間取り図の「S」の意味とは?メリット・デメリットや活用アイデア

間取り図の「S」とは、「サービスルーム」の頭文字であり、建築基準法の「居室」とみなされない部屋のことです。

同じような広さの間取りでも、サービスルームを設けるか、居室を設けるかで建築費に差が出ます。

この記事では、間取り図の「S」の意味やメリットなどが気になっている方に向けて、以下の内容を解説します。

この記事でわかること
  • 間取り図の「S」の意味
  • サービスルームがある間取りのメリット・デメリット
  • サービスルームの活用アイデア

サービスルーム付きの間取りが向いている人の特徴まで解説するので、ぜひ最後までご覧いただき、理想の間取りづくりの参考にしてくださいね。

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間取り図の記号について全体像を把握したい方は「間取り図の記号」もご覧ください。

1.間取りの「S」とはサービスルームのこと

間取りの「S」とはサービスルームのこと

間取り図に記載されている「S」は「サービスルーム」の頭文字であり、「居室」に該当しない部屋のことです。
「SR」と表記されることもあります。

「サービスルーム」と「一般的な部屋」を意味する「居室」の定義について、それぞれ解説します。

1-1.サービスルーム(居室とみなされない部屋)の定義

サービスルーム「S」は「納戸」と同じような位置づけであり、ちょっとした作業をしたり収納スペースとして利用したりできる、幅広い用途を想定した部屋です。

居室とはみなされませんが、法律上の利用制限はなく、使い方は自由です。

ただし、窓や換気に必要な開口部が小さく、さらに電気コンセントなどの設備が備わっていないことが多いため、一般的に長時間過ごすには不向きと考えられます。
物置や保管庫としての使い方が主流といえるでしょう。

間取り図内の表記方法としては、「S」以外に、「F(フリールーム)」や「DEN(書斎)」、「WIC(ウォークインクローゼット)」などと表記されていることもあります。

1-2.居室の定義

そもそも居室とは、建築基準法で居住や作業、娯楽などを目的として継続的に使用する場所と定められている部屋のことです。

居室とみなされるためには、「窓が床の7分の1以上の面積」「換気口が床の20分の1以上の面積」「階段などの障害物で窓からの光が遮断されない」といった条件を満たしていなければなりません。
継続的に過ごせる環境であることがポイントといえるでしょう。

ある程度の広さがある部屋でも、これらの条件を満たしていないと居室とはみなされず、部屋数には数えられません。

2.間取りに「S」があるメリット

サービスルーム「S」がある間取りのメリットとして挙げられるのは、主に以下の3点です。

サービスルーム「S」のメリット
  • 広さの割に安価なことが多い
  • 収納スペースを確保しやすい
  • 自由な発想で使える

それぞれの内容について解説します。

2-1.広さの割に安価なことが多い

サービスルーム「S」がある間取りは、広さの割に安価であることが多いです。

例えば、広さが同じ「3LDK」と「2LDK+S(2SLDK)」の部屋が、間取り以外はまったく同じ条件で建てられる場合、サービスルームがある間取りのほうが安価に設定されている傾向にあります。

窓や換気口が小さくても部屋として十分に利用できる場合もあることから、サービスルーム付きの間取りのほうがお得になる場合もあるでしょう。

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2-2.収納スペースを確保しやすい

サービスルームがある間取りは、収納スペースを確保しやすい点もメリットです。

サービスルームは納戸のような位置づけであり、収納としての利用価値が高い部屋といえます。

サービスルームに居住者全員の荷物を収納すれば、リビングや居室などに置く物が少なくて済み、開放的な空間で過ごしやすくなります。

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2-3.自由な発想で使える

収納場所としてだけでなく、自由な発想で空間を利用できることもサービスルームを備えた間取りの魅力です。

定番の物置や書斎はもちろん、子供用のプレイルームや来客用の寝室、シアタールームなどさまざまな用途で利用できます。

サービスルームに十分な広さがある場合は、スクリーンとプロジェクターを持ち込み、のんびりと映画や動画の鑑賞を楽しめる部屋にすることもおすすめです。

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3.間取りに「S」があるデメリット

サービスルーム「S」がある間取りのデメリットは、以下のとおりです。

サービスルーム「S」のデメリット
  • 日当たりが悪いことが多い
  • エアコンやテレビが使えない可能性がある
  • 換気しにくい

それぞれのデメリットを解説します。

3-1.日当たりが悪いことが多い

サービスルームのデメリットとして、窓がないか、あっても小さく日当たりが悪い傾向にあることが挙げられます。

換気しにくい環境でもあるため、湿気やカビが発生する可能性があるでしょう。

ただし、見方を変えると、日光の影響を受けにくいことから、日焼けしやすい書籍や衣類の保存に適していると考えられます。

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3-2.エアコンやテレビが使えない可能性がある

人が長時間過ごすことを想定した部屋ではないことから、エアコンやテレビが使えない可能性がある点も、サービスルームのデメリットの1つです。

居室とみなされていないため、エアコン用のダクトやコンセント、テレビのアンテナ端子が備わっていないことがあります。

その場合、エアコンが必要な季節に、サービスルームにこもって長時間過ごすことは現実的ではないでしょう。

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3-3.換気しにくい

サービスルームは換気がしにくい点にも注意が必要です。

居室とみなされるためには、換気口が床の20分の1以上の面積である必要があるため、サービスルームの換気口は基準以下の大きさである可能性が高いでしょう。
加えてエアコンを設置しにくいことから、湿気が溜まりカビが発生しやすくなります。

風通しをよくするためには、除湿機やサーキュレーターの設置が効果的です。
サービスルームを有効活用するためには、いかに効率的に換気を行えるかがポイントになるでしょう。

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4.間取り「S」の活用アイデア

ここからは、サービスルーム「S」の活用アイデアをご紹介します。
具体的には、以下の用途での活用法をお伝えします。

サービスルーム「S」の活用アイデア
  • 収納部屋
  • 書斎やワークスペース
  • 来客用の寝室
  • 子供用のプレイルーム
  • シアタールーム

それぞれの活用方法を見ていきましょう。

4-1.収納部屋

収納部屋イメージ

サービスルームは扇風機・ヒーターなどの季節家電、クリスマスツリーなどの季節用品をまとめて収納する部屋として活用できます。

特定の時期にのみ使用するアイテムをサービスルームに、頻繁に出し入れする物を部屋のクローゼットに収納するなど、使い分けることがおすすめです。

また、採光量が少ないため、日焼けをさせたくない衣服や書籍をしまっておくスペースにも適しています。
壁に突っ張り棒をつけることで、クローゼットのように使うことも可能です。

▶【収納部屋としてSを使う間取り】などを比較する方法はこちら(無料)

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4-2.書斎やワークスペース

書斎やワークスペースイメージ

サービスルームは、書斎やワークスペースとしての利用にも適しています。

居室よりも狭く、窓も小さいことが多いため、静かで薄暗い空間の中で読書や仕事がはかどると考えられます。
テレワークでWeb会議に参加する場合も、生活音や映り込みを気にしなくてよいこともメリットです。

ただし、コンセントがない場合は、隣の部屋からコンセントを引き込むなどして電力を確保しましょう。
夜間の読書や仕事、長時間のパソコン作業などに支障が出てしまう可能性があります。

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4-3.来客用の寝室

広さにもよりますが、サービスルームは来客用の寝室としても活用できます。

1日中過ごすわけではないため、日当たりがよい必要はありません。
また、適度に狭い空間であることから、落ち着いて眠れる空間になると考えられます。

より快適に過ごせるように、サーキュレーターなどで空気を循環させるとよいでしょう。

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4-4.子供用のプレイルーム

サービスルームは、子供用のプレイルームとしても活用できます。

室内用のジャングルジムやブロックなどを設置すれば、子供がのびのび遊べるスペースに早変わりします。
おもちゃの収納場所と兼用にすれば、ほかの部屋が散らかることも防げるでしょう。

ただし、サービスルームがリビングやキッチンの近くにないと、子供が何をしているのか把握しにくい点がデメリットです。

例えば、子供がジャングルジムから落ちたときにすぐに対応するためには、サービスルームが親の目の届く範囲にあることが望ましいでしょう。

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4-5.シアタールーム

シアタールームイメージ

十分な採光が得られないために薄暗い空間であることを利用し、シアタールームとして活用することも一案です。

一般的な居室の場合、日中はカーテンを使ったとしても真っ暗にすることは困難です。

しかし、窓がない、もしくはあっても小さなサービスルームであれば実現できます。

また、天井が低い、部屋が狭いといった部屋の特性によって、リビングで観るよりも映画の世界に没入しやすくなります。

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5.間取りの「S」が向いている人の特徴

サービスルーム付きの間取りが向いている人の特徴として挙げられるのは、以下の3点です。

サービスルーム「S」が向いている人
  • 荷物が多い
  • できるだけ広い家に住みたいと考えている
  • リモートワークをすることがある

それぞれの特徴を解説します。

5-1.荷物が多い

荷物が多い人は、サービスルーム付きの間取りを選ぶとよいでしょう。

膨大な荷物をすべて居室の収納家具に入れようとすると、各部屋が収納家具に圧迫されてしまいかねません。

サービスルームは2~5畳程度の広さであることが多く、一般的なクローゼットよりも広いため、たっぷりと荷物を収納できます。

5-2.できるだけ広い家に住みたいと考えている

できるだけ広い家に住みたいと考えている人にも、サービスルーム付きの間取りがおすすめです。

サービスルームは居室とみなされないため、総面積が同じ間取りであってもその分価格が安い傾向にあります。

そのため、もともとの予算で当初の想定よりも広い家に住める可能性があるでしょう。

5-3.リモートワークをすることがある

リモートワークをする場合も、サービスルーム付きの間取りが向いています。

窓がない、あるいは小さいサービスルームは密閉状態に近く、仕事がはかどりやすい空間になり得ます。

ただし、コンセントがないケースが多いため、そのままでは仕事部屋にならないでしょう。
隣の部屋から延長コードを引いてくるなどの、工夫が求められます。

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6.間取り記号「S」以外の表記の意味一覧

間取りの表記には「S」「SR」(サービスルーム)以外にも略されて表記されているものが多く、「どういう意味?」と感じることがあるかもしれません。

例えば、以下のようなものがあります。

間取り表記の意味一覧
表記 意味
DR 洗面脱衣室
PR 洗面室
WC トイレ
UB ユニットバス
W 洗濯機を置くスペース
R 冷蔵庫を置くスペース
BR(MBR) ベッドルーム(メインベッドルーム)
CL クローゼット
WIC ウォークインクローゼット
ENT 玄関
HALL 廊下
DEN 書斎や趣味の部屋
N 納戸
VOID 吹き抜けスペース
SR サンルーム
SB シューズボックス
SR サービスルーム(多目的スペース)
PS パイプスペース(配管やガス管などを収納)
SK スロップシンク(蛇口と深いシンクのセット)
MB メーターボックス

理想に近い間取り図を眺める際に参考にしつつ、間取り検討がスムーズに進むようチェックしておきましょう。

まとめ

間取り図に記載されている「S」は「サービスルーム」の頭文字であり、「居室」に該当しない部屋のことです。

「納戸」と同じような位置づけであり、収納部屋はもちろん書斎や来客用寝室、シアタールームなど、自由な発想で使えるでしょう。

建築基準法の居室とみなされないため、同じような広さの間取りの家に比べて価格が安いことが多く、予算を変えずにより広い家に住みたいという方におすすめです。

ただし、日当たりの悪さや換気のしにくさに加え、エアコンやテレビが使えない可能性がある点に注意が必要です。

時には無料サポートサービスも活用しながら、理想の間取りを作ってくださいね。

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