「土地を売りたいので価格の相場を知りたい」
「土地を相続したときの税金って、何を基に計算したらいいの?」
初めてのことだと、どうやって調べたらいいのかわかりませんよね。
「路線価」や「公示地価」という言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、実は同じ土地にもかかわらず、目的によって数種類の価格があるのです。
そこでこの記事では、土地の価格を目的別に分かりやすくお伝えします。
また、それら価格の詳しい調べ方まで解説していますので、最後までお付き合いください。
- 目的のためにはどの土地価格を調べればいいのか
- 4つの土地価格の調べ方
- 土地の価格が決まる5つの要素
土地の売却について基礎から詳しく知りたい方は『土地売却の流れ』も併せてご覧ください。
Contents
1.土地の価格は4種類!調べる価格の決め方
『一物四価』。この言葉は、「一つの土地には四つの異なる価格が存在する」という意味を表しています。
土地の価格は以下4つに分類されます。
- 公示地価
- 相続税路線価
- 固定資産税評価額
- 実勢価格(時価)
これらは、何らかの目的における、土地の価値を求める指標となります。
例えば、公示地価は土地の売買における価値を、相続路線価は相続税算出のための土地の価値を求めるのに使われます。
ここからは、それぞれの価格について詳しく解説していきます。
各価格を知ることで、土地の売買価値や、維持にかかる税金などを計算できるようになります。
1-1.公示地価
公示地価は、土地取引の指標となる価格です。
売買における土地の価値や、資産評価するうえで用いられます。
公示地価は、地価公示法に基づき国土交通省が全国に定めた調査地点(標準地)を対象に、1地点につき2人以上の不動産鑑定士が鑑定評価額を出してます。
毎年1月1日時点の1平米あたりの価格が発表されています。
- 基準日:毎年1月1日
- 公表時期:3月下旬
- 発表機関:国土交通省
『2-1.公示地価の調べ方』では、公示地価の詳しい調べ方を解説しています。
基準地価とは?
公示地価は国が公表するものですが、基準地価は毎年7月1日時点の地価が都道府県により、9月下旬に発表されます。公示地価を補完するもので、「都道府県価格調査」とも呼ばれます。
基準地価の目的は公示地価と同じで、土地取引の価格審査を適正かつ円滑に進めるために、土地の適正な価格を知るための指標として使われますが、公示地価が1月1日時点の価格であるのに対し、基準地価は7月1日時点の価格と半年違うことから、地価に動きがあってもこの2つの金額を比べることでおおよその動向が分かるようになっています。
- 基準日:毎年7月1日
- 公表時期:9月下旬
- 発表機関:都道府県
1-2.相続税路線価
相続税路線価は、相続税や贈与税を算出する根拠となる『相続税評価額』を求めるために用いられる価格です。路線価とも言います。
相続税路線価は、国税庁が決める道路ごとの価格です。
公示地価や、不動産売買の事例などを参考に計算されています。
なお、路線価格は公示地価の80%が目安とされており、一般的な土地取引に使われる価格より少し安めに設定されています。
似た名称の価格に固定資産税路線価がありますが、こちらは次に解説する固定資産税評価額を求めるために用いられます。
一般の方が固定資産税路線価を用いる機会は非常に少なく、路線価といえば相続税路線価を表すのが一般的です。
『2-2.相続税路線価の調べ方』では、相続税路線価の詳しい調べ方を解説しています。
- 基準日:毎年1月1日
- 公表時期:7月初旬
- 発表機関:国税庁
- 価格の目安:公示地価の80%
1-3.固定資産税評価額
固定資産税評価額は、以下のような税金の算出根拠として用いられる価格です。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 不動産取得税
- 登録免許税 など
固定資産税評価額は各市町村(東京都23区の場合は都)により、3年ごとの1月1日時点で価格が更新されます。
なお、固定資産税評価額は公示地価の70%とされています。
また、固定資産税評価額は、固定資産税路線価を基に計算されています。
毎年の固定資産税算出で固定資産税評価額が用いられているため、一般の方がわざわざ固定資産税路線価から計算する必要はなく、課税明細書などで簡単に評価額を確認できます。
『2-3.固定資産税評価額の調べ方』では、固定資産税評価額を調べる複数の方法を紹介しています。
- 基準日:毎年1月1日(3年に一度評価替え)
- 公表時期:3~4月
- 発表機関:市町村
- 価格の目安:公示地価の70%
1-4.実勢価格(時価)
実勢価格は、その土地を売却した時の実際の価格であり、時価です。
売り手と買い手が納得し、売買に合意できた価格が、実勢価格となります。
正確な実勢価格は、取引成立時まで分かりませんが、おおよその実勢価格を調べることは可能です。
そのため、土地を売却する方にとっては、実勢価格を調べておくことが重要となります。
不動産会社の行う売却査定でも、実勢価格により近い価格を計算するために、様々な調査を行っています。
『2-4.実勢価格の調べ方』では、個人がインターネットから簡単にできる実勢価格の調べ方を紹介しています。
売却査定の精度よりは劣りますが、おおよその売却価値を判断できます。
既に売却を決めている方は、不動産会社に査定依頼をしてみましょう。
実勢価格は取引時点まで不確定なため、査定価格はあくまで予想。査定を担当する不動産会社ごとに査定額は異なるため注意しましょう。
複数社の査定額を簡単に比較したい方は、NTTデータグループが運営する不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)をご活用ください。
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2.土地価格の調べ方
以下の4つの価格について、それぞれ価格の調べ方を紹介します。
- 公示地価
- 相続税路線価
- 固定資産税評価額
- 実勢価格
2-1.公示地価の調べ方
公示地価は、毎年3月下旬ごろ、国土交通省より発表されています。
国土交通省が提供する不動産情報サイト『不動産情報ライブラリ』から、その年の1月1日時点の公示地価を簡単に調べられます。
まずは不動産情報ライブラリにアクセスし、以下の手順で検索してみましょう。
出典:国土交通省.”不動産情報ライブラリ”.(参照2024-05-15)
- 『地域から探したい方へ』をクリックし、調べたい土地の住所を入力します。
- 左上にある『価格情報』をクリックし、表示されたメニューから『国土交通省地価公示』を選択。『決定』を押します。
- 公示地価がある土地には〇のマークがあるので、探してクリックします。
オレンジの〇は住宅地、黄土色の〇は商業地を表しています。 - 公示地価のマーク〇をクリックすると、その土地の公示地価が表示されます。
『詳細表示』をクリックすれば、より詳細な土地情報や、公示地価の推移を確認できます。
※公示地価はすべての土地で算出されていません。自分が調べたい土地のもっとも近い公示地価を参照しましょう。
もし近くに公示地価がない場合は、以降で説明する他の価格を参考にしてください。
2-2.相続税路線価の調べ方
相続税路線価は、国税庁が提供する『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』で確認できます。
まずは『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』にアクセスし、以下の手順で検索してみましょう。
出典:国税庁.”財産評価基準書 路線価図・評価倍率表”.(参照2024-05-15)
- 調べたい都道府県をクリックし、『路線価図』を選択します。
- 市町村名を選択し、調べたい地域を探します。
- 該当の路線価図を探しクリックして表示します。
路線価図ページごとに分かれているため、該当の土地を見つけにくいかと思います。
その場合は、この時点で画面上部に表示されている『この市区町村の索引図ページへ』をクリックし、地図から探してみましょう。
※路線価がない地域もあります。路線価のない地域(倍率地域)では、倍率方式で価格を求められます。
詳しくは『全国地価マップの見方!(2-2.路線価が表示されない?評価倍率での見方)』をご覧ください。
2-3.固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額は、以下で解説する3通りの方法で調べられます。
- 課税明細書で確認する
-
家や土地を持っている方は、毎年送られてくる納税通知書に添付されている課税明細書で固定資産税評価額を確認できます。
- 固定資産課税台帳を閲覧する
-
自分の家や土地がある地域の役所(東京都は都税事務所)で固定資産課税台帳を閲覧し、固定資産税評価額を確認できます。
土地の売買などで、ほかの人が所有する土地や建物の価格を知りたい場合は、固定資産課税台帳ではなく「縦覧帳簿」で土地や建物の価格を確認することが可能です。こちらは固定資産課税台帳の所有者の情報などが入っていないものになります。
- 固定資産評価証明書をもらう
-
自分の家や土地がある地域の役所(東京都は都税事務所)の窓口で、固定資産課税台帳に登録されている内容の入った「固定資産評価証明書」を取得できます。また、郵送で受け取ることも可能です。
申請には、本人確認書類(マイナンバーカード、免許証、保険証など)が必要です。代理人が受け取りに行く場合は、委任状を書いてもらう必要があります。郵送の場合は返送用封筒も必要です。申請方法や費用などについては、各市町村のホームページで確認してください。
2-4.実勢価格の調べ方
実勢価格は、「その土地の売買取引が成立した価格」ですから、売買成立の瞬間まで正確な実勢価格は分かりません。
ただ、過去の取引事例や、他の土地価格を参考に、実勢価格の目安を計算できます。
それぞれの土地価格から求める
公示価格は、取引の基準となる価格を目指して調査しています。
具体的に、公示価格の1.1~1.2倍の価格が、実勢価格の目安になると言われています。
相続税路線価から求められる相続税評価額は、公示価格の0.8倍程度になるよう調整されています。
固定資産税評価額も、公示価格の0.7倍程度になるよう調整されています。
この性質から、以下の様に実勢価格を計算で求められます。
- 公示価格が分かる場合
- 実勢価格 = 公示価格 × 1.1
- 相続税評価額が分かる場合
- 実勢価格 = 相続税評価額 ÷ 0.8 × 1.1
- 固定資産税評価額が分かる場合
- 実勢価格 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1
条件の近しい取引事例を参考に求める
国土交通省が提供する不動産情報サイト『不動産情報ライブラリ』を利用すれば、過去の売買における取引価格を調べられます。
地域や駅からの距離など、できるだけ条件の近しい物件の取引事例を複数探し、平均的な価格を求めていきます。
まずは不動産情報ライブラリにアクセスし、以下の手順で検索してみましょう。
出典:国土交通省.”不動産情報ライブラリ”.(参照2024-05-15)
- 『地域から探したい方へ』をクリックし、調べたい土地の住所を入力します。
大まかな範囲で調べたいため、まずは市町村ぐらいの規模で検索してみましょう。 - 左上の『価格情報』をクリックし、表示されたメニューから『不動産取引価格情報』『成約価格情報』を選択しましょう。
- 調べたい地域をクリックすると、クリックした場所を含むエリアが縁どられ、価格情報が表示されます。
- 『詳細表示』をクリックすると、事例が一覧で出てきます。
画面上部の『検索条件設定』から、調べたい土地に近しい条件に絞って検索してみましょう。
『不動産取引価格情報』『成約価格情報』の選択欄の隣にある『条件設定』から、物件の種類や、検索時期を変更できます。
不動産取引価格情報は、国土交通省の調査で作成された情報です。土地を売却した方へ実施したアンケートをもとに価格が作成されています。
成約価格情報は、不動産流通機構(レインズ)のデータで作成されています。同じ情報を『レインズマーケットインフォメーション』で閲覧できます。
3.土地の価格を決定する5つの要素
土地の価格は、様々な要因によって決定します。
ここからは、土地の価格決定に関わる以下5つの要素について詳しく解説します。
- 土地の使い方を制限する法規制の影響
- 周辺地域の利便性・交通利便性
- 土地の規模や使いやすさ
- 接面道路との関係
- 景気による需給バランスの変化
3-1.土地の使い方を制限する法規制の影響
土地は、建築基準法や土地計画法などによって、建物の立て方、使い方が制限されています。
例えば、「建物の面積や高さ」「どの規模の商業施設までが建てられるのか」といった規制です。
2階建ての戸建て住宅が並ぶ住宅街は、都市計画法でいう第一種・第二種低層住居専用地域となります。
高層マンションや大規模商業施設のような、より人が多く集う建物を建設できないため、比較的土地価格は安くなります。
3-2.周辺地域の利便性・交通利便性
周辺地域にスーパーや病院、学校などの施設が十分だと、周辺地域の利便性が高いと評価され、土地価格も高くなりやすいといえます。
特に、交通の利便性は重要で、駅からの距離は土地価格に強く影響します。
駅に近い賃貸物件の家賃が明らかに高いように、駅に近ければ近いほど土地価格も高くなるのが原則的です。
ただし、駅との距離が重要視されるのは、徒歩圏内の話です。
駅から徒歩30分の距離にあるなら、車やバスでの移動が主流になってきますので、徒歩31分でも徒歩35分でも、大きく土地価格が変わりません。
3-3.土地の規模や使いやすさ
前項までの内容は、法規制や周辺環境についてでしたが、どんな土地であるかも価格決定に重要です。
土地の良し悪しを考える基準は以下の4点です。
- 土地の面積
- 土地の形状
- 間口・奥行
- 日当たり・通風
- 土地の面積
- 一般的に、面積が広いほど土地価格は高くなります。
ただし、面積が広いほど1平米あたりの単価が高くなる土地と、低くなる土地があります。
都市計画法の建築制限が関係しており、マンションなど大規模な建物が建てられる地域では、土地面積が広い方が、平米単価も高くなりやすい傾向にあります。
低層の戸建て住宅しか建てられない地域では、あまりに広すぎる土地だと活用が難しく、平米単価も低くなることがあります。
- 土地の形状
- 土地の形状は、土地の使いやすさに直結します。使いにくい土地であるほど、需要が低いため、価格も低くなります。
最も評価の高い土地の形状は、長方形や正方形に近い、形が整った土地であり、整形地と言われます。
一方で、三角形に近い三角地。旗のような形の旗竿地など、形状の悪い土地は不整形地と呼ばれ、使い勝手の悪さに応じて評価が低くなります。
- 間口・奥行
- 間口と奥行は、より広い方が使い勝手がよく、価格も高くなります。
戸建て住宅を例にとっても、間口が広い方が車庫と人の入り口を分離できるなど、建築の自由度が上がります。
- 日当たり・通風
- 日当たり・通風は、良いほど価格が高くなります。
これらは土地の向きや、周辺の建物の存在に左右されます。
極端な話、陽の方向に高層建造物がある土地では、日当たりの悪さから購入需要が減るでしょう。
3-4.接面道路との関係
土地と接面する道路の幅員によって、建てられる建物の延床面積が制限されます。
また、幅員4m以上の道路と2m以上接していないと、新たに住宅を建てられません。
こうした前面道路との関係から、道路と大きく接し、また接する道路の幅員が大きいほど、土地の価格は高くなります。
3-5.景気による需給バランスの変化
土地価格の決定も原則は、需要と供給の関係にあります。
需要の方が高い土地は価格が高くなり、供給の方が高い土地は価格が低くなります。
景気の変化は、土地の需給バランスに大きく影響します。
景気が良く、労働者の給与が高くなると、土地を購入する人、また住み替えのために売却する人が増え、土地取引が活性化されます。
景気が悪くなると、土地を購入する人は少なくなります。一方で資金面から土地を売却する人が増え供給過多の状況になります。
そのため、景気が良いと土地価格も高くなり、景気が悪いと土地価格も低くなります。
また、住宅ローン金利も土地の需給バランスに密接に影響します。
2024年5月現在の様に、住宅ローン金利が低い状況では、誰でも土地を買いやすく、取引が活性化されます。
反対に、住宅ローン金利が高くなれば、土地取引は鈍化し、価格も低くなると考えられます。
2024年3月には、2016年から続いていた日銀のマイナス金利政策が解除されました。
住宅ローン等、様々な商品の金利は、日銀の金利政策が大きく関係しています。
年内には、日銀が政策金利の引き上げをする可能性があります。その場合は、住宅ローン金利も高くなっていくでしょう。
住宅ローンの金利が高くなれば土地や建物を買いにくくなり、相場価格が下がる可能性があります。
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この記事のポイント まとめ
土地の価格の基準となるものには「公示地価」「実勢価格」「路線価格」「固定資産税評価額」の4つがあり、売却する、相続する、納税するなど、その目的によって基準が変わります。
詳しくは「1.土地の価格は4種類!調べる価格の決め方」で説明していますので、参考にしてください。
土地の価格は国土交通省や国税庁、各都道府県のWEBサイトから調べられます。また、各窓口や郵送で情報をもらえるものもありますよ。
詳しくは「2.土地価格の調べ方」をご覧ください。
土地の価格は、以下の要素で決定しています。
- 土地の使い方を制限する法規制の影響
- 周辺地域の利便性・交通利便性
- 土地の規模や使いやすさ
- 接面道路との関係
- 景気による需給バランスの変化
詳しくは、「3.土地の価格を決定する5つの要素」をご覧ください。