現在、マンションの売却を検討している方の中には、「今すぐに売却すべきか、少し待つべきか」の判断に悩んでいる方も多いと思います。
この記事では、マンションの価格が高騰する理由を明らかにし、今後の見通しと売却のポイントを解説します。
- マンションの価格の動向
- マンションの値上がりが続いている理由
- マンションを高く売る方法
マンション売却について基礎から詳しく知りたい方は『マンション売却で失敗・損しないための注意点』も併せてご覧ください。
- 「マンションを売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
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Contents
1.【2023年】マンション価格の値上がり状況
まずは、2023年のマンション価格がどのような状況にあるかを確認していきましょう。
以下のグラフは、国土交通省が発表する『不動産価格指数』です。
2010年の各不動産の価格を基準に、どのように価格が変化しているかを表しています。
マンション価格の高騰が始まったのは、アベノミクスによる異次元の金融緩和が開始した2013年です。
価格上昇は留まる所を知らずに、10年たった今でも上昇を続けています。
2023年のマンション価格指数は192.1。
2010年の基準価格から、およそ2倍の価格となっています。
以下では具体的な価格推移を、新築マンションと、中古マンション別に紹介いたします。
1-1.新築マンションの価格推移
首都圏・近畿圏の新築マンションの価格は、以下のように推移しています。
【新築分譲マンション 価格動向】
年 | 首都圏 | 近畿圏 | ||
---|---|---|---|---|
平均価格 | 平米単価 | 平均価格 | 平米単価 | |
2018年 | 5,871万円 | 86.9万円 | 3,844万円 | 65.9万円 |
2019年 | 5,980万円 | 87.9万円 | 3,866万円 | 68.0万円 |
2020年 | 6,083万円 | 92.5万円 | 4,181万円 | 69.1万円 |
2021年 | 6,260万円 | 93.6万円 | 4,562万円 | 75.1万円 |
2022年 | 6,288万円 | 95.1万円 | 4,365万円 | 77.4万円 |
参照:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2022 年のまとめ」
不動産経済研究所「近畿圏 新築分譲マンション市場動向 2022 年のまとめ」
不動産経済研究所「近畿圏 新築分譲マンション市場動向 2020年のまとめ」
首都圏では、平均価格・平米単価ともに過去5年で上昇傾向が続きましたが、2022年の伸びが少し鈍化しました。
近畿圏では、平均価格は首都圏で伸びが鈍化した2022年のみ下落しましたが、2018年~2021年の4年間は上昇傾向が続き、平米単価については過去5年で上昇傾向が続きました。
市場の動向から、新築マンションの価格は堅調に上がり続けていることがわかります。
1-2.中古マンションの価格推移
首都圏・近畿圏の中古マンションの価格は、以下のように推移しています。
【中古マンション 価格動向】
年 | 首都圏 | 近畿圏 | ||
---|---|---|---|---|
平均価格 | 平米単価 | 平均価格 | 平米単価 | |
2018年 | 3,333万円 | 64.6万円 | 2,184万円 | 31.82万円 |
2019年 | 3,442万円 | 64.3万円 | 2,311万円 | 33.59万円 |
2020年 | 3,599万円 | 65.2万円 | 2,337万円 | 33.60万円 |
2021年 | 3,869万円 | 64.6万円 | 2,491万円 | 36.04万円 |
2022年 | 4,276万円 | 63.5万円 | 2,669万円 | 39.43万円 |
参照:公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」
公益社団法人 近畿圏不動産流通機構「マンスリーレポートNo.121 2023年1月号」
公益社団法人 近畿圏不動産流通機構「2021年度年間市況レポート」
首都圏では、平米単価は65万円前後と推移が安定していますが、平均価格は過去5年で上昇傾向が続きました。
近畿圏では、平均価格・平米価格ともに過去5年で上昇傾向が続きました。
これらの価格上昇から、中古マンション市場は活況の傾向にあることがわかります。
自宅マンションの価値を詳しく知りたい方は、不動産会社の査定を受けてみましょう。
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2.マンションが値上がりする理由
マンションの値上がりが続いている背景にはさまざまな理由があります。
適切なタイミングでマンションを売却するためには、マンションの値上がりの要因を把握することも大切です。
マンションが値上がりする理由として、以下の6つが挙げられます。
- 新築マンションの供給戸数が減少している
- 地価の上昇
- 住宅ローンの金利が低水準を維持している
- マンションの建築費指数が高騰している
- テレワークの普及による在宅時間の増加
- 投資用物件としての需要増
詳しく見ていきましょう。
2-1.新築マンションの供給戸数が減少している
マンション価格上昇の原因のひとつが、新築マンションの供給戸数が減少していることです。
新築マンションの供給戸数は以下のように推移しています。
【供給戸数の推移】
年 | 首都圏 | 近畿圏 |
---|---|---|
2018年 | 37,132戸 | 20,958戸 |
2019年 | 31,238戸 | 18,042戸 |
2020年 | 27,228戸 | 15,195戸 |
2021年 | 33,636戸 | 18,951戸 |
2022年 | 29,569戸 | 17,858戸 |
参照:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2022 年のまとめ」
不動産経済研究所「近畿圏 新築分譲マンション市場動向 2022 年のまとめ」
不動産経済研究所「近畿圏 新築分譲マンション市場動向 2020年のまとめ」
表から首都圏・近畿圏の新築マンションの供給戸数が減少していることがわかります。
需要量に対して供給量が少ない状況が続くことによって新築マンションの数が少なくなるため、市場価格が上がっていると推測されます。
また、新築マンションの供給戸数が減って価格が上がったために、中古マンションの人気が高まっているのも実情です。
2-2.地価の上昇
地価の上昇もマンション価格上昇の一因です。
地価の推移を確認してみましょう。
【主要エリアの地価推移】
年 | 全国 | 東京圏 | 大阪圏 | 名古屋圏 | 地方圏 |
---|---|---|---|---|---|
2018年 | 0.3% | 1.0% | 0.1% | 0.8% | -0.1% |
2019年 | 0.6% | 1.3% | 0.3% | 1.2% | 0.2% |
2020年 | 0.8% | 1.4% | 0.4% | 1.1% | 0.5% |
2021年 | -0.4% | -0.5% | -0.5% | -1.0% | -0.3% |
2022年 | 0.5% | 0.6% | 0.1% | 1.0% | 0.5% |
令和3年は新型コロナウイルスの影響によって都市部から地方への転出が増えたために地価が下落したものの、令和4年は全国的に地価が上昇しました。
地価上昇にともないマンション価格も上昇しているのです。
2-3.住宅ローンの金利が低水準を維持している
住宅ローンの金利が低水準を維持していることもマンション価格上昇に関係しています。
【民間金融機関の住宅ローン金利推移】
出典:フラット35「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」
2013年に日銀が金融緩和政策を発表してから、住宅ローンの金利は低い水準を維持しています。
住宅ローン支払いの負担を抑えられるため、マンションに人気が集まっているのです。
2-4.マンションの建築費指数が高騰している
建築費が高くなっていることも、マンション価格上昇の原因となっています。
【集合住宅(RC造)の建築費指数の推移】
出典:⼀般財団法⼈ 建設物価調査会「建設物価 建築費指数【 2022 年 12 ⽉分 】」
規模の大きな建築物は、RC(鉄筋コンクリート)造が採用されています。
RC造の建築にかかる費用は年々高騰しており、2022年には過去10年の最高値を更新しました。
建築費指数高騰の背景には、円安による輸入資材の価格上昇や人材不足による人件費の高騰などが挙げられます。
2-5.テレワークの普及による在宅時間の増加
2020年以降、新型コロナウイルス感染防止策として、人口の集中しているエリアでは、在宅勤務が推奨されるようになりました。
新築マンションの中にはテレワークに適した設備を取り入れたもの、仕事と日常のオン・オフを切り替えたい方向けにコワーキングスペースを共用部に完備したものなどがあります。
また、中古マンションの中にも、リフォームやリノベーションによって、テレワークに適した住環境を取り入れたものもあります。
テレワークの普及によって在宅時間が増加したことに伴い、新たな住環境を求めて住み替えが進んだこともマンション価格上昇の要因です。
なかでも、3LDKなどファミリー世帯向けの間取りに人気が集まっています。
2-6.投資用物件としての需要増
円安の昨今は、日本のマンションを安く購入できるので海外資本が流入しています。
投資用にマンションを購入する海外投資家が増加していることもマンション価格上昇の要因です。
主要駅から徒歩圏内といったような立地条件の良いマンションは、価値が下がりにくく、安定した需要が期待できます。
このような理由から、マンションは投資用物件として購入されるケースも多いのです。
3.マンションの値上がりは続く?今後の価格高騰の見通し
少しでも高くマンションを売るためには、価格の見通しをつけ、適切なタイミングでマンションを売り出す必要があります。
現在、マンション価格は上昇傾向にあります。
しかし、不動産価格は世界情勢や国内の景気、需要と供給のバランスといった影響を受けて変動するため、下がる可能性も否定できません。
マンション価格に影響を与える要因は、主に以下の4つです。
- 今後の金融緩和政策の動向による影響
- 海外投資家からの人気の影響
詳しく見ていきましょう。
3-1.今後の金融緩和政策の動向による影響
マンション価格の上昇を支えた大きな要因の一つとして、金利の低さが上げられます。
2023年12月現在では低い金利に抑えられていますが、2024年は金利の若干の上昇が懸念されています。
金利は主に、日本銀行の金融政策によって大きく変動します。
現在、短期金利を低く抑え、長期金利もまた低い水準であるようコントロールしています。
ただ、ここ数年での円安、物価高の状況を鑑みると2024年の4月頃には、金利の上昇を許容する可能性があります。
一般的に、長期金利が上がると住宅ローンの固定金利が上昇し、短期金利が上昇すると住宅ローンの変動金利が上昇します。
住宅ローン利用者のほとんどは変動金利を利用していますので、短期金利の変動は、今後マンション価格に直結するといえます。
3-2.海外投資家からの人気の影響
マンション価格上昇の要因の1つと考えられる海外投資家の資本流入がいつまでも続くとは限りません。
円安の状況は海外投資家にとって有利な状況ですが、円高に転じれば日本の不動産に見切りをつける動きも出てくるでしょう。
人口が減少している国への投資は、将来的な需要減少による空室リスクが大きく、利益の有無に関係なく売却に転じる可能性があります。
その結果、市場に出回るマンションが増えることでマンション価格が下落する可能性があるので注意してください。
4.マンションが値上がりしている間に売却するための3つのポイント
マンションを少しでも高く売却するためには、マンションが値上がりしているタイミングで売却することが重要です。
値上がりのタイミングを逃さずに高く売るためには、以下の3つのポイントを押さえて売却に臨みましょう。
- 余裕のあるスケジュールで売却活動を行う
- 築年数が25年を超える前に売却する
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
ひとつずつ見ていきましょう。
4-1.余裕のあるスケジュールで売却活動を行う
マンションの売却を開始しても、すぐに購入希望者が見つかるとは限りません。
また、売却活動で成約に至ったとしても、引き渡しまでに期間が空きます。
少しでも速やかに行動に移すためにも、売却活動にかかるおおよその期間やスケジュールを事前に把握しておくことが大切です。
マンション売却の主な流れは、以下の通りです。
- 不動産会社への相談
- 媒介契約の締結
- 売却活動の開始
- 売買契約の締結
- 引き渡しと決済
不動産の売却にかかる期間はおおむね4か月程度です。
売りたくなったときにすぐ行動に移せるように、おおまかなスケジュールを把握しておきましょう。
4-2.築年数が25年を超える前に売却する
マンションを高く売るなら、築年数が25年を超える前に売却するようにしましょう。
マンション価格は、築25年を超えた時点で価格が下落するからです。
【首都圏 中古マンション 平均成約価格】
築年数 | 平均価格 |
---|---|
築0~5年 | 5,883万円 |
築6~10年 | 5,071万円 |
築11~15年 | 4,484万円 |
築16~20年 | 4,174万円 |
築21~25年 | 3,202万円 |
築26~30年 | 1,884万円 |
築31年~ | 1,904万円 |
出典:公共財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」
築25年以上のマンションの需要が低くなる理由として、修繕工事にかかる費用の負担が大きくなることが挙げられます。
そのため、少しでもマンションを高く売りたいのであれば、築年数が25年を超える前に売却することをおすすめします。
4-3.複数の不動産会社に査定を依頼する
マンションの正確な価値を知るためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。
不動産会社によって査定で重視するポイントが異なるため、査定結果にも差が生じます。
ときには数百万以上もの差が出るので、複数社の査定価格を比較した上で不動産会社を選ぶのが得策です。
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この記事のポイントまとめ
新築マンションの価格は首都圏で過去5年上昇傾向、近畿圏は2022年を除く4年は上昇傾向にあります。
一方、中古マンションの価格は首都圏・近畿圏ともに過去5年上昇傾向にあります。
詳しくは「1.【2023年】マンションは値上がりの傾向が続いている」をご覧ください。
新築・中古マンションともに値上がりしている理由として、以下の6つが挙げられます。
- 新築マンションの供給戸数減少による需要増
- 地価の上昇に伴う価格上昇
- 低金利による需要増
- マンションの建築費用の高騰に伴う価格上昇
- 生活の変化に伴う需要増
- 投資用物件としての需要増
詳しくは「2.マンションが値上がりする理由」をご覧ください。
マンション価格は、以下の4つの影響で価格が下落する可能性があるので注意が必要です。
- 今後の金融緩和政策の動向による影響
- 新型コロナウイルス感染症流行の影響
- 海外投資家からの人気の影響
詳しくは「3.マンションの値上がりは続く?今後の価格高騰の見通し」をご覧ください。
- 余裕のあるスケジュールで売却活動を行う
- 築年数が25年を超える前に売却する
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
詳しくは「4.マンションが値上がりしている間に売却するための3つのポイント」をご覧ください。