間取りを検討する際に、「PS」や「MB」といった見慣れない文字を目にした方もいらっしゃるでしょう。
- PS…パイプスペース
- MB…メーターボックス
こういった間取り図ならではのアルファベットは、理想の家づくりを進めるために知っておきたい重要なポイントとなります。
この記事では、間取りに書かれた「PS」や「MB」などの用語に関して、以下の内容を解説します。
- 「PS」の意味とは
- 間取りの検討において知っておきたい用語
- 理想の間取りを実現するコツ
ぜひ最後までご覧いただき、理想の家づくりの参考にしてください。
間取り図の記号について全体像を把握したい方は「間取り図の記号」もご覧ください。
Contents
1.そもそも間取り上の「PS」とは?
「PS」とは、「パイプスペース」を意味する略語です。
以下より詳しく見てみましょう。
1-1.「PS」はパイプスペースの略語
間取りにおける「PS(パイプスペース)」とは、生活に欠かせない水道や、ガスなどの配管が集約されている場所を指します。
パイプスペースは住空間に必ず設置されるものですが、間取りを検討する際に意外と見落としがちなポイントとされています。
しかし、パイプスペースの位置は生活音に影響するため、事前に確認をしておかないと後々後悔してしまう可能性があるでしょう。
1-2.給水と排水の2か所に設置される
PSは、給水と排水の2か所に設置されるのが一般的です。
水の供給が必要とされる浴室やキッチン、洗濯機周りに配置される給排水管と、トイレの汚水を流すための排水管に分けられます。
ただし、実際のPSの設置個所はトイレや浴室の数や位置関係に左右されるため、間取りによっては1か所にまとまっていたり、2か所以上になったりするケースもあります。
1-3.「MBPS」との違い
PSと一緒に確認しておきたい用語の1つとして、「MBPS」があります。
MBPSとは、メーターボックスを意味する「MB」とPSがセットになった用語です。
ガスや水道、電気のメーターや各パイプが集約されているスペースで、PSの仲間の1つだと認識しておけば問題ないでしょう。
2.「PS」の位置に関する3つの注意点
間取りを検討するうえで、PSの位置に関して知っておきたい3つの注意点は次のとおりです。
- 部屋のレイアウトに影響が出る
- 生活音が気になる可能性がある
- 設置後位置の移動は不可能
それぞれのポイントを詳しく解説します。
2-1.部屋のレイアウトに影響が出る
PSは生活に欠かせない設備でありながら、自由に場所を指定できないのが問題点の1つです。
キッチンやトイレ、浴室周りに配置する必要があり、位置関係によって場所や数が決められてしまいます。
PSの配置に関して、ある程度の希望を通すことはできますが、状況によっては理想のレイアウトを断念しなければならない可能性があるでしょう。
例えば、収納スペースに余裕をもたせたいと考えていても、PSを削ることはできません。
PSに配慮して収納スペースを確保する必要があり、場合によっては居室の面積を小さくする対応が求められることもあります。
2-2.生活音が気になる可能性がある
PSを設置する場所によっては、生活音が気になってしまい、快適に過ごせなくなる可能性もあります。
間取りを検討する段階では「問題ない」と思っていても、実際に生活を始めてから生活音に悩まされてしまうケースもあるでしょう。
特に、PSが寝室近くにある場合は、睡眠が阻害されてしまうおそれがあります。
PSは特性上2階の音が聞こえやすくなっているため、2階建て住宅を検討している場合は寝室を2階にする、平屋の場合PSと寝室を話すなど、工夫してみましょう。
2-3.設置後位置の移動は不可能
PSに関して押さえておきたいポイントとして、設置後の位置変更ができない点も挙げられます。
PSによる生活音の影響は、実際に暮らしてみないとわからない部分もあるかもしれません。
しかし、PSは一度位置が決まってしまうと、別の場所に移動させることは不可能です。
間取りを検討する際にある程度PSの位置を変更できる場合は、設計者と相談しながら検討しましょう。
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3.「PS」のある間取り例3選
PSの基礎知識や注意点を把握したところで、ここではPSのある間取り例を見てみましょう。
- まとめられたPSの間取り
- 生活音に配慮したPSの間取り
- 生活音と配置にこだわったPSの間取り
間取り図とともにポイントも解説するので、実際に間取りを考える際の参考にしてください。
3-1.まとめられたPSの間取り
場所によっては音が気になってしまうPSを、収納スペースの周囲にまとめる形で配置している間取りです。
キッチン周りやトイレにはPSがなく、浴室スペース周辺に配管を集約しています。
浴室スペースから離れた居室を寝室として利用すれば、快適な睡眠を確保できる可能性が高まります。
生活音を意識した快適な間取りを実現するためには、PSの位置や配置を忘れずに検討してみましょう。
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3-2.生活音に配慮されたPSの間取り
※CL…クローゼット
※SB…シューズボックス
※WIC…ウォークインクローゼット
キッチン周りと浴室、トイレにそれぞれPSがある間取りです。
PSの周辺はウォークインクローゼットやパウダールームで、寝室からは離れているため、生活音が気になる心配はないでしょう。
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3-3.生活音と配置にこだわったPSの間取り
こちらの間取りでも、キッチンとトイレ、浴室の位置が近いためPSが1か所に集約されています。
PSは収納などその他の目的で活用できないため、1か所にまとめることで居住空間を確保しているのがポイントです。
PSの位置も玄関やトイレ近くの端であるため、生活音を気にすることなく快適に過ごせるでしょう。
寝室として利用される可能性が高い洋室2つから離れた位置にトイレやPSが配置されており、夜中に家族がトイレを利用する音も気になりません。
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4.適切な「PS」の広さの目安
快適かつ理想の間取りを実現するためには、適切なPSの広さを知っておくことが重要です。
ここでは、「施工時」と「保守・点検時」の2つの観点から、PSの広さの目安を解説します。
4-1.施工時
PSは、配管が設置できるだけのスペースがあれば十分だと思われがちです。
しかし、実際には配管工事の作業者による「さび止め処理」や「塗装」などの作業が必要となるため、作業に困らないだけのスペースを確保することが大切です。
配管作業ができる空間を考慮していないと、必要な作業ができず結果的にパイプの劣化が早まってしまう可能性もあります。
施工の作業内容は、収納する配管の数や接合方法によっても異なるため、事前にハウスメーカー・工務店の営業担当者に確認しておくとよいでしょう。
4-2.保守・点検時
施工時だけではなく、PSの広さは保守・点検時にも影響を与えます。
保守・点検の際にも、作業者がPSに入って状況確認をする必要があるからです。
具体的には、大人1人が中に入れて、さらに配管の接合部や裏側まで確認できるスペースを確保するようにしましょう。
メーターボックスを併設しているMBPSの場合は、各種検針メーターを安全に保管するためにもスペースに余裕をもつことが大切です。
5.「PS」を屋外に設置するメリット・デメリット
間取りを検討する際、どうしてもPSの位置を決めかねてしまう場合には、屋外への設置を検討するのも1つの手です。
条件によっては、PSを野外に設置ができ、家の中で騒音を気にすることなく過ごせる間取りにできる場合があります。
ただし、PSの屋外設置はメリット・デメリットがあるので事前に把握したうえで検討しましょう。
メリット |
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---|---|
デメリット |
|
以下より1つずつ解説します。
5-1.【メリット1】室内のスペースを確保できる
PSを屋外に移動することで、室内のスペースをPS分広く確保できるのが1つ目のメリットです。
日々の生活の中ではPSを意識して過ごすことは少ないため、PSが屋外にあることで不便に感じることはあまりないでしょう。
居住空間が限られている間取りにおいては、PSを屋外に移動することで居住空間が広がり、開放感を得やすくなります。
5-2.【メリット2】排水音が気になりにくい
PSの周辺は、どうしても排水音などの生活音が気になってしまう恐れがあります。
PSを屋外にすることで、生活音に悩まされることなく快適な生活ができるようになるのがメリットです。
排水音は意外と気にならないと思っていても、毎日の積み重ねでストレスが溜まってしまうおそれがあります。思い切ってPSを屋外に設置すれば、日々の生活音を気にしなくて済むでしょう。
5-3.【デメリット1】劣化や破損の可能性が高まる
PSを屋外に設置した場合は、劣化や破損のリスクが高まってしまう可能性があります。
屋外に置かれるPSは、直接日光や雨風、温度変化にさらされることになるため、どうしても劣化が進みやすく破損などの状況に陥りやすいです。
配管を収納する専用のボックスが設置される場合はまだよいですが、配管が剥き出しになってしまっている場合、外からのダメージを受けやすく状態が悪化しやすくなるでしょう。
また、剥き出しの配管は見た目にも美しいとはいえないため、こだわりの外観を実現したいと考えている方にはあまりおすすめできません。
PSを屋外に設置する場合は、専用収納ボックスの配置を検討し、さらに定期的なメンテナンスを怠らないようにしましょう。
5-4.【デメリット2】冬には凍結の危険性がある
屋外に設置されたPSは、寒い冬の時期の凍結に注意する必要があります。
PSは日陰で比較的涼しい建物の裏や側面に配置されることが多く、冬は配管が凍結してしまい、水の供給が滞ってしまうおそれがあります。
寒冷地帯でなくても、条件によっては配管の凍結が起きる可能性があるため、気を抜かないようにしましょう。
一度配管が凍結してしまうと、パイプにダメージがかかるだけではなく、日々の生活に支障が出てしまいます。
寒い冬を自宅で安心して過ごすためには、周辺の建物の状況やPS設置場所の湿度や温度を忘れずに確認してみてください。
6.「PS」以外の間取り表記の意味一覧
間取りの表記には「PS」以外にも略されて表記されているものが多く、「どういう意味?」と感じることがあるかもしれません。
例えば、以下のようなものがあります。
表記 | 意味 |
---|---|
DR | 洗面脱衣室 |
PR | 洗面室 |
WC | トイレ |
UB | ユニットバス |
W | 洗濯機を置くスペース |
R | 冷蔵庫を置くスペース |
BR(MBR) | ベッドルーム(メインベッドルーム) |
CL | クローゼット |
WIC | ウォークインクローゼット |
ENT | 玄関 |
HALL | 廊下 |
DEN | 書斎や趣味の部屋 |
N | 納戸 |
VOID | 吹き抜けスペース |
SR | サンルーム |
SB | シューズボックス |
SR | サービスルーム(多目的スペース) |
PS | パイプスペース(配管やガス管などを収納) |
SK | スロップシンク(蛇口と深いシンクのセット) |
MB | メーターボックス |
理想に近い間取り図を眺める際に参考にしつつ、間取り検討がスムーズに進むようチェックしておきましょう。
まとめ
間取りに記載された「PS」とは、「パイプスペース」を意味する用語です。
給水管や排水管、ガス管などが集約されているスペースを意味し、一般的な住宅では必要となります。
PSは普段生活をする際にはあまり意識しないスペースですが、場所によってはパイプを流れる音が気になってしまうケースもあるため、配置場所には気を配ることが大切です。
ご紹介した間取りにあるとおり、PSは水回りを集約して1か所のみ設置されている場合もあれば、キッチン・トイレ・浴室のそれぞれに合計3か所設置される場合もあります。
生活音に悩まされない快適な自宅を実現するために、PSの場所や寝室との距離を確認してみてください。
間取りを検討する際にPSの位置を変更できる場合は、音の気にならない場所にしたり、屋外に設置したりするのも手です。
ただし、屋外にPSを設置する場合は、劣化や破損、凍結のリスクが高まる点は注意しましょう。
時には無料サポートサービスも活用しながら、生活パターンに合わせたPSの配置を検討してみてください。
間取りに関する基礎知識