住宅ローン完済後に必要な手続きと申請手順・必要書類解説します!

住宅ローン完済後に必要な手続きと申請手順・必要書類解説します!

もう少しで住宅ローンを完済する予定なのに、まず何から手をつけて良いのかわからず不安に感じているという方も多いと思います。

この記事を読めば、住宅ローンを完済できそうな方が完済後に行うべき具体的な手続きや注意点、必要書類について正しく理解でき、完済後のマネープランについて考えるきっかけが見つかります。

この記事を読むとわかること

  • 住宅ローンの平均返済期間
  • 住宅ローンの完済後に必要な手続き
  • 抵当権抹消手続きの手順

不動産の売却を考え始めている方は『不動産売却の基礎』『 不動産売却7つの手順と注意点|土地・マンション・戸建て別に解説 』もご覧ください。

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1.住宅ローンは平均16年で完済されている

住宅ローンの完済にかかる期間(平均16年)
返済期間30年、35年と、長い期間で住宅ローンを借りている方は多いですが、住宅ローンの平均返済期間はもっと短めです。

住宅金融支援機構が集計・発表をしている「2020年度 住宅ローン貸出動向調査」によると、2016年以降、住宅ローンの貸し出し期間は平均して25~27年程度、返済期間は15~16年程度で推移しています。
住宅ローンを組んでいる約6割の契約者は、平均16年で住宅ローンを完済していることがわかります。
「貸し出し期間」とは銀行と取り決めをした借入期間のことで、「返済期間」とは、実際に完済するまでの期間のことを言います。)

上記の結果となるのは、貸し出し期間を短く設定している方が多いわけではなく、以下のことで早期完済をしているためです。

  • 繰り上げ返済・一括完済
  • 借り換えによる完済
  • 売却や住み替えに伴う完済

全員が全員「コツコツお金をためて完済」しているわけではなく、借り換えや売却、住み替えが伴った完済期間がデータに反映されています。

後の怪我・病気リスクや、養育費等々、十分な貯蓄がある方であれば、繰り上げての完済は重要です。
貯蓄が不十分であれば、借り換えや住み替えの時まで、無理に完済をしなくてもいいのではないでしょうか。

繰り上げての完済を考えている方は、ライフプランをよく考慮して検討しましょう。

2.住宅ローンの完済後に必要な手続き

住宅ローンの完済後に必要な手続き
住宅ローンは完済すれば自動的に終了するというわけではなく、やっておくべきいくつかの手続きがあります。
ここでは、住宅ローンの完済後に必要な手続きを解説するとともに、手続きをしないとどの様なデメリットがあるのかを解説します。

2-1.抵当権の抹消手続き(必須)

抵当権とは、住宅ローンを提供する金融機関が不動産を担保とするために設定する権利です。
抵当権は、住宅ローンを完済しても自動的には抹消されず、不動産所有者自身が手続きを行う必要があります。

抵当権抹消手続きをしないとどうなる?

住宅ローンの完済後は必須となる抵当権抹消手続きですが、手続きをしないと以下のようなデメリットがあります。

  • 新規ローンの審査が通りにくい
  • 不動産を売却できない
  • 再発行できない書類の紛失や金融機関の合併などにより手続きが煩雑になる

不動産には複数の抵当権を設定できますが、先にある抵当権のほうが競売などの際に優先されます。
優先順位の低い抵当権では担保としての価値が劣るため、新規のローンで通りにくくなります。

抵当権がついたままの不動産は原則的に売却できないため、先に抵当権の抹消手続きが必要になります。

抵当権の抹消にはいくつかの書類が必要ですが、再発行できないものがあるため、紛失すると代用する書類の用意に費用と時間がかかります。

抵当権の抹消は、住宅ローンを完済し金融機関から書類が届いたら、できるだけ早く済ませてしまいましょう。

2-2.火災保険質権解除の手続き(人による)

契約中の火災保険に金融機関の質権が設定されている場合には、住宅ローンの完済と同時に火災保険質権解除の手続きを行う必要があります。

質権(しちけん)とは、借金を受ける際の担保として債権者が債務者から受け取った担保(物や権利)を債務が返済されるまで保管・占有する権利のことです。もし債務の返済がされない場合には、担保を売却などして優先的に弁済を受けることができます。

火災保険質権の設定とは、住宅ローンの担保として、金融機関が火災保険の保険金請求権や返還保険料請求権に対して質権を設定することをいいます。

火災保険質権解除の手続きは、質権を設定している場合にのみ必要となるため、人によっては不要な手続きとなります。
ご自身の物件に火災保険質権が設定されているかは、住宅ローンを借りている金融機関に問い合わせると確認することができます。

火災保険質権の解除をする手順は以下の通りです。

【火災保険質権解除の手順】

  1. 金融機関より火災保険の保険証券・質権解除の書類が送付される
  2. 書類に必要事項を記載
  3. 書類を返送して完了

必要な書類や手続きの手順は金融機関や保険会社によって異なる場合がありますので、住宅ローンを借りた金融機関へ問い合わせて確認しましょう。

必要な書類がそろっていないと手続きが行えないので、届いた書類は紛失しないよう、大切に保管をしておきましょう。

3.抵当権抹消手続きの手順

抵当権抹消手続きの手順
住宅ローンを完済すると、金融機関から以下の書類が送られます。
抵当権抹手続きをする際は、これらの書類をもって『司法書士に手続きを依頼する』か『自分で手続きをする』かの2通りの方法で行います。

書類 概要
抵当権設定契約証書
(登記済み権利証)または登記識別情報
抵当権を設定した時に金融機関から発行される書類または法務局が発行する登記識別情報
抵当権解除証書
または弁済証書
日付や不動産の表示等の記載漏れがないか確認
金融機関等の資格証明書類 抵当権者である金融機関等の会社法人等番号の記載があるか確認
記載がない場合は登記事項証明書(発行後3ヶ月以内のもの)を添付
金融機関の委任状 日付の記入漏れがないか確認

3-1.司法書士に手続きを依頼する方法

司法書士に抵当権抹消手続きを依頼する場合、10日前後で手続きが完了しますが、司法書士手数料が16,000円程度かかります。
加えて、抵当権抹消には、不動産1件につき登録免許税1,000円がかかります。
土地と建物は、それぞれ別の不動産と数えるため、2,000円の登録免許税がかかるのが一般的です。

【抵当権抹消を司法書士依頼する手順】

  1. 金融機関から送られる書類をまとめておく
  2. 司法書士に抵当権抹消登記の依頼をする
  3. 抵当権抹消登記の委任状に署名、押印
  4. 手続き完了の報告をうける
  5. 司法書士へ報酬と登録免許税を支払う

金融機関から送られる書類は多く、何を提出したらいいか分からない場合は、一度すべてを司法書士まで持っていきましょう。

3-2.自分で手続きを行う方法

抵当権抹消手続きは、法務局にて自分で行うことができます。
自分で行う際は、登録免許税(抵当権抹消する不動産一件につき1,000円)だけの負担で済みますが、必要書類の収集と書類の作成が煩雑のため注意しましょう。

【抵当権抹消を自分で行う手順】

  1. 金融機関から送られる書類をまとめる
  2. 登記事項証明書を取得する
  3. 登記申請書を取得し作成する
  4. 法務局で申請を行う
  5. 登録免許税の支払い

金融機関から送られる書類の内『抵当権解除証書』『金融機関の委任状』『登記済み権利証(または登記識別情報通知)』は必須の書類ですので、まとめておきましょう。

手続きを自分で行う際は、まず『登記事項証明書』と『登記申請書』を取得します。
登記申請書に記入する情報を調べるために、登記事項証明書が必要になります。
なお、登記申請書は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。

申請書が作成できたら、管轄の法務局へ直接、あるいは郵送で提出します。
登録免許税の納付を忘れないよう注意しましょう。

抵当権抹消手続きは、登記・供託オンラインシステムより、パソコン上で簡単に行うこともできます。
その際は、申請用総合ソフトを利用する必要があります。

詳しくは『法務局:住宅ローンを完済した(抵当権抹消の登記をオンライン申請したい方)』をご覧ください。

4.住宅ローン完済後こそお金の使い道を考えよう

住宅ローン完済後こそお金の使い道を考えよう
人生において大きな出費である住宅ローンを完済すると一気に肩の荷が降りる感覚になってしまうかもしれません。

しかし、そのタイミングだからこそ、これまで住宅ローンに充てていた資金の有意義な使い道について、家族とじっくり話し合って計画を立てておく必要があります。

【有意義な資金の使い道例】

  • 家の修繕費用のために貯金
  • 子供や孫の教育費
  • 資産運用(投資など)
  • 老後の生活に向けた貯金
  • 趣味
  • 夫婦で旅行

アットホーム株式会社が2021年に調査を行った『新築戸建て購入後30年以上住んでいる人に聞く「一戸建て修繕の実態」調査』によると、これまでにかけた修繕費の平均総額が532.1万円、平均築年数が36.8年という結果が出ています。

修繕費だけでなく固定資産税や火災保険の費用も必要ですので、計画的に貯金をしておくと安心です。

また、投資などの資産運用をする場合には、元本割れの可能性もあるので資産配分も考えて慎重に選びましょう。

子や孫が大きくなると、入学金などの教育資金も必要になってきますし、老後に安心して暮らすための貯金も必要です。

「これまで忙しくて我慢してきた趣味を始めたい」「夫婦で年に1回程度贅沢な旅行をしたい」など、人生を楽しむための使い道も考えておきたいところです。

住宅ローン完済を機会に、時間をかけて家族で話し合ってみてはいかがでしょうか?
また、住宅ローン完済前に家の売却を考えている方は、以下の記事もご覧ください。

この記事のポイントまとめ

住宅ローン完済に向けて繰り上げ返済した方がいい?

住宅ローンを組んでいる約6割の契約者は積極的に繰り上げ返済をしており、平均16年で住宅ローンを完済しています。

  • 住宅ローンの貸し出し期間は平均して25~27年程度
  • 返済期間は15~16年程度で推移している

詳しくは「1.住宅ローンの平均返済期間は16年」をご覧ください。

住宅ローンを完済したらどんな手続きが必要?

住宅ローン完済後は、抵当権抹消手続きと、場合によって火災保険質権解除の手続きが必要です。
抵当権抹消手続きを放置すると、新規ローンの審査で不利になったり、売却できなかったりします。

詳しくは「2.住宅ローンを完済したら必要な手続き」をご覧ください。

抵当権抹消の手続きってどうやるの?

抵当権の抹消登記は、司法書士に依頼することもできますが、自分で行うことも可能です。
抵当権抹消手続きは以下の流れで行います。【抵当権抹消手続きを自分で行う手順】

  1. 完済後に金融機関より送付される書類を確認する
  2. 必要書類の準備・記入
  3. 法務局にて申請手続き

※オンラインでの申請も可能です。
詳しくは「3.抵当権抹消手続きの手順」をご覧ください。

住宅ローンを完済したら余裕ができた資金どう使うのがいい?

住宅ローンを完済するタイミングだからこそ、これまで住宅ローンに充てていた資金の有意義な使い道についても、
しっかり計画を立てておく必要があります。【有意義な資金の使い道例】
住宅ローン完済を機会に、時間をかけて家族で話し合ってみてはいかがでしょうか?

  • 家の修繕費用のために貯金
  • 子供や孫の教育費
  • 資産運用(投資など)
  • 老後の生活に向けた貯金
  • 趣味
  • 夫婦で旅行

詳しくは「4.住宅ローン完済後こそお金の使い道を考えよう」をご覧ください。