不動産売却時の司法書士費用は売主と買主どちらが負担?費用の目安も解説

不動産売却時に必要となる登記手続きは司法書士に依頼するのが基本です。

司法書士の費用を売主と買主のどちらが負担するかは、登記内容によって判断が分かれます。

また、登記内容次第で費用や登録免許税の金額も変わりますので、登記内容別の費用相場について正しく認識しておきましょう。

なお、不動産仲介会社に支払う費用については「不動産売却の手数料はいくら?図解でわかりやすく解説!」で解説しています。ぜひあわせてお読みください。

この記事を読めばわかること
  • 売主が負担する司法書士費用「抵当権抹消登記」「名義人変更登記」
  • 買主が負担する司法書士費用「所有権移転登記」「抵当権設定登記」
  • 登記手続きは司法書士へ依頼すると安心な理由
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1.不動産売却時の司法書士への依頼費用は「売主」「買主」どちらが負担?

1.不動産売却時

不動産売却時の登記手続きを司法書士へ依頼する場合、気になるのが「費用(依頼報酬)は売主と買主のどちらが負担するのか」ではないでしょうか。

司法書士への依頼報酬をどちらが負担するかは、登記の種類によって異なります。

費用相場は以下の表の通りです。

登記の種類 費用相場 売主 買主
抵当権抹消登記 依頼報酬:1万円〜3万円程度
登録免許税:不動産1件につき1,000円
 
名義人変更登記 依頼報酬:1万円〜3万円程度
登録免許税:不動産1件につき1,000円
 
所有権移転登記 依頼報酬:5万円~10万円程度
登録免許税:課税標準価格×税率
(令和8年3月31日まで軽減措置適用)
 
抵当権設定登記 依頼報酬:3万円〜10万円程度
登録免許税:住宅ローン借入額×0.4%
(令和6年3月31日までは軽減税率適用で0.1%)
 

表の通り、売主が負担するのは「抵当権抹消登記」と「名義人変更登記」です。

対して、買主が負担するのは「所有権移転登記」と「抵当権設定登記」となります。

2.売主負担の司法書士費用│抵当権抹消登記費用と名義人変更登記費用

2.売主負担の司法書士費用

売主が負担する司法書士費用は、「抵当権抹消登記」と「名義変更登記」です。

それぞれの登記内容や費用の相場について解説します。

2-1.抵当権抹消登記

抵当権抹消登記とは、売却する不動産に抵当権が設定されている場合、登記簿から抹消するための手続きを言います。

抵当権とは、住宅ローンを組んで不動産を購入する際、金融機関が担保として設定する権利のことです。抵当権抹消登記を行わなければ、物件の所有者を移転する登記(所有権移転登記)ができません。

抵当権抹消登記の手続きは、不動産売却の決済時に売主が行います。

抵当権抹消登記を司法書士へ依頼する場合の費用は、不動産一件につき登録免許税が1,000円です。たとえば戸建ての場合、不動産は土地と建物でそれぞれ1件と換算されるため、登録免許税は「1,000円×2件」の2,000円になります。

また、依頼報酬の相場は1〜3万円程度となっています。

2-2.名義人変更登記

名義人変更登記とは、登記簿に記録された権利に関する現在の名義人の氏名・名称・住所について変更があった場合に行う登記です。

登記簿に登録している氏名や住所が現状と異なる場合、そのままでは売却できません。そのため、売主から買主へ所有権を移す前に名義人変更登記を実施します。

売主が行う名義人変更登記を司法書士へ依頼する場合の費用は、司法書士への依頼報酬が1万円〜3万円程度、登録免許税が不動産1件につき1,000円発生します。

3.買主負担の司法書士費用│所有権移転登記費用と抵当権設定登記費用

3.買主負担の司法書士費用

買主が負担する司法書士への依頼費用は、「所有権移転登記」と「抵当権設定登記」の2種類です。

登記が必要な理由や費用などを正しく把握しましょう。

3-1.所有権移転登記費用

所有権移転登記とは、不動産の所有者を移すために行う登記のことです。

不動産売却において売主から買主へ所有権を移さないと、不動産を担保に住宅ローンを契約できないなどの問題が発生するため、必須の手続きになります。

所有権移転登記にかかる費用は、司法書士への依頼報酬として5万円〜10万円程度と、「課税標準価格×税率」で算出した登録免許税が発生します。

登録免許税の税率は、土地と建物でそれぞれ以下のように設定されています。

   土地 建物
税率 2.0% 2.0%
軽減措置適用後の税率 1.5% 0.3%

出典:No.7191 登録免許税の税額表│国税庁

令和8年3月31日までは、軽減措置適用後の税率で計算します。

3-2.抵当権設定登記費用

抵当権設定登記とは、不動産に抵当権を設定する登記のことです。

不動産売却において抵当権設定登記が必要となるのは、買主が住宅ローンを契約して不動産を購入する時です。

金融機関は売主に対してお金(住宅ローン)を貸す代わりに、担保として不動産に抵当権を設定します。

抵当権を設定することにより、不動産は貸し倒れのリスクを避けることができます。

抵当権設定登記を司法書士へ依頼する場合の費用は、依頼報酬が3万円〜10万円程度と、登録免許税が「住宅ローン借入額×0.4%」かかります。

ただし、一定の条件を満たせば令和8年3月31日まで軽減税率が適用され、税率は0.1%に軽減されます。

4.不動産売却時の登記手続きは司法書士へ依頼すると安心

4.不動産売却時の登記手続き

不動産売却時の登記手続きは個人で行うことも可能ですが、司法書士へ依頼する方が安心です。

個人で手続きするとなれば、必要書類の準備から書類作成まで全て自分で行わなければなりません。

また権利を移動させたり、場合によっては住所や氏名変更の登記が必要になったりしますが、手続きが複雑で対応が困難になるケースも少なくありません。

不備が発生して手続きがスムーズに進まないとなれば、買主に迷惑がかかるだけでなく売買契約そのものに影響する可能性もあります。

問題なく売却を成功させるためにも、不動産に関する専門知識をお持ちでない方は登記手続きを司法書士へ依頼しましょう。

まとめ

不動産売却における司法書士への依頼費用を「売主と買主のどちらが負担するのか」は、登記内容によって変わります。

売主負担となるのは、抵当権抹消登記と名義人変更登記の2種類の費用です。対して、買主負担となるのは所有権移転登記と抵当権設定登記にかかる費用です。

登記手続きは個人で進めることも可能ですが、準備しなければならない書類や確認事項も多いことから、専門知識がないと不備が発生しやすいです。登記手続きが難航すれば買主に迷惑がかかるだけでなく、売買契約を巡ってトラブルに発展する可能性もありますので、司法書士への依頼をおすすめします。