不動産の2025年問題とは?大暴落はするの?不動産や住宅価格は今後下がる?

2025年問題って「そもそも何が問題なの?」「不動産の価値が下がるって本当?」など、あと2年に迫った2025年問題について気になっていませんか?

2025年問題とは、現在800万人いる団塊世代(1947年〜1949年生)が75歳以上の後期高齢者となることで、社会に次のような変化をもたらすことを言います。

  • 社会保障費の爆発的な増加
  • 労働力の不足

実は、こうした少子高齢化の影響を受けて、不動産市場にも大きな変化が起こることが予測されています。

この記事では、2025年問題が「不動産市場に与える影響」と「不動産の今後の売却タイミング」について、以下の流れでわかりやすく解説していきます。

  • そもそも2025年問題って何?
  • 2025年問題が不動産市場に与える3つの影響
  • 不動産を売るなら今がチャンス!

最後まで読めば、2025年問題について理解が深まり、あなたのライフプランに適した不動産売却を検討することができるでしょう。

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1.不動産の2025年問題とは?

今、あなたが不動産の売却を検討されているのなら、リスク回避のためにも2025年問題を把握しておくことが大切です。

まず、2025年問題について次の3つのポイントに沿って理解していきましょう。

  • 団塊世代が後期高齢者に突入
  • 社会保障費の爆発的な増加
  • 労働力の不足

それぞれ順に見ていきましょう。

1-1.団塊世代が後期高齢者に突入

2025年問題が起こる唯一の理由は、現在800万人いる団塊世代(1947年〜1949年生)が75歳以上となり後期高齢者になることです。

以下の表は内閣府が公開している「令和4年版 高齢社会白書」ですが、2025年を迎えると日本の総人口1億2,254万人に対して、75歳以上の後期高齢者が18%弱まで高まってしまうのです。

さらに、人口減少や少子高齢化の影響を受け、65歳以上の高齢者の割合は30%を超えることになります。

内閣府「令和4年版 高齢社会白書」 ※2023年3月時点

出典:高齢化の状況. 令和4年版高齢社会白書(概要版)|内閣府(参照2023-3)

つまり、日本人の約3人に一人が高齢者になる計算です。2025年問題は、世界で最も少子高齢化が進んでいる日本故の問題ですが、その結果、後述する「社会保障費の爆発的な増加」や「労働力の不足」に繋がるのです。

1-2.社会保障費の爆発的な増加

2025年問題の中で社会的に最も大きな影響を与えるのが、医療費や介護費の増大とそれに伴う現役世代の負担の増大です。

厚生労働省によると、2020年度の医療や年金、介護などにかかった社会保障給付費は134.4兆円と過去最大だったのに対して、2025年では148.9兆円とさらに15兆円も膨らむことが予測されています。

経済財政諮問会議「社会保障費の推移等 」 ※2023年3月時点

出典: 社会保障費の推移等|内閣府経済財政諮問会議(参照2023-3)

このように、短期間での社会保障費の急激な伸びが予測されており、約800万人と人数の多い団塊世代が医療や介護を受ける側に回ることで、社会保障制度の行き詰まりが危惧されています。

こうした変化に伴って、医療費や介護費を抑制するために病院や介護施設が減ったり、年金支給開始年齢が引き上げられるなど、公共サービスの破綻または委縮も予測されています。

1-3.労働力の不足

2025年問題におけるもう一つの深刻な問題が「人材不足」です。パーソル研究所によると、2030年までに644万人分の労働力が不足すると予想されています。

高齢者が急増している日本という超高齢化社会の中で、若い世代の人口や出生率は減少を続けています。こうした労働力の不足によって次の3つのリスクが懸念されています。

  • 労働環境の悪化
  • 事業の縮小
  • 競争力の低下

こうした労働力の問題に対しては、これまで働きたくても働けなかった主婦層やシニア、外国人の労働力で補うという「労働供給」あるいは「労働需要」そのものを減らすといった取り組みが必要不可欠ですが、それだけで解決するのかはまだ分かりません。

2.2025年問題が不動産市場に与える3つの影響

ここからは、2025年問題が「不動産市場へ及ぼす影響」について考えていきたいと思います。

2025年問題が不動産市場に及ぼすと考えられる事象は次の3つです。

  • 相続による不動産売却が増える
  • 不動産の買い手が減少
  • 不動産価格が下落し市場が冷え込む

それぞれ順に説明します。

2-1.相続による不動産売却が増える

団塊世代が75歳になる2025年頃から本格的に相続件数が増えはじめます。その結果、相続した空き家が増えはじめ、空き家の売却も増えはじめます。

以下の表は、総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」からの抜粋ですが、1998年に576万戸だった空き家総数は2018年時点で849万戸と1.5倍に増加し、空き家率は13.6%と過去最高を記録しました。

さらに、野村総合研究所による2033年の空き家率は30%台を上回ると予測されています。

出典:平成30年住宅・土地統計調査|総務省統計局. 2019-9-30(参照2023-3)

このように、相続による空き家が増えはじめ、2033年には日本の約1/3の家が空き家になってしまう可能性があります。

つまり、2025年以降、日本は超空き家大国になり、その空き家が不動産市場にも出回ることになるのです。

2-2.不動産の買い手が減少

2025年以降、日本全国に空き家が増え、不動産の売却数が増える一方で、不動産を購入する世代である30代の人口が減っていきます。

例えば、2025年までに30代の人口がどれくらい減るのか?東京都を例に見てみましょう。

東京都 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年
人口 2,058,429人 1,882,774人 1,763,832人 1,778,964人 1,778,010人 1,728,224人
人口減少 -175,655人 -11,8939人 15,129人 -954人 -49,786人

出典:日本の地域別将来推計人口|国立社会保障・人口問題研究所(参照2023-3)

つまり、2015年から2025年で見てみると、実に約29万人以上も30代の人口が減ってしまうことが分かります。

このように、不動産の買い手が減少してしまう一方で、不動産の売却件数が増えるため、不動産価格が下落する可能性が高くなってしまいます。

2-3.不動産価格が下落し市場が冷え込む

ここまでご説明してきたように、2025年以降は地方を中心に不動産の価値が下がっていくと予想できます。

というのも「人口減少によって地方から都心へ移住が始まる」「公共サービスが減り周辺の不動産需要が下がる」からです。

つまり、都市部を除くほとんどの不動産物件の価値が下がる可能性があります。その結果として、不動産市場は冷え込んでしまうことになるでしょう。

お家のいろは コラム
“都市部の不動産価格は上昇する可能性もアリ”

2025年問題による不動産価値の下落を考えた場合、都市部の不動産については上昇する可能性が考えられます。

というのも、人口減少によって都市部にはさらに地方から人が集まる可能性があるからです。

都市部でも特に不動産価値の上昇が見込めるエリアは次の通りです。

  • アクセスに優れた人気エリア
  • 駅前などの繁華街エリア
  • 再開発が進んでいるエリア

そのほかに、人口減少が起こっているエリアでも不動産価値の上昇が見込めるエリアは次の通りです。

  • 人が集まるような商業施設があるエリア
  • 立地適正化計画にある「住んで欲しい」エリア
  • 外国人が集まる人気のスポットがあるエリア

こうしたエリアに不動産をお持ちの場合には、不動産価値は上がる可能性があります。

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3.【2025年】不動産の大暴落は本当にやってくるの?

2023年3月22日に発表された地価公示によると、全国の全用途平均、3大都市圏、地方圏ともに2年連続で上昇しています。

全国の全用途平均は前年比1.6%上昇したほか、用途別では住宅地が1.4%、商業地が1.8%上昇し、上昇率も拡大となりました。

住宅地はコロナ前への回復傾向が顕著で地方圏にも上昇が広がっているほか、商業地は都市部を中心に店舗需要は回復傾向にあり、堅調なオフィス需要やマンション用地需要から地価の回復傾向がより進んでいます。

また、2013年以降、首都圏のマンションの売却相場は年々上昇を続けているということもありますので、2025年に不動産が短期間で暴落するということは考えにくいと言えます。

不動産価値は、地方を中心に2025年から2040年にかけて徐々に低くなって行くと考えられますが、リーマンショックのような外的な要因がない限り不動産の急激な大暴落は起こらないと考えられます。

4.不動産を売るなら今がチャンス!

この記事の最後に、今後の不動産売却タイミングについても考えてみたいと思います。

結論として、もしあなたが不動産の売却を検討しているのなら今が売り時だと言えます。

その理由を以下の3つのポイントに分けて説明します。

  • 不動産の売却相場は過去最高
  • 今後の価格上昇は期待できない
  • 不動産ローンの金利がいつ上がるか分からない

それでは一つずつ見ていきましょう。

理由1.不動産の売却相場は過去最高

国土交通省が発表している不動産価格指数によると、下表のように、2013年以降、不動産の売却相場は年々上昇を続けており、過去20年で最高値となっています。

国土交通省「不動産価格指数」 ※2023年3月時点

出典:不動産価格指数. 土地・不動産・建設業|国土交通省(参照2023-3)

特にマンションの売却相場は右肩上がりに上昇していますし、戸建てや住宅地も緩やかに上昇していることが分かります。

ただし、2025年問題も踏まえると、価格の上昇がいつまで続くのかはハッキリとは分かりませんので、不動産の売却を検討しているのなら高値の今が売り時だと言えます。

理由2.今後の価格上昇は期待できない

不動産の価格上昇を予想する際に、売却するエリアの人口推移も一つの要因として捉える必要があります。

というのも、人口が増減するということは、その世帯数分だけ住む家が必要となる、あるいは不要となり、マンションや戸建ての価格にも影響するからです。

以下の表は日本の2014年10月~2023年1月までの人口の推移を示していますが、2014年以降、年々減少または横ばいを続けており、10年間で延べ231万人の減少を確認できます。

西暦 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
人口 1億2,708万人 1億2,709万人 1億2,693万人 1億2,670万人 1億2,644万人 1億2,373万人 1億2,614万人 1億2,550万人 1億2,322万人 1億2,477万人
増加人口 1万人 -16万人 -23万人 -26万人 -271万人 241万人 -64万人 -228万人 155万人

出典:人口推計|総務省統計局. 2023-1-20(参照2023-3)

このように、日本の総人口はすでにピークを過ぎており、少子高齢化が進み、人口減少局面が続いていることが分かります。

一部の都市では逆に人口が増える可能性もありますが、特に地方を中心に人口は減少を続けます。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によれば、2040年までに日本の総人口は1億1,092万人まで減少すると予測されています。

こうした状況を踏まえると、今後も不動産の売却相場が上昇し続けるとは考えにくく、中古マンションや戸建て、住宅地の価格が上昇している今が売り時だと言えるでしょう。

理由3.不動産ローンの金利がいつ上がるか分からない

2023年1月より「三菱UFJ銀行」や「三井住友銀行」など大手金融機関は固定型住宅ローンの金利引き上げを発表しました。

これは、日本銀行が長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度まで引き上げたことによるものですが、金利固定型ローンを新規に借り入れようとする人には負担が重いものとなりました。

一方で、住宅ローン利用者の実に7割を占める変動型金利はまだ据え置かれているのが現状です。ただし、今後の住宅ローンがどうなっていくのか分からない日本の経済状況を鑑みても、不動産の売り時は早いほうが良いでしょう。

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不動産売却の進め方が分からない方は、『【図解】不動産売却の流れと期間│必要書類や税金』も併せてご覧ください。

この記事のポイント

1.そもそも2025年問題って何?

2025年問題とは、約800万人いる団塊世代が後期高齢者になることで社会が変化することを指します。大きくは次のような事象が起こります。

  1. 団塊世代が後期高齢者に突入
  2. 社会保障費の爆発的な増加
  3. 労働力の不足

詳しくは『1.そもそも2025年問題って何?』をご覧ください。

2.2025年になると不動産の価値が下がるの?

2025年問題が不動産市場に及ぼすと考えられる事象は次の3つです。

  • 相続による不動産売却が増える
  • 不動産の買い手が減少
  • 不動産価格が下落し市場が冷え込む

詳しくは『2.2025年問題が不動産市場に与える3つの影響』をご覧ください。

3.2025年に不動産の大暴落は本当に起こるの?

2025年に短期的に不動産の価値が下落することは現実的に考えにくく、リーマンショックなどの外的要因がない限り、2040年へ向けて徐々に不動産の価値は下がっていくと考えられます。詳しくは『3.【2025年】不動産の大暴落は本当にやってくるの?』をご覧ください。

4.これから不動産を売るならいつがいいの?

結論として、不動産の売却を検討しているのなら今が売り時です。その理由は以下の通りです。

  • 不動産の売却相場は過去最高
  • 今後の価格上昇は期待できない
  • 不動産ローンの金利がいつ上がるか分からない

詳しくは『4.不動産を売るなら今がチャンス!』をご覧ください。