GX志向型住宅とは、従来の省エネ住宅の水準を大きく上回る高性能住宅です。国の補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」の新区分として新たに設けられた住宅で、最大160万円の補助金が設定されており、高額になりがちな高性能住宅の建築費を抑えられます。

「GX志向型住宅について概要を確認しておきたい」という方に向けて、この記事では、GX志向型住宅の内容や補助金が支給される要件について解説します。

「子育てグリーン住宅支援事業」や補助金についても詳しく紹介します。ぜひ参考にしてください。

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1.GX志向型住宅とは？

GX志向型住宅とは、2024年11月29日に発表された新たな住宅取得支援策「子育てグリーン住宅支援事業」において、普及が推進されている高性能住宅のことです。予算案の段階ですが、最大160万円の補助金が支給されることが決まっています。

ここでは、GX志向型住宅の概要をみていきましょう。

1-1.ZEH水準を上回る省エネ住宅

GX志向型住宅とは、断熱性能が高く、高効率給湯器や太陽光発電などを活用し、一次エネルギー消費量ゼロを実現する次世代型の省エネ住宅のことです。

具体的な条件については本記事3章で詳しく解説しています。条件を先に把握したい方は参照してください。

ちなみに、GXとは「green transformation（グリーン トランスフォーメーション）」の略で、環境負荷を減らしながら再生可能なクリーンエネルギーを増やし、脱炭素社会を目指す取り組みのことです。

省エネ住宅の基準には「ZEH（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）」がありますが、GX志向型住宅の基準はこれを大きく上回るものとなります。

1-2.「子育てグリーン住宅支援事業」で普及を促進

GX志向型住宅は、国土交通省と環境省が連携して実施する「子育てグリーン住宅支援事業」において普及が推進されている高性能住宅です。

「子育てグリーン住宅支援事業」は2025年に新たに始まる省エネ住宅取得のための補助金制度であり、2024年11月29日に予算案が閣議決定されました。

2025年2月現在では、「子育てグリーン住宅支援事業」はまだ予算案の段階です。正式な申請期間についてはまだ発表されていません。最新情報は国土交通省の公式サイトで発表されるため、詳細が出たら期間を確認し、期限に遅れないよう早めに準備を進めたほうがよいでしょう。

1-3.すべての世帯を対象に160万円の補助金

「子育てグリーン住宅支援事業」におけるGX志向型住宅への補助は、子育て世帯に限定せず、すべての世帯が対象です。GX志向型住宅の要件に該当する新築住宅を建築・購入した際は、1戸あたり160万円の補助金を受け取れます。

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2.GX志向型住宅とZEH住宅・長期優良住宅の違い

「子育てグリーン住宅支援事業」では、GX志向型住宅のほかにZEH住宅や長期優良住宅の建築・購入にも補助金を用意しています。

ただし、GX志向型住宅は全世帯が対象ですが、ZEH住宅・長期優良住宅は、子育て世帯や夫婦のいずれかが39歳以下の若者夫婦世帯が対象です。

※ZEH住宅、長期優良住宅の補助金額には条件あり

参考：子育てグリーン住宅支援事業の概要

GX志向型住宅とほかの住宅の違いについて、詳しくみていきましょう。

2-1.ZEH住宅との違い

ZEH（ゼッチ）とは「Net Zero Energy House」の略で、エネルギー収支ゼロ以下を目指す基準のことです。

ZEH住宅では、家庭で使用するエネルギーと太陽光発電などでつくるエネルギーをバランスし、1年間で消費するエネルギー量をおおむねゼロ以下にすることを目指します。GX志向型住宅と比べると、省エネ性能の基準は下がります。

補助金の対象になるのは子育て世帯や若者夫婦世帯で、補助金額は新築の場合で40〜60万円です。対象範囲が狭く、160万円が支給されるGX志向型住宅と比較すると補助金額も低くなります。

2-2.長期優良住宅との違い

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅のことです。耐震性・省エネルギー性・居住環境などの要件が定められ、該当した住宅が認定されます。長期優良住宅にすることで、長く快適な生活が期待できるでしょう。

長期優良住宅の補助金は最大100万円で、補助金も認定の基準もGX志向型住宅より低く設定されています。

3.GX志向型住宅の要件

GX志向型住宅として補助金を受けるためには、次の要件をクリアしなければなりません。

ここでは、それぞれの要件について解説します。

3-1.断熱等性能等級6以上

断熱性能等級6以上とは、国土交通省が定める新築住宅の断熱性能の指標において、等級6またはそれ以上の性能が必要です。2022年10月に新設された等級で、最高等級は7になります。

断熱等性能等級とは

断熱等級は正式には断熱等性能等級といい、国土交通省が定めた「住宅の品質確保の促進等に関する法律（品確法）」に基づく住宅の省エネルギー性能を表す等級のことです。

住宅の省エネルギー性能を評価する省エネ基準は、2025年4月以降、すべての新築住宅において、断熱等級4以上が義務化される予定です。さらに、2030年には省エネ基準の水準が引き上げられ、断熱等級5が最低等級になることが予定されています。

3-2.再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率35%以上

GX志向型住宅では、省エネ基準で定められた一次エネルギー消費量から、さらに35%以上削減した状態が求められます。

「一次エネルギー消費量」とは、住宅で利用されるエネルギーを熱量に換算した数値です。冷暖房だけでなく、給湯や照明、換気などのエネルギーも含めて合計したもので、住宅の省エネルギー性能を評価する指標となります。

「再生可能エネルギー」とは、太陽光や風力、地熱など自然界に常に存在し、枯渇しないエネルギーのことです。住宅に置き換えた場合、太陽光発電や蓄電池で貯めたエネルギーを指します。一次エネルギー消費量の削減率35%以上は、この再生可能エネルギーを除きます。

そのため、GX志向型住宅は、太陽光発電などで貯めたエネルギーを含まず、住宅で消費されるエネルギーを35%以上削減できるようにしなければなりません。

3-3.再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率100％以上

再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率100％以上とは、高効率設備を利用したり、太陽光発電などで再生可能エネルギーを創出したりして、住宅で消費するエネルギー消費をすべて賄うことです。

そのため、GX志向型住宅では、太陽光発電システム等の設置が必須となります。太陽光発電設備に求められる要件は、「一次エネルギー消費量削減率（再エネを含む） 100%以上」ですが、寒冷地等では75％と要件が緩和されています。

参考：国土交通省「住宅の省エネ化への支援強化に関する予算案を閣議決定！ 国土交通省・経済産業省・環境省が連携して取り組みます！」

これまで制度を説明してたものの、まだこれから詳細が決まっていくものも多く、複雑に感じる方も多いでしょう。
いま家を建てるならどんな補助金があてられるのか、いつ家を建てれば補助金申請に間に合うのか…調べるのはとても骨が折れます。

お困りの時は、まずHOME4U 家づくりのとびらで、補助金制度に精通した住宅のプロに無料相談をしてみることをお勧めします。無料で現状の補助金制度のご説明をするほか、GX志向型住宅を得意とするハウスメーカーの紹介も行っていますよ。

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4.GX志向型住宅のメリット・注意点

GX志向型住宅の建築では、補助金が支給されるという以外にも、光熱費を大幅に削減できる点がメリットです。また、住宅ローンの優遇措置を受けられる可能性があります。

一方で、GX志向型住宅の建築には初期費用が高額になりやすい点に注意が必要です。
ここでは、GX志向型住宅のメリットや注意点を解説します。

4-1.【メリット1】光熱費を大幅に削減できる

GX志向型住宅は、高い断熱性能と再生可能エネルギーの活用により、住宅のエネルギー消費を大幅に抑えられます。そのため、光熱費を削減できることがメリットです。建築コストはかかりますが、長期的にみれば家計の負担を軽減できるでしょう。

さらに、GX志向型住宅は、エネルギーの消費を抑えて二酸化炭素の排出量も削減できるため、環境保全にもつながることもメリットです。

4-2.【メリット2】住宅ローンの優遇措置を受けられる場合がある

GX志向型住宅は、住宅ローンの金利優遇や、減税を受けられる場合があります。最長35年の全期間固定金利の住宅ローン【フラット35】では、省エネルギー性や耐震性などの優れた住宅を取得する場合に、借入金利を一定期間引き下げる制度「【フラット35】S」を設けています。

また、税の優遇措置を受けられる住宅ローン減税の制度もあります。住宅ローンを利用して新築住宅を購入した場合、年末のローン残高の0.7％を所得税から最大13年間控除する住宅ローン減税の適用も可能です。

優遇措置を受けることで、建築にかかる負担を軽減できるでしょう。

参考：住宅金融支援機構「【フラット35】S
参考：国税庁「一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
参考：国土交通省「住宅ローン減税」

4-3.【注意点】初期費用がかかる

GX志向型住宅は最大160万円の補助金をはじめ、光熱費の削減や優遇措置など多くのメリットがありますが、性能の高い断熱材の使用や太陽光発電の導入などで、建築にかかる初期費用は高額になりやすいでしょう。補助金をあてても、予算を超えてしまう可能性はあります。

長期的に考えれば、光熱費が削減されて快適な暮らしができるものの、建築時には負担が大きいという認識は必要です。

ただし、初期費用は、依頼するハウスメーカーによっては抑えられる可能性もあります。ハウスメーカーの標準仕様によって、価格が変動するためです。依頼先を決める際は、複数の会社を比較検討することが大切です。

「予算オーバーやハウスメーカー探しが不安」という方は、注文住宅のプロに相談しながら建築先をよく見極めて、検討比較することをおすすめします。

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まとめ

GX志向型住宅は、2024年11月の閣議決定で予算案が決まった「子育てグリーン住宅支援事業」で推進されている高性能住宅です。

要件に合った新築住宅を建築することで、最大160万円の補助金を受け取れます。GX志向型住宅はただ補助金の受給で建築費用を抑えられるだけでなく、今後の生活で快適な生活と光熱費の削減というメリットも得られます。

初期費用は依頼するハウスメーカーによっても変わるため、よく比較して選ぶようにしましょう。ただし、ハウスメーカー選びは価格だけでなく、理想に合った住まいづくりができるか、希望に合うプランを提案してくれるかという観点も必要です。