滅失登記とは?自分で行う方法や申請期限、必要書類もわかりやすく解説

滅失登記とは?自分で行う方法や申請期限、必要書類もわかりやすく解説

土地の売却のために家を取り壊す場合は、滅失登記が必要です。滅失登記を怠ると、罰金が科されたり、土地活用に支障が出たりする恐れがあります。

本記事では滅失登記について、自分で手続きを行う流れと併せて解説します。

実家の売却について詳しく知りたい方は「実家を売却する手順」もあわせてご覧ください。

「家を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「家を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります
  • ※依頼する6社の中での最高価格
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます

1.滅失登記とは

滅失登記とは、建物が物理的になくなった場合に、その事実を記録するために行う手続きのことです。

住宅や店舗など建物が建てられると、所在や構造、床面積といった情報を登記する表題登記が行われ、登記簿が作成されます。その後、所有者の変更などがあるたびに登記を行い、情報を更新していきます。

そのため、建物が滅失した場合も、滅失登記によって情報を反映させなければなりません。

滅失登記が必要になるのは、どのようなケースなのでしょうか?また登記を怠ったときのリスクについても解説します。

1-1.滅失登記が必要になるとき

滅失登記が必要になるとき

滅失登記の申請が必要なのは、建物が物理的になくなった場合です。建物の老朽化や土地の売却だけでなく、火災や自然災害によって建物がなくなった場合も、同様に滅失登記を行う必要があります。

建物が取り壊されたとしても、滅失登記を行っていなければ、登記簿上は建物が存在し続けていることになります。

反対に、建物が老朽化していて、今にも崩れそうになっているような場合でも、「解体」の定義に当てはまっていなければ滅失登記はできません。

滅失登記ができる解体とは、屋根や柱、床、壁といった建物の主要部分が解体されていること、所有者に改修の意思がないなど、客観的に解体と認められるものを指します。

古家付きの土地を売却する方法については、以下の記事をご覧ください。

1-2.滅失登記の申請期限は1か月以内

滅失登記は、不動産登記法57条により、建物が滅失した日から1か月以内に所有者または所有権の登記名義人による申請が必要と定められています。

滅失した日は、「所有者が滅失の事実を知った日」となるのが一般的です。期間が短いため、速やかに手続きを済ませましょう。

1-3.滅失登記をしない場合のリスク

滅失登記をする義務がある方が申請を怠った場合、以下のようなリスクがあります。

  • 10万円以下の過料が科される
  • 固定資産税の過徴収が生じる可能性がある
  • 土地活用に支障が出る

まず、申請を怠ると行政罰の対象となります。不動産登記法第164条では、10万円以下の過料が科されることになっています。

また固定資産税の過徴収が生じる恐れがあります。固定資産税は、毎年1月1日時点の登記簿上の所有者に課される税金です。

滅失登記をしないと、登記上は建物が存在し続けていることになり、物理的には存在しないにもかかわらず固定資産税が徴収されることが起こり得ます。

さらに登記上は該当の土地に建物が存在することになるため、土地を売却できない、新しい建物を建てようとしても建築許可が下りないなど、土地活用にも支障が出るでしょう。

1-4.滅失登記の申請ができる方

滅失登記の申請ができる方

滅失登記の申請ができるのは、建物の所有者・建物の相続人・土地家屋調査士です。滅失した建物が共有不動産で、所有者が複数いる場合には、単独で申請ができます。

例えば、親から相続した土地に、登記簿上、すでに滅失した建物が残っていることもあるでしょう。この場合は、相続人であれば誰でも申請が可能です。ほかの相続人の許可は必要ありません。

ただし建物が共有名義の場合や、被相続人名義の建物を取り壊す場合は、民法上、所有者全員の同意が必要になるため、注意してください。

なお、建物の所有者や相続人が対応できない場合、滅失登記の申請を土地家屋調査士に依頼をするのが一般的です。

不動産登記には建物表題登記と所有権保存登記の2種類があり、滅失登記が含まれる建物表題登記の申請ができるのは土地家屋調査士のみです。

【建物表題登記と所有権保存登記の登記内容】
登記の種類 登記される主な内容 担当する専門家
建物表題登記 建物の表示に関する登記
(所在・家屋番号・構造・床面積など)
土地家屋調査士
所有権保存登記 建物の権利に関する登記
(所有権・抵当権・根抵当権・質権など)
司法書士

2.滅失登記を自分で行う手続きの流れ

滅失登記の申請は土地家屋調査士に依頼するのが一般的ですが、自分で行うことも可能です。ここでは、自分で申請を行う場合の手続きの流れを紹介します。

2-1.必要書類を用意する

自分で建物の滅失登記をする場合は、以下の書類が必要です。

  • 建物滅失登記申請書
  • 建物の登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 建物滅失証明書(取り壊し証明書または解体工事完了証明書)
  • 解体工事を請け負った事業者の資格証明書

建物滅失登記申請書は、法務局の窓口やホームページで入手できます。申請書には、建物の所在や構造、面積といった情報を記入します。

建物の登記事項証明書(登記簿謄本)は、提出の必要はありませんが、建物滅失登記申請書を記入する際に必要です。

また、解体を請け負った事業者から建物滅失証明書と資格証明書を受け取りましょう。

建物滅失証明書とは、建物が解体されたことを証明する書類です。

一方の資格証明書は、解体を請け負った事業者が個人か法人かで用意する書類が異なります。

個人の場合は、市区町村に登録した個人の印鑑証明書、法人の場合は、代表者の資格を証明する書類(登記事項証明書など)と、登記所に登録済みの印鑑証明書が必要です。

2-2.状況に応じて必要な書類

建物の所有者の状況や、誰が申請をするかなど、滅失登記をする際の状況に応じて追加で必要となる書類があります。

【状況に応じて必要な書類】
状況 必要な書類
登記事項証明書(登記簿謄本)と現在の住所が異なる 住民票や戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)など
住所変更が証明できる書類
登記事項証明書(登記簿謄本)と現在の氏名が異なる 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)や除籍全部事項証明書(除籍謄本)など
氏名変更が証明できる書類
土地家屋調査士に滅失登記を依頼する 委任状
相続人が滅失登記をする 被相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)・除籍全部事項証明書(除籍謄本)と
滅失登記をする相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)

滅失登記の必要書類について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

2-3.管轄の法務局に申請書を提出する

必要書類の準備ができたら、滅失した建物を管轄している法務局に提出します。管轄の法務局がどこかわからない場合は、法務局のサイトで確認できます。遠方の方は郵送で申請することも可能です。

また個人の所有者が建物滅失登記をする場合、マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、オンラインでの申請もできます。

ただし、オンライン申請では、申請日を除く2日以内に、必要書類を登記所に持参するか、郵便書留で郵送しなければなりません。

申請内容や必要書類に不備がなければ、申請した法務局で後日登記完了証を受け取ります。必要な金額の切手を貼った封筒を同封しておき、郵送で受け取ることも可能です。

手続きにかかる日数は、管轄の法務局の状況や申請内容によって異なります。あくまでも目安ですが、法務局の窓口では各手続きに対する完了予定日を掲示しているため、確認しておきましょう。

なお滅失登記に際しては費用がかかり、自分で申請する場合と、土地家屋調査士に依頼する場合とでは相場が大きく異なります。

滅失登記の費用について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

3.滅失登記の代行を依頼する土地家屋調査士の見つけ方

日本土地家屋調査士会連合会のサイトでは各都道府県の土地家屋調査士会を紹介しており、そこから最寄りの土地家屋調査士を検索できます。土地家屋調査士のつてがない場合は、活用してみましょう。

滅失登記の申請は自分で行ったほうが安く済みますが、忙しくてなかなか手続きを行えないこともあるでしょう。また、必要書類の不備があれば、法務局まで複数回足を運ばなければなりません。

期限が過ぎると過料が科される恐れがあるため、スムーズに申請を済ませたい方は、土地家屋調査士に依頼することをおすすめします。

土地売却の流れについて把握したい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

まとめ

滅失登記とは、解体や火災、自然災害などで建物が物理的になくなった場合に、その事実を登記事項証明書(登記簿謄本)に反映する登記のことです。

滅失登記は、建物が消滅してから1か月以内に申請しなければなりません。

申請は自分でもできますが、土地家屋調査士に依頼することも可能です。

また、空き家などを相続し、使い道がないからといって安易に解体して更地にしてしまうと、固定資産税がかえって高くなるため、解体する前に次の活用方法を慎重に検討しましょう。

これから建物を解体し、土地の売却や活用を検討している方は、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」をぜひご利用ください。