滅失登記の費用の相場はいくら?自分で申請する方法や3つの注意点などを解説

滅失登記の費用の相場はいくら?自分で申請する方法や3つの注意点などを解説

建物を解体したあとは、1か月以内に滅失登記をすることが法的に義務付けられています。滅失登記とは、解体などで建物がなくなった際に、その事実を記録する手続きのことです。

本記事では滅失登記にかかる費用の相場などについて解説しますので、これから建物を解体する方や、最近取り壊した方は、ぜひ参考にしてください。

家の売却を検討している方は「家を売る手順や方法は?」「実家を売却する手順」もあわせてご覧ください。

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1.滅失登記にかかる費用の相場

登記手続きを自分で行うと書類の取得費用だけで済みますが、土地家屋調査士に依頼する場合は、物件の状況に応じた手数料がかかります。

ここでは、滅失登記にかかる費用の相場について、土地家屋調査士に依頼する場合と自分で申請する場合について比較します。

なお、滅失登記を申請する際は、登録免許税やその他の税金はかかりません。

いらない家の処分方法についてお悩みの方は、以下の記事をご覧ください。

1-1.土地家屋調査士に依頼する場合の費用の相場

滅失登記を自分で行わない場合は、土地・家屋調査のスペシャリストである土地家屋調査士に依頼します。

日本土地家屋調査士会連合会が実施したアンケート調査によれば、土地家屋調査士に依頼する場合の滅失登記の費用相場は下表のとおりです。

エリア 平均値
全国 48,098円
北海道 43,605円
東北 49,013円
関東 48,628円
中部 48,247円
近畿 47,065円
中国 45,997円
四国 46,191円
九州 48,882円

出典:“令和4年度 土地家屋調査士業務報酬に関する調査”. 日本土地家屋調査士会連合会. (参照2024-08-8)」をもとに、お家のいろはが独自に作成

土地家屋調査士に依頼する場合の費用の全国平均は48,098円であり、5万円程度が費用相場と見られます。

料金体系はそれぞれの土地家屋調査士によって異なり、抵当権が残存している場合や相続発生時の戸籍調査が必要である場合など、物件の状況によっては追加費用がかかります。

1-2.自分で滅失登記を申請する場合の費用の相場

滅失登記は、土地家屋調査士に依頼せず、自分で行うこともできます。

解体事業者から解体証明書を受け取ったあと、申請書に記入し、必要書類とともに管轄の法務局に申請します。

自分で滅失登記を申請する場合と、土地家屋調査士に依頼する場合の費用や期間、手間を比較した表は以下のとおりです。あくまでも目安ですので、依頼先や物件の内容により違いがあります。

自分で滅失登記を申請する場合 土地家屋調査士に依頼した場合
費用 1,000円~3,000円
登記事項証明書(登記簿謄本)や図面などの書類の取得にかかる手数料など
5万円前後
期間 2週間~4週間 10日~2週間
手間 すべて自分で行うため手間がかかる 専門家に任せるだけでよいため手間がかからない

土地家屋調査士に依頼する場合は、5万円前後の費用がかかりますが、登記が完了するまでの期間が短くなり、手間や時間がかからないのがメリットです。

土地家屋調査士は専門家のため、書類の不備やミスを心配することなく、スムーズに滅失登記を完了できます。

自分で滅失登記を申請する場合は、すべての手続きを自ら行うため、費用は数千円程度で済みますが、完了までの期間が長くなり、手間もかかります。

1-3.追加費用が必要な場合

滅失登記と一口に言っても、物件によってさまざまなパターンがあるため、例外的に追加費用が発生する場合があります。

追加費用が必要となるケースと、それぞれのケースで追加となる費用相場は以下のとおりです。

  • 戸籍調査の費用が別途かかる(3~5万円程度 ※依頼人が相続人である場合)
  • 滅失建物の所在地が合分筆を行っている(1~2万円程度)
  • 滅失建物に古い抵当権が残存あるいは複数の抵当権がある(数万円程度)
  • 広大な借地上の建物の滅失登記(1~2万円程度)
  • 解体証明書がない、あるいは取得できない場合の滅失登記(数万円程度)
  • 登記上の住所が変更している(1~2万円程度)

このように、滅失登記を申請するにあたっての調べものが多い場合は、追加費用が発生する可能性があります。

例えば、古い抵当権があるなど、調査に手間や時間がかかるほど、追加費用も高額になります。

土地家屋調査士によって追加料金の有無や相場が異なるため、依頼する際は実際に現場を見てもらい、見積書で金額を確認したうえで最終決定するようにしましょう。可能であれば、複数の土地家屋調査士から見積もりを取ることをおすすめします。

建物を解体せず、古家付きの土地の売却を検討している方は、以下の記事をご覧ください。

2.滅失登記の方法と流れ

滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合と、自分で申請する場合について、それぞれの流れを解説します。

2-1.土地家屋調査士に依頼する場合

土地家屋調査士に依頼する場合

滅失登記を土地家屋調査士に依頼する場合の流れは以下のとおりです。

  1. 土地家屋調査士を探す
  2. 委任契約を締結後、土地家屋調査士が手続きを始める
  3. 土地家屋調査士が法務局に滅失登記を申請
  4. 登記完了証などを受領して完了

土地家屋調査士会の公式サイトでは、土地家屋調査士をエリアごとに検索できるため、依頼したい物件があるエリアに対応している土地家屋調査士を見つけることができます。

信頼できる土地家屋調査士が見つかったら委任契約を結び、滅失登記の申請を依頼をしましょう。

委任契約締結後、土地家屋調査士が申請手続きを始め、書類を作成して法務局に申請します。申請が受理されたら滅失登記の完了です。

後日、土地家屋調査士から登記完了証などを受け取ります。

2-2.自分で行う場合

自分で行う場合

滅失登記を自分で申請する場合の流れは以下のとおりです。

  1. 管轄の法務局を調べる
  2. 登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し建物の情報収集をする
  3. 建物の現地調査を行う
  4. 登記申請書など必要な書類を準備する
  5. 登記申請書を作成し、法務局に提出する
  6. 登記完了証を受け取る

はじめに、建物の所在地を管轄する法務局を調べます。

滅失登記を行う建物を管轄する法務局に書類を提出する必要があるためです。

法務局などで登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して建物の情報を集め、実際に現地調査も行います。登記事項証明書(登記簿謄本)はインターネットでも取得できます。

自分で申請する際は必要書類もすべて自ら用意しなければなりません。

必要書類は以下のとおりです。

  • 建物滅失登記申請書
  • 建物の登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 建物滅失証明書(取り壊し証明書または解体工事完了証明書)
  • 解体工事を請け負った事業者の資格証明書

建物滅失登記申請書は、法務局のホームページでもダウンロードできます。

建物の登記事項証明書(登記簿謄本)は、建物滅失登記申請書を記入する際に必要です。提出する必要はありません。

建物滅失証明書と資格証明書は、解体工事を請け負った事業者から受け取ります。

滅失登記に関しては、解体後に解体業者からもらう書類が多いため、書類を受け取ったらなくさないように保管しておきましょう。

書類をすべてそろえたら、建物滅失登記申請書に必要事項を記入し、法務局に提出します。

登記完了証を受け取ったら滅失登記の手続きは完了です。

滅失登記を自分で申請する場合の流れや必要書類の詳細については、以下の記事をご覧ください。

3.滅失登記の申請をする際の3つの注意点

滅失登記の申請をする際は、以下3つの点に注意する必要があります。

ここでは、それぞれの注意点について解説します。

3-1.建物が滅失してから1か月以内に申請する

解体などの理由によって建物が滅失した場合、1か月以内に滅失登記を申請しなければなりません。

不動産登記法にて、所有者または対象建物の登記名義人が、建物の取り壊し後1か月以内に行うことと定められているためです。

取り壊したあと、滅失登記をせずにそのまま放置してしまうと、実際には存在しない建物が登記上では存在している状態がいつまでも続いてしまいます。

なお、解体の時点で所有者が死亡している場合は、相続人の一人が単独で滅失登記の申請をすることが可能です。

3-2.手続きを行わない場合は税金や過料を支払う必要がある

建物が滅失しているにもかかわらず、滅失登記の申請を怠った場合には、税金や過料を支払うことになります。

滅失登記の申請を行わないと、登記簿上では建物が存在していることになり、固定資産税を払い続けなければなりません。先延ばしにしていると、無駄な税金を納め続けることになるため注意が必要です。

また、不動産登記法第164条では、「申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する」と規定されています。

建物が滅失してから1か月以内と、申請期間が短いため、建物を取り壊したあとは速やかに滅失登記を済ませておきましょう。

3-3.土地家屋調査士にしか依頼できない

滅失登記を専門家に依頼する場合、依頼できるのは土地家屋調査士のみです。

登記といえば「登記の専門家」である司法書士が思い浮かびますが、滅失登記は土地家屋調査士の業務であり、ほかの士業は対応できないのです。

登記は、「表題部に関する登記」と「権利に関する登記」の2つの要素で構成されており、内容は以下のとおりです。

登記の種類 登記の項目(表示箇所) 登記される内容
表示登記 表題部 不動産の基本情報
権利登記 権利部 不動産の権利に関する情報

表示登記は不動産の所在や種類、構造、床面積など不動産の基本情報を表すものです。

一方、権利登記は登記の目的や、不動産に対して誰が権利を持っているかなどの情報が記載されています。

表示登記は権利登記のベースであるため、そもそも表示登記がなければ、権利登記の申請は行えません。

滅失登記は「表題部に関する登記」であり、代理申請できるのは土地家屋調査士のみです。一方の司法書士が対応できる業務は、抵当権や所有権など「権利に関する登記」です。

滅失登記以外で、土地家屋調査士が代理申請できる「表題部に関する登記」は、以下のものが挙げられます。

  • 建物表題登記
  • 建物増築登記
  • 建物種類変更登記
  • 土地地目変更登記
  • 土地合筆登記

これらの登記は不動産の表示に関する登記であるため、土地家屋調査士が行う業務に該当します。

建物を取り壊して土地を売却することを検討中の方は、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」をご活用ください。提携する約2,300社の優良企業の中から、最大6社に一括で査定を依頼できます。

4.まとめ

建物を解体するなどして土地を更地にした場合は、滅失登記をすることが法的に義務付けられています。滅失登記を怠ると10万円以下の過料に処せられることがあるため、注意が必要です。

滅失登記の申請は自分でも行えますが、不動産表示に関する登記の専門家である土地家屋調査士に依頼したほうが、短期間でスムーズに登記を完了できます。

費用はかかりますが、手間や時間をかけたくない方は土地家屋調査士に依頼するとよいでしょう。

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