不動産を売却する際、不動産会社に買い取ってもらう「不動産買取」は短期間で売却できる半面、仲介を経て売却するよりも安くなってしまいます。
不動産の買取依頼を検討している方は、本記事でご紹介する高く売るコツや、安くなる理由などをぜひ参考にしてください。
仲介による不動産売却について基礎から詳しく知りたい方は、『不動産売却の基本』『【図解】不動産売却の流れと期間』を併せてご覧ください。
Contents
1.不動産の買取相場は仲介の7~8割
不動産を売却するときには、不動産会社に直接売却する「買取」という方法があります。買取なら、一般的な不動産市場で買主が現れるのを待つ必要がなく、手間も時間もかけずに売却できます。
ただ、不動産会社に買取してもらう際の相場は、仲介で不動産を売却するときの7〜8割程度になります。
例えば、市場価格が5,000万円の不動産の買取相場、買取価格の相場は3,500万~4,000万円程度となります。
老朽化の激しい不動産や購入希望者が現れにくい事故物件などの買取相場は、6割、5割とさらに低くなります。
買取相場が安くなる理由については『3.不動産の買取相場が安くなる理由』で解説いたします。
また、『4.不動産の買取相場を調べる方法』では不動産の買取相場を紹介していますが、買取相場は仲介のように直接的に調べることができず、仲介価格の7割を相場として計算しています。
仲介と違って買取に関するデータは出回っていないため、仲介相場を調べたうえで比較する方法しかないためです。
『5.不動産買取を利用するメリット』でも同様に、買取相場の直接的な検索はできないため、おおむね仲介相場を調べる方法についての解説となります。
買取価格は各社異なります
買取価格は、査定する不動産会社により異なります。
必ず複数社を比較して、より高く買ってくれる不動産会社を見つけましょう。
ただし、不動産会社探しに時間を使いすぎては本末転倒です。
不動産一括査定サービスなどを利用して、効率的に複数社への査定依頼を行いましょう。
NTTデータグループが運営する不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー) なら、1分程度の簡単な入力だけで、最大6社にまとめて査定依頼ができます。
買取査定の比較がスムーズになるので、ぜひご活用ください。
なお、仲介査定も依頼できるサービスですので、備考欄に「買取希望」とご記載ください。
2.不動産買取を利用するメリット
不動産買取という売り方では、売却価格が安くなるというデメリットがあります。
一方で、以下のようなメリットもあります。
- 手間なく早く売却ができる
- 売却に費用を抑えられる
- 契約不適合責任が適用されない
不動産買取では、売りに出して買主が現れるのを待つ必要がありません。内覧や交渉にかかる手間も省けます。
仲介を経て売却する場合は、売り出しから買主が決まるまでに平均3か月~6か月程度の期間がかかりますが、不動産買取では最短1週間ほどで売却が完了します。
また、ハウスクリーニングやホームインスペクションを実施する必要がなく、仲介手数料もかからないため、売却にかかる費用を抑えられます。
手持ち資金が無い方、時間が無い方でも検討しやすい売却方法と言えます。
このような手間や費用の面以外にも、契約不適合責任というリスクを回避する手段としても有用です。
契約不適合責任は、契約内容と合致しないもの(隠れた欠陥がある物件など)を売却した売主が負う責任で、代金の減額や損害賠償、場合によっては契約解除などの対応が必要になります。
買取では、不動産知識の豊富な不動産会社が買主となるため、契約不適合責任を無しにするケースが多くあります。
3.不動産の買取相場が安くなる理由
不動産買取の唯一のデメリットは、売却価格が安くなってしまう点です。
1章では、仲介で売却した場合の7~8割の価格が相場と解説しました。
なぜ不動産買取では、安くかわれてしまうのでしょうか?
それは、第三者に売却する仲介と違って、買取会社が買取後の再販で収益を上げる仕組みになっているためです。
買取会社にとっての買取は、不動産を仕入れる場ですので、いくらかの利益を見越した安い価格でないと買取してくれないのです。
また、買取会社は単なる転売をするのではなく、リフォーム等を行ったうえで再販を行います。
リフォーム等にかかる費用も考慮した価格で買取を行わないと会社の利益が出ないため、老朽化が激しいなど、再販までの費用がかかる物件ほど安く買取されます。
他にも事故物件など、売却までの手間が多い物件ほど買取価格は安く、本来の価値の6割や5割で取引されるケースもあります。
価格の安さは大きなデメリットですが、2章で解説したように様々なメリットもあります。
以下は、メリットとデメリットを考慮したうえで、一般的に買取の利用がおすすめと考えられる方の特徴です。
- 転勤や離婚をはじめとした家庭的・経済的な事情により、急いで不動産を売却する必要がある
- 仲介で売れにくい不動産(老朽化が進んでいる、大規模な修繕が必要など)を売却する
- 売却にかかる手間や時間を最小限に抑えたい
- 不動産を売却しなければいけない期限が決まっている
4.物件種別ごとの不動産買取相場
この章では、主要地域における中古一戸建て・中古マンション・土地の買取相場を紹介します。
ただ、WEB上では仲介の成約事例しか確認することができないため、仲介における成約価格の平均から7割の価格を買取相場の目安として計算しています。
不動産のある地域や劣化の度合によっては、以下の買取相場と大きく離れることもあるため、あくまで目安としてご覧ください。
4-1.中古一戸建ての買取相場
仲介での成約価格を参考に中古一戸建ての買取相場を計算すると、以下のようになります。
都道府県 | 買取相場目安(万円)※ | 仲介成約価格(万円) |
---|---|---|
北海道 | 1,326 | 1,894 |
東京都 | 3,637 | 5,196 |
神奈川県 | 2,806 | 4,009 |
愛知県 | 2,005 | 2,864 |
大阪府 | 1,647 | 2,353 |
福岡県 | 1,625 | 2,322 |
※買取相場参考価格は成約価格の7割で算出。小数点以下四捨五入
「 “月例速報 Market Watch(2024年05月度)”.公益財団法人東日本不動産流通機構(参照2024-07-04)」をもとに、お家のいろはが独自に作成
買取相場を7割で計算する場合、仲介での成約価格が高いほど、買取相場との乖離が当然大きくなります。
東京都では、買取相場と仲介成約価格に1,559万円もの差があり、買取を選んだ場合の損が大きいので、積極的に仲介を選択するべきでしょう。
一方で北海道は、買取でも568万円の差しかありません。
価格差の激しい地域に比べると買取を選択しやすいようにも思いますが、一戸建てはマンションよりもリフォーム価格が高くなりやすいため、さらに安い価格になってしまう可能性も高いでしょう。
そもそも、買取会社側が利益を見込めないと考えれば、買取にも応じてもらえなくなります。
4-2.中古マンションの買取相場
中古マンションの買取相場は、およそ以下の通りです。
都道府県 | 買取相場目安(万円)※ | 仲介成約価格(万円) |
---|---|---|
北海道 | 1,455 | 2,079 |
東京都 | 4,231 | 6,044 |
神奈川県 | 2,775 | 3,965 |
愛知県 | 1,731 | 2,473 |
大阪府 | 2,255 | 3,221 |
福岡県 | 1,763 | 2,519 |
※買取相場参考価格は成約価格の7割で算出。小数点以下四捨五入
「 “月例速報 Market Watch(2024年05月度)”.公益財団法人東日本不動産流通機構(参照2024-07-04)」をもとに、お家のいろはが独自に作成
マンションの場合、一戸建てよりリフォーム費用が安くなりやすいため、高く売れる可能性も高まります。
上表では、仲介成約価格の7割で計算していますが、8割で売れる場合もあるでしょう。
特に、都心部は仲介成約価格が高いので、8割の価格で買取しても利益が出せるため、高く売れやすくなります。
前項で紹介した中古一戸建てに比べると、買取でも高く売れる可能性があります。
ただ一方で、中古一戸建てに比べて中古マンションの方が、仲介で買主が見つかるまでの期間も短いので、仲介での売却も考えやすいと言えます。
売却方法を判断する際は、買取と仲介の査定を比較し、価格と不動産会社の意見を参考にすると安心です。
NTTデータグループが運営する不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)なら、買取と仲介の査定をまとめて依頼できます。
ご依頼の際は、備考欄に「買取査定も依頼する」旨をご記載いただくとスムーズです。
4-3.土地の買取相場
土地の買取相場は、およそ以下の通りです。
都道府県 | 買取相場目安(万円)※ | 仲介成約価格(万円) |
---|---|---|
北海道 | 1,243 | 1,777 |
東京都 | 4,528 | 6,461 |
神奈川県 | 2,545 | 3,636 |
愛知県 | 2,128 | 3,040 |
大阪府 | 2,195 | 3,135 |
福岡県 | 1,721 | 2,458 |
※買取相場参考価格は成約価格の7割で算出。小数点以下四捨五入
「 “月例速報 Market Watch(2024年05月度)”.公益財団法人東日本不動産流通機構(参照2024-07-04)」をもとに、お家のいろはが独自に作成
建物の立っていない土地だけの買取であれば、リフォーム費用がかからないため、高く買取してもらえるようにも思いますが、前項までと同様に安い価格で取引されます。
土地そのものを短期間に転売する行為は、国土利用計画法などで抑制されています。
土地の買取でも再開発や隣地と合筆するなど、付加価値を見出してからの売却となるのが一般的です。
そうした開発などにかかる費用や手数料を考慮するため、土地の買取価格も安くなるのです。
仲介での売却相場について詳しく知りたい方は、『不動産売却の「相場」とは』も併せてご覧ください。
5.不動産の買取相場を調べる方法
不動産の買取相場は不動産会社によって異なるため、売主自身で調べるのは限界があります。
買取相場を調べる際には、まず仲介での売却相場を調べ、7~8割の価格に計算してみましょう。
仲介での売却相場を調べる方法はいくつかありますが、以下2つのサイトを利用するのがおすすめです。
- 不動産情報ライブラリ
- 物件情報サイト(中古住宅HOME4Uなど)
5-1.不動産情報ライブラリ
不動産情報ライブラリとは、不動産の取引価格や地価公示をはじめとした価格情報や、防災情報などを確認できる国土交通省のWebサイトです。
地価公示等の価格指標や実際の成約価格など、様々な情報を地図上で検索し、確認できます。
(成約価格情報は、不動産流通機構のレインズデータライブラリーで掲載されているデータになります。)
土地の買取の場合は地価公示や成約価格を、他の物件であれば成約価格を参照しましょう。
5-2.物件情報サイト
売り出し中の物件が掲載されている物件情報サイトを使い、相場を調べることもできます。
相場を知りたい物件と条件の近しい物件を複数確認して、平均的な価格を求めましょう。およそ仲介での売却相場となります。
7~8割の価格に計算しなおせば、買取相場として考えられます。
物件情報サイトは様々ありますが、例として中古住宅HOME4Uを紹介します。
NTTデータグループが運営する中古住宅HOME4Uでは、売り出し中の物件情報の絞り込み検索や、地域ごとの相場価格が掲載されています。
6.不動産買取でより高く売るコツ
不動産買取を依頼すると、仲介で売却する場合よりも売却金額が低くなるデメリットがあります。
しかし、ある程度価格を高める、あるいは安売りを防ぐことはできます。
以下では、不動産買取で高く売る3つのコツを紹介します。
6-1.複数社の査定額を比較する
買取の査定額は、査定をする買取会社により異なります。
査定時には、どの程度のリフォームが必要になるかなどを判断しますが、厳密なリフォーム費用を見積もられるわけではありません。
そのため、「このくらいの価格で買い取れば利益が出るだろう」と、ある意味ざっくりとした見立てで査定額を決めることになります。
買取では査定額がそのまま売却金額になるので、複数社の査定額を比較して高いものを選ぶことが重要です。
1社に絞って査定を依頼するのではなく、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額を比較しましょう。複数社の査定額を比較することで、高く買い取ってくれる不動産会社を選別できます。
ただし、単に査定結果だけを見て買い取りを依頼する不動産会社を決めるべきではありません。中には、不誠実な買いたたきなどを行う買取会社もいるためです。
各社に査定の根拠を質問して、納得できる根拠を示してくれるか確認しましょう。
6-2.高く買取してくれる不動産会社の特徴を知っておく
不動産を高く買取してくれやすい買取会社は「買取が得意」な会社です。
不動産会社の事業は、「不動産売買」「不動産仲介」「不動産管理」「不動産賃貸」などに分けられます。
このうち「不動産売買」を主として営んでいる会社は、買取が得意と考えられます。
また、中古一戸建てや中古マンションなど、物件の種類による得意不得意もあります。
例えば、中古マンションを買取してもらうなら「不動産売買の事業を主としている会社であり、マンション買取の実績が豊富な会社」の方が、高く買取もらえる可能性が高まります。
不動産買取は、買取とその後の再販がセットになるビジネスです。
買取会社が利益をだすためには「安く買う」が基本になりますが、高く売るノウハウを持っていれば、その分買取価格を上げる余地もあります。
ただ一方で、買取が得意な会社は、安く買う技術もあると考えられます。
複数社を比較して他社の存在を意識させることが、買いたたきへの抑止力になります。
6-3.不動産売買の繁忙期を狙う
不動産売買の繁忙期は2~3月、または9月と言われており、この時期には売買需要が高まり、市場価格も上がりやすい傾向にあります。
不動産の売却では一般的に、繁忙期に売り出すことで高く売れる可能性が高まります。
ただし、これは主に、市場価格で取引ができる仲介での話になります。
買取では、買取会社が買い上げた後、再販までに期間を要するため、繁忙期に売ることの強みがありません。
ただ一方で、仲介での成約価格の7~8割が相場という考えをするなら、仲介での価値が上がれば買取価格も上げられるか可能性があります。
買取価格について会社と交渉をする際に、仲介での市場価値は材料となりえます。
- 「不動産を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
- 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります ※依頼する6社の中での最高価格
- 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
まとめ
不動産の買取相場は、仲介を経て売却する場合の7~8割程度です。
買取は不動産会社にとっての仕入れの場であり、その後は各社、再販によって利益を出しています。
仲介とは全く異なる構造ですので、買取価格はどうしても低くなってしまうのです。
しかし、買取であればスムーズに不動産を売却でき、売買に関する手続きの負担を軽減できます。
売却の確実性も高いため、老朽化の激しさなど、物件に問題がある場合は、買取を検討する価値は十分にあるでしょう。
売却を検討している不動産について「買取と仲介のどちらを依頼すべきか迷っている」とお悩みの方は、両方の査定結果を比較することをおすすめします。
不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)なら、複数社の仲介・買取の査定をまとめて依頼できます。最短1分の簡単な入力で、最大6社に査定が依頼できるので、売却をスムーズに進めたい方はぜひご活用ください。