マンションの寿命は平均で築何年?耐用年数との違いや長持ちの要因

マンションは築何年まで住めるのでしょうか?
マンションの寿命に決まりはあるのでしょうか?

本記事では、マンションの寿命と、寿命が長いマンションの特徴について解説しています。
築何年までの物件を購入するべきか悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。

マンションの住み替えを考えている方は、売却についてまとめた『マンション売却で失敗・大損しないための注意点』も併せてご覧ください。

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1.マンションの寿命は?築何年まで住める?

マンションの寿命には「物理的な寿命」と「会計上の資産の寿命」という2種類の考え方があります。
物理的な寿命は、マンションを造る材料や工法、メンテナンス状況などで変わるため断定するのは難しいですが、100年以上住み続けられるマンションもあります。

会計上の資産の寿命は、財務省令により、マンションの構造ごとに明確な数字が定められています。

2通りの寿命について、以下で詳しく解説していきます。

1-1.物理的な寿命は平均68年

物理的な寿命とは、建物の躯体(基礎や壁、柱など、建物を構造的に支える骨組み部分のこと)や建築材料など、モノの劣化によって物理的に使用できなくなるまでの年数のことです。
前提として、材料以外にも工法や自然環境でも寿命は異なるため、どのマンションでも共通した寿命を算出することはできません。

ただ国土交通省の資料によれば、過去に滅失した建物の寿命から、鉄筋コンクリート造住宅の平均寿命が68年と言われています。
マンションの多くは鉄筋コンクリート造のため、マンションの寿命が68年と考えても大きな違いはないでしょう。

上述の平均寿命はあくまで統計的な数字であり、同様に鉄筋コンクリート造(あるいは鉄骨鉄筋コンクリート造)の場合、通常の維持補修を行った場合は120年外装仕上げを行った場合には150年まで延命可能という研究結果もあります。

参考 『国土交通省土地.“期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について”.2013-09-13(参照2024-08-02)』

なお、120年、150年といった年数は、鉄筋を覆うコンクリートの中性化が終わるまでの期間を指します。
本来強アルカリ性であるコンクリートが内部まで中性化すると、鉄筋は錆びて膨張し、内部からコンクリートを押し出すような爆裂という現象を起こします。

1-2.会計上の資産の寿命は47年

建物には、その構造別に法定耐用年数が決められています。
法定耐用年数は、建物(減価償却資産)の会計上の資産価値の寿命を表します。

例えば、鉄筋コンクリート(RC)造のマンションの法定耐用年数は47年です。
47年をかけて、会計上の資産価値がゼロになるということです。

企業等が減価償却を行う場合、建物の購入費用をそのまま経費として計上せずに、法定耐用年数に則って、その年に減少した価値の分だけ毎年経費として計上します。

法定耐用年数はあくまで会計を行う上での指標であり、法定耐用年数が過ぎても問題なく住み続けられます

建物の法定耐用年数

構造 耐用年数
軽量鉄骨造 19年
木造・合成樹脂造 22年
重量鉄骨造 34年
レンガ造・石造・ブロック造 38年
鉄骨鉄筋コンクリート造鉄筋コンクリート造 47年

2.寿命を迎えたマンションはどうなる?

寿命を迎えたマンションの取り扱いとして考えられるのは、以下3つのパターンです。

それぞれについて詳しく解説します。

2-1.建て替える

寿命を迎えたマンションは、区分所有者の負担によって建て替えることができます。
区分所有者とは、マンションの部屋を所有している方を指します。

建て替えを実行するためには、区分所有者および議決権の各5分の4以上が必要となるため、必要な数の賛同を得られず実行されない可能性もあります
建て替えにかかる費用は大きく、仮住まいの必要も考えると、建て替えに反対する方も多いのです。

無事に建て替えが進めば、新しいマンションに住めるだけでなく、新たに増えた部屋を売却し建て替え費用の負担を軽減できる場合があります。

2-2.売却する

マンション全体をデベロッパーなどに売却する場合もあります。
耐震性の不足などで用除去認定となったマンションは、区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成をもって、売却できます。

この際、売却金額は分配金として区分所有者が取得できます。

利用価値が高い地域であれば、高値で買い取ってもらえる可能性があります。

2-3.住み続ける

今日のマンションであれば、1章で解説した鉄筋コンクリート造の平均寿命68年を超えても、ただちに倒壊する可能性は少ないでしょう。
そのため、不具合があっても、そのまま住み続けるという選択をされる方も多くいます。

築年数が古いマンションの場合、所有者の大半が高齢者であることも多く、住み替え先を探すことに消極的な傾向があります。
心身への負担の他、取り壊しや住み替え費用の工面も比較的難しいためです。

国土交通省は、老朽化したマンションに対して適切な修繕などの対応が行われていないケースについて懸念しています。
修繕や建て替えを促す対策を実施していますが、現在に至っても、老朽化したマンションに住み続けている方は見られます。

マンションの寿命を長くする主な要因は、耐震基準、コンクリートの強さ・厚さ、立地、管理組合の良し悪しの4つです。
ここでは、各要因について詳しく解説します。

  • 新耐震基準を満たしている
  • コンクリートが強くて厚い
  • 劣化しにくい立地である
  • 管理組合が良い

寿命の長いマンションを見つけるために、参考にしてください。

3-1.新耐震基準を満たしている

耐震基準とは、地震発生時に建物が受ける影響を最小限にするために、建築基準法で定められている基準のことです。

1981年(昭和56年)6月1日以降に建築されたマンションには「新耐震基準」、それ以前の建築では「旧耐震基準」が適用されています。

新耐震基準は、震度6~7レベルの大規模地震が発生しても倒壊しない構造で建築されています。
旧耐震基準は、震度5レベルの地震が発生しても倒壊しない構造となっています。

倒壊まで至らずとも、地震によるダメージは蓄積しています。
新耐震基準の建物の方が、弱い地震で受けるダメージも小さいため、寿命は長くなります。

3-2.コンクリートが強くて厚い

鉄筋などの躯体を構成する要素だけでなく、鉄筋を守るコンクリートの品質もマンションの寿命を左右します。
コンクリートの品質を決めるのは、主に強度・厚さ・水分の割合です。

強度とは、主に中性化のしにくさを指します。コンクリートは空気中の炭酸ガスの影響で少しずつ中性化し、内部まで中性化が進行すると鉄筋の腐食が始まります。

厚さについては「かぶり厚さ」のことです。
かぶり厚さとは、鉄筋を覆っているコンクリートの厚みのことを指しますが、このかぶり厚さが厚いほど、コンクリートの中性化が内部に達するまでに時間がかかるため、鉄筋を守ることが可能です。

水分の割合は「水セメント比」を指します。
水セメント比は「水量÷セメント量」で計算され、理論的には数値が低い(水分割合が小さい)ほど、コンクリートの中性化が遅くなります。

3-3.劣化しにくい立地である

マンションの立地も劣化のしやすさに影響を与えます。
例えば、日当たりの悪い立地にあるマンションは湿気がたまりやすくカビが生えやすい、配管が腐食しやすいといった理由でマンションの寿命が短くなる可能性があります。

また、海のそばにあるマンションも、海風などによる塩害でコンクリートの劣化が早く進む可能性が高いでしょう。

海の近く、豪雨被害や地震が起きやすい地域を避けると、寿命を長くしやすいと言えます。

3-4.管理組合が良い

管理組合が良いマンションは、日々のメンテナンスが行き届いています。
細やかなメンテナンスも、各設備を長持ちさせる要因です。

修繕計画がきちんと取り決められていれば、今後の定期的な修繕を期待できます。
適切に大規模修繕が行われれば、マンションの寿命は延び、資産価値も保ちやすくなります。

   

        お家のいろは コラム
        住宅性能評価があれば確認しましょう
住宅性能評価とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて設定された住宅性能表示の基準を用い、第三者機関が客観的に行う評価のことです。

評価内容には様々な項目がありますが、中でも劣化対策等級という点を確認すると、マンションに施された劣化対策の強弱が簡単に分かります。

劣化対策等級は、建築材の交換等大規模な改修工事が必要になるまでの期間を延ばすための対策がどれほど施されているかを表す基準です。
3つの等級で評価され、数字が大きい方が劣化に強いマンションと言えます。

  • 等級3…3世代(おおむね75~90年)
  • 等級2…2世代(おおむね50~60年)
  • 等級1…建築基準法に定める対策が講じられている

まとめ

マンションの寿命には、物理的な寿命と、会計上の資産の寿命という2つの考え方があり、会計上の資産の寿命を迎えても住めなくなるわけではありません。
また適切なメンテナンスを実施していれば、マンションの物理的寿命は120年、150年と伸びていくと考えられています。

長く住み続けられるマンションを探したい方は、物件に適用されている耐震基準やコンクリートの強度、立地、管理組合の運営状況をチェックしてみてください。

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