タワーマンションといえば高級で、価値が落ちにくいイメージがあるかと思います。
実際に、購入時も相当な費用が掛かっていると思いますから、できる限り高値で売却したいですよね。
ただ、意外にもタワーマンションは売れにくいという声も少なくありません。
タワーマンションだからこそ、注意しなければいけないポイントや、知っておくべきコツが様々あるのです。
この記事では、売却におけるタワーマンションの特徴や、高くスムーズに売却するタイミングやコツを紹介します。
- タワーマンションならではの年数の経過による売却に不利な理由を知る
- タワーマンションならではの有利な売却メリットをしる
- 税制面での優遇を戦略的に活用することを知る
- 売却にかかる費用や税金を知る
マンション売却の全体像から知りたい方は、『マンション売却の流れ』も併せてご覧ください。
Contents
1.タワーマンションが売却しにくいと言われる理由
ここ数年で急激に増えているタワーマンション、多くの人が居住者となることに憧れながらも、立地や充実した設備、仕様に手が届かないとあきらめているのが現実かもしれません。人気があるからこそ価格が下がりにくいと言われる一方で、タワーマンションは売却しにくいとの声もあります。それはなぜでしょう。
購入者候補者が成約まで至らない原因、その理由について考えてみると、タワーマンションならではのリスクが見えてきます。
【タワーマンションが売却しにくいと言われる理由】
- 大規模な修繕が必要になる
- マンションの大幅な値崩れの不安
- 住民の層がバラバラ
1-1.大規模な修繕が必要になる
マンションには大規模な修繕が定期的にあります。タワーマンションに限った話ではありませんが、大規模修繕は、12年周期が一般的です。
大規模修繕にかかる費用は、修繕積立金として固定費的に支払いを続けるが一般的ですが、修繕時に足りない分を徴収されるケースもあります。
タワーマンションの場合、通常のマンションより規模が大きいため修繕にかかる費用も当然大きく、追加費用を徴収されるケースも多いのです。
追加徴収する一時金が所有者全員から集められないと、不十分な修繕が行われることもあり、資産価値の下落にもつながります。
もともと固定費が高いことを見越した方が検討する物件ですが、さらに修繕費というプラスの支出が考えられると不安になってもおかしくありません。
1-2.マンションの大幅な値崩れの不安
現在、全体的なマンションの価格は著しく高くなっています。
この先起こりうる住宅ローン金利の上昇や、物価の上昇などを考えると、値崩れするのではないかと心配される方が多くいます。
タワーマンションは立地のいい場所に建設されることが多いため、資産価値が下がりにくいといわれていますが、反対に立地の良くないタワーマンションは資産価値が下がりやすいと考えられます。
また、数十年先の話ですが、人口減少と少子化が進むとタワーマンションの需要が下がっていくことは容易に想像ができます。
中には終の棲家としてタワーマンションを検討されている方もいるため、財産として残りうる不動産なのか心配されやすいのです。
1-3.住民の層がバラバラ
住んでみて実感されている方は多いかもしれません。
タワーマンションは規模が大きく、戸数も多いため、当然さまざまなタイプの方が居住しています。
人間関係や防犯面、管理組合との意思疎通など、規模の大きさ故に考えられる不安が様々あるのです。
2.タワーマンションの売却を検討したいタイミング
前項ではタワーマンションが売れにくい理由を紹介しましたが、人気は健在ですので値段設定等で比較的容易に売却することは可能です。
たた、できるだけ手元に入るお金を増やし、スムーズに売却するには売却タイミングの見極めが重要です。
以下では、タワーマンションの売却を検討したタイミングを6つ紹介します。
- 住まなくなってから3年以内
- 所有期間が5年を超えたとき
- 所有期間が10年を超えたとき
- 増税前や金利上昇前
- 大規模修繕の前後
2-1.住まなくなってから3年以内
タワーマンションの売却後、売却益(譲渡所得)が出た場合は税金が発生します。
譲渡所得に対し発生する所得税と住民税を合わせて譲渡所得税と呼びますが、とても高い税率なので注意が必要です。
ただ、マイホームを売却する場合は、譲渡所得を3,000万円まで控除できる特例を適用できるため、多くの場合で税金がかからないでしょう。
3,000万円の特別控除を適用するには、様々な要件を満たす必要があります。
詳しい解説は省きますが、要件の一つに「すまなくなってから3年以内に売却すること」があります。
あくまでもマイホームの売却に適用できる特例のため、すまなくなってから長期間が経過すると、対象外となるのです。
詳しくは『国税庁No.3302マイホームを売った時の特例』をご覧ください。
2-2.所有期間が5年を超えたとき
前項でも解説したように、売却益(譲渡所得)に譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、物件の所有期間によって税率が変わります。
所有期間 | 税率 |
---|---|
5年以下 | 39.63% |
5年超え | 20.315% |
もし所有期間5年目であれば、6年目になってから売却すると税金を抑えることができます。
ただし、築年数が速いほうが資産価値は高いため、所有期間5年超えまで遠い場合は早くうったほうが手取り額を大きくしやすいでしょう。
また、税率を気にするのも税金がかかる場合の話ですので、売却益が出ない場合は特に気にする必要はありません。
売却益が出るかどうかは、不動産会社に査定をしてもらったうえで計算してみましょう。
2-3.所得期間が10年を超えたとき
不動産の売却における譲渡所得税は、原則として39.63%か20.315%になりますが、軽減税率を適用できる場合もあります。
譲渡所得税の軽減税率の特例は、所有期間10年を超えるマイホームを売却する時に適用できる制度です。
軽減税率を適用すると、税率は14.21%まで低くなります。
参考:国税庁No.3305マイホームを売ったときの軽減税率の特例
現在、マンションの売却相場は上昇しているので、都心の人気物件などは購入時よりも高い金額で売却できるケースが多くあります。
売却益が大きくなりすぎる場合は、所有期間10年超えを待てるか検討してみましょう。
2-4.増税前や金利上昇前
消費税などの増税前や金利上昇前は、駆け込み需要が期待できるため、売却のタイミングとして狙い目です。
多くの場合、物件購入は住宅ローンを利用しますが、少しでも低金利のうちに物件を購入したいと「金利相場」を判断材料にするケースは多くあります。
現在は、超低金利の時代です。
金利が上昇すれば住宅ローンを借り入れにくくなり、不動産の取引が鈍化していく可能性があります。
その場合、タワーマンションでも資産価値が下落する可能性があるため、金利の動向は常につかむようにしておくと安心です。
2-5.大規模修繕の前後
前述のとおり、マンションの場合には、定期的に大規模修繕工事を行います。
タワーマンションの場合には、年数に応じて修繕積立金や管理費が高くなるのが一般的で、大規模修繕の前に一時金が徴収されるケースもあります。
余計な支出を生まないように、大規模修繕の前に売却するのも一つの手でしょう。
ただし、買手からすると入居後すぐに修繕費を要求されるのは回避したいはずです。
そのため、修繕費分を安くするような交渉をすると、いくらか売れやすくなります。
反対に、大規模修繕後に売却する手もあります。
修繕一時金が発生する可能性こそありますが、「大規模修繕直後のマンション」であることは物件のアピールポイントとなり、売れやすくなる場合があります。
経済状況なども鑑みたマンションの売り時を知りたい方は『マンションの売り時はいつまで?今後の市況と判断指標を解説』をご覧ください。
売却を進めていきたい方は、まず不動産会社の査定を受けてみましょう。
NTTデータグループが運営する不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)を利用すれば、最大6社にまとめて査定依頼ができるため、簡単に査定額を比較できます。
3. 早く高く売れるタワーマンションの特徴
本記事1章では「タワーマンションの売れにくさ」について解説しましたが、タワーマンションの人気は事実であり、すぐに高く売れてしまう物件も多くあります。
以下では、売却しやすいタワーマンションの特徴について解説いたします。
- 駅から近い
- 周りの施設が充実している
- 中層階~高層階
3-1.駅から近い
不動産の価値は、駅からの距離に大きく左右されます。
一般的にタワーマンションは駅近くに建設されることが多いですが、駅直結のタワーマンションが突出して価格が高いように、些細でも差は生まれます。
タワーマンションの購入希望者は特に利便性を重視するため、駅からの距離の影響度が多きくなりやすい傾向にあります。
これは、駅利用だけでなく、駅周辺の施設の充実度も関係しています。
また、購入希望者が物件を探す際、「駅から徒歩〇分以内」という検索条件を指定します。
最も小さい指定が多くの場合で「駅から徒歩5分以内」のため、5分以内かそれ以外で物件の表示回数が相当変わります。
徒歩1分の違いが人気に大きな差をつけるため、駅から近いタワーマンションの方が圧倒的に高くスムーズに売れやすくなります。
3-2.周りの施設が充実している
前項と通ずる部分でもありますが、購入希望者が求める利便性は周辺施設の充実度でも変わります。
単純に、周辺施設が充実しており、そこまでの距離が近いほど人気は高まります。
商業施設だけでなく、学校や病院なども重視されます。
3-3.中層階〜高層階
タワーマンションの場合、中層階から高層階が人気です。
中層階は8階あたりから上のフロアであると、ある程度の催行と眺望が確保できやすくなります。
タワーマンションを希望する方の中には共用スペースや設備を目的にしている方も多いので、高層階よりも安く、またそれなりに住み心地のいい中層階が好まれます。
タワーマンションの最大の魅力は眺望とステータスです。高層階に行くほど価値が高まることから分かるように、人気も高さで増していきます。
ただし、日の当たりにくい方向に面した部屋は、低層のマンション以上に難色を示されやすい傾向にあります。
4.タワーマンションを高く売却する4つのコツ
タワーマンションには多くの魅力がありますから、できるだけ高く売却したいものです。
ここからは、高く売却する4つのコツを紹介いたします。
【タワーマンションを高く売却する4つのコツ】
- 分譲元である不動産会社に仲介を依頼する
- 必ず複数社で見積もりをとって依頼する
- タワマンの特徴によって向いている媒介契約を見極める
- ライバル物件が少ないタイミングを狙う
4-1.分譲元である不動産会社に仲介を依頼する
タワーマンションを売却する際は、分譲元の不動産会社に仲介を依頼すると有利です。
居住するタワーマンション特有の設備などに詳しいうえ、分譲元の不動産会社には購入希望者からの問い合わせが入るため、ニーズをよく理解しています。
分譲元と仲介先が同じ物件である場合に、「認定保証」という独自のサービス展開する不動産会社もあります。
販売時の点検や、新築購入者へのアフターサービスを継承できたりします。
買主にとっての付加価値となり、より購入を決めやすくなるでしょう。
4-2.必ず複数社で見積もりをとって比較する
前項では、分譲元の不動産会社への仲介依頼をお勧めしていますが、念のため不動産会社は比較したうえで選ぶようにしましょう。
不動産会社の提示する査定額は会社により異なりますし、売却への真摯さや、ノウハウ、顧客の有無も異なります。
目安として3社以上の不動産会社に訪問査定を実施してもらい、査定額から信頼度まで比較するようにしましょう。
前項の内容は、比較する材料の一つとしてとらえてください。
複数の不動産会社へ査定を依頼する際は、直接不動産会社を訪問せず、一括査定サービスを利用すると便利です。
不動産一括査定サービスの不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)なら、1分ほどの入力で、最大6社の不動産会社に一括で査定依頼ができます。
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4-3.タワマンの特徴によって向いている媒介契約を見極める
不動産会社と締結する媒介契約には以下の3つの種類があります。
それぞれに特徴があり、物件に応じた契約方法を選ぶことが重要です。
それぞれの特徴を以下の表で見ていきましょう。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数の業者との契約 | ○ | × | × |
自身で買い手を見つける | ○ | ○ | × |
契約期間 | なし | 3カ月程度 | 3カ月程度 |
業務状況の報告頻度 | 報告義務なし | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 |
一般媒介契約は複数の不動産会社と契約ができる一方、専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社とのみ結ぶ契約です。
また、専属専任媒介契約だけは売主自身が買手を発見し取引することを禁止しています。
簡単にまとめると、『一般媒介契約<専任媒介契約<専属専任媒介契約』の順で拘束力が高くなる契約といえます。拘束力の高い契約ほど、不動産会社は利益を確保しやすいため、売却に力を入れやすくなります。
マンションよりも売れにくい一戸建ては、不動産会社の営業努力が不可欠なため、基本的に専任の媒介契約がおすすめできます。
一方で、タワーマンションは物件としての魅力や駅近、周辺施設の充実などが考えられる人気の物件のため、一般媒介契約でも売れやすい傾向にあります。
一般媒介契約の方が窓口が広がり、より多くの顧客や近隣住民にアプローチすることができます。
4-4.ライバル物件が少ないタイミングを狙う
多くの場合、物件を探している購入希望者は、Web検索をしています。
ある程度の条件指定をして検索をするため、同じマンション内で売り出し物件が複数あると、そのすべてが購入希望者の目に留まります。
購入希望者はからすると、他のマンションよりも、同じマンション内の物件の方が条件を比較しやすく、優劣もつけやすくなります。
そのため、価格競争が起きやすくなります。
できる限り同じマンション内の売り物件がないタイミングで売却できると理想的です。
5.タワーマンションの売却にかかる費用・税金
一般的に、不動産の売却では売却金額の5~7%程度の費用が発生します。
例えば、7,000万円で売却した場合は、350万円~490万円の費用が目安となります。
費用 | 相場 |
---|---|
仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円( +消費税) |
印紙税 | 1~6万円 |
譲渡所得税 | 売却益に対し20.315%~39.63% |
抵当権抹消費用 (登録免許税) | 1,000円×2 |
司法書士報酬 | 1~3万円 |
ローンの繰り上げ返済事務手数料 | 1~3万円 |
その他諸費用 | ハウスクリーニング・引っ越し費用など |
仲介手数料は、売買契約が成立した際に不動産会社に支払う費用です。
不動産会社が請求できる上限額が定められており、400万円以上の取引であれば『売却価格×3%+6万円( +消費税)』の式で求められます。
印紙税は、売買契約書を作成する際にかかる税金です。
売買契約書に記載されている契約金額(売却金額)に応じて一定の料金がかかります。
売買代金が1億円を超えても6万円程度なので、タワーマンションの売却では1万円~6万円が相場と言えます。
譲渡所得税は、売却益(譲渡所得)に対してかかる税金です。
所有期間5年以下の物件は39.63%、5年を超える物件は20.315%の税率となります。
マイホーム売却時に適用できる3,000万円特別控除を利用すれば、譲渡所得税がかからない場合も多くあります。
抵当権抹消費用は、物件の抵当権を抹消する際にかかる税金で、不動産一件につき1,000円かかります。
住宅は、土地と建物に分かれているため、それぞれ1,000円ずつかかります。
司法書士報酬は、抵当権抹消登記を司法書士に依頼した場合にかかります。
依頼先により異なりますが、1~3万円が相場です。
ローンの繰り上げ返済手数料は、住宅ローンの残債があり、売却前に一括返済をする際にかかります。
相場は1~3万円ほどですが、インターネットバンキングでの返済で手数料を0円にしている金融機関もあります。
- 「マンションを売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
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この記事のポイントまとめ
設備が充実しているのが魅力のタワーマンションですが、築年数の経過によるコストの高まりから売れにくくなるケースもあります。
詳しくは「1.タワーマンションが売却しにくいと言われる理由」をご覧ください。
以下のタイミングで売却を検討することをおすすめしています。
- 住まなくなってから3年以内
- 所有期間が5年を超えたとき
- 所有期間が10年を超えたとき
- 空室になったとき
- 増税前や金利上昇前
- 大規模修繕の前後
詳しくは「2. タワーマンションの売却を検討したいタイミング」をご覧ください。
マンションならではの有効な手段とタワーマンション特有の有効な手段を組み合わせることで、より早く、より高く購入希望者の心を掴みましょう。
- 分譲元である不動産会社に仲介を依頼する
- 必ず複数社で見積もりをとって依頼する
- タワマンの特徴によって向いている媒介契約を見極める
- ライバル物件が少ないタイミングを狙う
詳しくは「4.タワーマンションを高く売却する4つのコツ」をご覧ください。
一般的に売却金額の5~7%の費用がかかります。
ただ、マイホーム売却の場合は譲渡所得税がかからないケースも多いため、相場以下の費用に収まることもあります。
詳しくは「5.タワーマンションの売却にかかる費用・税金」をご覧ください。