土地の売却は、まずは「土地の価格を知ること」、すなわち「いくらで売れそうなのか調べること」から始まります。この見積もりは一般的に「査定」と呼ばれます。不動産(土地含む)は「立地条件」や「形状」などが一つ一つ異なり、全く同じものが他に存在しないため、価格を査定によって見積もり、自分の土地の正確な値段(相場価格)を知る必要があるのです。
そこでこの記事では、土地の見積もり(査定)の方法について、
- 土地の見積もりが必要な理由
- 見積もり(査定)で聞かれる内容
- 見積もりを取る方法
- 査定価格が相場よりも高くなる理由や安くなる理由等
を解説します。土地の価格が知りたいものの見積もりを取ることを迷っている方は、この記事を足掛かりに査定を検討してくださいね。
Contents
1. 土地売却時の「見積もり」=「査定」について解説
土地売却時の見積もりとは、土地の売却予想価格を査定することを指します。
土地の査定は、不動産会社が行います。基本的には、査定する不動産会社が「この金額で売れるだろう」と考える「売却予想価格」を出します。
査定価格は、「第6章 土地価格が相場よりも高くなるケース」以降で解説しますが、土地の「個性(広さや立地などの条件)」によって異なります。個性が価格にどう影響するかについては、不動産会社の判断が異なるため、査定価格は不動産会社ごとにばらつきがあることが通常です。なお、土地の査定は無料です(契約が締結されてから仲介料金が発生します)。
土地の査定には、机上査定と訪問査定があります。
(1)机上査定
物件を実際に見ることなく、過去の周辺事例や地図等の情報を用いて行う、ざっくりとした価格の査定
(2)訪問査定
机上査定の情報に加え、不動産会社が現地に訪れて行う査定
不動産はそれぞれの「個性」の他に、土地の高低差、日照、周辺環境における騒音や臭気、高圧線の通過の有無、物件の管理の状態、不法占拠の事実の有無等、実際に見てみないと分からない部分が多いため、正確な見積もりを出すためには訪問査定が必須といえるでしょう。
2. プロの査定はここが違う!査定が必要な理由とは
この章では、土地売却で見積もり査定が必要な理由について解説します。
2-1. 実績豊富なプロは土地の最新価格がわかる
土地の査定は、直近の土地取引相場を反映させるために必要です。
土地価格は直近の相場(時価)を反映させることで、適正な価格となります。土地の時価は変動するため、見積もり査定は売却を依頼する直前に依頼します。数年前に売ろうと思って査定していた経緯があっても、再度査定依頼をするようにしてください。
土地の価格は株価ほど激しく変動しませんが、1年くらいのゆっくりしたスパンで価格が変動していきます。土地価格は国内の景気を反映しており、景気が良い時期は上昇し、景気が悪い時期は下落します。また、都市部と地方、そのエリアの人口の増減状況、盛衰状況によっても値動きは違ってきます。
土地価格は、地域によって値動きが異なるため、査定は地域の相場に精通した不動産会社に依頼することが基本です。その地域で取引実績が豊富な不動産会社は、タイムリーな相場の情報を掴んでいます。見積もり査定を依頼する場合には、実績のある不動産会社に依頼するようにしましょう。
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2-2. 適正な売り出し価格がわかる
土地の査定は、適正な売り出し価格を決めるために必要となります。
土地は、売主にとっては自分のものですので、いくらで売りに出しても構いません。しかしながら、土地には一定の相場があるため、見当はずれな価格で売り出してしまうと損をしたり、全く売却できなかったりします。
例えば、東京の銀座の一等地を、田舎の山奥の土地と同じ値段で売ったら大損です。一方で、田舎の山奥の土地を、銀座の土地と同じ値段で売ったら全く売れなくなります。このように、その土地ごとに見合った価格があり、損をせず、確実に売るには「適正な売り出し価格」で売ることが必要なのです。
ただ、「適正な売り出し価格」と言われても、一般の方はいくらが適正なのかがわかりません。そこで行われるのがプロの不動産会社による査定です。査定は基本的に周辺の土地の取引事例をもとに算出されます。テレビのお宝鑑定のように、その場でいくらという話ではなく、しっかりと周辺の取引事例を調べ、根拠を持って査定額の提示が行われます。
査定後には、不動産会社に査定額の説明を受けることも出来ます。査定額の根拠についてしっかりと説明できる不動産会社は、信頼できる企業といえます。複数の不動産会社に査定を依頼したときは、一番納得のいく説明があった価格を参考に売り出し価格を決めるようにしましょう。
2-3. 土地の個性による価格を見極められる
土地の価格は個性によって異なるため、個性を価格に反映させるためには査定が必要となります。
土地ごとに、立地や広さ、形状、接道状況等は異なります。すべての条件が同一の土地は存在しません。隣の土地であっても、場所が少しずれているだけで立地条件は異なります。
そのため、例えば近くの土地の売買成立事例であっても参考にならないことがあります。
(1)狭い土地と広い土地で坪単価が異なるケース
売却しようとしている土地が広い場合、近くの小さな土地の事例と比較すると価格を見誤ることもあります。一般的に、広い土地は総額が張るため、単価が安くなる傾向があります。一方で、狭い土地は総額が小さいため、単価が高い傾向があります。
例えば、近くの30坪の土地の事例が70万円/坪であったとしても、自分の800坪の土地も70万円/坪とは限りません。広い土地を査定する場合には、少し離れていても、類似性のある広い土地と比較して検証するような作業が必要です。
(2)建築規制など法律上の理由で土地価格が変わるケース
土地には様々な法律による建築規制もあり、場所によって規制の内容も異なってきます。建築規制が厳しいエリアは、その分、土地の利用可能性が低くなるため、土地価格が下がります。
例えば、高い建物が建てられるエリアの土地は一般的に土地価格が高いですが、低い建物しか建てられないエリアの土地は土地価格が低くなる傾向があります。
このように、売却する土地と類似性の高い取引事例を選んで査定をするのには、プロの判断を必要とします。適切な事例選びは、知識と経験がないとできない部分です。近隣の相場を知っていたとしても、自分の土地に当てはめない方が良いことも少なからずあります。土地の個性を価格に反映させるには、専門的な知識を要しますので、不動産会社への査定依頼が必要となります。
3. 見積もり査定の前に確認しておきたい「土地相場」
土地の査定には専門的な知識が必要ですが、ある程度の相場であれば専門知識がなくても把握が可能です。見積もり査定を依頼する前におおまかに相場を把握しておくと、査定結果に対して高いか安いかの目安を持てるため、判断基準のひとつにできます。ここでは、簡単にできる土地相場の調べ方について紹介します。
3-1. 公的評価額
土地価格を調べるのに参考になるのは、地価公示または都道府県地価調査といった公的評価額になります。
(1)地価公示
都市計画法に定める都市計画区域、その他の土地取引が相当程度見込まれる区域における標準地について、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、国が公示する価格です。
地価公示では地価を表示する定点ポイントを設けており、その定点ポイントの毎年1月1日時点の地価を鑑定評価して公開しています。「今年も日本で一番価格が高い土地は銀座でした!」などのニュースは地価公示の公表に合わせての報道です。都道府県地価調査も地価公示とほぼ同じものですが、毎年7月1日時点における、地価公示とは半年ずらした価格を公開しています。
地価公示は時価に近い水準の価格ですので、近くの地価公示ポイントを見ると、ある程度の土地相場が把握できます。地価公示や都道府県地価調査のポイントは、国土交通省のホームページである「標準地・基準地検索システム」で探すことが可能です。
(2)相続税路線価
自分の土地の近くに地価公示や都道府県地価調査のポイントがない、もしくは見つけにくい場合があります。そのようなときは、相続税路線価から土地価格を知る方法があります。
相続税路線価とは、土地の相続税評価額を求めるために使われる土地単価です。自分の土地の目の前の道路に、路線価と呼ばれる土地の平米単価(単位は千円)が振られています。例えば、道路に「180」と記載されていたら、「平米あたり180千円」ということです。
相続税路線価は、地価公示や都道府県地価調査の80%程度の水準で価格が決まっています。
「180」と記載されている路線価を、地価公示水準に修正するには、「180÷0.8=225」と計算します。つまり、路線価が「180」の土地であれば、「平米あたり225千円」が地価公示の価格です。
相続税路線価は、国税庁のホームページである「財産評価基準書」で探すことが可能です。適切な地価公示や都道府県地価調査のポイントが見つからない場合には、相続税路線価も参考にしてみてください。
3-2. 「公的評価額」と「時価」との違い
公的評価額である程度の相場を知ることは可能ですが、公的評価額イコール時価というわけではありません。
公的評価額は、固定資産税や相続税といった税金を徴収するために求められる土地価格であるため、あまり大きく変動しないのが特徴です。時価と連動させると、税額が大きく変動し、納税者の負担が増大することが理由です。
例えば、土地価格が上昇しているときに時価に合わせて公的評価額も急上昇させてしまうと、急に税金が高くなり納税者から不満が噴出するでしょう。一方で、土地価格が下落しているときは、時価に合わせて公的評価額も急落させてしまうと、税収が減ってしまうという問題があります。
以上の理由から、公的評価額は時価という体裁をとっていますが、時価とは異なっていることが多いです。特に、時価が急上昇しやすい都市部は公的評価額が低い傾向にあります。都市部の土地は、公的評価額より1~2割くらい高い価格が、時価相当額となる傾向があります。
公的評価額は時価の目安に過ぎないので、時価を知るには見積もり=査定を依頼するようにしましょう。
4. 土地の見積もり(査定)を依頼する方法
土地を売却することが決まったら、早速査定を依頼しましょう。適正な査定価格を得るには、エリアの相場に精通し、取引実績が豊富な不動産会社に依頼することがポイントとなります。
すでにお伝えしたとおり、土地の価格は土地の個性によって変わります。また、個性に対する見方(評価)は、不動産会社の経験値や実績によっても異なってきます。道路より下がっている土地に対して、「これくらいなら価格には影響ないだろう」と考える不動産会社もあれば、「相場より1割くらい落とさないと売れないかもしれない」と考える不動産会社もあります。
このように、土地の評価には「正解」はないため、査定価格は不動産会社によって開きが生じます。そのため、土地を売ろうとしているオーナーが適正な土地価格を知るには、複数の不動産会社に査定を依頼し、相場観を知る必要があります。
例えば、4社に査定を依頼した際、1社だけ高い(低い)価格を提示していたとしても、他の3社が似たような価格で査定を出していれば、その似たような価格こそ、適正な価格水準ということです。
しかし一方で、「複数の不動産会社に見積もり査定を依頼するのは、手間も時間もかかるし、ハードルが高いのでは?」と躊躇してしまう方もおられるのではないでしょうか。そこでおススメなのが「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」の一括査定サービスです。
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5. 土地の見積もり=査定のときに確認されること
この章では、土地の見積もり(査定)時に不動産会社から確認される可能性のあることについて説明します。
5-1. 土地の真の所有者であるかどうかの確認
土地の査定を受ける際、真の所有者であるかどうかの確認が行われることが通常です。具体的には、「権利証または登記識別情報通知書」の所有の確認になります。
「権利証」とは、所有者が登記権利者として権利を取得した際に、申請書に添付した「原因証書」または「申請書副本」に登記済の押印がなされ、登記所(法務局)から渡されている書類です。「登記識別情報通知書」とは、物権変動の登記申請を行うと、権利証の代わりに登記名義人となった申請人に対し通知される書面になります。
平成17年(2005年)3月7日より改正不動産登記法が施行されたことにより、権利証が登記識別情報通知書という書類に切り替わりました。権利証または登記識別情報通知書は、所有者しか持っていない書類ですので、有無をしっかり確認しておきましょう。
5-2. 現在および過去の利用状況
土地の査定では、現在および過去の利用状況について聞かれることがあります。
例えば物置小屋が置かれているような土地であれば、その物置小屋の所有者は誰か、売却時には容易に撤去できるものか等を聞かれます。また、過去の利用状況については、特に土壌汚染の発生の可能性がある利用がされていなかったかどうかの確認を受けます。薬品工場のような利用をされていた場合には、土壌汚染の可能性があります。
なお、通常の住宅地や事務所、農地、林地等で利用されている場合には特に問題はありません。
5-3. 地下埋設物の可能性
地下埋設物の可能性についても確認が行われます。地下埋設物とは、新築工事に支障を与える地面の下に埋もれた障害物のことを指します。
現在は更地に見える状態であっても、コンクリートガラが埋まっているような土地もあり、そのような土地は価格が低くなります。また、従前に地下階のある鉄筋コンクリート造の建物が建っていた場合、地下躯体を壊さずに残しているケースがあります。
心当たりのある方は、過去の利用履歴を知っている方に地下埋設物が残っていないかどうかを確認しておきましょう。
5-4. 境界の確定状況
土地の売却では売主に境界の明示義務がありますので、境界の確定状況についても確認を受けます。もし、境界が未確定である場合は、売却までに境界を確定する作業を行います。
境界は、査定価格には直接影響はしませんが、売却には大きく影響します。境界が確定していない土地は原則、売却できません。不動産会社が最も気にするところですので、境界については必ず質問を受けます。現地に境界標がきちんと残っていることも含めて、境界を確認しておきましょう。
5-5. 越境物の確認
越境物の確認についても確認が行われます。特に、隣地との境界にある塀が越境してしまっている場合、その塀の所有者はどちらなのか明確にしておくことが重要です。
越境についても、査定価格には特段影響しません。ただし、買主は、越境について「しているのか、されているのか」を気にする方が多いです。越境についてどのような状況になっているのか、査定の前に確認しておくようにしてください。
6. 土地価格が相場よりも高くなる5つのケース
この章では、土地価格が相場よりも高くなることが多い、以下の5つのケースについて解説します。
6-1. 駅やスーパーの近くなど、立地条件が良い
立地条件は土地の価格に最も影響を与える要因です。立地条件が良い土地ほど、価格も高くなり、また、売却もしやすくなります。
土地は、利便性が高いほど立地条件が良いと判断され、価値が高くなります。利便性の高さに影響を与えるものは、駅やスーパーなどの商業施設からの距離です。駅やスーパーから近ければ、土地価格は高くなる傾向にあります。
一方で、「公園から近い」だけの土地は、必ずしも土地価格は高くなりません。公園は夜間に不審者が現れることがあるため、公園に近いことは必ずしもメリットにならず、逆にエリアによっては防犯面から敬遠される傾向にあります。
6-2. 日照条件が良い
戸建て住宅街の土地の場合、日照条件が良い土地は相場よりも高くなります。日照条件が良い土地とは、例えば道路が南向きに接しており、道路から0.5~1.0m程度高い土地です。日照条件は、良い方から、南向き、東向き、西向き、北向きの順番となります。
ただし、広めの戸建て住宅用地の場合には、逆に道路は北向きに接していた方が価値は高くなります。広い土地だと、家を北側に寄せて、南側に庭を作ることができるため、道路が北側にある方が良い家の設計がしやすいからです。
6-3. 角地など接道状況が良い
角地のように「接道状況が良い」土地は価格が高くなります。角地は視認性に優れ、日照や通風の条件も良くなり、価格が上がります。
特に店舗用地の場合には、角地の価値が高くなります。角地の店舗は、通りから目立つだけではなく、客動線も2カ所に設けることができるため、売上アップに繋がる可能性が高いからです。そのため、角地の価値上昇は、住宅地よりも商業地の方が大きいといえます。
また、敷地の前面と背面に道路が接しているような土地を二方路地と呼びます。二方路地も、商業地であれば客動線が増えるため、高く評価されます。ただし、住宅地では、泥棒が入る侵入経路が増えてしまうため敬遠され、価値が下がることもあります。
6-4. 間口が東西に広く形状が良い
間口が東西に広く形状が良い土地は、価値が高いです。間口が広く、東西に長い長方形で、しかも角地のような土地は、パッと見た瞬間良い土地と判断できる物件であり、非常に売りやすい土地といえます。
一般的に、土地の形は正方形よりも長方形の方が使いやすくなります。また、間口は狭いよりも広い方が使いやすいです。
さらに、間口が広く、東西に長い長方形の土地は、日当たりの良い南面を多く確保することができます。そのため、南北に長いよりも、東西に長い方が良い土地と判断されます。
6-5. マンション建築が可能である
マンション用地になるような広い土地は、周辺の土地相場よりも価格が高くなります。
マンション用地は、土地の規制の一つである容積率が高く指定されている必要があります。容積率とは、延べ面積を敷地面積で割った値のことです。容積率が200%以上で指定されているような土地だと、マンション用地の候補地となります。
土地が広く容積率の条件をクリアしていても、全ての土地でマンションが建てられるわけではありません。マンションが売れる市場性があり、かつ、土地利用の規制上もマンション建築が可能な土地でなければ建てることができません。
マンション用地は希少性があり、マンションディベロッパーが常に探しています。そのため、マンション用地が売りに出されると、マンションディベロッパーがこぞって購入意向を出してくるため、争奪戦となり価格が高くなります。
希少性の高い土地ですので、売り方についても、不動産会社と良く相談した上で決めるようにしてください。
7. 土地価格が相場よりも低くなる5つのケース
この章では土地価格が相場よりも低くなる5つのケースについて解説します。
7-1. 形状が悪い
土地の形状が悪い場合は、利用効率が下がるため、土地価格は下がる原因となります。三角形の土地、旗竿状の土地等、形の悪い土地には、上手く活用できないデッドスペースが生じることが理由の一つです。
形状の悪さは、土地が狭いほど悪影響を受け、土地が広ければあまり影響を受けません。そのため、形状の悪さが価格に与える影響は、狭いほど大きくなります。
7-2. 道路より低い
道路より低い土地は、土地価格が下がります。
一般に、雨水や下水の本管は道路の下を流れているため、道路よりも低い土地は排水がしにくくなります。場合によっては機械でポンプアップした上で排水する必要があり、道路より低い土地は利用する上で余計なコストが発生します。
通常、戸建て住宅の土地は、排水を考慮し道路より0.5~1m程度高いです。普通の土地が、道路より0.5~1m程度高い土地が多いため、道路よりも低い土地はかなり売却しにくくなります。
7-3. 前面道路が狭い
前面道路が狭い土地も価格が下がる原因となります。
建築基準法では、土地は幅員が4m以上の道路に間口が2m以上接していないと建物が建てられないことになっています。前面道路が4m未満の土地は、建物を建てるために道路中心線から2m後退する必要があります。この後退のことを「セットバック」と呼びます。セットバックする部分は道路用地として提供されるため、価値がゼロとなります。
7-4. 土壌汚染・地下埋設物・埋蔵文化財がある
土壌汚染や地下埋設物、埋蔵文化財等、地下に問題がある場合は価格が大きく下がります。工場跡地など土壌汚染の可能性が高い土地は、買主から土壌汚染調査が求められることがあります。
土壌汚染対策費用は、土壌汚染調査会社が見積もることができます。コンクリートガラ等の地下埋設物がある場合には、撤去費用が発生するため、価格が下がる原因となります。埋蔵文化財がある土地は、埋蔵文化財の調査費用が発生することが土地価格の下がる原因です。
7-5. 戸建分譲用地になる
広い土地でも、戸建て分譲の開発用地となる場合には、土地価格が下がります。
広い土地で戸建て分譲をする場合、敷地の中に新たに道路を作ります。道路を作る理由としては、土地は幅員が4m以上の道路に間口が2m以上接していないと建物が建てられないためです。
広い土地の奥の方で建物を建てる場合には、奥まで道路を伸ばさないと、奥の方の土地に建物を建てることができません。そのため、戸建て分譲用地は、マンション用地とは異なり、敷地内に道路を作る必要が生じます。道路の部分は、売れない土地であるため、その分、価格が下がります。広い土地の中に、道路を作れば作るほど、売れない土地が増え、価格が下がるという理屈です。
同じ広い土地でも、マンション用地は相場よりも価格が高くなりますが、戸建て分譲用地は相場よりも低くなります。広い土地は、相場よりも高くなるケースと低くなるケースがあることを知っておきましょう。
8. 見積もりに差が出やすい土地と出にくい土地
複数の不動産会社に査定を依頼すると、見積もり査定額に大きく差がついてしまい、少し困ることがあります。この章では、見積もりに差が出やすい土地と出にくい土地についてご紹介します。
8-1. 差が出やすい土地の特徴
見積もり査定額に差が出やすい土地は、例えば以下のような土地です。
- 周辺地域で土地の売買が極端に少ない
- 建物が建てられない
周辺で土地の取引が滅多にない地域では、相場が明確に形成されません。ほとんど取引事例のない地域では、各社の査定根拠も希薄となるため、査定価格も大きく異なってくる傾向があります。
また、建物が建てられないような土地も、売却できる可能性が低くなり、土地価格に対する見方が各社でバラつく傾向があります。
建物が建てられないとは、例えば「形状が相当に悪い」、「極めて狭い」、「道路に接していない」、「急傾斜地となっている」等の使いにくい土地です。
一般的に、見積もり査定額に差が出やすい土地は、市場価値が低く売却しにくい土地が多いです。各社の見積もり査定額に大きな開きが出た場合には、不動産会社と良く相談した上で売り出し価格を決定するようにしてください。
8-2. 差が出にくい土地の特徴
差が出にくい土地は、大規模に開発された戸建分譲用地です。区画整然とした団地内の土地は、取引事例も多く、購入者も戸建て所有を目的とする方が多いため、確固たる相場が形成されます。
戸建住宅街の土地は、近くの土地が坪50万円で取引されていたとしたら、自分の土地も、ほぼ坪50万円と考えて構いません。差が出にくい土地は、売却しやすい土地が多いため、相場の範囲内で売り出し価格を設定すれば、きちんと売却できることが多いです。
逆に、買主側も容易に相場を把握しやすいため、戸建住宅街の土地を売却する場合には、高過ぎる売り出し価格の設定は避けるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、土地売却の見積もりについて解説しました。
土地は個別性が強く、価格変動もあるため、適正な価格で売却するためには見積もり査定が必要となります。また見積もり時には、所有者であることの確認や利用履歴、境界関係のことなどのヒアリングを受けますので、ある程度の回答を準備しておくとスムーズです。
土地の査定では、「不動産売却 HOME4U」を使って、各不動産会社の査定価格を比較すると、誰でも簡単に適正な土地価格がわかり、土地の売却が早く進みやすくなります。
土地は、立地条件や広さ、接道状況にとって価格が相場よりも高くなったり、安くなったりすることがあります。土地がいくらかというのは、専門的な知識や経験が無いとなかなか判別がつかないところです。売却前には必ず、不動産会社へ査定を依頼するようにしてください。
この記事が、あなたの土地の見積もりのお役に立てれば幸いです。
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