物件概要書は住所や物件価格など不動産に関する情報を細かく記したもので、売主と買主、どちらにとっても重要な不動産売却の必要書類です。
適切に作成することで物件の魅力をアピールし、売買の成約のために活用することもできますし、デメリットを隠さず記載しておくことで後々のトラブル回避にも役立ちます。
この記事では、
- 物件概 要書とは何か
- 記載すべき内容・読み方
- 物件概要書を作成するときの注意点
について解説します。
最後までお読みいただき物件概要書を活用するコツをつかみ、スムーズな不動産売却を実現してください。
不動産・マンションの売却について基礎から詳しく知りたい方は『不動産売却の基本』、『マンション売却の基本』も併せてご覧ください。
- 「不動産を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
- 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります ※依頼する6社の中での最高価格
- 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
Contents
1.物件概要書とは
不動産売却の流れの中で、物件概要書の作成が必要となります。
本章では、物件概要書とは何か、また誰が作成するのか、活用するタイミングについて解説します。
1-1.物件概要書とはどんなものか?
物件概要書とは、物件に関する情報を記載した書類のことです。記載されている内容は、物件の価格や住所、利回り、面積、地積、構造などです。
物件概要書には建物だけでなく、土地に関する情報も記載されます。また、物件報告書や物件状況報告書などといった呼び方もあります。
1-2.物件概要書は不動産会社が作成するのが基本
物件概要書の作成について、作成者や記載内容に関して指定された書式などはありません。
そのため、個人が作成しても問題ないですが、基本は不動産会社が作成します。
買主が購入する不動産を探す際に指標とする情報なので、室内や外部の様子が分かる画像などを用意したり、設備や立地を細かく調べたりと手間がかかります。物件の印象にも影響する資料ですので、業界のプロである不動産会社に任せる方が安心です。
1-3.物件概要書を活用するタイミング
物件概要書を活用するタイミングは売主と買主でそれぞれ異なります。
売主は買主に物件の詳細を説明したり、値引き交渉を受けた際に相手を納得させるための根拠となる資料として活用したりします。
買主が活用するタイミングとしては、物件探しの時です。購入する価値がある不動産なのかを見極める上で、物件概要書の内容も参考にしながら見極めていきます。物件概要書は決まった書式はない分、売却成功にプラスになるような書類とするためには、売主と買主の両方が「どのシーンで活用するか」を理解した上で作成することが大事です。
また、売却を目的とする場合は、物件概要書などの資料準備だけでなく、不動産会社選びも重要です。
不動産会社はそれぞれ得意な物件種別や強みが異なりますので、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」などの一括査定サイトから複数社に査定依頼して自分に合った会社を見つけるとよいでしょう。
2.不動産売買における物件概要書の重要性
不動産売買において物件概要書は次の2つの観点から重要性が高い書類と言えます。
- 不動産売買や価格交渉がスムーズに行える
- 引き渡しにおけるトラブルの防止につながる
具体的にどのような点が重要なのか解説します。
2-1.不動産売買や価格交渉がスムーズに行える
物件概要書を用意しておくと、販売活動や価格交渉をスムーズに進めやすくなります。
物件概要書は物件の詳細を細かくまとめた書類ですので、買い手に説明する際、メリット等をアピールしやすくなるからです。買い手に「買いたい」と感じてもらうためにもアピールポイントは最大限伝えておきたいところですが、口頭説明だけでは全てを伝えることができません。
そこで物件概要書があると、抜け漏れなく伝えることができ双方の間で認識の相違をなくすことにも繋がりますのでとても便利です。
値引き交渉においても同様で、価格の妥当性を説明する際に物件概要書があれば説得力も増します。
2-2.引き渡しにおけるトラブルの防止につながる
不動産売却は取引や手続きなどにおいてトラブルが発生するリスクがあります。ですが、物件概要書を用意しておくことで、トラブルを防ぐことにもつながります。
物件概要書には、物件の住所や面積などの基本情報だけでなく、内装の汚れや傷、雨漏りなどネガティブな情報についても記載することができます。
このようなネガティブな情報は、売却前に買い手との間で相互認識を持ち、買い手から了承を得ていないと後にトラブルに発展する可能性があります。
物件概要書に記載して説明することで、話し合いの機会を設けることができますし、売却時のトラブルを防ぐことにもつながります。
3.不動産投資における物件概要書の必要性
不動産投資においても物件概要書はとても重要な役割を持っています。その理由は次の2つです。
- 違法建築でないかを判断する
- 投資リスクがないかを判断する
それぞれなぜ重要なのか、具体的な理由を解説します。
3-1.違法建築ではないかを判断する
物件概要書は違法建築でないかを確認する際の資料として役に立ちます。
買主は不動産を購入する際、収益性だけでなく違法性がないかも重要視しています。
違法建築の例としては、建ぺい率オーバーなどの建築基準法違反や、消防設備が揃っていないなどの消防法違反などです。
違法建築に該当する物件は価値が下がるため、投資家は購入前に細かく確認することが多いです。物件概要書に全て記載されているわけではありませんが、備考欄に記載するケースもあります。
3-2.投資リスクがないかを判断する
もう一点は、投資リスクがないかです。
前述したような違法建築などが発覚した場合、物件の価値は大きく下がってしまいますので、投資家にとっては損失となります。
また、前述した違法建築以外に再建築不可の物件も投資家にとってはリスクが高いです。
再建築不可の物件とは、一度取り壊した後、再度建築することができない物件のことを言います。例えば築年数が経過した古い物件を、立て替えを想定して買おうとした場合、再建築不可に該当する場合は取り壊し後に再度立て直すことができません。
投資家からすれば、建て替えができないことから長期的な収益を上げることが難しいので、投資リスクが高いという判断になります。再建築不可の物件かどうかも、物件概要書から判断できます。
4.物件概要書の内容と読み方
以下は、物件概要書の一例です。物件概要書のフォーマットは作成する不動産会社によって異なりますが、主な項目は同じです。
各項目の内容と読み方を理解しておきましょう。
4-1.基本情報
基本情報は、物件に関する基本的な情報を記載します。主な記載情報としては、物件の所在地や価格、利回り、交通などです。
記載項目 | 注意点 |
---|---|
所在地 | 番地まで記載 |
価格 | 税込価格を記載 |
利回り | 満室を想定した表面利回りを記載 |
交通 | 徒歩1分=80mで計算 |
4-2.土地
土地の項目は、所有する物件の土地の情報を記載します。主な記載内容は、面積、権利、地目、接道道路などです。
記載項目 | 注意点 |
---|---|
面積 | 平米数もしくは坪数で記載 |
権利 | 祖雄健、借地権など権利を記載 |
地目 | 宅地、畑、田んぼなど全21種類のうち該当する項目を記載 |
接道道路 | 道路に接している方位、種類、幅などを記載 |
4-3.建物
建物の項目は、所有する物件の建物に関する情報を記載します。主な記載内容は、構造、種類、延べ床面積、築年数、間取りなどです。
記載項目 | 注意点 |
---|---|
構造 | 木造、軽量鉄骨、鉄筋コンクリートなどの構造を記載 |
種類 | 居宅、店舗など全7種類から該当する利用内容を記載 |
延べ床面積 | 対象となる物件の全面積を合計したものを記載 |
築年数 | なし |
間取り | なし |
4-4.法令制限
法令制限とは、法律で制限された地域や面積を記載する項目です。記載すべき項目は、都市計画、用途地域、建ぺい率、容積率などです。
記載項目 | 注意点 |
---|---|
都市計画 | 全3種類のうち該当する区域を記載する |
用途地域 | 全13種類のうち該当する地域を記載する |
建ぺい率 | 建築面積÷敷地面積で算出する |
容積率 | 延床面積÷敷地面積で算出する |
4-5.設備
設備の項目は、電気、ガス、水道などの情報を記載します。
他にインターネット環境など導入している設備があれば、合わせて記載します。
5.物件概要書を自分で作成するときの注意点
物件概要書は自分で作成することもできますが、その場合は記載内容に注意が必要です。
買主は物件概要書の内容を元に不動産の情報を把握し、内覧や購入するかを判断します。そのため、情報は詳細な部分まで正確でなければなりません。
ですので、作成が完了したら登記簿謄本や契約書類などを確認しながら間違いがないか必ず確認をしましょう。
また、嘘を記載することは絶対にやめましょう。買主にとってネガティブな情報であっても偽りなく記載することで、トラブルに発展するリスクを減らせます。
もしも売却時に物件概要書の内容に嘘があることが分かれば、契約不適合責任に問われる他、最悪の場合は契約解除となる可能性もありますので、提出する前に記載内容に間違いがないか必ず確認してください。
この記事のポイント
物件概要書とは、物件の情報を細かく記載した書類のことです。
詳しくは「1.物件概要書とは」をご確認ください。
不動産売買において、物件概要書が必要な理由は以下の通りです。
- 不動産売買や価格交渉がスムーズに行える
- 引き渡しにおけるトラブルの防止につながる
詳しくは「2.不動産売買における物件概要書の重要性」をご確認ください。