築30年のマンションを売却する際、「築年数が経っていると売却は難しいのでは」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
築30年のマンションを売却するためには、マンション売却の流れや費用だけでなく以下のポイントも押さえておく必要があります。マンション売却と築年数がどう関係するのかを知り、正しく対策を立てることで、売却成功に近づくことができるでしょう。
- 築30 年のマンション売却相場
- 築30年のマンションが売れない理由
- 築30年のマンションの成約率
- 築30年のマンションを売却するコツ
Contents
1.築30年の中古マンションの売却相場
築30年のマンションを売却するには、まず相場を知っておかなければなりません。
次のグラフは、「東日本不動産流通機構」の資料で示されている、首都圏における中古マンションの相場を築年数別に表したものです。
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
「□」の新規登録物件は実際に市場で売り出されているマンションの平均価格で、「■」は実際に成約したマンションの価格になります。
築16年までは売り出し物件と売却された物件の価格にほとんど差はありませんが、築16年を過ぎると、売却価格のほうが下回っています。つまり築年数が経つと、売主の希望価格よりも実際に売れる成約価格は低くなっていく、ということになります。
築年数ごとの詳細な平均価格や面積、平方メートルあたりの単価は、以下の表を参照ください。
価格(万円) | 面積(平方メートル) | 平方メートル単価(万円) | |
---|---|---|---|
築0年~5年 | 6,638 | 63.09 | 105.21 |
築6年~10年 | 6,193 | 66.05 | 93.76 |
築11年~15年 | 5,543 | 69.41 | 79.86 |
築16年~20年 | 5,250 | 70.94 | 74.01 |
築21年~25年 | 4,290 | 69.29 | 61.91 |
築26年~30年 | 2,832 | 63.54 | 44.57 |
築31年~ | 2,193 | 56.25 | 38.98 |
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
築0年から5年のマンションの平均的な売却価格は6,638万円となっています。築6年から築10年のマンション売却相場は6,193万円と、築5年までの価格から少々下落しているものの、大差はありません。
しかし、築21から25年のマンション売却相場を見ると、築5年までの価格の6割程度まで価格が下落しています。
築30年ほどの中古マンションの売却価格は、築5年までのマンション売却相場と比較して3分の1程度価格が下がっていることがわかります。
築40年のマンション売却相場、築50年のマンション売却相場も同様に下落することが予想されますので、やはり高値で売りたい場合は早期の売却を目指さなければなりません。
売却のために詳しい価値を把握したい方は、不動産会社に査定を依頼してみましょう。
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2.築30年のマンションが売れないとされる3つの理由
マンションは築30年が経過すると売却が難しくなります。以下の円グラフの、成約物件と新規登録物件それぞれの割合からもその傾向が見て取れます。
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」※お家のいろは編集部作成
また、築30年のマンション売却が難しいとされるのは、以下の理由があります。
- 建物や設備が古く不具合が発生しやすい
- 住宅ローン控除の利用が難しかった
- 耐震性基準を満たすか不安に思われやすい
上記の要因が買い手に与える印象や購入の意思決定に対して、どのように影響するのかなどを解説します。
2-1.建物や設備が古く不具合が発生しやすい
築30年のマンションが売れないとされる理由のひとつが、建物や設備が古く、不具合が発生しやすいことです。
マンションが建てられてから30年以上経てば、建物や設備には劣化が見られ、壁や天井などにも傷などが目立つようになります。
そのため、買い手の印象がダウンしやすくなります。また、設備の不具合など、購入後の維持管理にかかる費用も懸念点となり、購入意欲が低下する原因となります。
2-2.住宅ローン控除の利用が難しかった
2022年に税制改正が行われるまで、築30年のマンションは、住宅ローン控除の認定が難しいとされてきました。
住宅ローン控除とは、マンションなどの購入で銀行から10年以上のローンを借りている場合、一定期間、所得税から控除される特例のことをいいます。
以前は住宅ローン控除の適用が築25年までの物件だったため、築30年の物件を購入しても住宅ローン控除が対象外でした。
しかし、2022年の税制改正によって築年数要件が撤廃され、現在では築30年のマンションでも条件を満たせば住宅ローン控除が受けられます。
■住宅ローン控除が適用される条件
- 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
- 自分自身で居住するための住宅であること
- 床面積が50平方メートル以上であること
- 自宅で事業を営んでいる場合、床面積の2分の1以上を居住のために使用すること
- 合計所得金額が2,000万円以下であること
2-3.耐震性基準を満たすか不安に思われやすい
耐震性基準を満たした物件かどうか、買い手から不安に思われやすいことも、築30年のマンションが売れないとされる理由のひとつです。
新耐震性基準は、1981年6月1日以降に建築確認申請を通した物件に適用されるため、2023年の時点だと築30年の物件は新耐震性基準を満たしています。
しかし、新耐震基準が適用となった具体的な日にちを知らない方も多いため、「築30年も過ぎているので耐震性に問題はないのか」と不安視される方や、購入を避けてしまう方は少なくありません。
3.築30年のマンションを売却する際の成約率
築30年のマンションを売却する場合、実際の成約率が気になるところでしょう。マンションの成約率について解説します。
3-1.築年数ごとのマンションの成約率
築30年のマンションは、築浅のマンションと比べて成約率が大きく下がります。
次のグラフは、マンションの築年数ごとの成約率を表したものです。
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
上記のグラフを見ると、成約率は築6年から10年の中古マンションが最も高く、築年数が古くなればなるほど低くなることがわかります。築20年を過ぎたあたりから、成約率の下落幅も大きくなり、築30年を超えるマンションの成約率は15%を下回っています。
3-2.成約率全体のうち築30年のマンションは約3割
東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」のデータでは、成約物件全体のうち、築30年以上のマンションは約3割を占めています。
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
2022年の成約物件のなかで、築31年以上のマンションは31.5%となっています。対して、2022年の新規登録物件のうち、築31年以上の物件は46.9%もあります。
新規登録物件はまだ成約が決まっていない物件、つまり在庫と考えられます。したがって、在庫のうち半数近くを築30年超の物件が占めているということになります。
前述したデータからも、築30年を過ぎた物件は、成約率が下がるだけでなく売れ残る割合も大きいため、できる限り早期の売却が望ましいといえます。
4.築30年のマンションを売却するコツ
築30年のマンションを売却するためには、以下3つのコツを押さえて売却活動を行いましょう。
- リフォームやリノベーションはせずに売りに出す
- 築年数が古いマンションの強みや魅力を伝える
- 買取で売却する
- 築年数が古いマンションの売却実績が豊富な不動産会社に依頼する
コツをおさえておくことは、売却できるかだけでなく、売れ残りや損失リスクを避けることにもつながります。
4-1.リフォームやリノベーションはせずに売りに出す
築30年のマンションは、リフォームやリノベーションをせずに売り出しましょう。
築年数が古いマンションは、自分好みにリノベーションをする目的で探す人が多くいます。
そのため、費用をかけてリフォームやリノベーションをしても、高く売れるとは限りません。
買い手の好みに合わなければ、売却さえも難しくなってしまいますので、まずはリノベーションせずに売り出し、市場の反応が良くない場合はリノベーションを検討しましょう。
4-2.築年数が古いマンションの強みや魅力を伝える
築年数が古いマンションならではの強みや魅力をアピールすることで、売却へと繋げられる可能性が高まります。
例えば、築30年のマンションには以下のような魅力があります。
- 安く購入できる
- 固定資産税が安い
- 新耐震基準を満たしている
築30年のマンションは物件の価値が下がるため、買い手にとっては安く購入することができる良さがあります。
また、築年数が古くなるほど、資産価値が下がるために固定資産税が安くなります。さらに、築30年であれば新耐震基準で建てられているので、耐震性を心配する必要もありません。
買い手によって重要視するポイントは異なるため、築年数が経過している物件だからこその魅力をアピールすることで、買い手の購入意欲を高めることができるはずです。
4-3.買取で売却する
仲介での売却が難しい物件や、売りに出してもなかなか買い手が見つからない場合には、買取という方法で売却ができます。
買取は、不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法ですので、買い手を探す必要がありません。
買取査定を依頼し、提示された査定額に納得すれば、すぐに売却できます。
仲介で買い手を探すよりも価格が少し低くなりますが、内覧対応の必要もないため短期間での売却が可能です。
また、引き渡し後に不具合が見つかっても、買取の場合は契約不適合責任を免責とするのが一般的なので、築年数が古い物件でも安心して売却できます。
不動産買取を利用するなら、一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」がおすすめです。
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査定申し込みフォームに「買取希望」と入力することで、買取査定を受けることが可能です。買取査定をご希望の場合は、ぜひ「不動産売却 HOME4U」をご活用ください。
4-4.築年数が古いマンションの売却実績が豊富な不動産会社に依頼する
売却が難しい築年数が古いマンションは、古い物件の売却を得意とする実績豊富な不動産会社に依頼することが大切です。
不動産会社はどこも同じと思うかもしれませんが、それぞれ得意・不得意があります。売却を依頼する際は、築年数の古いマンションを多く取り扱う不動産会社だとノウハウもあり安心です。不動産会社によっては、古い物件を探している顧客を抱えていることもあります。
不動産会社の得意分野はホームページで確認できることが多いので、古い物件の取扱いについて確認してみてください。
また、一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」なら、信頼して売却を任せられる不動産会社を探せますので、ぜひ一度査定依頼することをおすすめします。
まとめ
築30年のマンションは、「建物や設備が古く不具合が発生しやすい」「住宅ローン控除の利用が難しいと誤解される」「耐震性基準を満たすか不安に思われやすい」などの理由で敬遠されるリスクがあります。
実際、新築や築5年以内の築浅マンションの約50%程度とされています。
ただし、本文でご紹介した通り、以下のポイントを押さえることで、築30年のマンションを売却できる可能性があります。
- リフォー ムやリノベーションはせずに売りに出す
- 築年数が古いマンションの強みや魅力を伝える
- 買取で売却する
- 築年数が古いマンションの売却実績が豊富な不動産会社に依頼する
築年数が上がるほど、実績のある不動産会社のサポートが重要になります。まずは「不動産売却 HOME4U」などの一括査定サイトを利用して、不動産会社を探すことをおすすめします。