借地権付き建物を売却する5つの方法!売却までの流れと成功させるコツ

借地権付き建物を売却する5つの方法!売却までの流れと成功させるコツ

借地権付き建物の売却では、地主の承諾を得るための交渉が必要になるなど、一般の不動産に比べて手続きが複雑です。

また売却の際は、土地所有者への売却や不動産会社の買取なども選択肢となります。

本記事では、借地権付き建物の売却方法や流れ、成功のコツについて解説します。

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1.借地権は「地上権」と「土地賃借権」の2つ

借地権とは、建物を所有することを目的として土地を借りる権利です。すなわち、借地権付き建物とは、自分が所有する土地ではなく借りた土地の上に建つ建物になります。

借地権には地上権設定契約に基づく「地上権」と賃貸借契約に基づく「土地賃借権」があります。

賃借権に基づく場合、借地権の譲渡・転貸をする際には、地主の承諾を得なければならず、無断で譲渡した場合、地主は賃貸借契約を解除することができます(民法第612条)。

地上権

地上権の場合、地主の承諾は不要です。

ただし地上権は、土地を直接かつ排他的に支配する強い権利であり、借地権の多くは賃借権によるものとなっています。

賃借権

借地権付き建物を売却する場合、借地権が地上権によるものか賃借権によるものかを確認する必要があります。

2.借地権を更新できるケースとできないケース

借地権には、旧借地法に基づく旧法借地権と現在の借地借家法に基づく普通借地権、定期借地権があります。

定期借地権の場合、契約の更新はできませんが、普通借地権ならびに旧法借地権は借地上に建物がある限り、契約の更新が可能です。

地主は、借地人から契約更新の請求があった場合、正当な事由がなければ拒否することはできません。

正当な事由にあたるかは、地主、借地人それぞれの土地を必要とする事情などを考慮して判断されますが、正当事由が認められるケースは多くありません。

そのため定期借地権でなければ、原則的には継続して土地を利用することができます。

借地上に建物を建て、住居としたり、事業として利用したりする場合、長期間の活用が前提となり、借地人の権利が十分に保護される仕組みとなっています。

契約期間と更新後の存続期間も、次のとおり長く設定されています。

普通借地権・旧法借地権の存続期間
普通借地権 旧法借地権(※)
期間の定めあり
旧法借地権(※)
期間の定めなし
契約期間 30年
(契約でこれより長い期間を定めることも可)
堅固建物:30年以上
非堅固建物:20年以上
堅固建物:60年
非堅固建物:30年
更新後の存続期間 1回目の更新:20年
2回目の更新:10年
(契約でこれより長い期間を定めることも可)
堅固建物:30年以上
非堅固建物:20年以上
堅固建物:30年
非堅固建物:20年

※一般的に堅固建物は鉄筋コンクリート造など、非堅固建物は木造など

出典:「“借地借家法第3条、第4条”. e-GOV法令検索. (参照2024-07-31)」
“旧借地法の条文(全文)第2条、第5条”. 弁護士による不動産の法律ガイド. (参照2024-07-31)」をもとに、お家のいろはが独自に作成

借地権付き建物のメリット・デメリットなどについて詳しくは以下の記事をご覧ください。

3.借地権付きの建物を売却する5つの方法

借地権付きの建物を売却する5つの方法について解説します。

3-1.第三者に売却する

不動産市場を通じて一般の個人や法人に売却する方法です。

借地権を第三者に売却するには、地主の承諾が必要となるため、売却する前に地主と交渉して承諾を得なければなりません。

また一般的に、借地権付き建物は、土地の所有権がある建物と比べると市場規模は小さく買主が見つかりにくい傾向があります。

さらに買主が住宅ローンを利用しようとしても、借地権付き建物の担保価値が低く利用できない場合もあります。

したがって、不動産市場を通じた売却が難しいケースがあることを踏まえておく必要があるでしょう。

3-2.地主に建物を売却する

地主に建物を売却する方法です。

建物は借地権がなければ利用できないため、借地権と建物をセットで地主に買い取ってもらうことになります。

地主にとって借地権がついた土地は、地代収入が見込めたとしても、自由に活用できず、資産価値も低くなります。

その点、借地権を買い取ることで、建物だけでなく土地についても完全な所有権を取得でき、自由に利用できるだけでなく高く売却できる可能性があります。

地主への売却は、地主にもメリットがあるため、一般市場での売却が難しい場合も有効な方法です。

建物が老朽化し価値がなければ、建物を取り壊して借地権だけ買い取ってもらう方法もあります。

3-3.地主から土地を買い取って売却する

地主から土地を買い取って売却する方法です。

借地権が設定された土地に対して地主が持つ所有権を底地権といいます。地主から底地権を買い取ることで借地人は完全な土地の所有権を取得できます。

一般的な所有権の土地、建物として売却できるため、借地権付き建物より売却しやすく、売却価格も高くなるでしょう。

地主が将来的に活用しない土地を処分したいケースなどでは利用しやすい方法といえます。

しかし、買取価格で地主と合意する必要があり、買取資金も必要です。

3-4.等価交換をして売却する

地主が所有する底地と借地権を等価交換したあと、売却する方法です。

地主が所有する底地の一部と借地人が所有する借地権の一部を同じ価値で交換することで、交換比率に応じて土地を分割し、それぞれが完全な土地所有権を取得することが可能です。

土地面積は当初より小さくなりますが、借地人は所有権のある土地として売却できるため一般市場でも売却しやすくなるメリットがあります。

ただし、地主と等価交換について合意する必要があり、土地を測量して分筆するなどの費用と手間がかかる点には注意が必要です。

3-5.不動産会社に買い取ってもらう

一般市場での売却が難しい借地権付き建物であっても、不動産の活用、流通に精通する不動産会社であれば買い取ってもらえる可能性があります。

第三者に売却する場合と同様に地主の承諾がポイントとなりますが、借地権売買の経験や実績が豊富な不動産会社であれば、効果的な地主への提案や交渉が可能でしょう。

また本来、不動産の売却において、売主は買主に対して、引き渡した目的物が契約内容に適合しない場合の責任(契約不適合責任)を負います。

不動産会社の買取であれば、売主の契約不適合責任が免責となる場合もあり、スムーズに進めやすいといえるでしょう。

ただし、不動産会社によって、借地権売買の買取実績や、どの程度積極的に取り扱うかなどは異なります。

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4.借地権付き建物の売却の流れ

地主との交渉など複雑な面もある借地権付き建物の売却について、実際にどのような手順で行えばよいのか解説します。

借地権付き建物の売却の流れ

4-1.不動産会社に相談し、査定を受ける

借地権付き建物の流通量は、一般の土地所有権の物件と比べ少なく、売却が難しい傾向があるため、なかには積極的に取り扱わない不動産会社もあります。

また、借地権の価格を算出するには更地の価格に借地権割合を乗じて求めるなどいくつかの方法があり、専門的な知識も必要となります。

借地権の売買実績が豊富で信頼できる不動産会社に相談し、適正な価格による査定を受けることができれば、その後の売却もスムーズになるでしょう。

信頼できる不動産会社を探すには、不動産一括査定サイトを活用すると便利です。

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地主への交渉を含めて安心して依頼できる不動産会社を見つけるためにも、ぜひご活用ください。

4-2.不動産会社と媒介契約を結ぶ

不動産会社を決定したら、媒介契約を締結します。

媒介契約には、1社のみにしか売却を依頼できない「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」のほか、複数の会社に依頼できる「一般媒介契約」があります。

借地権付き建物の売却を成功させるには、地主との交渉から売り出し価格の設定、買主との交渉まで、借地権に精通した経験や知識が必要です。

一般媒介契約だと、複数の不動産会社からの提案内容や日時などの調整を売主が行わなければならず、なおかつ、売却しづらい借地権付き建物であれば不動産会社の積極的な売却活動が期待できないかもしれません。

そのため、信頼できる不動産会社を探し、専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約で進めることをおすすめします。

媒介契約について詳しくは、以下の記事でも解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

4-3.地主と交渉する

土地の賃貸借契約は、長期間の契約を前提とし、賃貸人と賃借人の信頼関係のもとに結ばれる契約です。

そのため、借地権譲渡によって借地人が変わることについて、地主の承諾を得られにくいことがあります。

承諾にあたって、今後の契約内容なども取り決める必要があり、地主とのトラブルを防ぎながらスムーズに進めるには、借地人自ら交渉するのではなく、不動産会社に依頼したほうがよいでしょう。

また、借地権の売却は、第三者に売却するだけでなく、地主に買い取ってもらったり、地主が所有する底地を買い取って売却したりする方法もあります。

地主のメリットも訴求しながら、状況に合わせた売却方法を提案・交渉してもらうためにも、実績のある不動産会社に依頼することが重要です。

4-4.売買活動を行う

地主から借地権譲渡の承諾を得たら、売却活動を始めます。

不動産会社は、不動産ポータルサイトや自社のホームページに物件情報を掲載したり、チラシを配布したりして、広く買主を募集します。

そして購入希望者が見つかれば、価格や条件の交渉が入る場合があります。この際、借地権付き建物の場合、売主だけでなく地主にも関係してくるため慎重に進めなければなりません。

借地権付き建物は、所有権の物件と比べると需要は少ないうえ、契約期間中、地代の支払いのほか、売却やリフォーム時に地主の承諾が必要となるなどの制約があります。

そのため、早期に買主が見つからない可能性も考慮し、あらかじめ売却期間を長く見積もっておき、適宜価格を調整するなどの対策が必要です。

4-5.買主と借地権の売買契約を結ぶ

買主が見つかり、売却価格や引き渡し時期など双方が合意のうえで、売買契約を締結します。

売買契約には、地主の署名・捺印が入った借地権譲渡承諾書が必要です。借地権譲渡承諾書では、新たに借地権を譲り受ける方や契約期間などを明確にします。

また、建物の建て替えが必要な場合は、地主による建て替えの承諾も必要です。さらに、買主が住宅ローンを利用する場合、通常、抵当権を設定するにあたって金融機関から地主の承諾が求められます。

4-6.地主に承諾料を支払う

ほとんどの場合、借地権の譲渡について地主の承諾を得るために、譲渡承諾料(名義書換料)を支払います。

譲渡承諾料について、賃貸借契約書に記載されている場合はそれに従います。借地権価格の10%程度が相場ですが、地主が独自に金額を設定している場合もあります。

また一般的に、建て替えが必要な場合に支払う建替承諾料については、更地価格の3~5%程度が相場といわれています。

4-7.決済・引き渡し

売買契約を締結し、地主に承諾料を支払えば、決済・引き渡しです。

一般的には、不動産会社の店舗あるいは買主が住宅ローンを利用する金融機関で、売主と買主のほか、登記手続きを行う司法書士、仲介する不動産会社の担当者が一堂に会して行います。

買主から売買代金の残代金や固定資産税などの精算金が支払われると、売主から領収書が発行され、鍵や必要書類が引き渡しされます。

同時に、登記を依頼した司法書士が建物の所有権移転登記の手続きを行い、売主から買主に名義変更が行われ、取引が完了です。

借地上の建物を登記することで、借地権そのものの登記はなくても、あとから土地を取得した第三者に借地権を主張することができます。

5.売却成功のコツは地主との関係を円満に保つこと

借地権付き建物の売却を成功させるためには、地主との関係を円満に保つことがポイントとなります。

借地権の売却に伴い譲渡承諾だけでなく、建て替えの承諾や、買主の住宅ローン利用にも承諾が必要となるケースがあるため、地主との関係性は大切です。

また、借地権付き建物は、不動産市場で一般の買主を見つけることが難しい場合も少なくありません。

買主が見つからない場合、地主との良好な関係を築いておけば、借地権を地主に買い取ってもらう、あるいは、地主から底地を買い取って売却するなどの方法を提案・交渉しやすくなるでしょう。

借地権付き建物の売却は、手続きが複雑なので、借地権の取り扱い実績が豊富で法律に精通している不動産会社に依頼するほうが安心といえます。

不動産売却 HOME4U」では、同時に複数の不動産会社に査定を依頼できます。地主との交渉を含めて、信頼して任せられる実績のある不動産会社を見つけるために、ぜひご利用ください。

なお、地主にとって特に不利になる恐れがないにもかかわらず、借地権の譲渡に承諾してもらえない場合、裁判所へ借地権の譲渡の許可を求めていくことになります。

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まとめ

借地権付き建物の売却については、一般的な土地所有権の建物と異なり、売主と買主との関係だけではなく、地主を含めた3者間の利害関係が前提となります。

売却するにあたって、地主や買主へのさまざまな提案や交渉が必要です。

そのため、借地権付き建物の売却を成功させるには、地主との関係性を良好に保ちながら、借地権の売買実績が豊富で信頼できる不動産会社に依頼することが重要です。

まずは、不動産一括査定サイトなどを利用しながら、安心して任せられる不動産会社を見つけて相談してみましょう。