中古住宅はそれまでの使われ方によって状態が違うため、購入にあたってどういった点をチェック注意すべきでしょうか。
この記事では、買ってはいけない中古住宅の特徴と注意すべき点、中古住宅選びで失敗しないための対策について解説します。
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1.買ってはいけない中古住宅:土地・立地の特徴
中古住宅の購入について、買ってはいけない土地や立地の特徴について解説します。
1-1.再建築不可の土地
「再建築不可」の物件では、新築・建て替え、(建築許可が不要な小規模なリフォームを除いた)増改築ができません。
建築基準法が定める接道義務を満たさないと、再建築不可物件とされます。
接道義務は、幅員4メートル以上の道路に、土地の間口2メートル以上が接していなければいけないとする義務です。
接道義務を満たさない場合は、隣地を購入し間口を広げる、土地を狭めて道路幅を拡大するなどの対策を講じない限り再建築不可のままです。
再建築不可物件は活用の用途が限られるため、需要が非常に低い土地です。
安く買えるメリットがある反面、売却時はなかなか買い手が見つからず後悔する恐れがあります。
1-2.自然災害リスクが高い
自然災害が多い日本では、災害リスクの高い土地は買うべきではありません。
自然災害のリスクには、地震による津波や液状化、ゲリラ豪雨などによる河川氾濫や洪水、土砂災害、台風による高潮などさまざまであり、所在地や立地によっても異なります。
万が一、自然災害が発生した場合、建物や家財だけでなく生命まで危険にさらされる可能性があり、安心して生活するためには災害リスクが低い土地選びが重要です。
また、災害リスクの高い土地は、将来の資産価値も低くなることが予想されます。
国や自治体が公表するハザードマップでは、津波や河川氾濫の浸水想定地域、土砂災害警戒区域などを確認できますので、参考にしながら物件探しをしましょう。
1-3.排水機能が弱い
水はけが悪く、排水機能が弱い土地は要注意です。
津波や河川の氾濫が考えにくい地域でも、ゲリラ豪雨が発生すれば浸水被害は起こりえます。
気象庁によると、大雨の年間発生回数は増加傾向にあります。これまで以上に、大雨への対策が必要なのです。
出典:“大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化”.気象庁 .(参照2024-08-23)
水はけが悪いかどうかは、土地の地歴やハザードマップで過去の浸水履歴を調べたり、雨が降ったあとに現地を訪れたりすることで確認できます。
また、地名に「水」にまつわる言葉が含まれている場合、過去に水害があった地域の可能性もあります。
下記の国土交通省のページなどを参考に、地名からの推測もしてみましょう。
参考: “地名は水害の履歴書”.国土交通省. (参照2024-08-23)
1-4.交通利便性が悪い
利便性が悪い土地だと、長い視点で考えた場合に通勤や通学にかかる時間が長く、日々の生活の負担が大きくなる可能性もあります。
バスを利用すればバス代が、自転車や車を利用すれば駐輪、駐車代がかかるため、移動にかかるコストが高くなることも考えられます。
また昨今、全国的に地価が上昇傾向にありますが、利便性が悪い土地ほど価値は上がりにくく、将来的に高く売却することも難しくなります。
1-5.治安の悪い地域
長く安心して暮らすためにも、治安が悪い地域の土地は避けるべきでしょう。
治安の悪いエリアでは、些細なトラブルが起きやすく、犯罪が多いほど町の発展が阻害されることもあります。
また、治安の悪さは需要にも関係するため、地価は低くなります。
今後も犯罪が増えたり、大きな犯罪が起こったりすると、地価がさがっていく場合もあるでしょう。
治安の改善は見通しが立てづらいため、事前にしっかりと確認が必要です。
治安の確認方法については「 4-3.治安がいいか確認する」をご覧ください。
1-6.近隣に管理されていない空き家がある
隣地や近隣に管理していない空き家があると、景観が悪いだけでなく、不法占拠されるなど犯罪の温床になる可能性もあります。
また隣地であれば、樹木の越境や家屋の倒壊などで被害を受ける場合があります。
また購入する地域の空き家率が高い場合、街全体の活気が失われ、将来的な人口減少から資産価値の低下につながることも考慮しておくことが必要です。
1-7.隣地との境界線が曖昧
隣地との境界線が曖昧な土地は、購入後にトラブルとなるリスクがあります。
土地や家屋が接する方同士の古くからの付き合いのなかで、境界が曖昧だったり、越境したりしたまま放置されていることは珍しくありません。
しかし所有者が変わったことを機に、隣地所有者が、境界について自分に有利な主張をしてくる可能性があります。
また将来、売却するとなった場合、本来売主には境界を明示する義務があります。
正確な境界を明示せずに売却するケースもありますが、隣地とトラブルになる可能性がある土地は、買主が見つからず、売却が難航する可能性が高くなります。
さらに、境界が未確定の土地は、住宅ローンを利用する場合に、担保価値が低いと判断され必要な資金の調達が難しくなることも考えられます。
1-8.公簿売買で売り出されている
登記簿に記載されている土地の面積(公簿面積)と、実際に測量した面積(実測面積)では差がでる場合があります。
登記された時期が古いほど、現況と異なる可能性が高いのです。
公簿売買とは、公簿面積で売買する方法で、あくまで実測面積と同一とは限らないという前提で取引されます。
この場合、取引後に実測面積と差異があっても、値引きや契約解除をできないのが一般的です。
建築基準法では、土地の場所や面積によって建てられる建物の規模を規制しています。
「売買契約時点で想定していた建物が、実測面積が小さかったために建てられない」といった事態に陥る可能性もあるため、十分な注意が必要です。
また、地価が高い土地であれば、公簿面積と実測面積の違いが売買代金に与える影響も大きくなります。
2.買ってはいけない中古住宅:建物の特徴
中古住宅の購入について、買ってはいけない建物の特徴を解説します。
2-1.建築基準法に違反している
建築基準法に違反している建物は、住宅ローンの利用が難しいうえ、場合によっては行政の是正勧告、指導の対象となる場合もあるため購入すべきではありません。
建築基準法違反の例として次のようなものがあげられます。
- 建ぺい率・容積率の超過※1※2
- 法律上、居室に必要な開口部(窓)の面積が不足
- 地域ごとに定められた建物の種類や大きさ以外の建物を建築
- 増築の申請がされていない など
※1建ぺい率とは、敷地面積に対して建てられる建築面積
※2容積率とは、敷地面積に対して建てられる延床面積
仮に購入したとしても、建築基準法違反の建物は、将来の売却も難しくなります。
2-2.新耐震基準を満たしていない
1981年(昭和56年)に耐震基準が旧耐震基準から新耐震基準に見直されています。
1981年以前に建築された建物は、旧耐震基準に則って建築されているため、耐震性が乏しい可能性があります。
ただし耐震基準は、その基準以上で建築することを義務づけるものであり、旧耐震基準時点の建物でも耐震性の高い場合はあります。
旧耐震基準の建物は将来的な売却に向きませんが、価格が安いというメリットもあります。
どうしても旧耐震基準の物件が気になる場合は、耐震診断を実施してみましょう。
なお新耐震基準とは、「中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しては、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないことを目標としたもの」です。
出典: “住宅・建築物の耐震化に関する現状と課題”.国土交通省. (参照2024-08-28)
2-3.建物が傾いている
傾きを解消するには多額の費用がかかる可能性があるため購入すべきではありません。
建物が傾く原因として、いくつか考えられます。
- 軟弱地盤による地盤沈下
- 地震による液状化あるいは地盤のずれ
- 床の下地材など構造材の劣化
- 欠陥住宅 など
傾いた家に住むと体調不良の原因となり、場合によっては倒壊する可能性もあるため買うべきではありません。
2-4.建物に亀裂が見られる
建物に亀裂が見られる建物もおすすめできません。
特に幅が0.3ミリメートル以上、深さが4ミリメートル以上の亀裂は、建物の構造体に影響を与えると考えられており、寿命が短く、安全性が低くなります。
亀裂の原因としては、建物の経年劣化や地震が考えられます。
また建物の重みで、地盤や建物が不揃いに沈んだり滑り出したりすることがあり、こうした現象を「不同沈下」と呼びます。
いずれも時間の経過とともにますますひどくなる可能性もあるため、建物調査を実施するなど購入判断は慎重にすべきです。
2-5.雨漏りや木材の腐食が見られる
雨漏りや木材の腐食が発生している建物も、注意が必要です。
床下に湿気がたまると、シロアリが発生しやすい環境にもなります。
また、雨漏りの発生箇所と雨水が侵入している箇所が同じとは限らず、原因の特定がしにくかったり、広い範囲にまたがっていたりする可能性もあります。
部分的な屋根材の補修や雨どいの補修などは最低1万円程度でできる場合もありますが、状態が悪化し下地からの補修が必要な場合は100万円を超える可能性もあります。
3.注意すべき「告知事項あり」とは
中古物件のなかには、チラシなどに「告知事項あり」と記載されているものがあります。
告知事項ありの物件を検討する際は、その内容を詳しく確認して、慎重に決めていくことが重要です。
告知事項とは、買主が不動産の購入を決める際に大きな影響を及ぼす事項のことで、売主は買主への告知が義務付けられています。
代表的な告知事項には、以下の4つの瑕疵(かし、不具合や不都合なこと)があるとされています。
- 心理的瑕疵:自殺や火災など
- 環境的瑕疵:騒音や悪臭など
- 物理的瑕疵:雨漏りや傾きなど
- 法的瑕疵:条例による建物の使用制限など
4.中古住宅選びで失敗・後悔しないための対策
買ってはいけない中古住宅の特徴を踏まえ、物件選びで失敗、後悔しないための6つの対策を解説します。
4-1.複数物件の比較と2回目の内覧をする
中古住宅を購入する際は即決せず、複数の物件をじっくりと比較検討しましょう。
複数物件の比較をとおして、劣化状況や室内の状態など、中古住宅を見る目も養われます。
また、気に入った物件は2回目の内覧をしてみることをおすすめしています。
この際、内覧の時間帯を変えることで、日当たりや騒音、交通量の違いなども把握できるため、購入後に後悔する可能性を大きく減らせます。
4-2.周辺環境を確認する
土地、建物だけでなく、交通・生活利便性を考えながら周辺環境を確認しましょう。
最寄り駅や子どもの幼稚園、学校までのアクセスを確認するとともに、利用できる公園や病院、公共施設、自然の多さなどもチェックするとよいでしょう。
また、近隣の空き家の状況や嫌悪施設の有無、周辺の商業施設や娯楽施設が与える住環境への影響なども確認することが大切です。
4-3.治安がいいか確認する
治安の良し悪しを調べるには、警視庁が提供している犯罪情報マップや地域の県警などが公表している犯罪情勢などを調べる方法があります。
また、日中と夜間など時間帯を変えて、購入を検討しているエリアの雰囲気や駅前の様子、街灯の多さなどを、実際に歩いて確認するとよいでしょう。
参照: “警視庁犯罪情報マップ”.警視庁.2022-04-01. (参照2024-08-23)
4-4.ホームインスペクションを行う
中古住宅は1つ1つ状態が異なり、チェックすべき観点も多岐にわたるため、ホームインスペクション(建物診断)を利用することが効果的です。
ホームインスペクションは、建築士や住宅に精通した専門家が、第三者的な立場から建物の劣化状況や不具合箇所の有無をチェックすることです。
建物の状態を把握したうえで安心して購入できるだけでなく、購入後にかかる修繕費用の目安がわかる場合もあります。
ホームインスペクションにかかる費用は、一戸建て(30坪程度)で5~7万円程度、マンション(70平方メートル)で4~6万円程度が相場です。希望する場合は、売主に同意を得て実施します。
4-5.建物構造ごとの特徴を知っておく
一戸建ての建物構造は、大きく木造(W像)と鉄骨造(S像)、鉄筋コンクリート造(RC造)に分けられ、それぞれの特徴を知っておくとよいでしょう。
日本の一戸建て住宅の8割以上は木造住宅ですが、他の構造と比べ耐用年数は短くなります。
そのため、築年が経過した物件については、耐震性を含めて「構造部材の劣化状況」「雨漏れやシロアリ被害」「これまでのメンテナンス状況」などをしっかりと確認することが必要です。
また、木造住宅のなかにも、木造軸組工法やツーバイフォー、木質系プレハブ工法など種類があり、耐震性や断熱性、リフォームの自由度などそれぞれ特徴があります。
一方鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、木造より耐用年数は長く、耐震性にも優れています。
ただし、鉄骨造であれば間取りの変更の自由度が低い、また、鉄筋コンクリート造であればメンテナンス費用や固定資産税が高くなりやすいなどの特徴があります。
4-6.見落としを防ぐチェックリストを作る
内覧時に確認すべきことは数多くあります。
チェックリストを作成しておけば、確認漏れを防ぐのに役立ちます。
たとえば、建物内部であれば、間取りや動線の確認だけでなく、壁のひび割れや床・階段のたわみ、建具の動作不良、水回り設備の状態などをチェックリストにします。
目視できるとは限りませんが、屋根裏や床下などもチェック項目に入れておきましょう。そうすることで、売主や不動産会社へ適切に質問ができるはずです。
また、建物の外部であれば、外壁や基礎のひび割れ、雨樋の詰まりや破損などのほか、メンテナンスの履歴もチェック項目とします。
チェック項目を土地や建物(外部と内部)、周辺環境、マンションであれば管理状況などに分けて作成するとよいでしょう。
まとめ
中古住宅を買うにあたって重要なポイントは、災害時の安全性や長く生活するうえでの安心感です。
また、資産価値なども考慮すれば、確認すべき点はより多くなります。
何を快適と感じるかは人それぞれです。そのため家選びは大変です。
そこで、本記事1章、2章で解説した「買ってはいけない中古住宅の特徴」を参考としていただければ、家選びの基準を作りやすく、より後悔しない選択がしやすくなると思います。
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