【連帯債務とは】メリットデメリットや連帯保証・ペアローンとの違い

住宅ローンを考える際、連帯債務の仕組みや、メリット、デメリットについて分からない方も多いのではないしょうか。また、連帯保証やペアローンとの違いも気になるところです。

この記事では、連帯債務のメリットやデメリット、他のローン形態との違い、住宅ローンの借り方を決める基準まで詳しく解説します。

住み替えに伴い売却を行う方は『不動産売却の基本』『ローン中の家を売る方法』も併せてご覧ください。

「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「不動産を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります
  • ※依頼する6社の中での最高価格
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます

1.住宅ローンの連帯債務とは?

連帯債務とは、複数の人が同じ債務に対して全額の返済義務を負う仕組みです。
住宅ローンにおいては、夫婦や家族が共同で借り入れる際に利用され、2人のうち1人が主債務者となり、もう1人が連帯債務者となります。

以下では、連帯債務の理解に重要な収入合算と、連帯債務者にできる人について解説します。

1-1.収入合算ができる一本の住宅ローン

連帯債務で住宅ローンを組むと、連帯債務者となる夫婦や家族の収入を合算して、融資の審査を受けられます
そのため、単独では借りられないような高額なローンを借りることができるのが大きなメリットです。

例えば、夫婦それぞれが500万円と300万円の年収がある場合、合計年収800万円が融資額を決める根拠となります。

連帯債務の住宅ローンは、あくまで一本の住宅ローンであり、「一つのローンを二人で協力して返済していく」方法です。
連帯債務と混同されやすいペアローンは、それぞれ別のローンを契約して、「それぞれが別のローンを返済していく」方法になります。

詳しくは、「3.連帯債務・連帯保証・ペアローンの違い 」で詳しく解説します。

連帯債務の仕組み

1-2.連帯債務者にできる人

連帯債務者として収入を合算できる人には、以下のような要件があります。

  • 申込者本人の親・子ども・配偶者などであること
  • 申込時の年齢が70歳未満であること
  • 申込者本人と同居していること

住宅ローンでは、上記の要件を満たす方のうち1名のみを連帯債務者に指定することが可能です。
そして、連帯債務者として指定された方の収入を合算できます。

例えば、住宅金融支援機構の「フラット35」という商品では、合算者の年収全額までが合算可能です。
しかし、「合算者の年収の50%を超える場合は、借入期間が短くなる」といった借入期間の条件があります。

細かい条件等は金融機関により異なるため、事前に確認をしておきましょう。

参考: 住宅金融支援機構フラット35.“収入合算できる方”.(参照2024-08-08)

2.連帯債務型住宅ローンのメリット・デメリット

連帯債務型住宅ローンの利用には、メリットとデメリットの両方が存在します。
それぞれの特徴を理解して、最適な選択肢を見つけることが重要です。

以下で詳しく解説します。

2-1.メリット

連帯債務型住宅ローンのメリットは、以下のとおりです。

  • 収入合算で高額なローンが組める
  • ペアローンより諸費用が少ない
  • 連帯債務者も住宅ローン控除を受けられる

夫婦や親子の収入を合算して1本の住宅ローンを組めるため、単独では借入が難しい高額な住宅ローンを組むことが可能です。
借入限度額を引き上げることで、理想の物件を購入できる可能性が広がります。

また、費用や税金を抑えるメリットもあります。

後述するペアローンと違って、一本の契約であるため、契約にかかる印紙税や登録免許税、団信保険料などの諸経費も一本分です。

連帯債務者も住宅ローン控除の対象になるため、ローンを一緒に借りた全員がそれぞれの持分(所有権の権利割合)に応じて控除を受け、税金を抑えられます。

2-2.デメリット

一方で、連帯債務型住宅ローンには以下のようなデメリットがあります。

  • 収入減少リスクを2人分考慮する必要がある
  • 主債務者しか団体信用生命保険に加入できない

収入合算によって借入を行う場合、現在の2人の収入を前提としてローンが組まれるため、どちらかの収入が減少した場合に返済計画が破綻するリスクがあります。
どちらか一方の収入が途絶えると、返済負担が残るもう一方の肩にのしかかるためです。

返済計画の破綻は、収入減少以外にも、離婚などで起こりえます。
連帯債務では、どちらか一方の返済が滞った場合、連帯債務者が代わって返済しなければいけません。

また、どちらか一方が亡くなる可能性もあります。
住宅ローンは融資額が大きいため、債務者が死亡した場合に残った債務を保証する「団体信用生命保険(団信)」に加入することがほぼ前提となります。
ただ連帯債務の場合、団信に入れるのは主債務者だけであるのが一般的のため、連帯債務者死亡時の負担が大きくなりやすいのです

例外として「連生団信(連生団体信用生命保険付住宅ローン)」というローン商品では、主債務者、連帯債務者ともに団信に加入できます。
通常の団信に比べて保険料が高く、加入できる金融機関も限られているため、事前に各金融機関に確認しておきましょう。

3.連帯債務・連帯保証・ペアローンの違い

以下の表は、連帯債務、連帯保証、ペアローンの特徴をまとめた比較表です。

項目 連帯債務 連帯保証 ペアローン
債務の負担 全員が全額を負担 連帯保証人は補助的に負担 各自が独立したローンを負担
収入の合算 可能 可能(【フラット35】では連帯保証型の選択不可) 不可(各人の収入を根拠に別のローンを借りるため、融資額は大きい)
団信の加入 主債務者のみが一般的 主債務者のみ 両方が加入可能
住宅ローン控除の適用 持分に応じて可能 主債務者のみ それぞれが適用可能
費用 1契約分で済む 1契約分で済む 契約分の費用が発生

住宅ローンの借り方の違い

1章で解説したように連帯債務では、一つの住宅ローンに対し、複数人の債務者(主債務者と連帯債務者)を設定します。
収入合算ができて、お互いが協力して住宅ローンを返済していくイメージです。

連帯保証では、住宅ローンの返済を債務者とともに保証する、連帯保証人を設定します。
連帯保証人は、あくまで債務者の返済が滞った場合に残債を保証する立場であり、連帯債務のように「お互い協力して返済していく」立場とは異なります。
連帯保証でも収入合算は可能です。

連帯債務との大きな違いとしては、連帯保証はあくまで単独での購入になるため、不動産の所有権も単独になるのが一般的です。
夫婦で連帯債務を利用した場合は、「2人で購入した不動産」になるため、所有権を分け合っている状態になります。

ペアローンでは、夫婦がそれぞれ別々の住宅ローンを組み、お互いを相手のローンの連帯保証人として設定します。
両者が独立したローンを組むため、それぞれ団信に加入でき、住宅ローン控除も適用されます。
連帯債務の収入合算とは異なりますが、両者が個別に融資をうけるため、借入額は高くなります。
一方で、二つの住宅ローンを組むため、契約にかかる費用が二重に発生します。

3つを比較して、それぞれの収入状況や将来の計画に応じた最適な住宅ローンの形態を選びましょう。

4.住宅ローンの借り方を決める基準

住宅ローンを選ぶ際には、収入状況や将来のライフプランに合った方法を選ぶことが重要です。
単独契約、連帯債務、ペアローンなどの選択肢がありますが、それぞれの特徴とリスクを理解した上で、自分たちに最適な方法を選びましょう。

この章では、住宅ローンの借り方をきめるための、以下3つの基準を解説します。

  • 基本は単独契約でリスクを回避
  • 共働きではあるが収入差が大きいなら収入合算
  • 共働きでどちらも収入が多い場合はペアローン

4-1.基本は単独契約でリスクを回避

住宅ローンを組む際、リスクを最小限に抑えるためには、まず単独契約を検討するのが良いでしょう。
(住宅ローンでは、収入合算をする必要がない場合などでは、連帯保証人の設定なく、単独での契約が可能です。)

単独契約では、一人の収入を基にローンを組むため、家計全体で見た借り入れの負担額は小さくなりやすく、収入減少への考慮も一人分で足ります。

万が一債務者が死亡した場合でも、団信により残りのローン残高はゼロになります。

単独契約はリスクを管理しやすく、将来の不安を軽減する選択肢と言えるでしょう。

4-2.共働きではあるが収入差が大きいなら収入合算

共働きで収入差が大きい場合には、連帯債務や連帯保証を利用して収入を合算する方法がおすすめです。
収入を合算することで、少ない収入を持つパートナーの負担を軽減しながら、ローンの借入額を増やすことが可能です。

例えば、夫が主要な収入源であり、妻の収入が比較的少ない場合、収入合算によって希望する住宅を購入できる可能性が高まります。
収入差がある夫婦でも、収入合算を活用すれば、負担を分散しながらローンを組むことができるのです。

また、収入差が大きい場合には、借入額が過度に増えるリスクも少ないため、無理のない返済計画が立てられ、安心して住宅購入に踏み切ることができるでしょう。

4-3.共働きでどちらも収入が多い場合はペアローン

夫婦ともに収入が多く安定している場合、ペアローンを選ぶのが効果的です。

収入が大きい夫婦であれば、自然と借り入れ額も大きくなりやすく、収入が途絶えた際のリスクも増します。
しかしペアローンを利用すれば、夫婦それぞれが独立したローンを組み、両方が団体信用生命保険(団信)に加入できます。

万が一の事態が発生した場合でも、残された家族の負担を軽減できるため、リスクを抑える効果があります。

さらに、ペアローンでは夫婦双方が住宅ローン控除を受けられるため、節税効果も期待できます。
収入が高い夫婦にとって、ペアローンはリスク軽減と節税の両面で有利な選択肢と言えます。

まとめ

連帯債務型住宅ローンは、夫婦や家族が収入を合算して高額な家を購入するためにはおすすめの選択肢です。その一方で、お互いが全額の返済責任を負う点はリスクとも言えます、

連帯債務とペアローン、連帯保証の違いを理解することで、最適な借り方を選ぶことが可能です。それぞれの特徴を把握し、将来の収入やライフプランを考慮しながら慎重に判断することが重要になります。

住宅ローンの選び方は、家族の将来を左右する大きな決断です。最適なローンを選び、家族が安心できる生活を実現させましょう。

「マンションを売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「マンションを売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります
  • ※依頼する6社の中での最高価格
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます