住み替えや相続などで、将来マンションを売却する可能性のある方なら誰でも、売却のベストなタイミングや、築何年くらいまでなら買主が見つかりやすいのかなどが気になっているのではないでしょうか。
この記事では、マンションの築年数と売却の関係について解説します。マンションの築年数に関する様々な制度の仕組みを詳しく知ることで、マンション売却に適した築年数や、タイミングを逃してしまったときの対処法についても知ることができます。ぜひ最後までお読みいただき、最適なマンション売却のタイミングで、できるだけ高い価格での売却を成功させてください。
Contents
1.築年数に見るマンション価格の推移
この章では、築年数別におけるマンション価格の推移を確認します。
以下のグラフは公益社団法人東日本不動産流通機構による「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」から抜粋した平均の成約単価です。成約単価とは「売出価格(売主が最初につけた価格)」ではなく「成約価格(実際に売買が決まった価格)」の平米あたりの価格を表します。
成約平均単価を見ると、マンションの価格は築年数に応じて下がり続けています。築31年超の物件は、統計上、全て合算しているため、やや上がっていますが、基本的には築年数が古いほど、マンション価格は下がる傾向にあることがわかります。
とは言え、マンション価格の中には、土地価格も含まれるため、最終的にゼロになるわけではありません。建物価格が下がり切れば、あとは土地値だけで取引されます。つまり中古マンションの価格は土地値の影響も受けますので、土地価格が上昇しているときは、築年数が経過してもマンション価格が値上がりすることもあり得ますが、稀なケースと思っておいた方が無難です。
マンション価格が下がるのは、建物価格が築年数の経過に従って下がる性質があるのが理由です。築年数が浅くても、基本的には買った時より値は下がります。何年目で売っても価格は下がることから、税制面で「売りやすい」または「損をしない」築年数を探ることが賢明な選択といえます。
2.築年数ごとに見るマンション売却価格の変化
1章でも説明したとおり、マンションの売却価格は、築年数を経るごとに下落していくと考えるのが一般的です。この章では、築年数ごとにマンションの売却価格がどのように変化していくのかを説明します。
2-1.築10年以内のマンション
新築マンションは、誰かに購入された瞬間から「中古マンション」となります。その時点から、価格の下落が始まります。
とはいえ、築10年以内のマンション、特に築5年以内の築浅物件は設備の状態もまだ良好で、新築物件とあまり遜色がありません。そのため、新築物件の8割程度の価格設定でも買い手がすぐに現れることが期待できます。
2-2.築11年~20年以内のマンション
頑丈なマンションであっても、この頃になると少々古びてきます。築20年以内のマンションは、新築物件のおよそ5割から7割程度の売却価格になるのが一般的です。買い手にとっては、お手頃感のある物件といえます。
マンションの初回の大規模修繕が必要になるのもこの時期ですので、修繕費の負担を求められそうな場合は、それまでに売却を急いだほうがよいかもしれません。
2-3.築20年以上のマンション
築20年を超えると、売却価格は新築時の半分以下、4~5割程度にまで落ち込みます。その一方で、年数ごとの価格の下落幅が緩やかになってくる時期でもあります。
この時期になると設備なども老朽化するため、買い手側もリフォームを視野に入れて検討する場合が多くなります。
3.築25年以内のマンションが売りやすい理由とは
税制面で売却しやすいマンションは築25年以内の物件です。この章では築25年以内の物件がなぜ売却しやすいかについて解説します。
3-1.買主が登録免許税を軽減できる
マンションを購入すると、買主には不動産取得税および登録免許税が発生します。このうち、登録免許税には、築25年以内だと買主が軽減措置を受けることができる制度があります。
登録免許税とは、買主が登記簿謄本に所有権の移転登記や抵当権の設定登記を行う際に支払う税金です。抵当権設定登記は買主が住宅ローンを利用する際に行います。登録免許税は、以下の式で求められます。
抵当権設定登記 = 債権額 × 税率
中古住宅の登録免許税には、「住宅用家屋についての軽減」措置が存在します。住宅用家屋についての軽減の適用を受けると、建物の所有権移転登記と抵当権設定登記の税率が本則から軽減税率へと下がります。(※令和4年3月31日まで)
登記の種類 | 本則 | 軽減税率 |
---|---|---|
所有権移転登記(建物) | 2% | 0.3% |
抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% |
買主が住宅用家屋についての軽減を受けるためには、次のような要件が必要です。
- 自分が住むための住宅であり、床面積の90%以上が居住部分であること。
- 床面積が50平米以上(登記簿面積)であること。
- 取得後1年以内に登記をすること。
- 以下のいずれかの要件を満たした住宅であること。
イ.木造などの非耐火建築物は築20年以内、耐火建築物は築25年以内であること。ロ.築年数にかかわらず新耐震基準に適合する住宅であることが証明されたこと。ハ.築年数にかかわらず既存住宅売買瑕疵保険に加入していること(加入後2年以内のものに限る)。
ここで、「(4)イ.」の要件として、「耐火建築物は築25年以内」というのがあります。耐火建築物とは燃えにくい建築物のことです。マンションは鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で造られているため、耐火建築物に相当します。
買主からすると、床面積が50平米以上で、かつ、築25年以内のマンションは、登録免許税が安くなるため、お得な物件と言えます。そのため、マンションの築年数は築25年以内の物件が売りやすいといえます。
3-2.買主が住宅ローン控除を適用できる
住宅ローン控除とは、返済期間が10年以上のローンを組んで住宅を購入した際、自分が住むことになった年から一定の期間にわたり、所定の額が所得税から控除される税金の特例です。
住宅ローン控除は、節税効果が大きいため、高い関心を寄せる買主が多いです。個人の売主から中古住宅を購入した場合、買主は2,000万円を借入限度額とした住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローン控除に関しても、買主が適用できるには以下の要件が必要となります。
- 中古住宅を取得し、2009年1月1日から2021年12月31日までにその住宅を自己の居住の用に供すること。
- 工事完了の日または取得の日から6ヶ月以内に、自己の居住の用に供すること。
- 床面積が50平米以上であること。
- 居住用と居住用以外の部分(例えば店舗など)があるときは、床面積の2分の1以上が居住用であること。(この場合は居住用の部分のみが控除の対象となる)
- 次のイ・ロ・ハのいずれかに該当すること
イ.木造などの非耐火建築物は築20年以内、耐火建築物は築25年以内であること。ロ.築後年数に関わらず新耐震基準に適合することが証明されたものであること。ハ.築年数にかかわらず既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入しているもの(加入後2年以内のものに限る)。
参考:国税庁「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
住宅ローン控除も登録免許税と同様に、「(5)イ.」の要件として、「耐火建築物は築25年以内」があります。以上のことからも、マンションは築25年以内に売却すれば、買主は登録免許税の軽減と住宅ローン控除の適用のメリットを受けることができるため売却しやすいといえます。
4.築25年超でも売れるマンションの条件
築25年超のマンションは、そのまま売ると買主が住宅ローン控除等を利用できないため、売却しにくくなります。しかしながら、築25年超のマンションでも、打つ手がないわけではありません。この章では築25年を超えてしまったマンションの対処法について解説します。
4-1.新耐震基準に適合したマンション
登録免許税の軽減要件や住宅ローン控除の適用要件の中には、「築後年数に関わらず新耐震基準に適合することが証明されたものであること」という要件があります。この要件は、マンション全体が耐震改修や耐震診断などを行って、新耐震基準に適合することが証明できる状態であれば利用することができます。
「新耐震基準」とは、昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認申請を通した建物のことを指します。
それに対して、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認申請(これから建てるマンションが建築基準法や各種条例等に則った合法的な建物であるかどうか、図面による審査を受ける手続きのこと)を通した建物のことを「旧耐震基準」と呼びます。旧耐震基準のマンションの場合、マンションによっては建物全体で耐震改修や耐震診断などを行っており、新耐震基準に適合することが証明できるマンションもあります。
新耐震基準に適合することが証明できる書類としては、以下のものが該当します。
- 耐震診断結果報告書
- 既存住宅に係る建設住宅性能評価書
- 瑕疵保険の保険付保証明書(以前に交付されたもの)
- 建築士法第20条第2項に規定する証明書(構造計算書)の写し
- 耐震基準適合証明書の写し
- 住宅耐震改修証明書の写し
- 固定資産税減額証明書の写し
- 増改築等工事証明書の写し
このような書類が発行できるマンションであれば、旧耐震基準のマンションであっても売却しやすくなります。旧耐震基準のマンションを売却する際は、新耐震基準に適合することが証明できる書類があるかどうかを、マンション管理組合に確認するようにしましょう。
ただし、旧耐震基準のマンションは、新耐震基準に適合することが証明できても、宅ローン控除の適用は受けることができません。そのため、旧耐震基準のマンションの場合は、次に示す「瑕疵担保保険の付保」を検討することをおすすめします。
4-2.瑕疵担保保険つきのマンション
築25年超のマンションでも、「瑕疵(かし)担保保険(「既存住宅売買瑕疵保険」の略称)」を付保すると価値が上がります。
瑕疵担保保険は、売却後、物件に瑕疵が発見された場合、その補修費用の一部を保険料によってカバーすることができる保険です。瑕疵とは、雨漏りや床の傾き等、売買の目的物が通常の品質を欠くことを指します。
前章で解説した中古住宅の登録免許税の軽減要件や住宅ローン控除の適用要件の中には、「築年数に関わらず既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入しているもの」という要件がありました。この要件は、築25年超のマンションであっても、瑕疵担保保険に加入していれば登録免許税の軽減や住宅ローン控除の適用を受けることができるという内容になります。そのため、瑕疵担保保険に加入することで、築25年超のマンションであっても売却しやすくなります。
瑕疵担保保険に加入するには以下の2つが必要です。
- 新耐震基準に適合した建物であること
- インスペクション(建物状況調査)に合格していること
昭和56年(1981年)6月1日以降のマンションは、新耐震基準を満たしているため、わざわざ耐震診断や耐震改修を行っていないことが通常です。しかしながら、昭和56年(1981年)築の建物は、2019年時点では築38年となるため、築26年から築38年のマンションに関しては、新耐震基準を満たしているものの、住宅ローン控除等の適用ができない物件となってしまいます。
そこでこのような物件は、インスペクションに合格すれば瑕疵担保保険に加入できる物件に変えることができます。
4-3.インスペクションつきのマンション
築25年超のマンションは、瑕疵担保保険まで付保しておけば完璧ですが、瑕疵担保保険を付保しなくても、インスペクションに合格しているだけで十分に価値があるといえます。
インスペクションとは専門家による建物の目視調査です。インスペクションでは主に柱や基礎、壁、屋根などの構造耐力上主要な部分や、外壁や開口部などの雨水の浸入を防止する部分について、専門家による目視や計測等の調査が行われます。
- マンションのインスペクションの費用相場:5万円程度
- 実施までにかかる期間:インスペクター(検査する人)の手配で1週間、報告書の作成で1週間、合計2週間程度
- 検査に要する時間:3時間程度~半日
瑕疵担保保険は、どんな建物でも加入できるわけではありません。人間でも、生命保険やがん保険は、健康状態が良好でないと入れないのと同様に、建物も一定レベルの状態を保っていないと保険には入ることができないのです。
インスペクションは、人間でいえば健康診断のようなものに該当します。インスペクションに合格すれば、一定以上の品質が保たれた状態の建物であるため、瑕疵担保保険に加入することができるのです。
インスペクションは部屋ごとに行うことができますので、マンション全体での耐震診断や耐震改修工事は不要です。築25年超で、かつ、新耐震基準を満たした建物であれば、マンション全体での耐震改修工事は行いませんので、「インスペクションに合格すること」が現実的な対応方法となります。
インスペクションを希望する場合は、不動産会社に依頼すると、インスペクターの手配をしてくれます。不動産会社によっては、無料で実施してくれるケースもあります。仲介を依頼する際に、インスペクションの無料サービスがあることなども選定する材料に盛り込むとよいでしょう。
築25年超のマンションは、少なくともインスペクションを実施しておくだけでも、付加価値になりますので、売却前にインスペクションの実施をおすすめします。
買主の立場から見た瑕疵担保保険とインスペクションの価値
実は、瑕疵担保保険の付保やインスペクションの実施は、買主の費用負担でも可能です。そのため、築25年超の物件だからといって売主が必ずこの2つを実施する必要はありません。買主自身が行っても、住宅ローン控除等が使える物件とすることはできます。
ただし、住宅ローン控除等の適用を受けるためには、買主は入居前に瑕疵担保保険の付保証明書を取得しなければなりません。
買主側で瑕疵担保保険を付保するには、売買契約後から引渡までの間に瑕疵担保保険の契約の申込を行い、入居前に瑕疵担保保険の付保証明書を取得する流れになります。瑕疵担保保険の付保のみであれば、入居前に瑕疵担保保険の付保証明書を取得するスケジュールは不可能ではありません。
しかし、ここにインスペクションの手続きが加わってしまうと、引渡から入居までの期間をかなり遅らせる必要が出てきます。買主の立場からみると、無理なスケジュールを組むよりは、築25年以内の物件を探した方が早いということになります。そのため、インスペクションに合格していない建物は、選択肢から外れることになってしまうのです。
築25年超で新耐震基準を満たしたマンションを売却したい売主の方は、インスペクションだけでも済ませておくとよいでしょう。買主の立場から見れば瑕疵担保保険の付保手続きだけで済むため「買いやすい物件」、すなわち「売れやすい物件」となります。
5.マンション売却時の所有期間と税金、特例の基礎知識
所有期間については、マンションの所有期間については、税金の特例を受けるためには5年超が最低限の目安となります。マンションは、築年数が新しいほど高く売れますが、5年以下で売却してしまうと、譲渡損失が発生したときの特例が使えないなどの不都合が生じます。この章では、マンション売却時の税金のしくみを詳しく解説します。
5-1.マンション売却時の税金の基礎知識と特例
マンションを売却したときは、譲渡所得が発生すると税金が生じます。譲渡所得は以下の計算式で表される所得です。
※2 取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3 譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費など、家の売却に要した費用のことを指します。(ただし、譲渡費用の中には抵当権抹消関連費用は含まれません。)
マンションのようなマイホームは「居住用財産」と呼ばれます。居住用財産は、以下のいずれかのものが該当します。
- 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
- 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
- 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
- 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)
参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
居住用財産を売却した場合、3,000万円の特別控除と呼ばれる特例を利用することができます。3,000万円の特別控除を利用すると、譲渡所得は以下のように計算されます。
3,000万円の特別控除の特例を適用した結果、譲渡所得がマイナスになれば税金は発生しないことになります。3,000万円の特別控除の適用要件には、所有期間や築年数の要件はありません。築年数を問わず、居住用財産の要件を満たしていれば、3,000万円の特別控除を利用することができます。
5-2.譲渡損失が出た場合にも所有5年超で特例が使える
3,000万円の特別控除を適用する以前の段階で、譲渡所得がマイナスと計算されることもあります。このようなマイナスの譲渡所得のことを譲渡損失と呼びます。
居住用財産の売却で、譲渡損失が発生した場合、以下の2つの特例を利用することができます。
- 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
これらの2つの特例は、譲渡損失を他の給与所得にぶつけることで、所得全体を減らすことができ、給与所得を前提に会社が支払っていた源泉徴収税の還付を受けることができます。2つの特例を利用する際、売却する資産には、以下の要件が必要となります。
- 譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの
- 次のアからエのいずれかに該当するものであること
ただし、その災害があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものに限る。
参考:国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
つまり、譲渡損失が発生したときの特例は、少なくとも所有期間が5年超であることが必要です。築年数は新しいほどマンションは高く売れますが、保有期間が5年以下で売却してしまうと売却時の税金で損をすることがあるということを知っておいてください。
5-3.譲渡益が出る場合は所有期間10年超がさらにお得
1億以上になる金額の大きな物件を売却する場合、3,000万円特別控除を適用しても、なお譲渡所得がプラスになってしまうことがあります。譲渡益が出る場合には、所有期間は10年超となった方が、税金面でさらにお得です。
譲渡所得に対する税率は不動産の所有期間によって決まります。1月1日時点において所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得、1月1日時点において所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と分類されます。それぞれの税率は以下の通りです。
所得の種類 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
※復興特別所得税は、所有期間に関わらず所得税に2.1%の税率がかかります。
基本税率の段階でも所有期間は5年を超えたほうが税率は低くなります。さらに、居住用財産の売却では所有期間が10年を超えると「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」の利用が可能です。所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例では、税率は以下のようになります。
譲渡所得 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
6,000万円以下の部分 | 10% | 4% |
6,000万円超の部分 | 15% | 5% |
※復興特別所得税に関しては、別途所得税に2.1%の税率がかかります。
譲渡所得は、3,000万円の特別控除の適用後の譲渡所得であるという点がポイントです。「3,000万円特別控除」と「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」は重複しての適用ができます。
3,000万円特別控除を適用しても譲渡所得が発生するケースは少ないですが、都内の物件では1億円を超す中古マンションも多くあるため、可能性はゼロではありません。税金面を考慮すれば、少なくとも10年超は保有していた方がよいといえます。
6.築5年ごとに上がる修繕積立金も価格に影響する
マンションは、築5年ごとに修繕積立金を引き上げるケースが多いです。修繕積立金が高い中古マンションは敬遠されるため、価格を下げる原因にもなります。
例えば、築16年目から築20年目にかけては修繕積立金が2.5万円だったものが、築21年目からは3.5万円に上がるマンションもあります。このようなマンションは、修繕積立金が2.5万円のうちに売り出した方が売却しやすいといえます。
またマンションでは新築当初、10年ごとに修繕積立一時金を徴収する計画となっていることが良くあります。しかし、修繕積立一時金はマンション所有者の一時的な負担が大きいため、管理組合の話し合いによって一時金の支払いを無くし、毎月の修繕積立金に上乗せする形に変更するケースが多くみられます。
修繕積立金がいつどのように引き上がるのかは、マンションの管理組合内で協議されるため、外部の買主には分かりません。修繕積立金が上がることが分かっているのであれば、その前に売却した方が良いでしょう。
築年数だけでは決まらないマンションの価値
中古マンションの価格は築年数だけで決まるわけではありません。マンション価格は土地価格と建物価格で構成されているため、土地価格の変動も価格に影響します。
以下は、公益社団法人東日本不動産流通機構による首都圏の中古マンション平均価格(※1)と東京都の地価公示及び都道府県地価調査の平均価格の10年間の推移(※2)を示したグラフです。
※1 東日本不動産流通機構(レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2018年)」
※2 土地価格相場が分かる土地代データ「東京都の土地価格相場・地価公示価格ランキング・坪単価」
グラフを見ても分かるように、中古マンションの価格は土地価格とも連動しています。2013年以降は土地価格が上昇しているため、中古マンションの価格も上昇傾向にあります。
例えば、2013年にマンションを購入した方が、2018年に売却したら、新築当時より価格が上昇していたというケースがありました。マンションは築年数が経過すると建物価格が下がりますが、それ以上に土地価格が上昇していれば、築年数が経過しても価格が上昇することがあるのです。
一方で、2009年から2012年にかけては土地価格が下落していた時期になります。これは2008年9月に発生したリーマンショックと2011年3月に発生した東日本大震災が影響しています。このような土地価格が下落する局面においては、中古マンションは建物価格の下落と土地価格の下落の双方が影響することになります。
7.マンションを少しでも高く売却するポイント
せっかくマンションを売るのなら、少しでも高い価格で売却したいものですよね。ここではマンションを高く売却するためのポイントについて解説します。
7-1.内見対策で好印象を勝ち取ろう
不動産の購入を検討している方にとって、内見して肌で感じた印象が購入の判断に大きな影響を与えるのは言うまでもありません。購入検討者に好印象を与えるための最初のポイントは、掃除や片付けを万全にしておくことです。特に水回りは重要で、汚れや劣化が目立つ状態だと購入意欲は著しく萎えてしまいます。
また、部屋を明るくしたり、扉を開放したりして、視覚的に広々とした印象を与えるのも大切です。おしゃれな家具などを配置して、購入後の魅力的な生活を予感させるホームステージングなどもおすすめです。費用対効果も考えた対策を練る必要があります。
7-2.リフォームをして逆効果にならないように注意する
古くなったマンションを売るために、リフォームして高く売ろうと考える方もいますが、慎重な判断が必要です。
理由として、リフォームでかけた額ほどの売値上昇が果たせず、結局は割に合わなかったというケースがしばしば起きるからです。中古マンションの購入検討者の中には、自身のこだわりやライフスタイルに合わせて、自らリフォームしたいと考えている方も多くいます。そうした方にとっては、多少古びていても価格が安い方が遥かに魅力的です。むしろ、そうした方に向けて広告を展開することで、早く売れる可能性も高くなります。
7-3.価格交渉を織り込んだ売値設定をする
マンションの売買において、買い手側も値下げ交渉をお願いする場合が多くあります。そのため、値下げ交渉に備えて、あらかじめ値下げできるように幅を持たせた売値を設定した方がよいでしょう。
例えば、査定価格が1,180万円のところを1,280万円で売りに出し、交渉ではまず端数の80万円を値下げして、1,200万円で売るなどもテクニックのひとつです。
8.売却しなかった場合に検討するべきコスト
どんなに立派なマンションも、住み続けていれば設備は古くなり、修理や交換といったメンテナンス費用が必要になる場面も増えてきます。この章では、もし売却しなかった場合、どれくらいのコストがかかるものなのかをピックアップしました。
8-1.設備の修理・交換費用
長く住み続けていると、入居時は使えた空調や給湯器などの設備が故障して修理や交換の費用が発生する場合があります。細かい設備なら数万から10万円程度の修繕費で済みますが、フローリングの交換などは数十万円もの出費になる場合もあります。
何がいつ故障するかは予想しがたいものですが、今の状態やおよその耐久寿命を調べて資金計画を立てておき、いざというときに慌てないよう備えましょう。
8-2.マンション修繕のための追加費用
マンションが修繕などの必要に見舞われ、工事費用が足りないときには、数十万円~数百万円の費用が徴収される可能性もあります。こうした場合に備え、積立金やマンションの状況を調べ、追加コストのリスクを見極めるのが大切です。
とりわけ大きな出費になる可能性が高い、大規模修繕はおよそ12年周期で行われるのが一般的です。大きな出費を伴う前に、早めにマンションを売却するのが望ましいといえるでしょう。
マンション売却の流れは以下の記事で詳しく解説しています。
9.どんな築年数のマンションでも、信頼できる不動産会社に依頼することが重要
マンションの売却はどのような築年数の物件を売るにしても、信頼できる不動産会社に依頼することが重要です。築25年以内の売りやすい物件であっても、意欲のない不動産会社に当たってしまうと満足のいく売却ができません。築25年超の物件であれば、尚更、売却が難しくなります。
さらに、査定価格は不動産会社により異なります。数十万円の差が出ることも珍しくないため、高く売ってくれそうな不動産会社を見つけるには、複数の不動産会社を比べることも欠かせません。
しかし、自分で高く売ってくれそうな不動産会社を探すのは、手間も時間もかかってしまいます。そこで、信頼できる複数の不動産会社を簡単に見つけるなら、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」がおすすめです。
「不動産売却 HOME4U」を使えば、複数の不動産会社に一括で査定依頼できるため、複数の査定結果から、高い査定価格の不動産会社にマンション売却を依頼することができます。
また、複数の査定価格から売却相場を把握することができ、相場に合わせた価格でマンションを売りに出すことで、早く売却できる可能性が高くなります。相場感を把握しておくことで、例えば購入希望者から値引きの打診があっても、どの程度の値引きが適正か、判断しやすくなります。必要以上の値引きに応じて、損をしてしまうリスクを最小限にとどめることが可能です。
査定価格以外にも、「不動産売却 HOME4U」の参画企業はマンション売却実績豊富な企業が多く、マンションの築年数に応じた、売却方法の適切なアドバイスもしてもらえます。具体的な売却方法についても、目利き力のある不動産会社にアドバイスを受けながら、決めることができます。「不動産売却 HOME4U」を使って複数の会社の査定額やアドバイスをしっかり比較し、賢いマンション売却を進めてください。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、マンション売却と築年数の関係について解説してきました。
- マンションの価格は築年数の経過に伴い下落するため、いつまでなら高く売れるという年数は存在しません。ただし、登録免許税の軽減や住宅ローン控除の適用の要件により、築25年以内が有利といえます。
- 所有期間については、税金特例の利用を考えると、少なくとも5年超は保有した方がよいといえます。
- 築年数や所有期間だけでなく、各種のメンテナンスに伴う費用や、修繕積立金が値上りするタイミング、土地価格の上昇も加味しながら、売却のタイミングを探ることが必要です。
- 売却に際しては、費用対効果を十分に考え、購入検討者になるべく好印象を与えるような対策が重要です。
売却予定のマンションがあれば、「不動産売却 HOME4U」を使って、早いうちから売却活動を進めることをおすすめします。