不動産鑑定士への依頼費用は20万円以上が相場!不動産鑑定のおすすめケースと流れとは?

不動産鑑定士への依頼費用は20万円以上が相場!不動産鑑定のおすすめケースと流れとは?

不動産売却では不動産会社への査定依頼が一般的ですが、不動産鑑定士に依頼する方法もあります。ただし、不動産鑑定士に依頼すると20万円以上の費用が発生します。

また、不動産の売却手数料など、家を売る際には不動産売却の諸費用がかかります。最後までお読みいただき、不動産鑑定か査定かどちらが必要か見極めましょう。

この記事を読めばわかること
  • 不動産鑑定の費用
  • 不動産鑑定と査定の違い
  • 不動産鑑定士に依頼したほうが良いケースとは
  • 不動産鑑定の依頼方法と流れ
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1.不動産鑑定士への依頼費用は20万円以上が相場

1.不動産鑑定士への依頼費用は20万円以上が相場

一般的に不動産鑑定評価の費用相場は20万円以上と言われています。

土地や建物の規模、用途、内容、評価額によって金額が変動し、住宅や個人所有の不動産売却では以下の価格が相場です。

  不動産鑑定士への依頼費用 調査報告書(簡易査定)の作成
土地のみ 20万円~40万円 10万円~20万円
建物のみ 20万円~40万円 10万円~20万円
土地と建物 25万円~65万円 10万円~30万円
マンション 30万円~85万円 10万円~40万円

たとえば評価額が3,000万円程度の一戸建て住宅ならば50万円から65万円程度が相場ですが、評価額が8,000万円以上になるとその限りではありません。

また、不動産鑑定事務所によってそれぞれの費用が取り決められています。
鑑定内容によっても費用相場は変動します。

一般的な不動産売却ならば上記の表のとおりですが、裁判資料として利用する場合や、収益物件や法人所有のテナント賃料鑑定などはそれ以上の鑑定費用になるでしょう。

事前に鑑定費用を知りたい場合には、まずは鑑定事務所へ見積りを依頼してみると確実です。

2.簡易査定(調査報告書)なら少ない費用で依頼できる

2.簡易査定(調査報告書)なら少ない費用で依頼できる

不動産鑑定に対し、簡易鑑定や意見書の作成依頼ならば依頼費用は大幅に引き下がります。

目安としては簡易鑑定評価書の作成ならば不動産鑑定費用の半額以下、意見書ならば数万円で作成できます。

不動産鑑定と簡易鑑定の内容は基本的に変わりませんが、違いとして「公的機関に認められるかどうか」があります。

たとえば不動産鑑定評価書は裁判資料としても用いられ、身近なところでは相続時に発生した遺産分割協議での調停や審判、裁判でも有効な資料として扱われます。

簡易鑑定評価書は裁判資料としては用いられませんが、不動産鑑定士が作成した信頼感の高い資料として不動産売却時に活用できるでしょう。

3.不動産鑑定と不動産会社による査定の違い

3.不動産鑑定と不動産会社による査定の違い

法律に基づいて厳格な不動産評価をする不動産鑑定に対し、不動産会社のサービスとして行われている不動産査定には以下の違いがあります。

  不動産鑑定 不動産査定
費用 有料 基本的に無料
法的効力 あり なし
信頼性 高い 普通

費用について、不動産鑑定が有料なのに対し、不動産査定は基本的に無料です。

「基本的に」とは、遠方での不動産査定など条件が加わる場合には、調査費や交通費などがかかる可能性があるためです。

次に法的効力ですが、不動産鑑定には法的効力があります。

たとえば相続や財産分与、不動産売買や交換などで利用できるのと同時に、トラブルに発展し裁判になったとしても根拠として利用できるでしょう。

一方で不動産査定には法的効力がありません。不動産売却の際に参考価格を知りたいということであれば、不動産査定で十分でしょう。

最後に信頼性ですが、不動産鑑定をする不動産鑑定士は非常に難度の高い国家資格で、鑑定評価は不動産鑑定士しか取り扱えません。

そのため、不動産鑑定士が作成した不動産鑑定評価書は信頼度の非常に高い資料と言えるでしょう。

全ての不動産会社による不動産査定の信頼性は低いとまで言えませんが、なかには信頼できないものがあることも否定できません。

なぜなら、販売の委託を受注するために高額で査定額を出す不動産会社もあるからです。

また、担当者の実力によって金額が左右されることもあります。一方で、地域の不動産情報や市場に精通している不動産会社で、実績もある担当者ならば、信頼性の高い査定結果を得られるでしょう。

不動産鑑定と不動産査定のどちらが良いということはありませんが、状況により適した方法を選択することが重要です。

4.不動産鑑定士に依頼するとよい5つのケース

4.不動産鑑定士に依頼するとよい5つのケース

不動産鑑定士に依頼する主なタイミングは、不動産の価値を正確に知りたい場合や、平等に財産を分けたいとき、節税したい場合だと言えます。

具体的には以下5つのケースです。

  1. 離婚時の財産分与
  2. 負担贈与・生前贈与
  3. 親族間での不動産の交換・売買
  4. 相続・遺産分割協議
  5. 相続税の節税

離婚時の財産分与

財産分与とは、離婚時に夫婦で築いた財産を公平に分ける制度です。

預貯金などは分割しやすい資産ですが、不動産は資産価値が分かりづらいものなので、資産価値の評価額を巡ってしばしばトラブルが発生します。

不動産鑑定を用いて信頼性の高い評価額を算出してもらうことで、財産分与がスムーズに進みます。

負担付贈与・生前贈与

負担付贈与とは、無償で贈与するかわりに何らかの負担をお願いする贈与のことで、以下の例があります。

  • 住宅ローンを組んで購入した不動産を渡す代わりに、ローンの残債を支払ってもらう
  • 土地を贈与する代わりに、一部のスペースは使わせてもらう

負担付贈与と贈与との違いは、不動産評価額の計算方法です。

一般的な贈与は相続税評価額から不動産評価額を計算して贈与税を計算するのに対し、負担付贈与では不動産の時価を不動産評価額とします。そのため、不動産鑑定が有効に利用できるシーンとして考えられるのです。

一方で、生前贈与は相続税評価額から不動産評価額を計算するので不動産鑑定が不要に感じてしまいます。

しかし、相続人が複数の場合、公平に生前贈与するために不動産鑑定を利用することもあります。

親族間での不動産の交換・売買

親族間での不動産交換・売買では適正価格での取引が必要です。

なぜなら、当事者同士の合意があったとしても極端に安価、または高額での売買や、一方が得をする交換だとみなし贈与と判断され贈与税が課税されてしまうからです。

不動産鑑定を依頼し鑑定結果を参考にして価格設定すれば、適正価格としての取引になるでしょう。

相続・遺産分割協議

遺産分割協議の際に、公平な相続を実現するために不動産鑑定を依頼し、評価額を算出してもらいます。

遺産総額を算出するための不動産評価は、相続税評価額や実勢価格などを参考にします。

しかし、相続人の立場によっては相続が有利になるように評価額を設定したいと考え、不動産評価方法がまとまらないこともあるでしょう。

信頼性の高い不動産鑑定評価ならば遺産分割協議中の不動産評価に対して、相続人間の異議も出づらくなります。

相続税の節税

相続税の節税については不動産鑑定評価することによって、相続税評価額が下がり、相続税を節税できる可能性があります。

相続税評価額や固定資産税評価額などは税務通達により、機会的に評価されますが、不動産鑑定ならば不動産本来の使われ方の実態や特徴を精査します。それにより相続税評価額が引き下がることもあるのです。

一般的な住宅や土地などであれば期待は薄いものの、アパートやビル、駐車場などの収益物件ならば不動産鑑定士に相談が有効と言えます。

5.不動産鑑定の依頼方法と流れ

5.不動産鑑定の依頼方法と流れ

最後に不動産鑑定士に依頼するための流れを確認しておきましょう。

  • 不動産鑑定事務所の選定
  • 契約
  • 不動産鑑定士による調査
  • 鑑定評価書の確認

不動産鑑定の流れ

1週間程度で結果が分かる不動産会社に依頼する査定に対し、不動産鑑定評価では依頼から評価書が届くまで数週間、評価対象数や規模によってはそれ以上の時間が必要です。

相続など期限が定められている場合は、時間に余裕を持って手配しましょう。

5-1.不動産鑑定事務所を選定

まず、不動産鑑定事務所を選定するために、各都道府県の不動産鑑定士協会で紹介を受けましょう。

不動産鑑定事務所の場所や連絡先は公益財団法人日本不動産鑑定士協会連合会「不動産鑑定相談所」にて確認可能です。

不動産鑑定事務所にはいきなり依頼するのではなく、まずは簡単な相談と見積もりを依頼します。

その際、メールや電話だけで済ますのではなく、不動産鑑定士に対面で会い相談し、雰囲気などを確認することをおすすめします。

また、不動産鑑定士は豊富な知識を生かして不動産に関するコンサルティング業務も受注している場合があります。

費用や実績、自分に合わせた提案をしてくれるかどうかを分かりやすく説明してくれるかどうかを判断しましょう。

そして、不動産鑑定事務所は複数社への見積もりをおすすめします。

5-2.不動産鑑定事務所と契約

不動産鑑定事務所の選定ができたら契約します。
契約書は「依頼書兼承諾書」という日本不動産鑑定士協会連合会が定めているひな形があり、署名・捺印することで契約が成立します。

契約後は鑑定評価書作成のために、不動産に関する書類を提出しなければなりません。

代表的なものは以下の書類です。

種類 取得方法
固定資産税(都市計画税)納税証明書 毎年4月から6月ごろに市区町村から送付される
登記事項証明書(登記簿謄本) 最寄りの法務局
住宅地図 インターネット、コンビニエンスストアなどで取得可能
公図 法務局
地積測量図 法務局、または測量を依頼して作成
建物図面・平面図(建物がある場合) 法務局、所有していれば確認申請図面など
道路台帳 市区町村の役所にて取得
上水道配管図 市区町村の水道局にて取得
公共下水道台帳 市区町村の役所にて取得
ガス配管図 ガス会社から取得

この他にも私道がある場合には通行掘削承諾書や、近隣の地権者と覚書などを取り交わしている場合には用意しましょう。

書類に関する注意事項として、建物が古く建物図面がない場合や、測量図などが存在しない場合です。担当する不動産鑑定士の判断にもよりますが、必要であれば図面を作成しなければなりません。

それぞれ費用がかかりますが、建物図面は建築士に、測量図は測量事務所や土地家屋調査士に相談し依頼しましょう。

5-3.不動産鑑定士による実地調査

不動産鑑定士の実地調査では、実際に不動産を訪問し、土地・建物に分けて内容が調査されます。

実地調査も含めて調査されるポイントは大きく分けて以下の3点です。

  • 一般的要因
  • 地域的要因
  • 個別的要因

一般的要因では不動産の売買価格や利用用途などを左右する要因をさらに細分化して調べます。

自然的要因 地理上の特性、地盤や地質
社会的要因 人口密度や人口数、周辺の社会性
経済的要因 税制、物価や最低賃金、交通の利便性
行政的要因 土地や建物の利用方法や規制、不動産に関する税負担など

次に地域的要因では、不動産が以下のどのエリアに属するのかを判断します。

  • 宅地地域
  • 工業地域
  • 農地地域
  • 林地地域

属しているエリアによって、交通状況や災害発生の可能性、日照条件や平均気温など調査される内容が異なります。

最後に個別的要因では、不動産の個別な情報に関する要因が調査され、訪問時に確認されるのがこの要因です。

土地は地理的な情報や近隣の商業施設との位置関係、隣地との位置関係、地勢などが調査されます。一方、建物は築年数や床面積、構造、耐震性・耐火性などが調査項目です。

5-4.鑑定評価書を確認

調査・評価が完了されると不動産鑑定評価書が作成・提出されます。
そして以下の項目が記載されているので、誤りが無いか確認し、内容の説明を受けます。

  • 不動産の内容
  • 依頼の目的
  • 鑑定評価額を決定した基準となる日付
  • 鑑定評価額を決定した理由
  • 鑑定評価額の基本事項
  • 鑑定評価額

不動産鑑定評価書のポイントは書類の有効期限です。
有効期限が定められている書類ではないため、発行後3か月程度ならば問題なく利用できます。

発行後1年以内ならば不動産鑑定士による「時点修正での意見書」を作成依頼し、鑑定評価額を補正してもらいます。

ただし、発行後に大きな地価の変動が生じていないことが条件です。
地価が変動した場合や、発行後1年を超えた場合には不動産鑑定評価書を作成し直しましょう。

不動産鑑定評価書には最終的な評価額が記載されますが、鑑定評価書に記載されている日付時点での価格だということを認識しましょう。

売却を目的とした査定依頼なら、不動産会社による査定で十分ですので、一括査定サイトを利用して不動産査定を依頼してみましょう。

一括査定サイトを利用するなら、ぜひご活用頂きたいのが「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」です。

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まとめ

不動産鑑定について概要をつかめたでしょうか?
おさらいすると、不動産鑑定の費用相場は20万円以上で、不動産の状況や規模、内容や評価額によって変動します。

また、不動産鑑定と不動産会社による査定には以下の違いがあります。

  • 有料の不動産鑑定と基本無料が多い不動産会社による査定
  • 不動産鑑定は法的効力があり、不動産会社による査定は法的効力がない
  • 信頼性は不動産鑑定のほうが高い

一般の不動産売却では不動産会社による無料査定が主流です。ただし、相続や財産分与など、できるだけ厳密に財産を分割したい際には不動産鑑定が有効です。どちらが適しているか、しっかり見極めましょう。