土地売却の税金はいつ支払う?種類や計算方法、節税対策、シミュレーションも

土地売却の税金はいつ支払う?種類や計算方法、節税対策、シミュレーションも

土地を売却する際は、印紙税、登録免許税、譲渡所得税(所得税・住民税)が課されます。3つの税金の支払いタイミングはそれぞれ異なるため、事前に把握しておくと安心です。

この記事では、土地売却にかかる税金を支払うタイミングと売却価格ごとの税金のシミュレーション、節税に活用できる特例を紹介します。

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1.土地売却で発生する税金の種類と支払うタイミング

まずは、土地売却で発生する3つの税金の種類と支払うタイミングについて紹介します。

税金の種類 支払うタイミング
印紙税 売買契約書の締結時
登録免許税 引き渡し時
譲渡所得税(所得税・住民税) ・所得税:翌年の確定申告時
・住民税:翌年の6月以降

1-1.売買契約の締結時に支払う「印紙税」

印紙税とは、契約書や領収書といった課税文書に課される税金です。

契約金額に応じて定められた金額分の収入印紙を課税文書に貼り付け、消印を押すことで納付します。

土地の売買契約では、契約締結の際に売買契約書に収入印紙を貼り付けて消印を押すため、売買契約時に支払うことになります。

売買契約書は売主用と買主用の2通作成するため、売主と買主が1枚ずつ負担するのが一般的です。

印紙税は、土地売買の契約金額に応じて下表のとおり定められています。

契約金額 本則税率 軽減税率(※)
10万円を超え50万円以下 400円 200円
50万円を超え100万円以下 1,000円 500円
100万円を超え500万円以下 2,000円 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円を超え1億円以下 6万円 3万円
1億円を超え5億円以下 10万円 6万円
5億円を超え10億円以下 20万円 16万円
10億円を超え50億円以下 40万円 32万円
50億円超 60万円 48万円

※2014年(平成26年)4月1日から2027年(令和9)年3月31日までの間に作成されるもの

出典:「“No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで”. 国税庁. (参照2024-08-30)」
”No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置”. 国税庁. (参照2024-08-30)」をもとに、お家のいろはが独自に作成

収入印紙は一般的に売主と買主が自ら用意しますが、売買契約を仲介する不動産会社が立て替えて用意してくれるケースもあります。

土地の売買契約を締結する際は、誰が収入印紙を用意するのかを不動産会社と相談して決めておきましょう。

1-2.引き渡し時に支払う「登録免許税」

売却する土地に抵当権が設定されている場合、抵当権抹消登記を行う必要があります。この際にかかるのが登録免許税です。

抵当権とは、金融機関から住宅ローンや事業用ローンなどを借りて土地の購入や建物を建築した場合に、金融機関がそれらの不動産を担保として設定する権利のことです。

万が一債務者の返済が滞った場合、金融機関は抵当権を設定している物件を競売にかけ、弁済に充てることができます。

抵当権が設定されたままでは、原則として新たな抵当権は設定できず、不動産の売却を行えません。

そのため、以前の抵当権を抹消するための登記を行う必要があり、その際に登録免許税が課されるのです。

登録免許税は、土地1筆あたり1,000円です。

自身で登記することもできますが、司法書士などに委任する場合、別途司法書士報酬が1万円~2万円程度かかります。登録免許税と司法書士報酬は一般的に売主が負担します。

また、抵当権が設定された土地に金融機関のローン残債がある場合、完済しなければ抵当権の抹消登記はできません。

売主が受け取った売買代金を使ってローンを完済し、同時に抵当権抹消登記を行うケースが多いため、引き渡し時に登録免許税を納税することが一般的です。

1-3.土地売却の翌年に支払う「譲渡所得税(所得税・住民税)」

不動産の売却によって得た所得に対して課される所得税と住民税のことを合わせて「譲渡所得税」と呼びます。

土地の売却によって利益(譲渡所得)が発生した場合、譲渡所得税(所得税・住民税)が課され、翌年の確定申告の際に所得税を支払います。

住民税の支払いに関しては、売却した翌年の6月以降です。

ただし、売却代金から取得費(その土地を取得するのにかかった費用)や譲渡費用(売却するためにかかった費用)、特別控除額を差し引いた結果、利益が残らない場合には、譲渡所得税は発生しません。

譲渡所得税の対象となる金額

単純に売却代金に対して税金がかかるわけではないため、土地売却する前にあらかじめ譲渡所得税の計算方法を確認し、概算額を把握しておくとよいでしょう。

2.土地売却で生じる譲渡所得(利益)の計算方法

譲渡所得(利益)の計算方法は以下のとおりです。

譲渡所得(利益)= 売却代金 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) - 特別控除額

取得費とは、売却予定の土地を購入した際にかかった費用を指します。

具体例を挙げると、土地の購入代金や購入時にかかった諸費用、支払った税金などがあります。

取得費が多ければ、譲渡所得も少なくなるため、譲渡所得税額が低くなります。

このように、取得費は譲渡所得を算出する際の重要な項目ですが、土地を購入してから長年たち、取得費に関する費用を証明できる書類などが見つからない場合もあるでしょう。

この場合は、売却代金の5%を取得費として譲渡所得税の計算に用いることができます。

譲渡費用とは、土地の売却時にかかった費用のことです。

不動産会社に支払った仲介手数料や印紙代、登録免許税などが含まれるほか、駐車場として活用している土地の立ち退き費用やコンクリートブロックなどの解体費用も、譲渡費用として計上できます。

特別控除額とは、特定の条件に当てはまる売却を行った場合に適用される控除です。

特別控除は多数あり、それぞれに異なる適用条件が定められています。

これらの費用をすべて算出し、売却代金から差し引いた金額が譲渡所得となります。

相続税を支払っている場合の取得費について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

3.土地売却でかかる税金のシミュレーション

ここでは、土地売却でかかる譲渡所得税のシミュレーションを売却代金別に紹介します。

譲渡所得税は以下の計算式で算出することができます。

譲渡所得税= 譲渡所得 (利益) × 税率

税率は、土地を所有していた期間が5年超か5年以下かによって、下表のとおり所得税・住民税・復興特別所得税を合わせた税率が異なります。

所得の区分 税率
長期譲渡所得(所有期間5年超) 20.315%
短期譲渡所得(所有期間5年以下) 39.63%

出典:「“No.3208 長期譲渡所得の税額の計算”. 国税庁. (参照2024-08-02)」
“No.3211 短期譲渡所得の税額の計算”. 国税庁. (参照2024-08-02)」をもとに、お家のいろはが独自に作成

3-1.土地を1,000万円で売却した場合

まずは、土地を1,000万円で売却した場合の税金シミュレーションを紹介します。

売却する土地の条件は、以下のとおりです。

  • 売却代金:1,000万円
  • 取得費:700万円
  • 譲渡費用:40万
  • 所有期間:3年

譲渡所得は以下の計算式で算出できます。

1,000万円 - (700万円 + 40万円 ) = 260万円

譲渡所得の算出ができたあとは、税率をかけて譲渡所得税を計算します。

所有期間は3年のため、短期譲渡所得(所有期間5年以下)となり、税率は39.63%です。

260万円 × 39.63% = 103万380円

3-2.土地を2,000万円で売却した場合

続いて、土地を2,000万円で売却した場合の譲渡所得税のシミュレーションを紹介します。

売却する土地の条件は、以下のとおりです。

  • 売却代金:2,000万円
  • 取得費:1,500万円
  • 譲渡費用:100万
  • 所有期間:7年

譲渡所得は以下の計算式で算出できます。

2,000万円 -(1,500万円 + 100万円 ) = 400万円

譲渡所得税に関しては、所有期間が7年のため、長期譲渡所得(所有期間5年超)となり、税率は20.315%です。

400万円 × 20.315% = 81万円2,600円

3-3.土地を3,000万円で売却した場合

最後に、土地を3,000万円で売却した場合の譲渡所得税のシミュレーションを紹介します。

売却する土地の条件は、以下のとおりです。

  • 売却代金:3,000万円
  • 取得費:2,300万円
  • 譲渡費用:400万
  • 所有期間:10年

譲渡所得は、以下の計算式で算出できます。

3,000万円 – (2,300万円 + 400万円 ) = 300万円

譲渡所得税に関しては、所有期間が10年のため、長期譲渡所得(所有期間5年超)となり、税率は20.315%です。

300万円 × 20.315% = 60万9,450円

4.土地売却時の税金を抑えられる特例

譲渡所得税では、特定の売却をした場合に適用される特別控除が設けられています。特別控除が利用できれば、譲渡所得税を大幅に節税することが可能です。

ここでは5つの特別控除を紹介します。

4-1.マイホームを売ったときの3,000万円の特例

マイホームを売却した場合、3,000万円の特別控除の適用を受けられます。

適用要件は以下のとおりです。

  • 居住用財産であること(セカンドハウスや別荘・賃貸物件は対象外)
  • 住まなくなった日から3年以内に売却すること
  • 取り壊しから売却するまでの期間に貸駐車場などに使用していないこと
  • 売却する前年および前々年に、他の居住用財産の特例を利用していないこと
  • 売却先が親や配偶者などの特別な関係があるものではないこと

出典:「“No.3302 マイホームを売ったときの特例”. 国税庁. (2024-08-30参照)」

3,000万円の特別控除は、マイホームを取り壊したあとの土地を売却する場合にも活用できます。

ただし、取り壊し後1年以内に土地の譲渡(売却)契約を締結する必要があるうえ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売らなければならないため注意が必要です。

また、居住用財産に関するほか特例との併用は原則として認められていません。

住宅ローン控除や買替え特例との併用はできないため注意が必要です。

ただし、「10年超所有軽減税率の特例」は、3,000万円の特例との併用が可能です。次の項で詳しく紹介します。

4-2.マイホームを売ったときの軽減税率の特例

10年以上所有していたマイホームを売却した場合、譲渡所得税率が軽減されます。(10年超所有軽減税率の特例)この特例も、要件を満たせばマイホームを取り壊したあとの土地の売却時に適用を受けられます。

譲渡所得が6,000万円以下の部分に対し、下表のとおり税率が低くなります。

譲渡所得 税率
6,000万円以下の部分 14.21%
6,000万円超の部分 20.315%

所有期間が5年超であるため長期譲渡所得に該当することに加え、10年超所有軽減税率の特例を併用すれば6,000万円以下の部分については税率がさらに6%ほど低くなります。

この10年超所有軽減税率の特例の適用を受けるためには、マイホームを売ったときの3,000万円の特例の要件に加え、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている必要があります。

4-3.相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続税を支払って取得した土地や建物などの財産を売却した場合、譲渡所得から相続税分を控除できます。これは「取得費加算の特例」と呼ばれます。

取得費加算の特例の適用を受けるための要件は、以下の3つです。

  • 相続や遺贈により財産を取得した者であること
  • 財産の取得者に相続税が課税されていること
  • 相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却している

出典:「“No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例”. 国税庁. (2024-08-30参照)」

取得費加算の特例の適用を受けられるのは、被相続人(亡くなった方)から財産を相続し、相続税を納税した方です。

相続税は、相続が発生したことを知った日から10か月以内に納税しなければならないため、この適用を受ける場合、相続発生から最長で3年10か月以内に売却する必要があります。

取得費加算の特例によって控除される金額は、以下の計算式で算出できます。

取得費に加算する相続税額 = 財産を売却する相続人の相続納税額 × 譲渡した財産の相続税評価額 / (相続人の課税価格 + 相続人の債務控除)

具体例に沿って考えてみましょう。

<例>
  • 被相続人の遺産総額:1億円(現金5,000万円・不動産5,000万円)
  • 相続人:配偶者1人・子1人
  • 配偶者の相続税:0円(配偶者控除により非課税)
  • 子の相続税:385万円
  • 不動産(土地)の相続税評価額:5,000万円
  • 相続人の債務は0円

この例の状況で、配偶者が現金を相続し、子が土地を相続すると仮定します。

子が不動産を売却し、取得費加算の特例の適用を受ける場合、取得費に加算できる相続税額は以下のとおりです。

取得費に加算する相続税額 = 385万円 × 5,000万円 /(5,000万円+0円)= 385万円

取得費加算の特例の適用を受けることができれば、譲渡所得税の節税につながります。

ただし、配偶者の場合は、この特例の適用を受けなくても、配偶者控除によって非課税となるケースが多いと言えます。

4-4.被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

被相続人の居住用財産(空き家)を2027年(令和9年)12月31日までに売却した場合には、3,000万円の特別控除の適用を受けられます。

適用を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物である
  • 区分所有建物以外の建物である
  • 相続開始直前まで被相続人が居住していたこと
  • 売主が相続により、被相続人の居住用家屋と敷地の両方を取得した方であること
  • 相続の時から譲渡の時まで、事業の用、貸付の用、居住の用に供されていないこと
  • 一定の耐震基準を満たしていること(取壊ししない場合)
  • 相続発生から3年以内の12月31日まで売却すること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 売った家屋や敷地等については他の特例を受けていないこと
  • 売却先が親や配偶者などの特別な関係があるものではないこと

出典:「“No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例”. 国税庁. (2024-08-30参照)」をもとに、お家のいろはが独自に作成

ただし、2024年1月1日以降は、土地・建物を取得した相続人が3人以上の場合、控除合計額は2,000万円までと改正されているため注意しましょう。

4-5.要件に当てはまれば利用できる特例

土地の売却にあたっては、要件に当てはまれば利用できる特例も多数あります。

控除内容 控除額
土地建物を公共事業などのために売却した場合 5,000万円
特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合 2,000万円
特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合 1,500万円
2009年(平成21年)~2010年(平成22年)に取得した土地を譲渡した場合 1,000万円
農地保有の合理化などのために土地を売却した場合 800万円
低未利用土地等を売却した場合 100万円

出典:「“No.3223 譲渡所得の特別控除の種類”. 国税庁. (2024-08-30参照)」をもとに、お家のいろはが独自に作成

特別控除額は、その年の譲渡益の全体を通じて、合計5,000万円が上限です。

どの特別控除も要件が細かく定められているため、税理士に相談することをおすすめします。

5.土地を高く売るには不動産会社に査定依頼を!

土地を高く売るには、複数の不動産会社に査定依頼を行うことが大切です。

土地を売却する際は、事前に税金などの試算を行い、手元にいくら残るかを考慮して売却価格を決めます。

この際、1社の査定結果だけを頼りに売却価格を決めてしまうと、高く売れるチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。

不動産会社によって得意分野が異なるため、査定額に大きな違いが出ることもあります。複数の不動産会社に査定を依頼して結果を比較しましょう。

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まとめ

土地を売却する際は、印紙税・登録免許税・譲渡所得税(所得税・住民税)が課されます。これらの費用は、売買契約時・引き渡し時・翌年の確定申告時など、支払うタイミングが異なります。

特に譲渡所得税(所得税・住民税)は、高額になることも多いため、売却タイミングや特例の適用条件などを理解しておくことが重要です。

土地の売却価格が低ければ、税額も低くなりますが、高値で売却できたほうが手元に残る金額も多くなります。

まずは所有する土地の査定を複数の不動産会社に依頼するところから始めましょう。

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