不動産を売却するには数多くの書類が必要であり、どのタイミングでどの書類を提出するのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、不動産売却の各手続きに必要な書類と入手方法、提出タイミングを紹介します。
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Contents
1.不動産売却の際は書類が必要
不動産売却の流れの中ではさまざまな手続きを行いますが、それぞれの手続きに必要な書類は異なります。
そのため、どのタイミングでどのような書類が必要なのかわからず、困惑される方も多いです。
書類が必要となるタイミングは、売却活動を任せる不動産会社との「媒介契約時」、買主と契約を締結する「売買契約時」、実際に買主に権利が移る「引き渡し時」、売却した翌年に行う「確定申告時」の4つに大別できます。
次の項からは、これらの4つのタイミングの流れに沿って、必要書類とあるとよい書類を紹介します。
2.不動産会社と媒介契約を結ぶ際の必要書類
媒介契約を結ぶことで、不動産会社にWebサイトや広告を通じて売却活動を行ってもらえるようになります。
不動産会社と媒介契約を結ぶ際の必要書類は下表のとおりです。
必要書類 | 戸建て | マンション | 土地 |
---|---|---|---|
本人確認書類 | ◯ | ◯ | ◯ |
物件の間取り図・パンフレット | ◯ | ◯ | △ |
確認申請書・確認済証・検査済証 | ◯ | × | × |
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書 | △ | △ | × |
これらの必要書類について個別に紹介していきます。
2-1.本人確認書類
運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど、顔写真付きの身分証明書が本人確認書類に該当します。
顔写真付きの身分証明書を所有していない方は、以下のような証明書類を2つ以上用意しましょう。
- 健康保険証
- 印鑑証明書
- 年金手帳
- 後期高齢者医療被保険者証
- 介護保険被保険者証
本人確認書類は、物件の所有者などが記載されている登記事項証明書(登記簿謄本)と照らし合わせ、所有者本人であることを証明するために必要です。
2-2.物件の間取り図・パンフレット
売却する物件の間取り図や測量図、購入した際の不動産のパンフレットなど、物件の詳細がわかる書類を用意します。
2-3.確認申請書、確認済証、検査済証
確認申請書とは、建物を建築する際に、建築基準法の規定に適合した物件であるかの審査を受けるため作成する書類です。
一方の確認済書は、審査の結果、法規定に適合していることが認められた場合に交付される書類であり、検査済証は竣工時に指定確認検査機関の完了検査に通ったことを証明する書類です。
これらの書類は、建物を購入したときに、販売会社から受け取ります。
不動産会社との媒介契約時に使用したあと、最終的には引き渡し時に買主に提出する書類でもあるため、あらかじめ用意しておきましょう。
なお、土地だけの売却やマンションの売却の場合は不要です。
2-4.耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書
建物に対する耐震診断の結果やアスベスト使用の有無については、重要事項として買主に説明することが義務付けられているため、耐震診断報告書とアスベスト使用調査報告書を用意する必要があります。
耐震診断報告書とは、1981年(昭和56年)以前に旧耐震基準の下で建築された建物の耐震性能を現行の耐震基準で測った際の診断書です。
1981年(昭和56年)以降に建築された建物であれば現行の耐震基準に基づいているため、耐震診断報告書は不要です。それ以前の建物を売却する場合には用意しなければいけません。
一方のアスベスト使用調査報告書とは、建物にアスベスト(石綿)が含まれる建材が使用されているかを調査して作られる書類のことです。
1975年(昭和50年)より前に建築された物件であれば、アスベスト使用調査報告書を用意しておくとよいでしょう。
下表は、不動産会社と媒介契約を結ぶ際の必要書類をまとめたチェックリストです。準備ができた書類をチェックしておきましょう。
チェック | 書類の名称 | 詳細 |
---|---|---|
本人確認書類 | 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードのうちいずれか1つ | |
物件の間取り図・パンフレット | 間取り図・測量図・パンフレット | |
確認申請書、確認済証、検査済証 | 確認申請書・確認済書・検査済書 | |
耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書 | 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書 |
3.売買契約の際の必要書類
買主が見つかったあとは、売買契約を締結します。この際に必要な書類は下表のとおりです。
必要書類 | 戸建て | マンション | 土地 |
---|---|---|---|
付帯設備表もしくは告知書 | ◯ | ◯ | ◯ |
実印 | ◯ | ◯ | ◯ |
これらの書類について個別に紹介します。
3-1.付帯設備表もしくは告知書
マンションや戸建て住宅の売却では、売主が付帯設備表および告知書を作成します。
付帯設備表とは、「水まわり」や「空調設備」、「照明・収納・その他」といった項目に基づき、各設備の有無や故障状況などを記載した書類です。
付帯設備の有無や故障などについて、契約時に説明していなかった事実が後日発覚するとトラブルに発展しかねないため、売買契約時に付帯設備表を用いて買主に説明する必要があるのです。
告知書は物件状況確認書とも呼ばれ、売却する不動産が通常有すべき品質や性能を欠く瑕疵がある場合に、その事実を買主に伝えるための書類です。
これらの書類は不動産会社が用意してくれますが、記入は売主が行います。
3-2.実印
売買契約書には署名捺印する必要があるため、実印を用意します。
契約自体は認印でも成立しますが、契約の重要性や、印鑑証明書との照合によって所有者本人であることを証明するためにも、実印が用いられることが一般的です。
下表は、買主と売買契約書を結ぶ際の必要書類をまとめたチェックリストです。
準備ができた書類をチェックしておきましょう。
チェック | 書類の名称 |
---|---|
付帯設備表(不動産会社が用意) | |
告知書(不動産会社が用意) | |
実印 |
4.引き渡しの際の必要書類
売買契約を締結したあとは、引き渡しを行います。引き渡し時に必要な書類は下表のとおりです。
必要書類 | 戸建て | マンション | 土地 |
---|---|---|---|
登記済証(権利証)もしくは登記識別情報 | ◯ | ◯ | ◯ |
固定資産税、都市計画税納税通知書の写し | ◯ | ◯ | ◯ |
固定資産評価証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
住民票 | ◯ | ◯ | ◯ |
実印・印鑑証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
確定測量図・境界確認書 | ◯ | × | ◯ |
抵当権等抹消書類 | ◯ | ◯ | ◯ |
引き渡し時に用意する書類は数が多いため、漏れがないようしっかり確認しておきましょう。
4-1.登記済証(権利証)もしくは登記識別情報
登記済証(権利証)もしくは登記識別情報とは、不動産を購入した際に法務局から発行される書類で、所有権を証明するものです。
2005年(平成17年)3月7日以前に登記された不動産に関しては登記済証(権利証)、それ以降は登記識別情報が発行されています。
引き渡しでは、売主から買主に所有権が移転することになるため、いずれか該当するほうの書類を用意しておきましょう。
4-2.固定資産税、都市計画税納税通知書の写し
固定資産税、都市計画税納税通知書の写しは、固定資産税と都市計画税の清算を行うために必要となる書類です。
固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に課せられる税金です。
売却によって、年の途中で所有権が売主から買主に移る場合、売主は当該期間の税額を日割りし、移転日以降の分を買主に請求することができます。
固定資産税、都市計画税納税通知書の写しは、毎年4月~5月頃に不動産所有者に送付されます。
4-3.固定資産評価証明書
固定資産評価証明書は、所有権移転登記のための登録免許税を計算する際に用いられる書類です。
対象の不動産の所在地がある市役所(東京23区の場合は都税事務所)で取得できます。
4-4.住民票
登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている住所と現住所が異なる場合は、住民票も必要です。
住民票は所有権移転登記に必要な書類であり、登記上の住所と異なる場合は、住所変更登記をしてから売却する必要があります。
4-5.実印・印鑑証明書
実印と印鑑証明書は、所有権移転登記を行う際に必要です。印鑑証明書は、発行後3か月以内のものと定められています。
4-6.確定測量図・境界確認書
確定測量図・境界確認書とは、隣地との境界について明記された書類です。
境界が不明確なまま売却すると、売却した土地と隣地の境界について、隣地所有者とトラブルになる恐れがあります。
このようなトラブルを防ぐために、隣地所有者の立ち会いの下で測量を行って境界を確定し、書面に残します。
なお、マンションの売却の場合は必要ありません。
4-7.抵当権等抹消書類
不動産を担保としてローンを借りている場合、残債を完済して抵当権抹消登記をしなければなりません。
抵当権抹消登記を行わないと、買主が新たな抵当権を設定することは原則としてできないため、引き渡し時に抵当権の抹消登記を行います。
抵当権設定抹消登記に必要な書類には「登記申請書」「登記識別情報または登記済証」「登記原因証明情報(弁済証書)」「抵当権者の委任状」がありますが、ローンを貸し付けている金融機関が用意してくれます。
抵当権等抹消登記については、以下の記事で詳しく解説しています。
5.不動産売却後の確定申告での必要書類
不動産の売却によって譲渡所得(売却益)が発生した場合は、譲渡所得税の課税対象となるため、確定申告が必要です。
譲渡所得とは、売却代金そのものではなく、売却代金から不動産を取得するためにかかった費用(取得費)や売却にかかった費用(譲渡費用)などを差し引いた金額を指します。
そのため、場合によっては譲渡所得税がかからないこともあり、その場合は確定申告は不要です。
確定申告に必要な書類は下表のとおりです。
必要書類 | 入手場所・タイミング |
---|---|
確定申告書第一表・第二表 | 国税庁HP |
確定申告書第三表(分離課税用) | 国税庁HP |
譲渡所得の内訳書 | 国税庁HP |
不動産購入時の売買契約書のコピー | 不動産の購入時 |
不動産の取得にかかった費用の領収書のコピー | 不動産の購入時 |
不動産売却時の売買契約書のコピー | 不動産売却時 |
不動産の譲渡費用がわかる領収書のコピー | 不動産売却時 |
登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 |
本人確認書類 | 自身で用意 |
源泉徴収票(給与取得者の場合) | 勤務先 |
確定申告に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
6.不動産売却時に特例を利用する際の必要書類
不動産売却によって譲渡所得が発生したとしても、特例を利用することで非課税となるケースもあります。
ここでは、マイホーム(居住用財産)の売却に際して特例を利用する場合の必要書類を紹介します。
特例の種類 | 必要書類 |
---|---|
マイホームを売ったときの3,000万円特例 | ・確定申告書 ・譲渡所得の内訳書 ・戸籍の附票の写し(住民票の住所と売却したマイホームの所在地が異なる場合) ・マイホーム取得時と譲渡時の売買契約書のコピー ・マイホーム取得時と譲渡時に支払った諸費用の領収書 ・本人確認書類 ・譲渡した建物・土地の全部事項証明書 |
マイホームを売ったときの軽減税率の特例 | ・譲渡所得の内訳書 ・戸籍の附票の写し(住民票の住所と売却したマイホームの所在地が異なる場合) ・本人確認書類 ・譲渡した建物・土地の登記事項証明書(登記簿謄本) |
特定のマイホームを買い換えたときの特例 | ・譲渡所得の内訳書 ・戸籍の附票の写し(住民票の住所と売却したマイホームの所在地が異なる場合) ・マイホーム取得時と譲渡時の売買契約書のコピー ・買い替えたマイホームと売却したマイホームの登記事項証明書(登記簿謄本) ・建築確認済証の写し |
特例ごとに必要書類が異なるため、一つずつ確認していきましょう。
6-1.マイホームを売ったときの3,000万円特例
マイホームを売却した場合、譲渡所得を最大3,000万円まで控除することができます。
控除を受けるためには、売却した翌年の確定申告で申請する必要があります。
この際に必要となる書類は、確定申告書や譲渡所得の内訳書、マイホームの取得時と譲渡時の売買契約書や諸費用を支払った領収書です。
また、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類や、売却した不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)も必要となります。
「マイホームを売ったときの3,000万円特例」の適用を受けるための必要書類と手続き方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
6-2.マイホームを売ったときの軽減税率の特例
「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」とは、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分の税率が軽減される制度です。
「10年超所有軽減税率の特例」とも呼ばれ、10年以上所有していたマイホームを売却した際に適用されます。具体的には、以下のように譲渡所得税率が異なります。
譲渡所得 | 譲渡所得税率(所得税・住民税・復興特別所得税) |
---|---|
6,000万円以下 | 14.21% |
6,000万円超 | 20.315% |
出典:「“No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例”. 国税庁. (参照2024-09-27)」をもとに、お家のいろはが独自に作成
「マイホームを売ったときの3,000万円特例」との併用もできるため、大きな節税効果を見込めるでしょう。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例では、譲渡所得の内訳書と戸籍の附票の写し(住民票の住所と売却したマイホームの所在地が異なる場合)、本人確認書類、譲渡した建物・土地の全部事項証明書(登記簿謄本)が必要です。
6-3.特定のマイホームを買い換えたときの特例
特定のマイホームを売却し、新たなマイホームに買い換えた場合は、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。
例えば、2,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却した場合、通常は譲渡所得である3,000万円に対して税金がかかります。
しかし、この特例では、売却に際して7,000万円のマイホームに買い替えたのち、さらに新しいマイホームを8,000万円で売却できたとすると、売却益の1,000万円と繰延益3,000万円の計4,000万円が譲渡所得と見なされ、合わせて課税されます。
本特例は、「特定の居住用財産の買換えの特例」とも呼ばれ、必要書類は売却したマイホームと購入したマイホームの価格がわかる売買契約書などです。
また、売却したマイホームの所有期間を証明できる登記事項証明書(登記簿謄本)なども用意しておきましょう。
7.必要書類は計画的に揃えることが大切!
不動産の売却に関してはさまざまな書類が必要であり、すべてを用意するには時間と手間がかかるため、計画的に進めることが大切です。
市役所や法務局などで取得する書類もあれば、自宅に保管してある書類もあります。
書類によっては、売却したい不動産を購入した際に受け取ったものの、保管場所を忘れてしまった書類もあるかもしれません。
売却手続きを円滑に進めるためにも、本記事を参考にしながら、慌てることなく必要書類を用意しましょう。
まとめ
不動産売却の必要書類は、媒介契約時・売買契約時・引き渡し時・確定申告時によって異なります。
書類の準備ができていないとスムーズに売却することができなくなるため、計画的に収集を進めましょう。
書類の準備に不安があるという方は、不動産会社に相談してみることをおすすめします。
媒介契約を結ぶ不動産会社がまだ決まっていないという方は、まずは所有する不動産の査定を複数の不動産会社に査定依頼するところから始めましょう。
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