マンションの売却価格は、購入時の価格より安くなるのが一般的です。
しかし、高値が付く条件がそろえば、購入価格以上で売ることも決して不可能ではありません。
そこでこの記事では、マンションを購入価格より高く売却するポイントや、高く売れるマンションの特徴を解説します。
- マンション価格相場の推移からみる売り時
- 購入額よりも高くマンションを売却するためのヒント
- 高値がつくマンションの特徴
これを読めば、購入価格と同等かそれ以上でマンションを売却するヒントが得られるでしょう。
Contents
1.マンションが買った値段以上で売れる可能性はある?
日本では不動産は築年数とともに建物の価値が下がっていくという考え方が根強く、補修やリノベーションより中古住宅を建替えて新築住宅にする方が価値あるものとして好まれる傾向があります。
そのため、中古住宅より新築住宅の方に高値が付くのが一般的です。
とはいえ、マンションを購入時と同等かそれ以上の価格で売却することは100%不可能ではありません。
ここでは、まずマンションを買った値段で売るのが難しい理由を詳しく解説します。
その上で購入時以上の価格での売却が見込めるかを確認していきましょう。
1-1.マンションが買った値段以上で売れる可能性は低い
基本的に、購入したマンションを購入時の価格以上で売ることは難しいのが現実です。
理由の一つとして「築年数の経過」が挙げられます。
建物の場合、新築時の資産価値が一番高く、経年によって資産価値は下がっていくのが一般的です。
以下のグラフは、2021年における首都圏の中古マンションの築年数と成約価格の平均をまとめたものです。
築年数の経過とともに中古マンションの価格が下がっていることをデータが示しています。
また、新築を買って間もない状態でも、価値が下がってしまうこともあります。
極端な場合、新築に移り住み1~2週間程度で資産価値が下がってしまうケースもあるのです。
「経年による劣化で価値が下がるのは納得できるけれど、購入直後ならまだ新品同様のはずなのになぜ?」と思われるかもしれません。
新築住宅には、物件そのものの価値以外に「広告宣伝費」「営業活動費」「保証」等の費用や、新築ならではの「手付かずの状態」「快適性」「衛生状態」等の心理的価値が価格に上乗せされると言われています。
これが、「新築プレミアム」と呼ばれる付加価値です。
たとえ購入価格よりも高くマンションを売却できたとしても、売却には仲介手数料や印紙税等の諸費用がかかります。
諸費用や税金を考慮すると、それ以上の高値で売却をしないと、結局のところ収支はマイナスとなるケースが少なくありません。
これらのことから、購入したマンションを買った時の値段以上で売り、プラスの収支を出すことは難しいと言えるでしょう。
1-2.買った値段以上でマンションが売れる可能性はゼロではない
購入した価格以上でマンションが売却できない理由をご紹介しましたが、確実に売却額が購入額を下回ってしまうのかと言うと、そうとは限りません。
景気や地域環境の変化によって不動産価格が上昇すれば、購入時より高い価格で売却することが可能です。
たとえば、マンションを購入後、その地域に「新しく駅ができる」「大型の商業施設が充実する」といった都市開発がある場合は、不動産価格が上昇するでしょう。
単純計算ですが、購入したマンションの価値が経年により500万円下がっても、地域環境の変化により不動産価値が購入時より1,000万円上昇していれば、購入時よりも高い値段で売ることができます。
国土交通省の公表している「不動産価格指数」によると、中古マンションの価格は上昇傾向にあります。
出典:国土交通省 不動産価格指数(令和4年10月・令和4年第3四半期分)
このように、マンション価格が高騰し続け、経年による価値の減少を上回った場合は、購入時の価格以上で売却できる可能性も出てくるのです。
さらに、過去30年における首都圏中古マンションの価格平均の推移を確認していみましょう。
「(公財)東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」/「(公財)東日本不動産流通機構 年報マーケットウォッチ(2021年)」をもとに作成
1991年辺りからバブル経済が崩壊し、中古マンションの価格も下降していましたが、2001年~2002年を底値として上昇に向かいました。
その後、リーマンショックの時期に停滞しますが、2013年以降は上昇が続いています。
市場の動向を注視しながら高く売れるタイミングで売り出せば、購入時の価格より高値で売ることは不可能ではありません。
マンションの価値を正しく見極めたい方は、査定を始めてみましょう。
複数社の査定額を比較することで、より信頼できる査定額を見つけられます。
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2.高く売りやすいマンションの特徴
マンション価格が高騰している現在は、購入したマンションをより高く売却できる環境にあると言えるでしょう。
もちろん、どのようなマンションでも高く売却できるわけではありませんが、誰もが欲しいと思い、特別な付加価値のあるマンションは高値が付きやすい傾向があります。
ここでは、高値が付きやすいマンションに共通する特徴をご紹介します。
【高く売れる可能性があるマンションの特徴】
- 独自の特徴がある珍しいマンション
- 競合の少ないマンション
- 築5年以上10年未満のマンション
- 立地がいい
- 角部屋
- 高層階の部屋
マンション売却で儲かった多くのケースが上記のポイントに当てはまると考えられます。
詳しく見ていきましょう。
2-1.独自のセールスポイントがある
独自のセールスポイントにより差別化が図れているマンションは、築年数の経過に対しても資産価値が下がりにくいと言われています。
マンションの独自のセールスポイントの例をご紹介しましょう。
ブランドマンション
大手のディベロッパーが建てたブランドマンションは知名度や信頼性が高く、そのエリアのランドマーク的な存在感も持ち合わせています。
各社がブランドコンセプトを打ち出し、それぞれ個性があり差別化が図られている点が魅力です。
大手ディベロッパーがメンテナンスを行うため、マンションの価値・評価が下がりにくく高額で売却しやすい傾向があります。
ブランドマンション狙いの顧客層が一定数存在していることも、値崩れしにくい要因の一つです。
マンションコンシェルジュ
マンションコンシェルジュとは、共有備品の管理や貸し出し業務の他、宅配便の受け取りやタクシーの手配、育児サービスの取次ぎなど、マンション内において入居者向けサービスを行うスタッフです。
コンシェルジュが常駐していると利便性に富んだ生活が実現するため、付加価値の要因となります。
共有スペースの充実
高級マンションや最近の大規模マンションでは、住民専用の飲食店や宿泊施設、共有ワークスペース、託児所などが設置されています。
共有スペースやサービス施設が充実していることも高値の要因となり得るのです。
ルーフバルコニー
ルーフバルコニーは、下の階の屋根(ルーフ)部分がバルコニーになっているため、通常のベランダやバルコニーに比べて広いスペースが確保できます。
ルーフバルコニーは開放感があり、日光浴をしたり、友人を招いてパーティーを開いたりするなど、様々な使い方ができる点から需要が見込まれます。
そのため、相場よりも高く売れる要因となり得ます。
2-2.周辺に競合が少ない
競合が少ないマンションは、「比べる対象が少ない」「相対的に希少価値を持つ」マンションです。
たとえば、木造住宅や戸建が多く、マンションが少ない地域の場合、マンションの市場価格は下がりにくい傾向にあります。
築30~40年のマンションが多く建つ地域にある築20年のマンションなら、築浅という印象を与えられます。
そうすると、築浅のマンションに囲まれた同じ条件の築20年のマンションよりも高値で売却できるケースもあるのです。
2-3.築10年未満
築年数が10年未満のマンションは、経年による価値の減少も少ない上に人気も高いので、比較的高値で売れる傾向があります。
築10年未満で売った場合の値下がり率は10%程度となっています。
また、10年前の2013年は、新築・中古に共通してマンション価格が上がり始めた時期です。
2013年以降、マンション価格が上がり始めた初期に購入している場合、築年数分の価値が下がっていたとしても、購入時の値段に近い金額で売却できる可能性があります。
購入時の価格より高い金額で売却した場合、利益が発生し、所得税と住民税が課税されることがあります。
居住用建物(自宅)の売却の場合、様々な税制優遇措置があるので、大きな利益額でなければそれほど気にしなくても構いません。
不動産の譲渡(売却)の場合、所有期間5年超の不動産を売却した方が、所有期間5年以下の不動産を売却するより税率は低くなります。
所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 計 | |
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 9% | 0.63% | 36.63% |
そのため、売却により利益が見込める場合には、所有期間は5年を超えてから売却した方が、納税額においては有利です。
※不動産譲渡の場合、譲渡日ではなく譲渡した年の1月1日現在において所有期間を判断します。
なお、15年以上が経過すると、マンションの売却価格は半額以下になるケースが多くなります。
たとえば3000万で買った家がいくらで売れるかというと、15年後に1,400万円程度になってしまうのです。
このような観点からも、築10年未満で売るのがマンションの適切な売却タイミングといえるでしょう。
2-4.立地条件のよさ
立地条件の良いマンションは、資産価値が下がりにくい傾向があります。
立地条件の良さについて詳しく見ていきましょう。
地域の発展性
地方都市よりも大都市、郊外よりは都市部にあるマンションの方が、人気・需要があります。
人気のエリアは、人口増加や街の発展が進み、地価が高騰しマンション価格も上昇します。
そのため、街の発展性が高く、地価が上昇しているエリアは、高額でマンションを売りやすいと言えるでしょう。
2022年3月発表の地価公示における「都道府県別地価変動率(住宅地)」によると、東京、愛知、福岡、北海道、宮城などに目立った地価上昇が見られます。
交通の利便性
交通の利便性は価格評価において重要です。
最寄り駅までの距離や利用駅に複数路線が乗り入れているかどうか等も価格に反映されます。
駅近の場合、通勤・通学の利便性だけではなく、駅周辺には商業施設等が充実しているため、資産価値も下がりにくいのです。
特に、駅から徒歩10分以内の立地だと周辺相場よりも高値がつく傾向があります。
駅に直結しているマンションは、日本全国でも数えるほどしかありませんので、より希少価値が増すのです。
出典:(公財)東日本不動産流通機構 年報マーケットウォッチ(2021年)
生活環境の良さ
周辺にスーパーや飲食店、公共施設が充実しているなど、生活における利便性の高いエリアにあるマンションは需要が高く、価格も相応に上がる傾向があります。
たとえば、ファミリー向けマンションの場合は、生活圏に病院や公園、学校があると、より資産価値は高くなります。
2-5.角部屋
マンションの角部屋は、高く売れやすい条件の一つとしてご存じの方も多いかもしれません。
角部屋の魅力は、採光面を多くとれるので日当たりが良く、隣接住戸が少ないため騒音問題が起きにくいことです。
そのため、角部屋は中部屋よりも10~20%程度高値評価されると言われています。
また、角部屋の中でも、バルコニーの向いている方角によってさらに価値が上がる可能性があります。
一番人気が高いのは南向きで、次に東向き、西向き、北向きです。
2-6.高層階の部屋
マンションの階数が高くなるほど価格は上がり、階数が低くなるほど価格は下がる傾向にあります。
一般的には、高層階になるほど眺望や日当たりが良く、プライバシー性が保てる等のメリットがあります。
快適に生活がしやすいという理由から、高層階の方が価格が高くなる傾向があるのです。
同じマンションでも、低層階の角部屋よりも高層階の中部屋の方が高い価格で取引されるケースも少なくありません。
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この記事のポイントまとめ
一般的に、購入した価格以上でマンションを売却することは難しいと言われています。しかし、近年のマンション価格上昇の影響で、高く売れる可能性もあります。
- 築年数の経過によってマンションの価値は減少していく
- 新築マンションの価格には、付加価値が上乗せされている
- マンション価格は、バブル期の水準に高騰している
- マンション相場の高騰が、築年数による価値減少分を上回れば、購入時よりも高い価格で売却も可能
詳しくは「1.マンションが買った値段以上で売れる可能性はある?」をご覧ください。
高く売れるマンションの特徴は以下の通りです。
- 独自のセールスポイントがある
- 周辺に競合が少ない
- 10年未満
- 立地条件の良さ
- 角部屋である
- 高層階の部屋
詳しくは「2.高く売りやすい物件の特徴」をご覧ください。