ローン中の家を売る方法│オーバーローンでの売却と税金特例も解説

住宅ローンがあるけど離婚したい」「家を購入したのに転勤や異動が決まった」などのお悩みを抱える方は少なくありません。原則として、住宅ローンを完済すれば、ローン残債のある不動産も売却 は可能です。

本記事では住宅ローン中の家を売る方法や不動産売却の流れ、オーバーローンの場合の売却方法、適用できる税金特例について解説しています。売却方法に悩まれている方は参考にしながら最適な方法を見極めてください。

この記事を読めばわかること
  • 住宅ローン中の家を売る方法(売り先行、買い先行の流れ)
  • オーバーローンの家を売却する方法(自己資金・住み替えローン・任意売却)
  • ローン中の家を売る場合に適用できる税金特例
「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「不動産を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格”が見つかります
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1.ローン中の家は「住宅ローンを完済」できれば売却できる!

ローン中の家は「住宅ローンを完済」できれば売却できる!

住宅ローンを返済中の家は、ローンを完済することで売却ができます。

住宅ローンで購入した不動産には抵当権が設定されており、売却するためには住宅ローンを完済し、抵当権を抹消しなければならないためです。

住宅ローンを完済できるかどうかを判断するために、まずはローン残債を確認し、不動産会社に査定を依頼して売却価格を把握しましょう。

1-1.まずは住宅ローン残債を確認

まずは住宅ローンの残高 (残債)がいくらあるのか確認しましょう。

住宅ローン残債は、以下3つの方法で調べられます。

  • 金融機関から毎年届く残高証明書を確認する
  • インターネットバンキングから確認する
  • 住宅ローンを契約した際の返済予定表を確認する

金融機関が発行する残高証明書は、毎年10月頃に郵送されます。一部の金融機関では残高証明書を発行していない場合もあるため、その際はインターネットバンキングを使って確認しましょう。

また、返済予定表を紛失した場合は、住宅ローンを契約した金融機関に再発行を依頼することもできます。

金融機関に調べてもらうのには時間がかかることもあるので、期間に余裕を持って手続きするとよいでしょう。

1-2.不動産会社に査定を依頼して売却価格を把握する

住宅ローン残債が確認できたら、不動産会社に査定を依頼して売却価格を把握します。

家の査定を受けることで、諸費用を差し引いて「いくらで売れるのか」がおおよそ想定できます。

実際にかかる手数料などの費用や税金の概算も算出してもらえるので、ローンを完済するために「いくらで売らなければならないのか」もシミュレーションしやすくなります。

ローン完済のために「できるだけ高く売却できる不動産会社を選びたい」と考える方が多いかもしれませんが、査定額を鵜呑みにして決めてしまうと失敗する可能性があります。「なぜこの価格なのか?」など、査定の根拠もあわせて確認してください。

また、家の査定は必ず複数の不動産会社に依頼して比較しましょう。一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」なら、一度の情報入力で複数社へ査定を依頼できます。

ローン中の家の売却を検討し始めたら、まずは「不動産売却 HOME4U」を活用して査定を受けてみましょう。

2.【オーバーローン】ローン残債より売却価格が下回る場合は自己資金で補う

住宅ローン残債を確認して査定を受けた結果、ローン残債より売却価格が下回るオーバーローンの場合は、自己資金で補ったり、借り換えを検討したりするケースもあるでしょう。

オーバーローン

オーバーローンで後悔 したり売却をあきらめたりする必要はありません。以下より、オーバーローンの売却方法について解説します。

2-1.オーバーローンの家は「売り先行」で売却する

家の売却から新居購入までの流れとしては、「売り先行」と「買い先行」の2パターンがあります。

オーバーローンの場合は、先に家を売却してから新居を購入する「売り先行」で進めるのがおすすめです。

売り先行の流れ

売り先行の流れ

一方、買い先行とは、先に新居を購入してから家を売却する方法です。

買い先行の流れ

買い先行の流れ

オーバーローンの場合、「買い先行」で新居を先に購入してしまうと二重ローンが発生するなど、経済的な負担が大きくなってしまいます。

そのため、オーバーローンで家を売る場合は、売り先行で進めるのが望ましいといえます。

他にも、売り先行で進めることで以下のようなメリットがあります。

  • 売却活動の期間に余裕を持てる
  • 現在の家に住みながら売却活動ができる

売り先行であれば急いで引っ越しする必要がなく、より良い条件で買ってもらえる相手を妥協せずに見つけられます。また、家に住みながら売却活動ができる点もメリットと言えるでしょう。

一方で、売り先行で進めることにより以下のようなデメリットもあります。

  • 仮住まいを用意しなければならない
  • 新居探しが難航すると仮住まいの期間が長期化してしまう

売り先行の場合は家を売却してから新居を探します。新居が決まるまでは仮住まいの費用が発生することもあるので負担が大きくなります。費用の増加を避けるためには、売り先行を基本に進めながら、新居も探し始めることをおすすめします。

なお、買い先行の場合は以下のようなメリットがあります。

  • 新居に引っ越すことで売りに出す家を整理できる
  • 気に入った家が見つかったタイミングで購入できる
  • 仮住まいを用意する必要がない

一方で、次のようなデメリットもあります。

  • 売却する家と新居で二重ローンが発生する
  • 焦って売り急いでしまう

買い先行の場合は二重ローンになるため、オーバーローンの状態であれば避けるべきです。

いずれにしても、まずは一括査定サイトから不動産会社に査定を依頼して、売却価格や費用などを把握しましょう。

不動産会社への査定は、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」をご活用ください。

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2-2.自己資金がない場合は「住み替えローン」を検討する

オーバーローンを解消するための自己資金がない場合は、「住み替えローン」を検討してみましょう。

住み替えローンとは、家を買い替える際に、オーバーローンで返済できないローン残債を、新居の住宅ローンに上乗せして借りるローン契約です。

住み替えローン

住み替えローンが利用できれば、住宅ローンを完済できなくても抵当権抹消の手続きが可能となり、家を売却できます。

ただし、住み替えローンにはいくつか注意点があります。住み替えローンを使った売却の場合、売却する家のローン残債を新居の住宅ローンに上乗せするので、引渡しおよび抵当権抹消登記と、新居の住み替えローンの決済を同日に行わなければなりません。そのためには売却活動と新居探しを同時並行で進め、契約日を調整しなければなりません。

また、ローン残債を上乗せすることで毎月の返済金額も大きくなることから、経済的な余裕がなければ成り立たない方法です。加えて審査条件も厳しいことから、住み替えローンをそもそも利用できない可能性もあることに注意が必要です。

2-3.任意売却は「自己資金」も「住み替えローン」も利用できない場合の手段

自己資金と住み替えローンのどちらも利用できない場合、任意売却という方法を検討しましょう。

任意売却の仕組み

任意売却とは、住宅ローンの返済が困難な場合に、金融機関の了承を得て不動産を売却する方法です。

通常であれば、住宅ローンが残っていると抵当権が設定されたままのため売りに出せませんが、金融機関が了承した場合に限り売買が可能となります。

2-3-1.任意売却のメリット

任意売却を利用して売却するメリットは以下の通りです。

  • 競売のリスクを回避できる
  • 費用をおさえて売却できる
  • プライバシーが守られた状態で売却できる

住宅ローンの返済が滞ると、最悪の場合は差し押さえや競売にかけられる可能性があります。

しかし、任意売却を選択することでどちらも回避できる可能性が高まります。また、引っ越し代や仲介手数料は売却費から差し引かれるため、持ち出しの費用をおさえることができます住宅ローンが払えず売却を検討する場合は有効な手段といえます。

2-3-2.任意売却のデメリット

任意売却には、以下のようなデメリットがあることも理解しておかなければなりません。

  • 信情報に登録される
  • 売却価格は仲介よりも下がる
  • 任意売却後は新たに住宅ローンが組めなくなる

個人の返済情報などが登録される「信用情報」は、任意売却そのものが影響することはありませんが、「任意売却する=ローンを滞納している=信用情報に登録」という状況が考えられます。

信用情報に登録されると、「クレジットカードが利用できない」「新居のローンが組めない」などのデメリットがあるため利用したくないと考える方もいるかもしれません。

しかし、住宅ローンが払えないまま滞納を繰り返せば、競売・強制退去につながります。また仲介より売却価格は下がる可能性はあるものの、競売よりは高値売却が期待できます。早めに金融機関あるいは不動産会社へ相談しましょう。

2-4. オーバーローンに適用できる税金特例

オーバーローンの場合、「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」が適用できます。

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を適用することで、オーバーローン(譲渡損失)となった金額については損益通算し、払い過ぎた源泉徴収額を取り戻せます。

また、損失額が大きい場合は、売却した翌年以降、3年間繰越できます。

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用要件は以下の通りです。

  • 国内にある居住用財産であること
  • 売却する年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
  • 売買契約日の前日に10年以上の住宅ローン残債があること
  • 売却額がローン残高を下回ること

3.【アンダーローン】ローン残債より売却価格が上回る場合は売却可能

アンダーローンの場合は、ローン残債よりも売却価格が上回っている状態ですので、売却が可能なことに加え、利益が発生する可能性もあります。

アンダーローン

本章では、アンダーローンの場合の売却方法と購入の順番や、適用できる税金特例について解説します。

3-1. アンダーローンの家は「売り先行」「買い先行」どちらでも可能

アンダーローンの場合は、「売り先行」と「買い先行」どちらから進めても構いません。

「売り先行」と「買い先行」のメリット、デメリットについては「2-1.オーバーローンの家は「売り先行」で売却する 」で解説した通りですが、アンダーローンであれば、売り先行で進めて残った売却資金を新居の購入資金に充てるのが望ましいでしょう。

買い先行にすると、新居と旧居のダブルローンになる可能性が高いため、手離れを急ぐあまり安価な売却につながりかねません。

売り先行であれば、焦らず納得できるまで売却活動を行える上、先に物件を売却することで新居の購入金額もシミュレーションしやすくなります。リスクをおさえて家の売却と購入を進めるのであれば、「買い先行」がおすすめです。

3-2.アンダーローンに適用できる税金特例

アンダーローンで売却益(譲渡所得)が発生した場合は、以下2つの税金特例を適用できます。

  • 居住用財産の譲渡した場合の3,000万円の特別控除特例
  • 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除特例 」は、住んでいる家を売却した際に発生した譲渡所得から、最高3,000万円を控除できる特例です。

対して、「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」は、適用要件に当てはまれば、譲渡所得税を計算する際の税額を、通常よりも低い税率(軽減税率)で計算できる特例です。

上記の特例を適用することで、譲渡所得に対して課税される税金負担を下げることができます。どちらの税金特例も適用要件が設定されているので、適用可能か下記の国税庁のページをご確認ください。

参考:国税庁

「No.3302 マイホームを売ったときの特例 」

「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 」

4.離婚でローン中の家を売る場合の注意点

離婚でローン中の家を売る場合の注意点

離婚で住宅ローン契約中の家を売ることになった場合は、以下の3点に注意してください。

  • ローン中の家も財産分与の対象になる
  • 共有名義の場合は名義人全員からの同意が必要
  • ローンが残っている状態では連帯保証人の解除ができない

4-1.ローン中の家も財産分与の対象となる

ローンで購入した家も、離婚時の財産分与の対象になります。アンダーローンの状態であれば、売却して現金を半分ずつ受け取るのが一般的です。

一方、オーバーローンの状態だと住宅ローン残債を財産分与することになります。「2.【オーバーローン】ローン残債より売却価格が下回る場合は自己資金で補う」で解説したように、オーバーローンの場合は不足分を自己資金で補わなければなりません。

不足分を夫婦で負担する割合を決めなければなりませんが、半分ずつ負担する、もしくは一方が多く負担し、その分他に財産分与の対象となる資産を多く受け取ることで、全体の割合を半々に調整するなど、夫婦の経済状況によってさまざまです。

自己資金での補填が難しいとなれば、任意売却も選択肢の一つと考えて完済方法を協議してください。

4-2.共有名義の場合は名義人全員からの同意が必要

ローン中の家が共有名義の場合、名義人全員の同意がなければ売却できません。

同意が得られずいつまでも売れないと、家の資産価値が築年数の経過と共に減少してしまいます。もちろん、その間も住宅ローンは返済し続けなければなりません。

売却の同意が得られないのであれば、相手の持分を買い取るなどの方法で、共有名義を解消できないか交渉しましょう。共有名義の不動産の売却については以下の関連記事もご参照ください。

4-3.ローンが残っている状態では連帯保証人を解除できない

連帯保証人を立てて住宅ローンを契約している場合、ローンを完済しなければ連帯保証人を解除できません。

金融機関は、離婚して夫婦関係を解消しても、返済能力に影響すると判断しないためです。

連帯保証人を解除したいが家を売却しても住宅ローンの完済が難しい場合は、住宅ローンの繰り上げ返済をシミュレーションしてみましょう。

住宅ローンを繰り上げ返済することで、完済までの期間が短縮され、その分の利息の支払い額が減りますので、総支払額を効率的に減らすことができます。

もしくは、住宅ローンの借り換えで連帯保証人を解除するという手段もあります。

ただし、住宅ローンの借り換えをするには手数料などの費用が発生します。さらに、毎月負担するローン返済の金額が増えることから、支払い能力が高くなければ金融機関が住宅ローンの借り換えを認めてくれない可能性が高いでしょう。

基本的には売却資金でローンを完済するか、繰り上げ返済での完済を目指しましょう。

まとめ

本記事では、ローン中の家を売る方法について解説しました。原則、ローン中の家でも住宅ローンを完済すれば売却できます。

ローン残債が売却額を下回るアンダーローンなら問題なく売却できますが、売却しても完済できないオーバーローンになる場合、自己資金で補うか、住み替えローンを検討しなければなりません。また、オーバーローンの場合は少しでも手元の資金を確保する必要があるので、二重ローンにならないよう、売り先行で売却と購入することをおすすめします。

オーバーローンとアンダーローンどちらも税金負担の軽減につながる控除特例があるので、積極的に活用しましょう。ただし、離婚でローン中の家を売却するとなれば、ローン残債も財産分与の対象となる点に注意が必要です。

まずは、売却してオーバーローンとアンダーローンのどちらになるのかを知るためにも、「不動産売却 HOME4U」を使って査定を依頼し、最適な売却方法を検討しましょう。