築50年のマンションを売却したいと思っても「なかなか売れないのでは?」「築50年のマンションに需要があるのか?」などと不安に思う方も多いのではないでしょうか。
築50年のマンション売却を成功させるためには、以下のポイントをおさえてマンション売却に築年数がどう影響するのかを理解することが重要です。
- 築50年のマンションの売却相場
- 築50年のマンションが売れないと言われる理由
- 築50年のマンションを売却するコツ
マンション売却について基礎から詳しく知りたい方は、『マンション売却で失敗・損しないための注意点』『マンション売却の流れ』も併せてご覧ください。
Contents
1.【2022年成約率】築50年のマンションは売却できるのか?
築50年のマンションは、売却は可能ですが、全体の割合としては少ない傾向です。
次の項目では、築50年のマンションの売却率や成約率などを解説していきます。
築50年のマンションの売却が本当に可能であるのか確認しましょう。
1-1.築50年のマンションの売却率
2022年第4半期の東京都における築50年のマンション売却率は、8.8%です。
築年数別における取引件数は、以下のとおりです。
参考:土地総合情報システム「不動産取引価格情報検索」※お家のいろは編集部作成
具体的な築年数別の取引件数は、以下のとおりです。
築年数 | 取引件数 | 全体における割合 |
---|---|---|
築0〜5年 | 457件 | 17.1% |
築6〜10年 | 324件 | 12.1% |
築11〜15年 | 322件 | 12% |
築16〜20年 | 362件 | 13.5% |
築21〜25年 | 294件 | 11% |
築26〜30年 | 175件 | 6.5% |
築31〜35年 | 186件 | 7% |
築36〜40年 | 176件 | 6.6% |
築41〜45年 | 142件 | 5.3% |
築46〜50年 | 113件 | 4.2% |
築51〜55年 | 98件 | 3.7% |
築56〜60年 | 25件 | 0.9% |
参考:土地総合情報システム「不動産取引価格情報検索」※お家のいろは編集部作成
東京都で、2022年第4半期に取引された中古マンションのうち、築46〜50年が4.2%、築51〜55年が3.7%、築56〜60年が0.9%で、築50年のマンションの売却率は、8.8%だとわかります。
上記のデータから、築50年のマンションでも売却は可能ですが、全体の1割にも満たないため、割合としては少ない傾向です。
しかし、2022年第4半期の東京都だけでも2,674件の取引があり、その中でも築50年程度のマンションの取引件数が236件あることから、必ずしも売却できないわけではないと言えます。
1-2.中古マンションの発売(新規登録)数と成約数の比率
次に、中古マンションの発売(新規登録)数と成約率の比率を解説します。
2022年の首都圏における中古マンションの発売率と成約率は、以下のとおりです。
築0~5年 | 築6~10年 | 築11~15年 | 築16~20年 | 築21~25年 | 築26~30年 | 築31年~ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
発売率(新規登録率) | 6.7% | 8.5% | 8.4% | 10.2% | 10.0% | 9.2% | 46.9% |
成約率 | 9.3% | 14.4% | 12.5% | 13.8% | 10.7% | 7.8% | 31.5% |
参考:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
上記のデータから、築31年以上の中古マンションの発売率(新規登録率)が46.9%、成約率が31.5%と、他の築年数の中でも最も割合を占めていることがわかります。
発売率(新規登録率)が50%程度を占めている背景として、1960年代のマンション建設ブームから60年程度の歴史があり、築50年以上の中古マンションが増えてきていることが原因として挙げられます。
成約率が全体の3割を占めている理由としては、コロナ禍などによる新築マンションの需要低下、リノベーションが一般的になり、築古マンションを購入することへの抵抗が減少してきたことが考えられます。
また、2022年に税制改正により、住宅ローン減税の要件が緩和され、1982年1月1日以降に建てられた新耐震基準を満たした建物であれば、住宅ローン控除が受けられるようになったことも理由の1つです。
2.【2023年最新】築50年のマンションの売却相場
2023年最新の、首都圏における築50年のマンション売却相場は、以下のとおりです。
具体的な築年数別の売却価格は、以下のとおりです。
築0~5年 | 築6~10年 | 築11~15年 | 築16~20年 | 築21~25年 | 築26~30年 | 築31年~ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
売却価格 | 6,638万円 | 6,193万円 | 5,543万円 | 5,250万円 | 4,290万円 | 2,832万円 | 2,193万円 |
平方メートル単価 | 105.2万円 | 93.7万円 | 79.8万円 | 74万円 | 61.9万円 | 44.5万円 | 38.9万円 |
参考:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
築年数の経過とともに、マンション売却価格が下がることがわかります。
築50年のマンション売却相場は、築30年超のマンション売却相場が約2,000万円であることから、築0〜築5年のマンション売却相場と比べて3分の1程度、築10年のマンション売却相場から築20年のマンション売却相場までと比べると半分以下の売却額になることが予想できます。
築40年のマンション売却相場であっても、同様に価格は下落すると予想できます。なお、マンションの価格は築年数だけでなく、市場の需要や立地条件、建物が持つ個別要素などによって価格が変動するため、目安として参考にするのが賢明です。
3.築50年のマンションが「売れない」と言われる理由
築50年のマンションが「売れない」と言われる理由は、以下のとおりです。
- 建物や設備が古いため買い手がつきづらい
- 旧耐震基準で建築された可能性が高い
- 住宅ローンの審査に通りづらい
- 修繕積立金が高額になる
売れない理由を理解できると、売るための対処法がわかります。
3-1.建物や設備が古いため買い手がつきづらい
築50年のマンションは、建物や設備が古いため、買い手がつきづらいと言われています。
築50年以上のマンションであれば、エントランスがオートロックでなく、セキュリティ面に不安な建物が多いです。
また、エレベーターが完備されていないマンションもあり、利便性に欠けるケースもあります。
フルリフォームを施しても、エントランスのセキュリティやエレベーターが解消できるとは限りません。仮に解消できても、費用や時間が多くかかるので、買い手がつきづらいです。
3-2.旧耐震基準で建築された可能性が高い
築50年のマンションは、旧耐震基準で建築された可能性が高いです。
旧耐震基準とは、1981年(昭和56年)以前に建てられた建物のことで、震度5強程度の地震まで耐えられる構造の建物のことです。
2023年時点では、築42年以降のマンションが、震度6強〜7程度に耐えられる新耐震基準を満たしている建物なので、築50年のマンションであれば、旧耐震基準のマンションに該当します。
旧耐震基準は、震度5強程度までなら耐えられますが、震度6以上が発生した場合は倒壊のリスクがあります。
今後も、南海トラフ地震などが予想される日本では、買い手にとって旧耐震基準かどうかは重要な問題です。そのため、新耐震基準を満たしていない築50年以上のマンションの場合は、売却が難しくなる可能性があります。
3-3.住宅ローンの審査に通りづらい
築50年のマンションは、住宅ローンの審査に通りづらいため、買い手が見つかりにくいです。
一般的なマンションの構造である、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の耐用年数は47年です。耐用年数とは、建物の年数が経過し、計算上は資産価値がなくなるまでの年数のことを指します。
つまり、一般的なマンションの耐用年数が47年のため、築50年のマンションは価値がないと判断され、担保評価が低くなる可能性があるということになります。
また、築50年のマンションは、購入価格が安いので、収入面において住宅ローンを組めない方が購入検討者になっているケースがあります。
そのため、住宅ローンの審査に通らない方が多く、結果として売れにくくなっていると考えられます。
3-4.修繕積立金が高額になる
築50年などの年数が経過したマンションは、修繕積立金が高額になる傾向があります。
修繕積立金とは、建物の診断や修繕が必要になる場合に備えて、マンションの居住者から毎月徴収するお金のことです。
マンションの年数が経過するほど、不具合箇所が増えるので、支払う修繕積立金が増えます。
完成年次別の修繕積立金平均額は、以下のとおりです。
完成年次 | 修繕積立金平均額 (1戸あたり/1か月分) |
---|---|
昭和44年以前(1969年) | 25,348円 |
~昭和49年(1974年) | 11,306円 |
~昭和54年(1979年) | 13,112円 |
~昭和59年(1984年) | 11,673円 |
~平成元年(1989年) | 12,154円 |
~平成6年(1994年) | 12,760円 |
~平成11年(1999年) | 13,447円 |
~平成16年(2004年) | 12,649円 |
~平成21年(2009年) | 12,386円 |
~平成26年(2014年) | 9,846円 |
平成27年(2015年)以降 | 6,928円 |
築年数が経過するごとに、修繕積立金が増加していることがわかります。
特に、昭和44年以前に建築されたマンションの修繕積立金が増加しています。築50年を超えると、建て替えなどの問題が発生し、修繕積立金が不足するので、多くの費用を居住者から徴収しなければならないことが原因です。
築50年のマンションは、購入後の維持費用が高額になることから、売却しづらい傾向があります。
4.築50年のマンションを売却するコツ
築50年のマンションを売却するコツは、以下のとおりです。
- リフォーム・リノベーションはせずに売却する
- ホームインスペクションを行ってから売る
- 不動産買取を検討する
- 築年数が古いマンションの売却に強い不動産会社に依頼する
築50年のマンションをスムーズに売却するためにも、内容を理解しておきましょう。
4-1.リフォーム・リノベーションはせずに売却する
リフォーム・リノベーションはせずに売却することで、築50年のマンションの売却できる可能性を高められます。
あえて、価格が安い築古マンションを購入し、自分の好きなようにリフォームやリノベーションを施したいと考えている方に需要があるからです。
また、リフォームやリノベーションを施して、費用分を上乗せした価格で売り出しても、買い手は見つかりにくいです。
なぜなら、マンションは築年数ごとに相場価格が決まっており、買い手は適正相場を基準に物件を探します。そのため、相場より高いマンションは売れ残る可能性が高く、売り手が損をするケースがあります。
リフォームやリノベーションはせずに、適正価格で販売したほうが売却しやすいことを覚えておきましょう。
4-2.ホームインスペクションを行ってから売る
ホームインスペクションとは、住宅診断士が建物の劣化状況や欠陥の有無などを、専門家の立場から調査してくれることです。
築50年のマンションであれば、新耐震基準を満たしていなかったり、法定耐用年数を超えていたりと、売却に不利な条件が揃っている場合があります。そうした場合は、ホームインスペクションを行ってから売ると、買い手にマンションの安全性をアピールできます。
地域によっては築古マンションの需要は増加傾向にあります。ホームインスペクションを実施することで、他の物件と差別化し、売却できる可能性を高められます。
4-3.不動産買取を検討する
築50年のマンションを売却する場合は、不動産買取を検討するのも1つの方法です。
買取とは、一般の買主を探す「仲介」とは違い、不動産会社が直接マンションなどの物件を買い取ってくれる方法のことです。
買取は、仲介手数料がかからない上に、買い手を探す手間や労力が必要なく、短期間で売却できる特徴があります。
注意点として、仲介と比べて売却価格が安くなる傾向があり、相場の7割程度の金額で買取されます。短期間での売却に期待できることから、築50年のマンションがなかなか売れずに困っているのであれば、不動産買取を検討しましょう。
不動産買取を利用するなら活用したいのが「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」です。
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4-4.築年数が古いマンションの売却に強い不動産会社に依頼する
築年数が古いマンションの売却に強い不動産会社に依頼することで、売却できる可能性を高められます。
築古マンションの売却実績が豊富な不動産会社であれば、築50年のマンション売却に対して、適切なアドバイスや効果的な販売活動を行ってくれます。
築年数の古いマンションは、築浅物件と比較して劣化や老朽化など様々な問題が発生します。
そのため、築古マンションに慣れていない不動産会社であれば、適切に対応できないかもしれません。
一方で、築年数が古いマンションの売却に強い不動産会社であれば、劣化や老朽化などの課題に対し、豊富な知識と経験を持っています。
そのため、売るための適切なアドバイスや解決策を提供してくれて、売却できる可能性を高めてくれます。
まとめ
2023年最新データによると、築50年のマンションの売却相場は、新築時の3分の1程度まで下落するとされています。
築50年のマンションが、売れにくく価格が下落する理由は、旧耐震基準で建築された可能性が高く、修繕積立金が高額になるなどが挙げられます。
ただし、築50年のマンションであっても以下のコツを押さえれば売却できる可能性は上がります。
- リフォーム ・リノベーションをしない
- ホームインスペクションを行ってから売る
- 不動産買取を検討する
- 築年数が古いマンションの売却に強い不動産会社に依頼する
築年数が古くても諦めず、まずは信頼できる不動産会社探しから始めることをおすすめします。