住宅の耐用年数とは?何年?構造ごとの耐用年数と長く住み続けるポイント

住宅の耐用年数とは、対象となる資産が利用できる年数の指標となります。しかし耐用年数が経過しても住み続けられる住宅は多く存在します。
本記事では、住宅の耐用年数を構造別に解説し、長く住み続けるためのポイントや減価償却の算出方法などについても紹介します。

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1.住宅の耐用年数とは

耐用年数とは、住宅の価値や使用できる年数を表した指標です。
事業を行う際の減価償却や住宅ローン審査の基準として扱われる他、建物の寿命を図ることもできます。

2章で詳しく解説しますが、耐用年数には4つの種類があります。
このうち「物理的耐用年数」は構造物としての物理的な寿命を表しますが、他の耐用年数では、その年数を過ぎたからと言って住めなくなるわけではありません

2.見方で変わる4種類の耐用年数

耐用年数の種類には以下、4つの種類があります。

  • 法定耐用年数
  • 物理的耐用年数
  • 経済的耐用年数
  • 期待耐用年数

4つの耐用年数

ここでは、それぞれの耐用年数について解説しましょう。

2-1.法定耐用年数

法定耐用年数とは、会計上の資産価値がどのくらいであるかを示す年数のことです。

耐用年数の種類のなかでも代表的なものであり、建物・設備などの固定資産は、それぞれ法定耐用年数、償却率が財務省令で定められています。
耐用年数は、資産の種類や構造、用途などによって異なります。

耐用年数といえば、法定耐用年数を指していることが一般的です。
国が示している基準であることから、法定耐用年数の長短が、住宅ローン融資決定の参考にもなります。
なお、耐用年数は基本的に減価償却の計算に使われるものであるため、実際の建物の寿命とは関係はありません。
古くてもメンテナンスが行き届いている住宅は、長期間にわたって住むことが可能です。

2-2.物理的耐用年数

物理的耐用年数とは、建物の構造材が気温・湿度や熱などの様々な要因により劣化し、物理的な限界を迎える年数です。

部材の物理的な耐用期間が工学的に判断されるため、同じ構造で作られた建物でも、材質や気候など様々な要因で違いがでます。
例えば、海から遠くて気候が良い地域で、部材を使用して建てられた住宅であれば、物理的耐用年数は長くなるでしょう。

2-3.経済的耐用年数

経済的耐用年数とは、対象の住宅の経済的価値が何年にわたって続くかを示す年数のことです。
例えば、RCマンションの耐用年数は47年ですが、その年数を超えると住めないというわけではありません。

適切なメンテナンス管理を行っている物件は、耐用年数を過ぎても十分利用することが可能なため、資産価値があるといえます。

住宅の市場価値は、立地や間取り、建物の状態などでも総合的に評価されるため、需要が高い場合は長くなり、需要が低ければ短くなります。

住宅ローンの借入期間を決定する際には法定耐用年数にプラスして判断されます。

2-4.期待耐用年数

期待耐用年数とは、「適切な維持管理が行われていることを想定した場合に使用できる期間」を表す年数です。
物理的耐用年数の様に、気象や地理的な条件などが加味されないため、あくまでも目安としての意味合いが強い指標です。

日本では、新築住宅より購入希望者が少ない中古住宅の需要を喚起する目的で使われ、リフォームなどの維持管理の状況を加味して年数を算出します。

3.建物構造ごとの耐用年数

耐用年数と言えば、法定耐用年数のことを指していることがほとんどです。
法定耐用年数は建物の構造事に明確に決められているため、指標として活用されやすいのです。

本章では、建物構造別の法定耐用年数を紹介いたします。

  • 木造
  • 鉄骨造
  • 鉄筋・鉄骨鉄筋コンクリート造

3-1.木造

木造とは、柱や壁など主要部分の建材に、木を主な材料として建てた建物のことです。
木材は日本の住宅にはなじみの深い材料で、戸建て住宅で多く利用されています。

木造の種類には、モルタルによる外壁仕上げを施した「木造モルタル造」もあります。
しかし耐震性が高くないため、近年ではほとんど利用されていません。

住宅における、木造と木骨モルタル造の法定耐用年数は、以下の表となります。

構造 法定耐用年数
木骨モルタル造 20年
木造 22年

木材と木骨モルタル造は構造材の中でも法定耐用年数が短く、木造は22年、木骨モルタル造は20年と定められています。

3-2.鉄骨造

鉄骨造とは、建物の骨組みになる梁や柱などに鉄骨を使用した建物のことです。
鋼はスチールとも呼ばれることから、鉄骨造は「S造」とも呼ばれています。

マンションやアパート、ビルなど比較的大きな建物に利用されることが多いですが、戸建て住宅でも鉄骨造(S造)の建物は多く見受けられます。

鉄骨の厚みが6ミリ未満の場合は軽量鉄骨造、6ミリ以上であれば重量鉄骨造に区分されるのが一般的です。

鉄骨造の法定耐用年数は鉄骨の厚さで変わります。

骨格材の厚さ 法定耐用年数
4ミリを超えるもの 34年
3ミリを超え4ミリ以下のもの 27年
3ミリ以下のもの 19年

3-3.鉄筋・鉄骨鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造は、コンクリートと鉄筋を組み合わせた工法で、木造や鉄骨造よりも強度の高い構造です。
鉄骨鉄筋コンクリート造は、鉄筋コンクリートの中心に鉄骨を組み込んだ構造で、より強度が高い構造です。

住宅における、鉄筋・鉄骨鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は以下のとおりです。

構造 法定耐用年数
鉄筋コンクリート造 47年
鉄骨鉄筋コンクリート造 47年

4.長く住み続けるためのポイント

どんなに頑丈に造られた住宅でも、日頃から手入れをし、定期的にメンテナンスを行わないと長期的に住み続けることはできません。

長く住み続けるためのポイントは以下のとおりです。

それぞれのポイントについて解説しましょう。

4-1.こまめな掃除

家を長く愛用するためには、こまめな掃除が欠かせません。
日頃から手入れをすることで設備の劣化を抑えられます。家の中をまんべんなく掃除することで、傷んでいる箇所などを早めに発見することも可能です。

家の中でも水回りは汚れやすいので、できるだけマメに掃除をしましょう。

錆びや腐食は水漏れを引き起こすため、建物への影響を与える可能性があります。

4-2.定期的なメンテナンス・修繕

家の性能を保ち、長く快適に暮らすためには、定期的なメンテナンス・修繕も必要です。
建物の部位や材質に応じたメンテナンスを、適切な間隔で行いましょう。

国土交通省の資料によれば、基礎・躯体以外の部位の期待耐用年数(交換等の周期)の目安は以下のとおりです。

部位 交換周期の目安
屋根材 陶器瓦葺(ぶ)き:25~50年
化粧スレート葺き:20~40年
鋼板葺き:20~40年
外壁材等 サイディング(窯業系):20~40年
モルタル壁:20~40年
外部建具:20~40年
内部仕上等 内部建具:15〜25年
内部仕上:15〜25年
設備等 台所:15~25年
浴室設備:15~25年
洗面化粧台:15~25年
給排水、給湯設備:15~25年
照明設備、電気設備:15~25年

“期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について”. 国土交通省. (参照2024-08-29)」をもとに、お家のいろはが独自に作成

4-3.海辺や雨が多い地域などをさける

海辺や雨が多い地域の建物をさけるのもポイントです。
海から吹いてくる海風や潮風にはかなりの塩分が含まれているため、住宅が「塩害」を受ける可能性が高いといえます。

塩害とは塩分を含む風や雨などで腐食やさびが発生する被害のことです。電気機器が劣化したり、鉄製の設備が劣化したりしやすくなります。

また雨が多い地域も外壁の塗装の付着力が低下するため、劣化が早まります。
降水量が多いと、雨樋が破損したりベランダ防水が劣化したりする可能性があり、雨漏りが発生するリスクが高くなります。

5.耐用年数と合わせて覚えたい減価償却

家の耐用年数と合わせて知っておきたいのが、減価償却です。
ここでは、建物に関する減価償却について解説します。

5-1.減価償却とは

減価償却とは、建物など固定資産を取得した費用を、定められた年数(耐用年数)に分けて経費計上することです。
取得したタイミングではなく、1年ずつ経費として計上していき、数年にわたり、少しずつ資産価値を減少させていきます。

この時に、計算に用いる耐用年数とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定められている法定耐用年数
です。

対象となる資産は時間の経過とともに劣化していく、建物や住宅設備、車などが挙げられます。土地は劣化しないため、取得してから年数が経過しても対象とはなりません。

減価償却資産の分類

5-2.減価償却が必要な場面

居住用として一般の方が利用している住宅は、通常、減価償却の対象とはなりません。
賃貸物件として事業で活用している場合は、建物などの減価償却を行います。

賃貸経営を行う際には確定申告をすることになり、経費を正確に算出することが必要だからです。

ただ、将来的に住み替えなどで自宅を売却する場合、確定申告で譲渡所得税を算出するときには減価償却費を使用することになります。
そのため、減価償却費についても知っておくと役立つときがあるかもしれません。

減価償却の計上には手間もかかる一方、法人税・所得税・譲渡所得税などの節約につながるというメリットもあります。

なお減価償却における耐用年数は、用途により異なる耐用年数が定められています。
例えば、木造建物の場合、住居用として使用するときの耐用年数は22年です。飲食店用として使用する場合は20年になります。

同じ建物を使用しても使い方によって耐用年数に違いがあることに注意しましょう。

5-3.減価償却費の計算方法

ここでは実際に、減価償却費を計算してみます。
不動産にかかる減価償却費は、「取得費 × 償却率」で算出することが可能です。
計算をするには、以下の項目が必要となります。

項目 備考
建物の取得費 建物部分の購入にかかった金額
建物と土地の割合 取得費は建物と土地を分ける
物件の耐用年数 国税庁の「耐用年数」を使用
償却率 取得価格の何%まで、その年度に経費算入してよいかという割合

例えば、以下の条件で計算しましょう。

取得費4,000万円の土地付き一戸建て(土地:2,000万円・建物2,000万円・築10年・木造)
※木造の償却率0.031

計算式は以下のとおりです。

建物部分の取得費 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

計算式に当てはめて算出します。

2,000万円 × 0.9 × 0.031 × 10年 = 558万円

この場合、減価償却費は558万円となります。

まとめ

住宅の耐用年数の種類には4つの種類がありますが、「耐用年数」と言えば「法定耐用年数」を示していることがほとんどです。
各耐用年数は、資産の種類や構造、用途などによって年数が異なります。

なお法定耐用年数は、あくまで会計上の資産価値の寿命を表しているもので、それ以上の期間も問題なく住み続けることができます。
建物としての物理的限界を表す物理的耐用年数も、メンテナンスや使い方により長くするこができます。

長く住み続けられる家を探している方は、日頃からの掃除と定期的なメンテナンスが重要であることを気に留めておきましょう。

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