マンションを売却する際には、居住中の状態で売却を行うケースと、住み替え先を見つけて転居してから空き家の状態で売却を行うケースがあります。
前者では内覧時に売主も同席するため、手間がかかって大変と感じることもあります。 しかし買主としては、実際に物件を見て購入を検討しますので、内覧は不可欠です。
この記事では、居住中の状態でマンションを売却する際のポイントや注意事項を解説します。
- 居住中の状態でマンションを売却するポイント
- 内覧時の準備と注意点
- 居住中に売却を行う際のメリット・デメリット
この記事を読めば、売主として事前に準備すべきことや内覧同席時に意識すべき点が分かり、不安を解消できるでしょう。
マンションの売却について基礎から詳しく知りたい方は『マンション売却の流れ』も併せてご覧下さい。
Contents
1.マンション売却で内覧が大変な理由とは
売却予定のマンションに居住した状態で売却を行う場合、気になるのが内覧時の対応です。
居住中の場合、売主も内覧の対応をしなければならないため、準備や当日の対応が大変と感じられるのではないでしょうか。
内覧が大変と感じられる理由は大きく以下の4つです。
【マンション売却で内覧が大変な理由】
- 内覧の頻度が高いとスケジュール調整に手間がかかる
- 1回の内覧に時間がかかることがある
- 内覧の事前準備に手間がかかる
- 内覧時の対応に負担がかかる
ここから、これら4つを詳しくご紹介していきます。
2. 内覧の頻度が高いとスケジュール調整に手間がかかる
居住中の状態でマンションを売却する際には、購入を検討する方の内覧に売主も同席するのが一般的です。
内覧の頻度によってはスケジュールの調整に手間取ることもあります。
では、どれくらいの頻度とスケジュールで内覧を予定すれば良いのでしょうか。
1-1. 内覧の頻度について
マンション売却時の内覧の頻度は、問い合わせの状況次第で変わります。
問い合わせが多ければ内覧対応の頻度も高くなり、反響が少なければ、逆の状況になります。
また、問い合わせの状況は、その物件自体の魅力(需要)はもちろん、売却価格の設定によっても大きく左右される点に注意が必要です。
マンションの直近の売買相場と比較して設定価格が高めだと反響があまりなく、低めの価格に設定すると問い合わせも多くなると予想されます。 そのため、売却価格の設定は、内覧の頻度にも関わる重要なポイントです。
売却価格に関しては、仲介する不動産会社の査定額、提案内容も参考にしながら検討してください。
1-2. 内覧のスケジュールについて
内覧希望があった場合、売主と購入を検討している方、仲介する不動産会社の3者でスケジュールを調整して決めます。
避けたい曜日、あるいは希望する曜日などがあれば、事前に不動産会社に伝えておくと良いでしょう。
その上で、内覧希望者から、複数の候補日を挙げてもらい、日程を調整するとスムーズです。
ただし、不動産会社は水曜日に定休日を設定している場合が多いため、それ以外の曜日で日程を設定するケースが少なくありません。
1-3. 内覧が必要な期間について
内覧が必要な期間は、基本的に成約するまでの期間です。
成約とは、不動産売買契約を締結することを指します。
では、マンションの売却活動をスタートして成約に至るまで、平均してどの程度の期間が必要なのでしょうか。
東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」によると、2020~2022年の中古マンションの成約にかかる期間は71~88日であり、2~3か月程度が目安です。
参考:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」
ただし、個々の物件の状況や、設定する売却価格、販売活動の内容によって異なるため、あくまで参考データとしてください。
また、売却活動全体の期間には、不動産会社による査定など売却開始前の準備や、成約後の引き渡しまでの期間も含めるので、半月~1か月程度プラスされると考えておきましょう。
3. 1回の内覧に時間がかかることがある
1回の内覧にかかる時間は、ケースバイケースではありますが、30分~1時間程度が目安です。
内覧する方の状況や対応する不動産会社によって早く終わる場合もありますし、逆に長引くこともあります。
内覧時には、実際に各部屋を見てもらうだけでなく、物件の特徴やメリット、注意点、設備関係や周辺環境等の説明、質問対応も行います。
こうした説明や質問対応は仲介する不動産会社の担当者が行うのが通常ですが、売主が補足説明するとより物件の詳細が伝わります。
また、状況に応じて、不動産会社の担当者が住宅ローンに関する事項やマンション購入の流れなどの説明も行うため、内覧に要する時間も前後するケースは少なくありません。
内覧を効率的に行うためには、あらかじめ伝えるべき点を整理しておきましょう。
物件の良い点はもちろん、設備や建具の不具合などのマイナス面も内覧時に説明する必要があります。
4. 内覧の事前準備に手間がかかる
マンションの内覧の際には、購入を検討する方に良い印象を与えることが大切です。
居住中の場合、生活感が出るのは当然ですし、その点は、基本的に理解してもらえます。
実際に生活する姿をイメージできるのは購入を検討する方にとってもメリットです。
しかし、部屋の中が乱雑だと印象が悪くなってしまいます。
部屋の中をできるだけ整理整頓し、清潔な状態にしておくことが望ましいでしょう。
内覧の準備時に注意するべきポイントはいくつかあるため、順を追ってご紹介します。
4-1. 室内の臭いに注意する
室内の臭いは、意外に気になる点です。
特に、ペットの臭いやキッチンの生ごみなどの臭いを気にするケースは少なくありません。
内覧時の印象を良くするためにも、事前に消臭剤などで対策しておきましょう。
また、物件全体の掃除をしっかり行うためには、ハウスクリーニングの専門業者に依頼するのも一つの方法です。
コストはかかりますが、状況に応じて検討してください。
4-2.水回りの入念な清掃をする
内覧時には、お風呂、トイレ、キッチンなどの水回りも入念にチェックされます。
見た目がきれいであれば良いですが、経年による汚れが気になるケースもあるかもしれません。
この点、掃除を行うことで良い印象を与えることが可能です。
特に、キッチンのシンク回りは気にする方が多いため、入念に掃除してください。
シンクの水垢、油汚れを効率的に掃除する方法は、インターネットのサイトやユーチューブなどで手順が詳しく説明されているので、情報を参考に掃除してください。
ハウスクリーニングの専門業者に依頼しても良いでしょう。
4-3.部屋の整理整頓
マンションの購入を検討する方にとっては、購入前に各部屋がどのように使われていたかは気になるところです。
室内が乱雑な状態で使用されていると、購入意欲が削がれてしまうでしょう。
そのため、各部屋しっかり整理整頓された状態にして内覧に臨むことが大切です。
また、内覧の際には、押し入れやクローゼット内も見られることがあります。
良い印象をもってもらうためにも、部屋全体を整理整頓し、清潔にしてください。
あまり見せたくない大きな物がある場合は、大きめの布カバーをかけて目隠しする方法もあります。
4-4.室内の雰囲気づくりに配慮する
居住中の物件の場合、生活感がそのまま購入を検討する方に伝わりますが、これは決してマイナス面ばかりではありません。
物件購入後の生活がイメージできる点で、プラス材料にもなり得ます。
できるだけ良いイメージを与えるためにも、室内の雰囲気づくりに配慮しておきましょう。
例えば、玄関やリビングに、花やちょっとした小物、グリーンなどを配置するだけで、部屋の印象はがらりと変わります。
必ずしも高価なアイテムを購入する必要はなく、100円ショップなどの商品で十分です。 アイテムを活用して室内の雰囲気づくりを行うことで、おしゃれなイメージを持ってもらえるかもしれません。
4-5.人数分のスリッパを準備する
マンションの内覧では、スリッパを履いて物件を見ますので、人数分準備する必要があります。
仲介する不動産会社の担当者が用意するケースもありますが、念のため用意しておきましょう。
用意するスリッパの数は、多少余裕を持って、5足程度準備することをおすすめします。
また、小さなお子さんを連れて内覧に来るケースもありますので、可能であれば子供用のスリッパも準備しておくと万全です。
4-6.部屋の傷や設備の故障を修理する
部屋の傷や汚れ、設備などの故障がある場合は、どのように対応すれば良いのでしょうか。
例えば、小さなお子さんがいるとどうしても壁に汚れや、傷がついてしまいがちです。
そのような場合は、ホームセンターなどで販売している修理キットを使って、できるだけ補修しておきましょう。
ただし、大きな傷や汚れの場合は、クロスの張替えが必要なケースもあるかもしれませんが、居住中だと限界があります。そのため、可能な範囲で構いません。
設備関係の故障の場合は、故障の程度によっては修理しておく必要があります。
居住中の状態で生活に支障が出るレベルの故障なら、ご自身で、あるいは専門業者に依頼して修理しておいたほうが賢明です。
修理しない場合には、不具合の内容や程度について告知事項として相手に伝えることが必要です。
5. 内覧時の対応に負担がかかる
実際の内覧時には、物件の説明は不動産会社の担当者が行います。
ただし、売主もできるだけ内覧に適した状況になるよう配慮するのが望ましいでしょう。
内覧時に配慮すべきポイントは複数あるため、当日はひとつひとつ対応していくと負担がかかります。
どのようなポイントがあるか詳しく見ていきましょう。
5-1. 内覧の時間帯について
内覧を設定する時間帯は、なるべく日中の時間帯を選びましょう。
部屋の状態や日当たりの状態を確認できるからです。
そのため、冬季の夕方は日が暮れるのも早いため、あまりおすすめできません。
また、リビングが西向きの物件の場合、夏季の夕方だと西日で部屋が暑くなる可能性がありますので、そういった時間帯は避けた方が賢明です。
基本的には、午前中、または午後の明るい時間帯に設定することをおすすめします。
5-2. 室温の調整について
居住中の場合、一般的に快適な室温は夏場で25~28度、冬場は18~22度程度とされています。
マンションは構造的に機密性が高い傾向がります。 また、上下左右の住居それぞれの室温が相互に影響しますので、戸建て住宅と比べると、極端に不快な室温にはなりにくいでしょう。
ただし、内覧前の時間に外出すると、夏場は暖気がたまります。 冬場は寒くなり過ぎるケースもありますので、気を付けてください。 特に、1階や最上階、角部屋は、外気の影響を受けやすいので注意しなければなりません。
室温が高すぎたり低すぎたりするとマイナス材料になりかねませんので、配慮が必要です。
5-3. 状況に応じて内覧者にお茶を出す
内覧された方には、お茶を出したほうが丁寧な印象を与えられます。
ただし、必須ではありませんし、遠慮される方もいますので、状況に応じて判断して構いません。
また、1日の内覧の回数が多い場合には、お茶を出すことが負担になるかもしれませんので、小さいお茶のペットボトルを準備しておくと良いでしょう。
5-4.口約束をしようとする購入希望者の対応
マンションの内覧の際に、購入希望者の中には、購入時の条件について口にする方も少なくありません。
例えば、価格面、設備の修繕などの対応に関して交渉してくるケースが挙げられます。
即答できない場合も含めて、基本的にはその場で直接回答せず、仲介する不動産会社と相談してあとで回答すると伝えるのが賢明です。
曖昧に口約束をすると、購入が決まった際にトラブルに発展する可能性もありますので、特に条件面など取引に直接関わる事項には慎重に対応しなければなりません。
また、契約、引き渡しまでのスケジュールに関しても、不動産会社の担当者に確認の上、おおよそのスケジュールを伝える程度にとどめてください。
あくまで予定であること、状況によって前後する可能性もあることを伝えておくことも大切です。
5-5.ネガティブな質問も正直に伝える
不動産の契約の際には、その物件に関して売主から買主への告知しておくべき「告知事項」について書面で取り交わす必要があります。
例えば、給排水管等の不具合、雨漏れ、周辺環境や騒音、事件事故など、マイナス面の情報も記載しなければなりません。設備関連の書面でも、正常に動作しない場合はその旨を記載します。
物件に関するネガティブな情報は、内覧時にしっかりと伝えておく必要があります。売主からの信頼を得、後々のトラブルを回避することにもつながるからです。
また、ネガティブな事項がある場合、購入希望者はその経緯も検討材料にするため、一般的にその点を踏まえて売却価格を設定します。
5-6.周辺環境や地域性について伝える
物件の周辺環境についても、内覧時に相手に伝えておく必要があります。
例えば、近隣のスーパーマーケットの情報や学区についても説明しておくと、前向きな検討材料になるでしょう。
また、最寄り駅からの徒歩ルートや近隣の治安面の直近の状況も、内覧時の質問内容に応じて伝えてください。
内覧を早く・楽にするコツについては以下の記事で詳しく解説しています。
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この記事のポイントまとめ
マンション売却時の内覧が大変な理由は以下の4つです。
- 内覧の頻度が高いとスケジュール調整に手間がかかる
- 1回の内覧に時間がかかることがある
- 内覧の事前準備に手間がかかる
- 内覧時の対応に負担がかかる
詳しくは「1.マンション売却で内覧が大変な理由とは」をご覧ください。