不動産の売却理由は伝える必要がある?主な売却理由や伝えないリスクも解説

不動産の売却理由は伝える必要がある?主な売却理由や伝えないリスクも解説

不動産を売却する理由のなかには、離婚や金銭問題など、他人に伝えたくないものもあるでしょう。しかし不動産を売却する際に買主に伝えないと、トラブルにつながるケースもあります。

本記事では、不動産を売却する際に伝えなくてはいけない売却理由や、伝えないリスクについて解説します。

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1.不動産を売却する主な5つの理由

不動産を売却する理由は人によってさまざまですが、主な理由としては次の5つが挙げられます。

それぞれの理由がなぜ不動産売却につながるのか説明します。

1-1.住み替えるため

住み替えは、不動産を売却する理由として多いものの1つです。

人生の中で、家族構成やライフスタイルの変化は多くの方が経験するものであり、これらが住み替えのきっかけとなります。

子どもが生まれて家族が増えたり、子どもの成長によって間取りが手狭になったりした場合などは、現在の家を売却してより広い家に住み替えることを考えるでしょう。

一方で、子どもが独立して夫婦二人になった場合は、家が広すぎると掃除やメンテナンスが大変になります。

家族が多かった時期と比較して、人数に対して手頃な広さの部屋に住み替えると、コンパクトで管理しやすい住まいとなり、適切な生活を送れます。

1-2.相続した不動産を売却した

相続によって取得した不動産を売却するケースもあります。

親や兄弟の住んでいた家を相続しても、すでに自宅を所有しており、住む予定がないといった場合があるでしょう。

不動産を保有していると、メンテナンスや固定資産税の支払いなど、各種コストが掛かります。相続した不動産を利用する予定がない場合は、不要なコストの支払いを嫌い、売却を選択する方もいます。

また、不動産は相続財産の中で大きな割合を占めることが多いです。相続人が複数いる場合、公平な財産分割を行うためには、不動産のままであるよりも、売却して換金したほうが分割しやすくなります。

さらに、相続発生時には、相続税の納税が必要となる場合があります。納税資金を確保するために相続財産である不動産を売却する場合もあるでしょう。

1-3.離婚したため

離婚によって夫婦共有の財産を清算する必要が生じることも、不動産売却のきっかけとなります。

財産を分ける際には、不動産の状態よりも売却して現金化したほうが便利です。

また、不動産を残しても、離婚後どちらか一方のみが住むには広すぎる場合や、精神的な理由から、それまで住んでいた家を離れたいと考える場合も、売却が選択肢に入るでしょう。

さらに、離婚に伴う経済的な負担増加も無視できません。共働きの収入を前提としてローンを組んでいる場合、離婚後は一人で生活費を賄う必要があるため、住宅ローンの返済が困難になることも考えられます。

離婚後の生活費負担を軽減するために、不動産の売却が選択肢となるのです。

詳しくは以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。

1-4.転勤したため

転勤は、住まいに関する大きな変化を伴うため、不動産売却のきっかけとなるケースがあります。マイホームを購入していても、会社からの転勤辞令は、通常断れません。

異なる都道府県への転勤のように、以前の勤務地からの距離が遠い場合、自宅から通うには限界があります。通勤時間が長すぎると、健康や仕事のパフォーマンスにマイナスの影響を与える恐れもあるでしょう。

転勤が短期間で終わることがわかっていれば、マイホームを賃貸に出すことも検討できます。しかし、長期間におよぶ転勤や、将来的に元の勤務地に戻る可能性が低い場合は、管理の手間や空室リスクなどが大きくなります。

そのため、売却のほうがメリットが大きいと判断するケースも多いのです。

1-5.金銭的な理由のため

住宅ローンの支払いが困難になった、急にまとまったお金が必要になったなど、金銭的な理由から不動産を売却するケースも少なくありません。

特に、収入に対する割合が大きすぎる住宅ローンの返済が続くと、資金繰りに困窮するケースがあります。

購入当初は年収に対して適切な水準の返済額であったとしても、生活コストが上昇したり給与水準が予想通り伸びなかったりすることもあるでしょう。

そのような場合には、不動産を売却して住宅ローンを完済し、収入に見合った生活を取り戻すことが考えられるのです。

また、住宅ローンの返済が進んでいる不動産は、売却代金でローンを完済しても手元に利益が残りやすく、まとまった資金を確保する重要な手段となります。

子どもの進学や親の介護など、大きな出費が予想される場合にも、手元の資金を確保するために不動産を売却する場合があるでしょう。

2.不動産の売却理由は伝える必要がある?

ここからは、不動産の売却理由は買主に伝える必要があるのかどうかを解説します。

結論から言えば、瑕疵(土地や建物に生じた欠陥)については説明の必要があります。一方、プライベートなことは伝える必要がありません。それぞれ具体例を交えて見てみましょう。

2-1.瑕疵は説明義務がある

不動産の売却では、売主は買主に対して物件の瑕疵を説明する義務があります。物件に説明されていない瑕疵があった場合、売主がその責任を負わなければなりません。

説明が必要となる瑕疵とは以下のようなものです。

瑕疵の種類 説明
物理的瑕疵 物理的な欠陥がある物件 ・雨漏り
・シロアリ被害
・建物の傾き など
法律的瑕疵 法律上の違反や制限がある物件 ・再建築不可物件
・容積率オーバー
・境界線問題 など
心理的瑕疵 事故や事件によって心理的な嫌悪感を抱かせる物件 ・自殺
・殺人
・火災 など
環境的瑕疵 周辺環境に問題がある物件 ・騒音
・振動
・悪臭
・土壌汚染 など

仮にこれらの瑕疵を隠して売却した場合、損害賠償責任や契約解除など、後々大きなトラブルに発展する恐れがあります。

2-2.瑕疵にあたらないプライベートなことは伝える必要はない

不動産売買においては、売主は買主に対して瑕疵のような物件に関する重要な情報を伝える義務がありますが、情報の内容としては、あくまで物件の価値や状態に直接関わるものに限られます。

つまり、瑕疵にあたらない個人的な事情やプライバシーに関する情報は伝える必要がないのです。

例えば、次のような情報は物件そのものの価値には影響しない個人的な事情であるため、買主に伝える義務はありません。

  • 離婚が原因で住まいを変更する
  • 住宅ローンの負担が大きいため売却したい
  • 子どもが不登校となり学校を変えたい
  • 不動産を相続したが利用しないため売却する

なお、瑕疵に関する重要な情報か、伝えなくてよいプライベートな情報かの判断に迷った場合は、不動産会社に相談して判断を仰ぎましょう。

3.不動産の売却理由を伝えないリスク

不動産の売却理由を伝えないことには、2つのリスクがあります。

1つは、不動産会社と信頼関係が築けない点です。もう1つは契約不適合責任に問われる恐れがある点です。それぞれのリスクについて説明します。

3-1.不動産会社と信頼関係が築けない

通常、売却活動を行うにあたって、不動産会社は売主に売却する理由をヒアリングします。

ここで、売却理由を隠したり曖昧にしたりすると、不動産会社に不信感を抱かれ、良好な関係を築くことが難しくなるでしょう。

不動産会社は、売主の状況や希望を理解したうえで、最適な売却戦略を立てます。

例えば、売却を急いでいる場合は早期売却に特化した戦略を、物件に不具合がある場合は、それを考慮し補う戦略を立てるなど、売却理由によって対応が変わってくるのです。

売却理由を伝えないと、不動産会社は売主のニーズを正確に把握できず、適切なサポートを提供できません。

結果として、売却活動がスムーズに進まず、売却期間が長期化したり、希望価格での売却が難しくなったりする可能性があります。

3-2.契約不適合責任に問われる恐れがある

不動産売買において、売主は買主に対して「契約不適合責任」を負います。

契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約内容に適合していない場合、売主がその責任を負うというものです。

例えば、近隣トラブルや騒音問題などは、売却する際は隠していても、買主が実際に住んでみれば明らかになる問題です。

契約不適合の責任期間は、原則として買主が不適合を知ったときから1年です。買主が住んでから気づいた瑕疵についても、売主は責任から逃れられません。

売主が売却理由を隠していると、修理や代替物の引き渡しを求められる追完請求や損害賠償請求、減額請求を受ける恐れがあるだけでなく、最悪の場合には契約解除もあり得ます。

売却理由によっては、伝えると買主からの印象が悪くなるかもしれない、あるいは売却価格が下がるのではないかと不安になることもあるでしょう。しかし、後々のトラブルを避けるためにも、不動産会社に相談し、適切な対応を取ることが重要です。

詳しくは以下の記事でも解説しています。ぜひ、ご覧ください。

4.売却理由の伝え方は不動産会社に相談を

売却理由の伝え方は、売主が独りで考えるのではなく、不動産会社に相談しましょう。

不動産会社は不動産売買の専門家であり、豊富な知識と経験を有しているため、売却理由の適切な伝え方や売却戦略を考えてくれるでしょう。

不動産の売却を検討中の方は、信頼できる不動産会社を選び、状況に合わせた売却プランを提案してもらうことが重要です。信頼できる不動産会社と良いコミュニケーションを取れると、安心して売却活動を進められるでしょう。

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そのため、売却理由や物件の特徴に対応可能な、信頼できる不動産会社を見つけられるでしょう。ぜひご活用ください。

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まとめ

不動産を売却する理由は、住み替えや相続、転勤など、人によってさまざまです。なかには、離婚や金銭的な問題など、他人に伝えたくない理由がある方もいるでしょう。

不動産を売却する理由には、物件の瑕疵のように買主に伝えなくてはいけないものと、伝えなくてもよいプラベートなものがあります。

売却する物件について瑕疵がある場合、売主は買主に契約不適合責任を負うため、理由を正しく伝える必要があります。

不動産会社は売却活動における売主の味方でありパートナーです。売却理由をオープンに伝えることで、不動産会社との連携を深め、安全で効果的な売却活動を進められます。