土地の売買は、多くの人にとって一生に一度の大きな決断です。どこから手をつければ良いのか、どんな手続きが必要なのか、不安に感じる方も少なくないでしょう。また、費用や税金についても、わかりにくい部分が多くあります。
そこでこの記事では、土地売買の流れや必要書類、費用、注意点を徹底解説します。
- 「土地を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
- 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります ※依頼する6社の中での最高価格
- 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
Contents
1.土地売買の流れ
土地の売買をスムーズに進めるためには、土地売買の全体的な流れを知っておくことが重要です。ここでは、各手順に沿って具体的に解説します。
土地の売却について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
1-1.【売主・購入希望者】土地の価格相場を調べる
土地の相場を知ることで、適正な売却価格や購入価格を設定できます。不動産ポータルサイトやお住まいの地域にある不動産会社のホームページを参考にして、周辺の取引事例を確認しましょう。
これにより、取引がスムーズに進む可能性が高まります。
1-2.【売主】不動産会社に査定を依頼する
土地を売却する際は、まず不動産会社に査定を依頼しましょう。
1-3.【売主】不動産会社と媒介契約の締結
媒介契約は、売主が不動産会社に売却活動を依頼する際に結ぶ契約です。
契約種類 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
---|---|---|---|
依頼できる業者数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社へ依頼可能(1社のみでも可) |
自己発見取引 | 不可(必ず不動産会社を通して取引) | 可能 | 可能 |
業務報告の頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 義務なし |
レインズへの登録義務 | 媒介契約後5営業日以内に登録必須 | 媒介契約後7営業日以内に登録必須 | 登録は任意 |
出典:「“3種類の媒介契約”. 国土交通大臣指定 公益財団法人 東日本不動産流通機構. (参照2024-08-18)」をもとに、お家のいろはが独自に作成
契約の種類には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があるため、状況に応じて最適なものを選びましょう。媒介契約を締結すれば、売却活動が正式にスタートします。
1-4.【売主】土地の売却価格の決定
売却価格の決定を慎重に行い、適正な価格を設定することで、早期売却が可能です。価格を決める際には、周辺の相場や不動産会社の査定結果、市場の状況をよく考慮しましょう。
1-5.【売主】土地の売却活動を開始する
土地の売却活動は、媒介契約を結んだ不動産会社が広告やネット掲載を通じて購入希望者を探すことから始まります。
具体的には、不動産ポータルサイト、販売チラシの配布、新聞や雑誌の広告、SNSを使った宣伝などを活用して、効果的な売却活動を行います。
広範囲にわたる宣伝活動によって、多くの購入希望者にアプローチすることが可能です。
1-6.【売主・購入希望者】土地の見学と対応
土地の見学は、購入希望者が実際に土地を購入するかどうかの判断をするための大切な機会です。通常、土地の見学は不動産会社の担当者が対応し、売主が立ち会う必要はありません。
しかし、以下のような特定のケースでは売主の立ち会いが求められることがあります。
- 土地の境界線を確認する必要があるケース
- 土地に埋設物や建物の基礎が残っているようなケース
このような場合、対処方法を説明するために売主による立ち会いがおすすめです。
1-7.【売主・購入希望者】土地の売買条件の交渉
土地の売買条件の交渉では、主に価格の調整が中心となりますが、その他にもさまざまな条件が交渉の対象となります。
例えば、土地の境界線がはっきりしていない場合、購入希望者は境界確定を条件として契約を進めることが考えられます。この場合、売主と買主のどちらが費用を負担するかが交渉のポイントとなるでしょう。
- 売買価格を引き下げる → 境界確定費用は買主負担にする
- 売買価格を据え置く → 境界確定費用は売主負担にする
上記のように、売買価格と費用負担のバランスを考慮して交渉を行うことで、スムーズな契約成立につながります。
1-8.【売主・買主】土地の売買契約の締結
売買条件が双方で合意に達したら、売買契約を締結します。契約時には手付金を支払うことが一般的です。売買契約の締結後に、売主と買主はそれぞれ引き渡しに向けた準備を進めます。
1-9.【売主・買主】土地の決済と引き渡し
土地の決済と引き渡し時には、買主が残代金を支払い、売主から買主へ正式に土地の所有権が移転します。一般的には、司法書士が立ち会い、所有権移転登記の手続きを行います。これにより、土地の所有者が法的に変更され、売買が完了します。
なお、土地は個人売買することも可能です。土地の個人売買を検討中の方は以下の記事をご覧ください。
2.土地の売買に必要な書類
土地の売買をスムーズに進めるためには、売主と買主がそれぞれ必要な書類を適切に準備することが欠かせません。ここでは、土地の売買に必要な書類を解説します。
2-1.売主と買主に共通する必要書類
土地の売買において、売主と買主が共通して準備すべき書類は以下のとおりです。
(1)本人確認書類
一般的に、運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの本人確認書類が使用されますが、持っていない場合には、以下のような証明書類を2つ以上用意する必要があります。
- 健康保険証
- 年金手帳
- 後期高齢者医療被保険者証
- 介護保険被保険者証
(2)印鑑証明書
印鑑証明書は、売買契約書に押印する印鑑が、公的に登録された実印であることを証明するために必要です。所有権移転登記の際の登記申請書に実印を押す場合、印鑑証明書が必須となります。
買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関から印鑑証明書の提出が求められることが一般的です。
(3)住民票
住民票は、所有権移転登記の際に売主の現在の住所を証明するために必要です。登記上の住所と異なる場合、住民票で現住所を証明する必要(ただし、住民票で登記簿上の住所と現在の住所とのつながりを証明できない場合、戸籍附票が必要)があります。
なお、購入後に行う所有権移転登記の際に、買主の住所を登記簿に記載するためにも必要です。
ただし、買主が融資を受けずに現金で購入するケースや、すでに登記簿に記載されている住所が最新のものであれば、住民票の提出が省略されることもあります。
2-2.売主の必要書類
売主は、土地の権利関係や状態を明確にするために以下のような書類が必要です。
(1)権利証または登記識別情報通知書
権利証(登記済証)は旧制度の所有権証明書で、登記識別情報通知書は現在の電子登記で発行される識別番号付き書類です。これらは所有権移転時に必須で、紛失すると手続きが複雑になるため、厳重に保管しておきましょう。
(2)境界確認書
境界確認書は、隣接地との境界を明確に確認し記録した書類で、境界が不明瞭な土地の売買でトラブルを防ぐために重要です。これを用意することで、取引後の争いを避け、買主の信頼を得られます。
(3)固定資産税納税通知書
年間の固定資産税は土地を売買し決済を行う際、売主と買主の間で月割りまたは日割りで按分して精算されるのが一般的です。清算金を正確に計算するために必要になるのが、固定資産税納税通知書です。
月割りによる計算は、例えば以下のような按分になります(固定資産税の起算日が2024年4月1日、売却月が6月の場合)。
- 2024年4月~2024年6月までの3か月分・・・売主負担
- 2024年7月~2025年3月までの9か月分・・・買主負担
精算方法や金額は、契約時に合意に達するようにします。
(4)抵当権抹消書類
抵当権抹消書類とは、土地に設定された抵当権を解除するために必要な書類です。金融機関など抵当権者からの同意書や、抹消登記を申請するための登記申請書が含まれます。
通常、司法書士が書類を準備し、登記所に提出します。これにより抵当権が正式に抹消され、土地が担保から解放されます。
2-3.買主の必要書類
買主が準備すべき書類は、主に購入資金の確認や、所有権移転に関連するものです。以下の書類が必要となります。
- 資金証明書
- 住宅ローン仮審査承諾書申込書
(1)資金証明書
購入資金が確保されていることを証明する書類です。これには、銀行の残高証明書や融資承認通知書などが該当します。売主に対して、支払い能力があることを示すために重要です。
(2)住宅ローン仮審査承諾書
住宅ローンを利用する場合、金融機関の仮審査が承諾されたことを証明する書類です。これにより資金調達の目処が立ち、安心して契約できます。
なお、土地の売却で利益が出たり、特例を利用したりする場合は、翌年に確定申告が必要です。確定申告の手続きや注意点については、以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。
3.土地の売買にかかる費用と税金
ここでは、土地の売買にかかる費用と税金について詳しく解説します。
3-1.土地の売買にかかる費用
売主・買主の土地売買にかかる経費一覧は、以下のとおりです。
費用項目 | 売主が負担 | 買主が負担 |
---|---|---|
仲介手数料 | 売買価格が400万円を超える場合:「売却価格 × 3% + 6万円」+ 消費税 | 売買価格が400万円を超える場合:「売却価格 × 3% + 6万円」+ 消費税 |
建物解体費 | 既存建物を取り壊す場合の費用 (例)接道状況や建物の規模により異なるが、100平米程度の木造住宅なら約200万円が目安 |
購入した土地に古い建物がある場合、解体費用を負担 (例)※土地条件や建物の状態により費用は変動 |
司法書士への報酬 | 抵当権抹消登記の場合、報酬は1万円~2万円程度が相場 | 所有権移転登記、抵当権設定登記などに必要 ※報酬額は依頼先より確認 |
出典:「“不動産取引の仲介手数料について”. 国土交通省. (参照2024-08-18)」
「“No.7191 登録免許税の税額表”. 国税庁. (参照2024-08-18)」をもとに、お家のいろはが独自に作成
土地の売却費用について詳しくは、以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
3-2.土地の売買で発生する税金
売主・買主にかかる税金一覧は、以下のとおりです。
税金項目 | 売主が負担 | 買主が負担 |
---|---|---|
印紙税 | 売買契約書に貼付する必要があり、金額は契約額に応じて異なる | 売買契約書に貼付する必要があり、金額は契約額に応じて異なる |
登録免許税 | 抵当権を抹消するための登記に必要。土地1筆につき1,000円。 住所変更の登記が必要な場合も該当 |
抵当権を抹消するための登記に必要。土地1筆につき1,000円。 住所変更の登記が必要な場合も該当 |
登録免許税 | 抵当権を抹消するための登記に必要。土地1筆につき1,000円。 住所変更の登記が必要な場合も該当 |
所有権を移転するための登記に必要で、固定資産税評価額の2%。 ただし2026年(令和8年)3月31日までの間に登記を受ける場合1.5%が課される。 住宅ローンを利用する際には、抵当権設定登記も必要 |
消費税 | 仲介手数料に対して課税され、税率は通常10% | 仲介手数料に対して課税され、税率は通常10% |
譲渡所得税 | 土地の売却益に対して課税される。 税率は所得額や所有期間により異なる |
負担なし |
不動産取得税 | 負担なし | 土地を取得したのち評価額に基づいて課税され、数か月以内に納付書が届く |
出典:「“No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで”. 国税庁. (参照2024-08-18)」をもとに、お家のいろはが独自に作成
これらの税金を事前に理解し、必要な手続きを行うことで、取引後に予期せぬ負担が生じないようにすることが重要です。
土地の売却で必要な税金について詳しくは、以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
4.土地の売買をスムーズに行うための事前準備
土地の売買をスムーズに進めるためには、事前の準備が欠かせません。以下のポイントを確認し、適切な準備を行うことで、取引が円滑に進むようにしましょう。
土地の境界を確定しておく
土地の境界が不明確だと、隣接地とのトラブルが発生するリスクがあります。
境界線が曖昧な場合、専門家である土地家屋調査士に依頼して境界を明確にし、隣地所有者と協議の上で境界確認書を作成しておきます。これにより、取引後に境界を巡る問題を防ぎ、買主に安心感を与えることができます。
土地の所有者全員に同意を得ておく
相続などで土地の所有者が複数いる場合、すべての所有者の同意を得ていないと、売買手続きを進めることはできません。同意に達しない場合は、分筆などの選択肢も考慮に入れながら協議を行い、スムーズな売却を行えるようにしておきましょう。
売却する土地の資料を準備しておく
売却に必要な資料をあらかじめ揃えておくことで、買主に対して信頼性を示し、スムーズな取引を進めることができます。例えば、全部事項証明書(登記簿謄本)、土地の測量図、固定資産税の納税通知書などが求められます。資料が整っていることで、買主は安心して購入を検討できます。
売却する土地を整えておく
土地の見た目は購入希望者に与える印象を左右します。土地がきれいに整えられていることで、買主が物件に対する価値を感じやすくなり、売却の可能性が高まります。定期的に土地を掃除し、草刈りやゴミの撤去を行って良好な状態に保つことで、購入希望者に好印象を与えるよう心がけましょう。
購入希望者への告知事項(瑕疵)をまとめておく
土地に隠れた問題(瑕疵)がある場合、売主には買主にこれを告知する義務があります。
瑕疵としては、例えば、地盤の問題や過去の利用履歴などがあります。地盤が軟弱で建築に不利だったり、過去に工場や倉庫として使用され、土壌汚染のリスクがあったりする場合など、購入後に影響を与える可能性がある事項はあらかじめ把握しておき、売却の際スムーズに告知を行えるようにしましょう。
5.【ケース別】土地を売買する際の注意点
土地売買は、ケースごとに異なる注意点が存在します。ポイントを押さえ、トラブルを未然に防ぐようにしましょう。
5-1.相続した土地
相続した土地の売買には「相続登記」が必須です。相続登記が行われていない土地は、そもそも売却や購入ができません。
相続登記が完了して初めて売主は正式な所有者となり、取引が進められます。相続税が発生する場合は、相続開始から10か月以内に申告と納税を行う必要があります。
また、相続人が複数いる場合、土地の分割や売却に関する意見が分かれることがあり、調整が必要です。購入時は、相続登記が完了していることを必ず確認するようにしましょう。
5-2.建物(古家)がある土地
古家が建っている土地を売買する際には、売主と買主の双方で注意が必要です。買主が解体費用を負担する場合、売主側にとっては売却価格が低くなるデメリットがあります。
一方、買主側としては、解体費用が予想以上にかかる可能性があるため、事前にしっかりと見積もりを取ることが重要です。また、解体には特定建材の処理費用が発生する場合があり、廃棄物処理費用も考慮する必要があります。
これらの費用を考慮して、売買価格や契約条件を慎重に調整しましょう。
5-3.貸している土地
貸している土地を売買する場合、売主側では借地権者の承諾は原則不要です。しかし、売却後も借地権者の権利は新しい地主に引き継がれるため、事前に借地権者と話し合いを行い、理解を得ることがトラブル回避につながります。
買主側では、借地権付きの土地は通常価格が低く設定されるため、借地権者との関係が継続することを前提に購入を検討することが重要です。
貸している土地の売買では、契約書や法的手続きが複雑になることが多いため、専門家の助言を受けながら慎重に進めることをおすすめします。
6.土地を売却する際は複数の不動産会社へ査定依頼を!
土地を売却する際には、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。1社だけの査定では、市場価格より低く見積もられる可能性があるため、複数の不動産会社からの査定を受けることで、より正確な市場価値を把握できます。
異なる査定額が提示された場合は理由を確認して、自分に合った信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。複数の査定を比較することで、納得のいく価格での売却が可能となります。
土地の売却を検討している方は、不動産売却の一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」を利用して、複数の不動産会社からの査定を手軽に受けてみてください。
まとめ
土地の売買をする際には、適切な準備と正確な情報をもとに、信頼できる不動産会社を選び、納得のいく取引を実現しましょう。
そのためにも、まずは本記事を参考に、売買の流れや必要な書類、かかる費用や税金について把握して、必要な準備を整えることが大切です。適切な準備をすることで、取引のトラブルを避け、安心して土地の売買を進めることができます。
納得のいく条件で取引を行うためにも、情報収集をしっかりと行い、自信を持って土地を売買しましょう。
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