不動産売買契約書の印紙代はいくら?不要になる条件や誰が負担するのかも解説

不動産売買契約書の印紙代はいくら?不要になる条件や誰が負担するのかも解説

不動産を売却する際にかかる費用のひとつに印紙代があります。

この記事では、印紙代とは何か、誰が負担するのか、どこで購入できるのかなどについて解説します。

この記事を読めば、不動産売買契約書に貼付する印紙代の詳細がわかるため、不備によるトラブルを回避できるでしょう。

この記事を読むとわかること

  • 不動産売買にかかる印紙代
  • 印紙代を負担するのは売主・買主のどちらか
  • 収入印紙に不備があるときの対処法
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1.不動産売買契約書にかかる印紙代とは?

不動産売買契約書にかかる印紙代とは?

印紙代とは、取引などで作成される契約書や領収書といった課税文書に課税される税金です。
契約書などに収入印紙(租税や不動産売却時の手数料、その他の収納金を徴収するために政府が発行する証票)を貼付して納税します。

国税庁の「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」には、印紙が必要な契約書として「不動産売買契約書」が明記されています。

そのため、不動産売買時の売買契約書作成には、印紙代が必要です。

2.不動産売買に必要な印紙代はいくら?

不動産売買に必要な印紙代はいくら?
印紙代は、売買契約書に記載された金額に応じて一定の金額がかかります。

具体的にどのくらい印紙代が必要になるのか見ていきましょう。

2-1.不動産売買でかかる印紙代

不動産売買でかかる印紙代は、売買契約書に記載された金額によって以下のように異なります。
(令和6年3月31日までに作成される契約書には軽減税率が適用されます。)

売買契約書の記載金額 本則税率 軽減税率
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超1億円以下 6万円 3万円
1億円超5億円以下 10万円 6万円
5億円超10億円以下 20万円 16万円
10億円超50億円以下 40万円 32万円
50億円超 60万円 48万円

参考:国税庁.”不動産売買契約書の印紙税の軽減措置”.(参照2024-05-31)

取引価格が高いマンションの売却でも、1,000万円超~1億円以下の取引がほとんどのため、印紙代の目安は2万円~6万円程度と言えるでしょう。

印紙税を含めた、マンション売却にかかる各費用については『マンション売却の手数料はいくら』をご覧ください。

2-2.電子契約なら印紙代はかからない

印紙代は第1号文書~第20号文書を作成する際にかかりますが、あくまでも課税文書を紙で作成する際の発生する税金です。基本的に電子契約に対しては課税されません。

仮に書類契約から電子契約に切り替えると、2万円~6万円程度の費用負担を軽減できます。ただし、すべての不動産会社が電子契約に対応しているわけではないため、不動産会社を決める際は書類契約なのか、電子契約なのかを確認しておくと良いでしょう。

2-3. 営利目的でなければ媒介契約の領収書には印紙代がかからない

非営利の公益法人や個人などが行った取引は営業活動と見なされないため、印紙の貼付は不要です。

また、個人であっても繰り返し売買を行うといったように収益目的で不動産売買を行っているケースでは、印紙の貼付が必要になるので注意してください。

3.印紙代を負担するのは売主・買主のどちら?

印紙代を負担するのは売主・買主のどちら?
不動産売買で印紙代を買主と売主のどちらが負担するのかは、法律で明確に定められていません。

そのため、買主と売主のどちらが印紙代を負担しても問題ありませんが、売買契約書には平等に負担する旨が記載されていることが多く、各自負担するのが通例です。

売買契約書は買主保管用と売主保管用の合計2通作成するため、売買契約時には印紙代を1通分ずつ負担するものと理解しておきましょう。

なお、売買契約書の正本を複写機でコピーしただけのもので、署名や押印または契約の相手方当事者に対し証明の用をなさないようなものについては、単なる写しにすぎないため、印紙代は必要ありません。

出典:国税庁.”No.7120 契約書の写し、副本、謄本等”.(参照2024-05-31)

4.収入印紙が買える場所は?

収入印紙が買える場所は?
収入印紙を購入できるのは、以下のような場所です。

  • コンビニエンスストア
  • 郵便局
  • 法務局
  • ネット

24時間営業のコンビニエンスストアでは時間や曜日を気にせず収入印紙を購入できるというメリットがあります。しかし、1円~10万円まで全31種類あるうち、金額の低い収入印紙しか扱っていない、そもそも扱っていない可能性もあるので注意してください。

郵便局と法務局では、原則全31種類すべての収入印紙を扱っています。ただし、規模の小さな郵便局では、高額な収入印紙を扱っていない可能性もあるので注意しましょう。

ネットオークションや金券ショップのオンラインショップなどで購入することも可能です。ただし、ネットオークションは、新品・未使用品と記載されていても、本当に新品・未使用品が届くとは限りません。ネットで購入する場合には信頼できる取引先で購入しましょう。

誤って購入した収入印紙の返金は行っていません。未使用の収入印紙については郵便局にて他の収入印紙と交換してもらえます。ただし、1枚あたり5円の手数料がかかります。誤った場合は手数料がかかるだけでなく、現金化はできないので誤って購入しないように気を付けましょう。

5.収入印紙に不備があるとどうなる?

収入印紙に不備があるとどうなる?
収入印紙に不備があった場合、どのようなペナルティが適用されるのか気になっている方も多いと思います。

収入印紙に不備があるケースとして、以下の4つが挙げられます。

  • 貼り忘れた場合
  • 間違った金額の印紙を貼り付けた場合
  • 貼り付けた印紙の金額が足りなかった場合
  • 印紙に消印がない場合

それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

5-1.貼り忘れた場合

売買契約書に収入印紙を貼り忘れたからと言って、契約が無効になるわけではありません。
しかし、収入印紙が貼られていない売買契約書の場合、適切な納税を行っていないという理由から過怠税の対象となるので注意してください。

過怠税の内容は「本来の収入印紙の金額+その2倍の金額」とあらかじめ決まっています。

参考:国税庁.”No.7131 印紙税を納めなかったとき”.(参照2024-05-31)

例えば、1万円の収入印紙を貼らなければならないにもかかわらず貼っていなかった場合、1万円に2万円を合わせた3万円を納めなくてはなりません。

ただし、自主的に申告した場合には「本来の収入印紙の金額+その10%相当額」に軽減してもらえるので、貼付忘れに気づいた方は早めに自己申告しましょう。

5-2.間違って多い金額の印紙を貼り付けた場合

売買契約書に間違って多い金額の収入印紙を貼り付けた場合も、契約が無効になるということはありません。手続きを行うことによって、差額分の収入印紙の還付を受けられます。

しかし、還付はいつでも受けられるというわけではありません。売買契約書を作成してから5年が経過したものは還付の対象外となります。

そのため、間違って多い金額の印紙を貼っていたことに気づいた場合は、早めに還付の手続きを行いましょう。

5-3.貼り付けた印紙の金額が足りなかった場合

売買契約書に貼り付けた印紙の金額が足りなかった場合も、契約が無効になるということはありません。
しかし、多い金額の印紙を貼り付けた場合とは異なり、少ない金額の場合は適切な納税が行っていないという理由から収入印紙を貼り忘れた場合と同様、過怠税の対象となるので注意が必要です。

無駄な支出を増やすことになってしまうため、金額をしっかり確認してから収入印紙に貼付しましょう。

5-4.印紙に消印がない場合

売買契約書に貼付した収入印紙をはがせば再利用できてしまいます。そこで、使用済の収入印紙であることを証明するために、印鑑や署名などで消印が付けられるのです。

売買契約書に貼付された収入印紙への消印がない場合には、契約が無効になるということはありませんが、過怠税の対象となるので注意してください。

貼り忘れや貼り付けた収入印紙の金額が足りなかった場合とは異なり、過怠税は「収入印紙の金額と同額」となっており、従来の収入印紙の2倍を納める必要があります。

出典:国税庁.”No.7131 印紙税を納めなかったとき”.(参照2024-05-31)

例えば、1万円の収入印紙を貼付しなければならないにもかかわらず貼付していなかった場合は、1万円×2の2万円を納めなくてはなりません。

また、消印と割印は全くの別物です。
割印とは、2通以上の独立した文書がある場合に、文書が同一のものである、関連性があるものだということを証明するために、文書をずらして重ねて両方の文書にまたがって押す印鑑です。売買契約書に割印を押さなかった場合でも、契約そのものは成立しているので契約が無効になるわけではありません。ただし、契約相手が契約内容を改ざんしてトラブルに発展する恐れがあるので注意が必要です。

この記事のポイント まとめ

不動産売買契約書にかかる印紙代とは?

不動産売買契約書にかかる印紙代は以下2つの特徴があります。

  • 印紙とは、印紙税法に基づいて文書に貼付して納める税金
  • 不動産売買で作成される売買契約書にも収入印紙の貼付が必要

詳しくは「1. 不動産売買契約書にかかる印紙代とは?」をご覧ください。

不動産売買に必要な印紙代はいくら?

不動産売買でかかる印紙代は以下の通りです。

  • 印紙代の目安は2万円~6万円程度
  • 電子契約なら印紙代はかからない
  • 営利目的でなければ媒介契約の領収書には印紙代がかからない
  • 一定条件を満たせば軽減税率が適用される

詳しくは「2.不動産売買に必要な印紙代はいくら?」をご覧ください。

印紙代を負担するのは売主・買主のどちら?

不動産売買時の印紙代の負担者は以下のようになっています。

  • 法律で明確に定められていない
  • 平等に負担するのが一般的
  • 2部作成するので1分ずつの費用を負担する

詳しくは「3.印紙代を負担するのは売主・買主のどちら?」をご覧ください。

収入印紙が買える場所は?

収入印紙が買える場所は以下の通りです。

  • コンビニエンスストア
  • 郵便局
  • 法務局

詳しくは「4.収入印紙が買える場所は?」をご覧ください。

収入印紙に不備があるとどうなる?

収入印紙に不備があった場合は、以下のようになります。

  • 貼り忘れた場合:過怠税の対象となる
  • 間違った金額の印紙を貼り付けた場合:還付を受けられる
  • 貼り付けた印紙の金額が足りなかった場合:過怠税の対象となる
  • 印紙に消印がない場合:過怠税の対象となる

詳しくは「5.収入印紙に不備があるとどうなる?」をご覧ください。