不動産決済は、売買の最終段階で行う手続きです。
決済日には、売主、買主、不動産仲介の担当者、司法書士などが集まり、さまざまな書類のやりとり、住宅ローンの融資実行、代金の支払い、そして物件の引き渡しが行われます。
この記事では、
- 不動産決済の前に確認しておくべきこと
- 不動産決済日の流れ
- 決済で必要な書類
などについて解説します。
またトラブル回避のため、決済するにあたり注意しておきたい点についてもお伝えします。最後までお読みいただき、スムーズな決済日をお迎えください。
不動産の売却について基礎から詳しく知りたい方は『【不動産売却の基本】最初に始めることや売却の全体像』『不動産売却の流れと期間』も併せてご覧ください。
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Contents
1.不動産売却時の決済とは
不動産売却における決済とは、端的にいえば、不動産売却の最後の段階で「支払い」と「物件の引き渡し」を行うことです。
決済日に行う具体的な手続きとしては、
- 司法書士立ち合いのもと登記手続き
- 不動産会社に対する仲介手数料の支払い
- 買主から売主に対して購入費用の残金の支払い
- 鍵や物件の引き渡し
などがあります。
およそ1時間~2時間で終わることが通常です。スムーズな決済のために、次章の事前準備を確認しておきましょう。
2.不動産売却の決済前に確認しておきたいこと
不動産売却の決済を進める前におさえておきたいのが、当日の所要時間や必要書類・持ち物です。いざ決済の手続きを始めるのに、これらが準備できていないとスムーズに進めることができません。
2-1.当日の所要時間
不動産売却の決済にかかる時間は、全行程を通して1時間〜2時間程度が目安です。住宅ローンの融資実行がある場合は、銀行の営業時間に合わせて平日の午前中に行われるのが一般的です。
また、売却手続きの中で決済を行う時期としては、売買契約を締結してからおよそ1ヶ月以内に行われることが多いでしょう。
決済の当日は、売主と買主、不動産会社の担当者や金融機関の担当者、司法書士などの立ち会いのもと実施します。確認しなければならない書類や手続きも多くありますので、目安とされる時間よりも大幅にオーバーする可能性もあります。
さまざまなケースを想定して、当日のスケジュールは余裕をもって調整しましょう。
2-2.必要書類や持ち物
不動産売却の決済を行うためには、さまざまな書類や持ち物が必要です。
必要書類の内容によっては数日〜数週間ほど時間がかかるものもあるので、いざ決済を行う日が決まってから準備を始めても間に合わない可能性があります。
決済当日に必要書類や持ち物に不備があれば決済ができず、買主や取引に立ち会う担当者に迷惑をかけてしまうことになるので、売却活動中から余裕をもって準備を進めていきましょう。
「4.不動産売却の決済で必要な書類」で具体的な必要書類リストを紹介していますので、併せてご参考ください。
3.不動産売却における決済日の流れ
不動産売却の時の決済は、次のような流れで行います。
それぞれの流れでおさえておくべきポイントを解説します。
3-1.司法書士が登記等の書類を確認
不動産決済の当日はまずは司法書士が登記等に関する書類を確認します。
主な確認内容としては
- 本人確認書類
- 登記に必要な印鑑証明書
- 登記識別情報
などの書類です。
また、司法書士書が後日法務局で行う登記手続きを行うための委任状も必要となります。委任状へはサイン・押印をするため実印も用意しておきましょう。
3-2.住宅ローンの実行(買主)
司法書士による書類の確認が全て終われば、住宅ローンの融資実行となります。
買主が銀行の住宅ローンで不動産を購入する場合は、契約先の銀行などの一室で、営業時間である平日の午前中に行われることが多いでしょう。なお、昨今増えつつあるネットバンキングの融資の場合は、仲介する不動産会社の一室などを借りて行います。
無事に融資が実行されれば、買主の銀行口座へ入金、もしくは現金・小切手の手渡しとなります。
3-3.売却代金の残金の支払い
無事に住宅ローンが実行されたら、買主から売主に対して売却代金の支払いが行われます。
売買契約の際に手付金(一般には購入代金の5%〜10%程度)の支払いを済ませているので、決済の時はその残金が支払われます。支払い方法は口座への振込が一般的ですが、現金や小切手のケースもあるため、事前に仲介会社へ確認しておくとよいでしょう。
また購入代金の他に、都市計画税や固定資産税の分担金も忘れずに受け取るようにしましょう。
3-4.不動産会社に対する仲介手数料の支払い(売主)
買主の支払いと同時並行で、売主から不動産会社に対して仲介手数料の支払いを行います。
一般的に、仲介手数料は売買契約時に50%、決済の時に残りの50%を支払います。
また、司法書士に抵当権抹消登記を依頼した場合は、このタイミングで報酬の支払いも行います。
3-5.抵当権抹消登記
売却した代金で住宅ローンを完済する場合は、買主から購入代金の支払いが行われ、住宅ローンの返済が完了した後に抵当権抹消登記を行います。
抵当権抹消登記とは、住宅ローンを組んで不動産を購入する際に、金融機関が担保として設定している抵当権を抹消する手続きのことです。
住宅ローンを完済したら抵当権の権利自体は消滅しますが、登記簿には残ったままになるため、自身で抹消手続きを行わなければなりません。
抵当権抹消登記は司法書士に依頼するケースが多いですが、住宅ローンを完済していれば、自分で行うことも可能です。
3-6.鍵や物件に関する資料などの引き渡し
決済や書類の確認が全て完了すれば、残るは鍵や物件に関する資料の引き渡しです。
引き渡す書類は、物件の設備に関する取扱説明書、保証書、重要事項説明書、その他パンフレットなどです。
鍵の引き渡しは、これまで作成した合鍵なども含め全て渡します。
4.不動産売却の決済で必要な書類
不動産売却の決済を行うにあたり、さまざまな必要書類をそろえなければなりません。不備があると、決済を進めることができませんので、余裕を持って準備し、不足はないか確認しておきましょう。
以下の表は、決済の時に必要な書類や持ち物です。
必要書類と持ち物 | 内容 | 誰に渡すか |
---|---|---|
必要書類 | ||
権利証 | 登記済権利証のこと。2004年以降は登記識別情報 | 司法書士 |
写真付き身分証明書 | 運転免許証やマイナンバーなど写真付きのもの | 司法書士 |
固定資産評価証明書 | 所在地の市区町村の役所で取得できる | 司法書士 |
印鑑証明書 | 発効してから3か月以内に限る | 司法書士 |
抵当権抹消書類 | 金融機関から届く書類を確認する | 司法書士 |
その他の持ち物 | ||
実印 | 全ての名義人の実印が必要 | その場で使用 |
引き渡す物件の鍵 | 合鍵や駐車場など全ての鍵を引き渡す | 買主 |
引き渡す物件の詳細が分かる書類 | 物件の設備に関する取扱説明書、保証書、重要事項説明書、その他パンフレットなど | 買主 |
銀行通帳・キャッシュカード | 決済できているか確認する際に使用する | その場で使用 |
支払う費用 | ||
仲介手数料 | 残り50%分を用意する | 不動産会社 |
司法書士への依頼報酬 | 登記手続きの依頼報酬を用意する | 司法書士 |
5.不動産決済を行う場所
不動産決済を行う場所は、どの方法で決済するかによって変わりますが、以下のケースが一般的です。
- 現金(小切手含む)やネットバンクの決済……不動産会社の事務所や司法書士の事務所
- 銀行口座間での振込決済……銀行の事務室
決済方法は住宅ローンの契約の有無や、不動産会社と相談して決めますので、売買契約時に必ず確認しておきましょう。
6.不動産売却の決済で注意すべきトラブル
不動産売却の決済当日を迎える前に、次の2点を確認しておいてください。
- 必要書類の不備がないか
- 振り込み手数料の負担はどちらがするか
理由や注意すべき点を解説します。
6-1.必要書類の不備
決済の日を迎えるにあたって特に注意しなければならないのが、必要書類の不備です。
決済日は自分だけでなく買主や不動産会社などさまざまな人がスケジュール調整の上で決めています。
決済の前日に確認して不備や不足が合った場合、内容によってはすぐに準備できないケースもあります。そうなると決済自体を延期しなければならなくなり、周りに迷惑をかけてしまいます。
必要書類の不備を防ぐためにも、4章で解説した不動産売却の決済で必要な書類や持ち物が揃っているか必ず確認するようにしましょう。
6-2.振り込み手数料の負担はどちらがするか
不動産売却時の決済を進めるにあたり、「購入代金を支払う場合、振込手数料は売主と買主どちらが負担するの?」と疑問に思う方は多いです。
振込手数料をどちらが負担するかを売買契約書に記載することはなく、売主と買主の間で相談し決めるのが通常です。
ただし、一般的には買主が振り込み手数料を負担するケースが多いでしょう。
振込手数料は大きな金額ではありませんが、事前に話し合いがされていない状態で進めてしまうと買主との間で認識の相違が起こり、トラブルに発展してしまうこともあります。スムーズな決済のために、あらかじめ確認して相互認識を持っておきましょう。
7.複数社に査定依頼して信頼できる不動産会社を見つけよう
不動産査定を依頼する際は、必ず複数社に依頼しましょう。
不動産会社によって独自の査定基準を設定しているので、査定結果が必ずしも同じになるとは限りません。
また、営業担当者との相性も大事ですので1社だけの査定で合う会社を見つけるのは難しいです。
複数社への査定依頼は、不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」 が便利です。
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この記事のポイント
不動産売却において決済とは、売買契約に基づいて行う支払い手続きのことです。
詳しくは「1.不動産売却時の決済とは」をご確認ください。
不動産売却の決済の流れは以下の通りです。
- 司法書士が登記に関する書類を確認
- 住宅ローンの実行
- 売却代金の残金を支払い
- 不動産会社に対する仲介手数料の支払い
- 抵当権抹消登記
- 鍵や物件に関する資料などの引き渡し
詳しくは「3.不動産売却における決済の流れ」をご確認ください。
不動産売却の決済で注意しておいたほうがよいトラブルは以下の通りです。
- 必要書類の不備がないか
- 振り込み手数料の負担はどちらがするか
詳しくは「6.不動産売却の決済で注意すべきトラブル」をご確認ください。