市街化調整区域の物件は価格が安い一方で、建築や増築が制限されるなどの特徴があります。
購入を迷われている方は特に、これらの特徴について深く知っておくことが重要です。
この記事では、市街化調整区域とはどんなもので、どのような注意点があるのかを詳しく解説します。
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Contents
1.市街化調整区域とは
市街化調整区域とは、市街化が無計画に広がるのを抑制するために、建築などを強く規制している区域を指します。
都市計画法という法律で定められており、似た言葉に「市街化区域」というものもあります。
市街化区域との混同をさけるため、また市街化調整区域を深く理解するために、以下2つの項目に分けて詳しく解説いたします。
- 市街化区域と市街化調整区域の違い
- 市街化調整区域の特徴
1-1.市街化区域と市街化調整区域の違い
市街化区域と市街化調整区域は、都市計画法に基づいて区分されています。
都市計画法とは、都市がきちんと計画通りに発展し、自然環境を守ることを目的として、土地の使い方や建物を建てることにルールを定めた法律です。
市街化区域は、今後、都市として発展することを目的としたエリアで、住宅や商業施設の建設が積極的に進められます。
公共交通やインフラが整備されているため、生活の利便性が高く、人口の多くが市街化区域に集中しています。
一方、市街化調整区域は、都市の無秩序な拡大(住宅や商業施設などが無計画に建設されること)を防ぐために、開発が厳しく抑制されたエリアです。
新しい建物を建てることが原則として認められていないため、開発が進まず、田園風景や自然が多く残されています。
1-2.市街化調整区域の特徴
市街化調整区域には、以下のような特徴があります。
- 新規の建物建築が原則として制限されている
- 既存の建物の増築や建て替えにも厳しい規制がある
- 公共交通機関や商業施設が少ない場合が多い
- 土地価格が比較的安い
新規の建物建築は、原則として制限されています。都市の無秩序な拡大を防ぐため、新しい住宅や商業施設を建てることが難しくなっています。
ただし、農業従事者が居住する住宅や、地域の公共利益に資する施設などの場合に限っては許可不要で建築(建築確認申請をする際に必要な60条証明の申請は必要)できます。
また、既存の建物に対しても、増築や建て替えに厳しい規制が設けられており、建築許可を得るためには特定の条件を満たさなければなりません。
このように開発が抑制されているため、公共交通機関や商業施設などは少なく、生活の利便性が低い場合が多くあります。
土地の価格は、市街化区域に比べて安い傾向にありますが、将来にわたってその土地の価値が上がりにくいともいえます。
単に購入時の安さだけで判断せず、長期的な住みやすさや資産価値も含めて慎重に考えることが大切です。
2.市街化調整区域では建て替えや増築ができない?
結論から言えば、市街化調整区域では、建て替えや増築が認められないケースがほとんどです。
市街化調整区域では、住宅や商業施設の新規建設・既存建物の改修には厳しい制限があります。
地域の自然環境保護や農地維持を優先しているため、特定のケースを除いて新たな建築行為が規制されているのです。
老朽化した家を建て替えようと考えても、建物の面積や使用目的が変更される場合には許可が下りにくく、例外を除き大規模な増築もほぼ不可能です。
さらに、既存の建物が違法建築の場合や、建物の使用年数が極端に古い場合、法令に沿った対応を求められるため、予想以上のコストがかかる可能性もあります。
市街化調整区域内の物件を購入する際は、将来的な建て替えや増築の自由度が非常に低いことを念頭に置くべきです。
3.市街化調整区域で建て替えや増築できるケース
市街化調整区域内でも、一定の条件を満たすことで建て替えや増築が認められる場合があります。
これには、都市計画法第34条に基づく特例が適用されることがポイントです。
具体的な例として、農業従事者の住宅や、地域の公共利益に貢献する施設(例えば、公民館や図書館など)の建設に関しての開発許可は不要(建築確認申請をする際に必要な60条証明の申請は必要)です。
また、農家の本家から分家した人が家を建てる場合、既存の建物の用途や面積を変更せずに同じ条件で建て替える場合、店舗併用の住宅を建てる場合も、例外的に許可が受けやすくなっています。
市街化調整区域で建て替えや増築を検討する場合は、都市計画法第34条の規定を確認し、条件に合致しているかを事前に行政機関へ相談することが重要です。
4.市街化調整区域の物件を購入する際の注意点
市街化調整区域で物件を購入する際には、以下の3点に特に注意が必要です。
これらの点について、以下で詳しく解説していきます。
4-1.物件によっては建築許可が下りにくい
たたでさえ建築が難しい市街化調整区域ですが、物件によって建築できるかどうかの難易度が異なります。
特に、土地の「地目」によっては、さらに制約が強くなります。
例えば、市街化区域・市街化調整区域の指定日以前から宅地であることが重要であり、それ以降に変更された場合、建築許可が得られないことがあります。
また、現時点で農地であれば農地転用が必要で、転用が認められなければ住宅としての利用ができません。
さらに、既存の建物が市街化区域・市街化調整区域を指定する前に建てられたか、指定後に建てられたかによっても建築許可の条件が変わります。
指定前の建物であれば、建て替えの許可が得られる可能性が高くなりますが、指定後の場合は制約が厳しくなります。
購入前には物件資料や固定資産課税台帳を確認し、建物の建築年月日をしっかり調べることが必要です。
市街化調整区域内でも、特定の区域指定がされていれば建築が許可される場合があります。
このような区域では、後に売却する際にも有利になるケースがあります。事前にしっかりと区域指定を確認しましょう。
4-2.資産価値が落ちやすく売却もしにくい
市街化調整区域にある物件は、資産価値が下がりやすい特徴があります。
建築制限があることや、新たな需要が生まれにくく、一般的な市街化区域に比べて物件の流動性が低いことなどが理由です。
また将来的に物件を売却しようとしても、買い手が見つかりにくいことが予想されます。
前述の資産価値の低さに加えて、周辺のインフラが整っておらず生活利便性も低いため、物件としての魅力が乏しく、購入希望者は少ないでしょう。
もちろん、市街化調整区域内の物件であることを隠すなど、重要な売却理由を買主に伝えずに売却することはできません。
一方で、将来的に市街化区域へ編入する計画があるエリアでは、資産価値が向上するケースもあります。
購入した物件の資産価値が長期的に維持できるかどうか、将来的な売却時の見込みについて慎重に考えてくことが大切です。
4-3.住宅ローンが通りにくい
市街化調整区域の物件は、住宅ローンの審査が厳しくなる場合があります。
都市計画上、住宅を建てることが目的ではない区域であるため、銀行がリスクとみなして融資を避けることが多いのです。
金融機関は、物件の資産価値が低い場合や将来的に価値が下がる恐れがある土地には、融資を拒否する傾向があります。
さらに、建設が認められる条件が厳しいため、将来的に物件の価値が保証されないと判断されやすく、ローンの審査が通りにくいのです。
市街化調整区域で物件を購入する際は、ローンが利用できるかどうかを事前に確認し、現金での購入も視野に入れて検討することが重要です。
まとめ
市街化調整区域は、安価な物件が多い一方で、建設や増築の制限、資産価値の低下、住宅ローンの審査が厳しいなど、考慮すべきデメリットも多い区域です。
特に、将来的なライフプランに合わせた自由な家づくりが難しい場合があるため、慎重な判断が求められます。
とはいえ、特定の条件を満たせば、価値ある物件を手に入れることも可能です。
自身のライフスタイルや将来の計画に合った選択をすることで、後悔のない購入ができます。
物件購入後の建て替えなど、最終的な目的が達成できるかどうかを慎重に調べたうえで、市街化調整区域の土地購入を視野に入れてみましょう。
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