住宅購入を考えていろいろ調べていると、さまざまな用語が出てきます。
「住宅ローン」や「つなぎ融資」もその中のひとつですが、初めてだと用語の意味や内容を理解するのはなかなか難しいですよね。
住宅ローンは、住宅購入の際に金融機関から借りる資金のことですが、「つなぎ融資」とは何でしょうか?
今回は、「いつ、どんなときに使うのか」、あらかじめ知っておきたいつなぎ融資の基礎知識や、注意すべきポイントなどを紹介します。
Contents
1. つなぎ融資って何?どんなときに使うのか知っておこう
つなぎ融資は、その名の通り「つなぎ」として一時的に借りるローンです。
住宅ローンの融資が実行されるまでの短期間利用します。
「えっ!住宅ローンを借りる前に、もうひとつローンがいるの?」
「住宅ローンって、すぐ貸してもらえるわけではないの?」と
初めて住宅購入を考えていて驚かれた方もいるでしょう。
住宅ローンは、建物の引き渡しや登記が済み、その住宅を担保として借り入れます。
つまり、建物の引き渡しが完了しないと、住宅ローンは使えないのです。
もしあなたが、建築中の家を買おうとしていたり、土地だけを先に買い(あるいはすでに所有していて)家は注文住宅でオリジナルなものにしようと思ったりしている場合、住宅ローンはすぐには使えません。
そこで、住宅ローンが使えるようになるまでの間、まさに「一時的なつなぎ」として利用するのが「つなぎ融資」です 。
借入期間 | 金 利 | 特 徴 | |
---|---|---|---|
住宅ローン | 1〜35年 | 0.5〜2%程度 | 使えるのは建物が引き渡しになってから |
つなぎ融資 | 1年以内 | 2.5〜4.4%程度 | 住宅ローンが利用できるようになるまでの一時的な期間だけ借り入れる |
※ 2016年10月の金利で表記
つなぎ融資が必要なのは「住み替え」と「土地購入+住宅建築」の二つのケースです。
では、それぞれのケースを見ていきましょう。
1-1. 「住み替え」のケース
現在住んでいる家を売却し、新しい住宅に買い替えたいと思っても、住宅ローンの残債がある人がほとんどでしょう。
住宅ローンが残っている家は、残債を完済してからでないと売却できません。
売却と購入が同じ時期ならば売却代金で支払えますが、先に購入したい家があった場合(買い先行)は、売却が完了するまでの間、つなぎ融資を利用して残りのローンを返済 することになります。
また、残債がない場合でもつなぎ融資を利用して新居の購入資金の融資を受け、売却後に返済することも可能です。
1-2. 「土地購入+住宅建築」のケース
住宅ローンは建物が完成し、引き渡し時に融資されるのが一般的です。
しかし、土地を購入して家を建てる場合は、土地の購入資金や建物の着工金、中間金など、住宅ローンが融資される前に必要なお金がたくさんあります。
もし貯金や親からの援助でまかなえない場合は、つなぎ融資を利用することになります。
では、つなぎ融資とはどういう仕組みなのか見ていきましょう。
2. つなぎ融資の金利は高い!借りる期間に注意
つなぎ融資もローンなので、当然金利がかかります。
しかも、住宅ローンより高い金利で設定されていることが多く、さらに事務手数料や印紙代などの諸費用も必要になってきます。
2-1. 金利や借入期間の具体例
つなぎ融資の金利は金融機関によって異なりますが、2.5〜4.4%ほどで設定されています。
借りる期間はおおむね1年以内です。
住宅ローンは借りる年数にもよりますが0.5〜2%程度なので、つなぎ融資の金利は高めに設定 されていますね。
また、つなぎ融資の利息は日割で計算します。
たとえば、年率3.475%で500万円を6カ月(180日)借りた場合の利息は、
500万円×3.475%×180/365=約85,000円です。
当然のことながら長く借りれば借りるほど、支払額は膨らみます。
また、金利は融資された時点の利率で計算されるので、検討時期より上がる場合もあります。 金利の動きにも注意しておきましょう。
2-2. つなぎ融資にも諸費用が必要
つなぎ融資を借りる際、住宅ローンとは別に諸費用がかかります。
- 事務手数料 10万円(税別)程度
- ローン契約書に貼る印紙代 1万円(500万円借入の場合)
- 添付する印鑑証明書の費用 1通250円〜400円
なお、住宅ローンを借りるとき、返済期間中に死亡や高度障害など、もしものことがあった場合ローンを肩代わりしてくれる団体信用生命保険(団信)に加入する必要がありますが、つなぎ融資も短期間とはいえ、同じく団信に加入することが条件になっているところが多い傾向です。
保険料は金利に含まれているところもありますが、借入側の負担(金利上乗せ)で任意加入としている金融機関もあります。
ちなみに、住宅ローンの連帯保証人(連帯債務者)予定者には、つなぎ融資においても連帯保証人とするという条件がつく場合があるので、事前に連帯保証人の意思確認をしておきましょう。
短期間のローンではありますが金利は高めですので、借りる場合はできるだけ少なく、なるべく早めに返済できるよう計画することをおススメします。
3. つなぎ融資が借りられる金融機関は?
それでは、いざ、つなぎ融資を利用したいと思った場合は、どこで借りればいいのでしょうか。
一般的なのは、住宅ローンを借りる金融機関から一緒に借りる方法です。
ただ、つなぎ融資は、すべての金融機関で取り扱っているわけではありません。
もしつなぎ融資を利用したいけれど、借りたい金融機関で取り扱っていなければ、他社を検討することも考えましょう。
またフラット35の利用時のみ、つなぎ融資が使えるなど条件が設定されている場合もあります。
具体的な金融機関をあげると、みずほ銀行、三井住友銀行などの都市銀行のほか、ネット銀行でも取り扱いがあります。
また、不動産会社が窓口となって、つなぎ融資を受けられる場合もあります。
諸費用や借りるための条件は金融機関によって異なりますので、利用する場合は事前に詳細な金額などを聞いておくと安心です。
4. つなぎ融資を使わずに済ませる3つの方法
つなぎ融資を借りるということは、金利や諸費用などのお金が別にかかることになります。
借りずに済むならそのほうがベターですよね。
借りずに済ませる方法としては、以下のような3つの方法があります。
(1) つなぎ融資不要のローンを借りる
新築住宅の完成後でなく、着工前にローンが実行される商品を用意している金融機関もあります。
▶ 常陽銀行
また、金融機関によっては、「分割融資」を行っているところもあります。
この場合は、住宅ローンと同じ金利で借りられて、引き渡し前の支払いにも使えるという特徴があります。
(2) つなぎ融資以外のローンもある
新築で家を建てる際、工事の進捗に合わせて立て替え払いをする融資制度を取り扱っているところもあります。
取り扱っている金融機関や住宅会社は決まっています。こちらも手数料が必要なので、つなぎ融資と比較してどれくらい有利かは事前に調べておきたいものです。
▶ 金融機関と株式会社日本住宅保証検査機構(JIO)の提携による「JIO安心ローン」
▶ 金融機関と株式会社ERIソリューションが提携した「すまいとマネープラン」
(3) 代理受領という方法が使えることも
代理受領とは、金融機関から借り入れするのを条件に、建物の代金を支払う前に建物登記をしてもらう方法です。その後、借入金は金融機関から不動産会社や住宅会社へ直接支払われます。
どの金融機関で借りるかで、金利だけでなく融資の時期や方法も異なります。また、住宅会社によっても提携している金融機関があって有利に借りられることもあるようです。つなぎ融資以外の方法がないかは、不動産会社に相談してもいいでしょう。
5. まとめ
いかがでしたか?
つなぎ融資は住宅購入時に必ず借りるというものではなく、住み替えや家を建築する場合、一時的に利用するローンです。
利用する際は、金利や手数料もかかりますし、取り扱っている金融機関も限られています。
住宅会社や不動産会社が提携している金融機関もありますので、つなぎ融資が必要な場合は事前に確認しましょう。
とはいえ、つなぎ融資を借りないで済むなら、その分負担が少なくなります。
できるだけ出費が少なくなるよう、そのつど金融機関や不動産会社などに確認して、お得にマイホームを取得してくださいね。