書 |
家を相続する方 | 住民票 |
いずれかが用意 | 家の固定資産評価証明書または固定資産課税明細書 遺産分割協議書(※) 法定相続人全員の印鑑証明書(※) ※法定相続割合以外で分割する場合に必要 |
6-3.生前贈与
該当者 | 必要書類 |
---|---|
贈与する方 | 家の登記識別情報または登記済証 印鑑証明書 家の固定資産評価証明書 |
贈与を受けた方 | 住民票 |
いずれかが用意 | 贈与があったことを証明する書類 (贈与契約書など) |
6-4.財産分与
該当者 | 必要書類 |
---|---|
財産を譲り渡す方 | 家の登記識別情報または登記済証 印鑑証明書 離婚届提出後の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) |
財産を譲り受ける方 | 住民票 離婚届提出後の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) |
いずれかが用意 | 家の固定資産評価証明書 財産分与があったことを証明する書類(離婚協議書、財産分与契約書など) |
まとめ
家を新たに所有したり、売却したりする際は、所有者の名義変更が必要です。お伝えした手続きの流れや、かかる費用、必要な書類などをあらかじめ把握しておくと、円滑な名義変更ができるようになるでしょう。
家の売却をお考えなら、まずはその建物の適正価格を把握しましょう。それが、より迅速な売却につながります。
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