マンションの価値を決める「評価額」は、一般的に6種類あります。
マンションの現状に即した価値を知るためには、6種類の中から用途ごとに異なる評価額を調べる必要があるのです。
たとえば、マンションを売却する場合は「実勢価格」や「公示価格」、マンションを相続する場合は「相続税評価額」を調べます。
この記事では、6つの評価額の種類と詳しい調べ方をわかりやすく解説します。
- マンションの評価額の種類
- マンションの評価額の調べ方
- マンションの評価額の計算方法
マンションの売却について基礎から詳しく知りたい方は『マンション売却の流れ』もあわせてご覧ください。
- 「マンションを売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
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Contents
1.マンション評価額とは?用途別に種類を解説
マンションの評価額とは、売買をするときや、相続したときなどそのマンションの価値を表す価額 です。
評価額は、用途別に6つの種類があります。
- 固定資産税評価額
- 相続税評価額
- 実勢価格
- 公示価格
- 不動産鑑定評価額
- 火災保険の建物評価額
どんなときにどんな評価額が必要なのかひと目で確認できるよう、一覧表にまとめました。
用途に応じて下表の 右側の各評価額をクリックすると、詳しい説明が見られます。
評価額の用途 | 必要な評価額 |
---|---|
所有するマンションの 固定資産税を知りたい |
固定資産税評価額 |
マンションを相続(贈与) するので相続税を知りたい |
相続税評価額 |
マンションを売るので 売却価格の相場を知りたい |
実勢価格 |
マンションが高く売れるか 目安を知るため土地の価格を知りたい |
公示価格 |
マンションを担保に借り入れ するためマンションの価値を知りたい |
不動産鑑定評価額 |
財産分与でトラブルを 招かないよう分与額を決定したい |
不動産鑑定評価額 |
マンション火災保険の 加入にあたり保険金額を決めたい |
火災保険の建物評価額 |
1-1.固定資産税評価額
固定資産評価額とは、マンションなどの不動産を所有している人が自治体に「固定資産税」や「都市計画税」などを支払う際に基準となる価格 です。
固定資産評価額は各自治体によって調査発表され、3年に一度、公示価格のおよそ70%の価格を基準に再評価します。
なお、評価額は「土地」と「建物」で分けて算出されます。
出典:相続税の申告要否判定コーナー. 固定資産税評価額|国税庁.(参照2024-8-7)
そのほか、登録免許税、不動産取得税などの計算にも固定資産評価額が使われます。
調べ方は「固定資産税評価額の調べ方」をご確認ください。
1-2.相続税評価額
相続税評価額とは、相続や贈与により土地や建物を取得したときに、相続税や贈与税の計算をするときの基準となる価格です。
相続税評価額は、「建物」と「土地」で別々に算出します。
「建物」の相続税評価額は、固定資産税と同じ金額になるため、固定資産税の課税明細書で確認が可能です。
「土地」の相続税評価額は、路線価から調べられます。
路線価とは、道路に面している標準的な土地の1平米あたりの価格。国税庁の公開している「路線価図」に、千円単位で表示されています。
路線価が定められている地域を「路線価地域」といい、このような地域では路線価をもとに相続税評価額が求められます。
ただし、路線価がない地域もあります。
路線価の定められていない地域を「倍率地域」といい、「倍率方式」という計算方法によって相続税評価額を求めます。
【路線価地域と倍率地域の違い】
- 路線価地域:市街地などの路線価が決められている地域。路線価に敷地面積をかけると、土地の相続税評価額が算出されます。
- 倍率地域:路線価が設定されていない地域。固定資産税評価額に一定の倍率をかけると、土地の相続税評価額が算出されます。
調べ方は「相続税評価額の調べ方」をご確認ください。
1-3.実勢価格
実勢価格とは、実際に取引が成立した不動産の平均価格で、いわゆる「時価」と同じです。「市場価格」ともほぼ同じとされます。
実勢価格は、国土交通省のデータベース「不動産情報ライブラリ」で調べることが可能です。
ただし不動産の場合は、物件の状態や立地、取引の状況などで価格が変動します。
そのため、マンションを売買するときは実勢価格の通りに成約しづらいと心得ておきましょう。
調べ方は「実勢価格の調べ方」をご確認ください。
1-4.公示価格
公示価格とは、土地を売買するための基準となる価格のことです。
国土交通省土地鑑定委員会が、毎年1月1日の時点の各標準地点の土地を評価。3月に評価額を発表します。
また、地価に基づく土地価格は、公示価格のほか「基準地価」もあります。
基準地価の調査は都道府県が行い、毎年7月1日時点の土地を評価します。評価額が発表されるのは9月下旬ごろです。
調べ方は「公示価格の調べ方」をご確認ください。
1-5.不動産鑑定評価額
不動産鑑定評価額とは、国家資格を持つ不動産鑑定士が対象の不動産の経済的価値を鑑定した価額です。
不動産鑑定評価額の用途は、主に相続や離婚時の財産分与などで扱います。
また、単なる土地の価値だけではなく不動産の利用価値や、賃貸した場合の収益性なども含めた「経済的価値」も検証します。
不動産鑑定評価額を知るには、不動産鑑定を受ける必要がありますが、マンションの場合は50万円近くの費用がかかります。
大きな費用負担になるため、厳密な鑑定額が必要となる場合以外では、鑑定評価は不要です。
調べ方は「不動産鑑定評価額の調べ方」をご確認ください。
1-6.火災保険の建物評価額
「建物評価額」(再調達価額)は、火災保険の保険金額を決める際に利用する建物の価値を表します。
「今再建築する場合にかかる金額」が建物の評価額であり、再調達価額や新価とも呼ばれます。
調べ方は「火災保険の建物評価額の調べ方」をご確認ください。
2.マンションの評価額の調べ方
ここでは、マンションの評価額の調べ方を詳しく解説します。
用途に応じて、以下のリンクをクリックすると評価額の調べ方を確認できます。
2-1.固定資産税評価額の調べ方
固定資産の評価額は、日本国内に不動産を所有している人であれば年に1回送られてくる固定資産税の課税明細書(納税通知書)で確認できます。
出典:土地や家屋をお持ちの方へ 令和6年度 固定資産税・都市計画税|東京都主税局.(参照2024-8-7)
上記は東京都の資料ですが、自治体によっては同様にホームページで明細書の見方を紹介しています。
その場合は該当のページを参照すると、より正確かつスムーズに固定資産税評価額が確認できるでしょう。
より詳しく固定資産税評価額の調べ方を知りたい場合は、以下の記事をご確認ください。
2-2.相続税評価額の調べ方
マンションの相続税評価額は、「建物」と「土地」で別々に調べます。
そのため、以下の順番にそれぞれの相続税評価額を確認しましょう。
- 建物の相続税評価額を確認
- 土地の相続税評価額を確認
まずは「建物」の相続税評価額を確認します。
「建物」の相続税評価額は、固定資産税評価額に1.0%をかけた額になります。つまり、実質的には固定資産税評価額と同額です。
したがって「建物」の相続税評価額は、自治体から送付される「固定資産税課税明細書」の評価額の欄に記載された金額になります。
出典:土地や家屋をお持ちの方へ 令和6年度 固定資産税・都市計画税|東京都主税局.(参照2024-8-7)
つづいて「土地」の相続税評価額を確認します。
「土地」の相続税評価額は、「路線価方式」と「倍率方式」のいずれかで算出しましょう。
マンションのあるエリアが市街地であれば路線価が定められているため「路線価方式」、郊外など路線価が定められていないエリアの場合は「倍率方式」で計算します。
「路線価」は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で簡単に調べられます。
「路線価図・評価倍率表」で調べたい都道府県を選択してください。ここでは一例として東京都を選択します。
「路線価図」をクリックしましょう。
次に、調べたい地域を選択します。
調べたい町村名をクリックすると、地図が開きます。
土地に面した道路に記載されている数字が路線価 です。
路線価が設定されていれば「路線価方式」、設定されていなければ「倍率方式」で相続税評価額を算出します。以下いずれかのリンクをクリックして手順を確認してください。
2-2-1.「路線価方式」で相続税評価額を算出する方法
「路線価方式」で相続税評価額を算出する手順は以下の通りです。
- マンション敷地全体の相続税評価額を調べる
- 敷地権割合をかけて土地の評価額を算出する
まずは、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で路線価図を確認しましょう。
路線価は1平米あたりの価格を千円単位で表記しています。たとえば「300C」とあった場合は30万円です。
そのため、マンション全体の敷地面積に路線価をかければ「相続税評価額」が求められます。仮にマンション全体の敷地面積が1,000平米だとして路線価が20万円だった場合、相続税評価額は以下の通りです。
20万円×1,000平米=2億円
路線価が丸や四角で囲まれていることもあります。これらは「地区区分」を表す記号です。
「地区区分」の記号で囲まれていた場合は、補正率を用いて計算します。
国税庁のページで地区区分を確認してから、「補正率表」で補正率を確認しましょう。
補正率がわかったら、以下のように計算します。
相続税評価額=マンション全体の敷地面積×路線価×補正率
たとえば、マンション全体の敷地面積2,000平米で路線価が30万円のとき、補正率が0.89だとしたら、相続税評価額は以下の通りです。
2,000平米×30万円×0.89=5億3,400万円
マンション全体の相続税評価額が算出されたら、「敷地権割合をかけて土地の評価額を算出する」から戸別の相続税評価額を求める方法を確認してください。
2-2-2.「倍率方式」で相続税評価額を算出する方法
「倍率方式」で相続税評価額を算出する手順は以下の通りです。
倍率方式で相続税評価額を求める手順
- 国税庁の倍率表を「評価倍率表」で倍率を確認する
- 敷地権割合をかけて土地の評価額を算出する
まず、国税庁の「路線価図・評価倍率表」でマンションの所在地の倍率を確認しましょう。
上から2つ目の「評価倍率表」を選択します。
つづいて、市区町村を選択しましょう。
倍率表が開くので、記載された倍率を確認してください。
倍率がわかったら、以下のように計算します。
相続税評価額=土地の固定資産税評価額×倍率
たとえば、土地の固定資産税評価額が1,000万円で倍率が1.1倍だった場合、マンション全体の相続税評価額は以下の通りです。
1,000万円×1.1倍=1,100万円
マンション全体の相続税評価額が確認できました。
つづいて、以下の戸別の相続税評価額を求める方法を確認してください。
2-2-3.敷地権割合をかけて土地の評価額を算出する
マンション全体の相続税評価額がわかったら、「敷地権割合」をかけて戸別の評価額を求めましょう。
法務局またはオンラインで登記事項証明書を発行し、マンションの「敷地権の割合」を確認します。
出典:相続税の申告要否判定コーナー. 敷地権(土地)の価額|国税庁.(参照2024-8-8)
たとえば、マンション全体の相続税評価額が5億3,400万円のとき、敷地権の割合が「7500/2000000」と記載されていたら、以下のように算出します。
5億3,400万円×7,500/2,000,000=200万2,500円
相続税評価額の計算方法をより詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
2-3.実勢価格の調べ方
実勢価格は、似た物件の過去の成約事例を参考に調べます。
過去の成約事例は、以下2つのサイトから調べられます。
- 不動産情報ライブラリ
- レインズマーケットインフォメーション
この記事では、国土交通省の運営する『不動産情報ライブラリ』で実勢価格を調べる方法を紹介いたします。
あくまで過去の取引で、これから売却するマンションの正確な成約価格ではありません。
完全に一致する条件の不動産はありませんし、立地や築年数、購入希望者からの値引き要望など、さまざまな理由で成約価格は変わります。
【実勢価格の調べ方】
1.国土交通省「不動産情報ライブラリ」にアクセスします
2.価格情報から、不動産取引価格情報を指定
3.地域を選択し、詳細表示をクリック
調べたい地域にカーソルを合わせクリックし、詳細表示をクリックすると、一覧表表示されます。
できる限り複数の事例を参照し、平均的な成約価格を求めましょう。
また、マンションの実勢価格の目安を知るためには、査定シミュレーションサイトを利用する手もあります。
NTTデータグループが運営する「マンションプライス」は、無料で査定額のシミュレーションができる便利なサービスです。
「マンション名から調べる」の入力欄にマンション名を入力すれば、その場で価格のシミュレーション結果が確認できます。
今すぐ査定額の概算を知りたいなら、ぜひ「マンションプライス」をご活用ください。
2-4.公示価格の調べ方
公示価格は、国土交通省の運営する『不動産情報ライブラリ』で調べられます。
以下で公示価格を調べる手順を紹介します。
1.国土交通省「不動産情報ライブラリ」にアクセスし、「地図表示」か「地域検索」をクリック
「地図表示」か「地域検索」どちらかを選択しましょう。
2.価格情報から「国土交通省地価公示」を選択
3.地図から詳細な地点を指定
地図を見てみると、公示価格の調査地点がオレンジ色にマークされています。クリックすると、公示価格が表示されます。
より詳しく土地の価格の調べ方を知りたい場合は、以下の記事をご確認ください。
2-5.不動産鑑定評価額の調べ方
不動産鑑定評価額を知るには、不動産鑑定事務所に依頼し、鑑定を受ける必要があります。
不動産鑑定評価額は、これまで紹介した評価額の中で唯一費用のかかるものです。
不動産の鑑定は、不動産鑑定評価基準に基づいて行われます。不動産鑑定評価基準は原価法、取引事例比較法、収益還元法の3つを用いて算出されます。
- 原価法:まったく同じ建物を作ったらどれくらいかかるのか、そこから時間と共に経過した価値を差し引く方法です。
- 取引事例比較法:鑑定する物件と類似した物件を比較し、時期や市場動向も考慮し取引事例をもとに評価する方法です。
- 収益還元法:将来見込める利益を考慮して評価する方法です。評価の方法は、直接還元法とDCF法があります。
不動産鑑定についてより詳しく知りたい場合は、以下の記事をご確認ください。
2-6.火災保険の建物評価額の調べ方
火災保険の「建物評価額」は、以下のように算出します。
火災保険の建物評価額=新築費単価×延床面積
新築費単価とは、マンションの所在地や構造などに基づく1平米あたりの建築費のことです。
新築費単価は保険会社や代理店が算出するため、確認したい場合は契約する保険会社に問い合わせてください。
たとえば、マンションの延床面積が70平米で新築費単価が16万円だった場合、火災保険の建物評価額は以下の通りです。
70平米×16万円=1,120万円
- 「マンションを売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
- 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります ※依頼する6社の中での最高価格
- 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
この記事のポイントまとめ
マンションを所有しているときや、売買をするとき、相続したときなどそのマンションの価値を評価する金額です。評価金額はそれぞれの用途別に6つの種類があります。
- 固定資産税評価額
- 相続税評価額
- 実勢価格
- 公示価格
- 不動産鑑定評価額
- 火災保険の建物評価額
詳しくは「1.マンション評価額とは?用途別に種類を解説」をご覧ください。
マンションの評価額の調べ方も用途ごとに異なります。
詳しくは「2. マンションの評価額の調べ方」をご覧ください。