マンションの「専有部分」と「共用部分」の区別がわかりづらいとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
敷地をしっかり区別しておかないと、マンションの設備に故障や汚れが生じたとき、誰が改修・回復費用を負担するのか把握できません。
また、認識の相違によって、住民間で思わぬトラブルに発展するおそれもあります。
そこでこの記事では、敷地の認識を間違えて困ることがないよう、「専有部分」と「共用部分」の見分け方をわかりやすくご説明します。
よくあるトラブルの事例も紹介するので、これを読めば、敷地の区分がはっきりし、トラブルなく日々の生活が送れるでしょう。
- マンションの専有部分と共有部分の違い
- 専有部分と共有部分の見分け方
- トラブルを防ぐためのポイント
マンションの売却も考えている方は『マンション売却で失敗・損しないための注意点』もあわせてごらんください。
- 「マンションを売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
- 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります ※依頼する6社の中での最高価格
- 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
Contents
1.マンションの専有部分とは「所有者だけのスペース」
マンションの敷地は大きく分けて「専有部分」と「共用部分」に分けられます。
「専有部分」とは居住者が住んでいる各部屋を指し、「共用部分」はそれ以外のスペースを指します。
両者の定義や所有権、具体例を以下の表にまとめました。
専有部分 | 共用部分 | |
---|---|---|
定義 | 区分所有権の目的たる建物の部分 |
|
所有権 | 個人 | – |
例 | 居住スペースの内装 共用菅までの排水管 住宅用火災警報器 玄関扉の錠 |
支柱 共用廊下や階段 エレベーター ベランダ |
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069
専有部分と共用部分の詳細は次章で詳しく解説します。それぞれ見ていきましょう。
1-1.専有部分は部屋内のほとんどが該当
「専有部分」とは居住者が住んでいる各部屋のことです。
区分所有法によると、マンションの専有部分の定義は「区分所有権の目的たる建物の部分」とされています。
専有部分に関しては、居住者に所有権があるため、自由にリフォームや模様替えが可能です。
例えば、壁紙の張り替えやインテリアの入れ換え、部屋のドアの交換などができます。
1-1-1.専有部分の見分け方
マンションにおける専有部分の範囲は、天井・床・壁などで囲まれた内部空間です。
そのため、建物自体に傷をつけてはいけません。
例えば、壁に穴を開けることや天井に釘を打つことは、専有部分の範囲を超えてしまうので気をつけましょう。
リフォームを行うときなど、専有部分をはみ出すおそれがある改修を行う場合には、事前にマンション管理業者への問い合わせが必要です。
1-2.共用部分は専有部分以外
マンションの「専有部分」以外のすべての建物部分を「共有部分」と言います。
専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物。
引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069
共有部分はマンションの全員が共有するため、、工事などをする場合には管理組合の総会での決議が必要です。
例えば一個人の判断で「廊下に手すりをつけたい」などの変更はできません。
許可なく改装すると管理規約違反になります。
なお、マンション内にある以下のような施設も共有部分に当たります。
- フィットネススペース
- ワークスペース
- スタディルーム
- ゲストルーム
- レストラン
- カフェ
共用部分には以下のように専有部分に隣接しているところもあるため、混同しないよう注意が必要です。
【専有部分と混同しやすい共有部分】
- 玄関ドア
- インターフォン
- ベランダ
- 窓ガラス(外部に面しているもの)
また、専有部分と同じく共有部分も完璧に見分けることは困難です。
判断に迷った際には管理組合に問い合わせましょう。
2.専用使用部分に注意しよう
共有部分を見分ける上で気をつけなければならないのが「専用使用部分」です。
専用使用部分とは、共用部分でありながら特定の区分所有者だけが使用できる部分を指します。
専用使用部分を使用できる権利を「専用使用権」と呼びます。
2-1.専用使用部分に含まれるもの
専用使用部分に含まれるものの一例は以下の通りです。
- バルコニー
- 専用庭
- 駐車場
- 駐輪場
- ポーチ
- 窓ガラス
- トランクルーム
ただし、専用使用部分は法律で明確に定義されているわけではなく、マンションによっても判断が異なります。
例えば、窓ガラスを遮光性に交換したいといった場合はマンション管理会社に判断を委ねた方が確実と言えるでしょう。
2-2.専用使用部分の修繕は所有者負担
通常、共用部分の管理はマンションの管理組合が行いますが、専用使用部分は管理を所有者自ら行う必要があり、日常の清掃などが該当します。
また、専用使用部分に修理・修繕が必要な場合も費用は所有者負担です。
例えば、過失によってバルコニーを破損してしまった場合は所有者負担となります。
ただし、突発的な事故の場合は対象外です。
例えば台風などの外部要因で窓ガラスが割れてしまった場合は管理組合などが対応するケースが一般的です。
3.専有部分と共用部分の勘違いで起こりがちなトラブル例
専有部分と共有部分の区分を見誤り、住民同士のトラブルに発展してしまうケースもあります。
ここでは、以下のような起こりがちなトラブルに関して解説します。
【トラブル事例】
- バルコニーでの植物栽培が禁止だった
- 玄関前の廊下に私物を置いていて指導を受けた
- 結露対策で窓のサッシを交換した
それぞれ確認して、マンション内でのトラブルを未然に防ぎましょう。
3-1.トラブル例1:バルコニーでの植物栽培が禁止だった
バルコニーでの植物栽培は多くの場合許可されています。
しかし、背の高い植物は一部制約がある場合や、完全に禁止している場合もあるため、お住まいのマンションのルールを確認することが重要です。
また、このほかに専有庭に花壇を作るなどの行為も事前に確認が必要でしょう。
ほとんどのマンションでは、災害時の避難経路としてバルコニーを使用しています。
そのため、専有使用権がある場合でも住民の安全のために一定の制限があります。
また、外観の崩れやバルコニーの重さなどによる破損防止の観点からも、制限が不可欠です。
バルコニーで植物栽培をしている方は、今一度見直してみるといいでしょう。
3-2.トラブル例2:玄関前の廊下に私物を置いていて指導を受けた
トラブル例の2つ目は、玄関前の廊下に私物を置いていたことによる指導です。
例え家の前であっても、玄関前の廊下は共用部分です。
そのため、私物を置くことできません。
また、消防法の観点からも禁止されています。
玄関前の通路に置いた私物が倒れてしまい、ドアが開かないといった事例も発生しています。
災害時などには避難通路にもなるドア前の通路は、安全面でも綺麗にしておくことが大切です。
3-3.トラブル例3:結露対策で窓のサッシを交換した
トラブル例の3つ目は、窓のサッシ交換です。
冬になると結露対策などの理由から窓サッシの交換を考える方もいるでしょう。
しかし、窓サッシは共用部分です。一見専有部分と勘違いしがちですが、勝手に窓の交換をすることはできません。
その他にもインターフォンやドアの鍵なども専有部分ではなく共用部分に入りますので、併せて注意が必要です。
4.共有部分において知っておきたいルール
廊下やエレベーターなど、マンションの共有部分は住民全員が利用するので、ある程度のルールが定められています。
ルールを無視して使用すると費用負担を迫られたり、訴訟に発展したりするケースもあるため、注意が必要です。
ここでは、共有部分に関して知っておきたいルールを解説します。
4-1.共用のものを壊した場合は自己負担になる
共用の物を自身が壊してしまった場合、修理費用は自己負担となります。
例えば、強風によって駐輪場の屋根が破損してしまった場合は、自然に壊れてしまったため管理費などから支払われます。
しかし、誤って廊下の手すりを破損してしまったという場合は、壊した本人の自己負担で修理を行うことが原則です。
4-2.共用部分のルールに違反したら訴訟になるケースもある
共有部分は住人みなで使う部分なので、ルールを守りお互いが配慮して生活する必要があります。
私物を放置したり、故意に汚したりしないようにしましょう。
仮にルール違反し、指導を受けたにも関わらず継続した場合や違反の程度が甚大な場合はマンション管理組合の理事会で対応を決議することもあります。
トラブルが起こらないよう、日頃からこまめに掃除したり気遣ったりといった心掛けをすることで、誰でも気持ちよく使えるようにしましょう。
マンションの売却を検討している場合は、以下の記事で売却の流れをおさえておきましょう。
- 「マンションを売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
- 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります ※依頼する6社の中での最高価格
- 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
この記事のポイントまとめ
マンションの敷地は専有部分と共有部分に分けられます。2つの違いは以下の通りです。
- 専有部分はいわゆる「居住スペース」のことを指す
- 共有部分は専有部分以外のスペース全般を指す
詳しくは「1.マンションの専有部分とは「所有者だけのスペース」をご覧ください。
- 専用使用部分は共有部分でありながら特定の区分所有者が使用できる
- 専用使用部分の定義はマンションによって異なる
- 専用使用部分を破損した場合は所有者が修理費用を負担する
詳しくは「2.専用使用部分に注意しよう」をご覧ください。
- バルコニーでの植物栽培はマンションごとのルールを確認する
- 玄関前の廊下への私物放置は避ける
- 窓のサッシなど、共用部分を勝手に変更しない
詳しくは「3. 専有部分と共用部分の勘違いで起こりがちなトラブル」をご覧ください。
- 共用部分の物を壊した場合は自己負担で修理する
- 共用部分の使用ルールを守る
- 度重なる違反や甚大な違反は訴訟に発展するケースも
詳しくは「4. 共有部分において知っておきたいルール」をご覧ください。