住宅は売っても買っても大きな金額が動きます。物件そのものの価格もさることながら、それにかかる税金の大きさも、売買を考えている人には気になるところですよね。できるだけお金の負担は少ないほうが、家計的にもうれしいものです。
住宅は引き渡し時の税率が適用されます。そのため、消費税で言えば2019年9月30日までに引き渡されば税率は8%、10月1日以降なら10%ということになるでしょう。
ただし注文住宅など請負契約あるものに関しては、契約日によって税率を適用する経過措置が設けられる可能性もあります。近い将来、住宅の売買の可能性がある人は、常に最新情報にはアンテナを張っておいてください。
ちなみに、住宅には消費税がかかるものと、かからないものがあるのはご存知ですか?
消費税は土地にはかかりません。なぜかというと、土地は消費するものではないからです。
一方、建物は課税対象です。理由は土地とは反対に、「住宅は消費されるもの(いつか壊れるもの・なくなるもの)」だからです。また中古住宅を個人間で売買する際も、消費税はかかりません。(売り手である個人は「課税業者」ではないからです。)
まだ少し先の話ではありますが、消費税増税によって不動産を購入する際に負担額が増える項目として、上記の建物価格に加えて、仲介手数料や住宅ローンの手数料、新居の家具やインテリア費用、引っ越し費用などがあります。
住宅の引き渡しの際、増税がどのように影響するのか、この記事が予習材料になればと思います。ぜひ参考にしてくださいね。
Contents
1. これまで決まっていた増税と引き渡し時期の流れ
もし消費税が2017年4月にアップすることになっていたら、住宅に関する消費税は以下のようになる予定でした。
- 消費税8%のまま適用されるケース
- 分譲住宅、マンションなど
住宅の引き渡しが2017年3月31日までに完了 - 注文住宅建築、中古住宅を購入しリフォームする場合
2016年9月30日までに請負契約を完了すれば、2017年4月以降の引き渡しでもOK
※請負契約とは、建築主と工事請負業者が建築工事の完成とその報酬の支払いについて取り交わす契約。
- 消費税10%が適用されるケース
- 分譲住宅、マンションなど
住宅の引き渡しが2017年4月1日以降 - 注文住宅建築、中古住宅を購入しリフォームする場合
2016年10月1日以降の請負契約で住宅の引き渡しが2017年4月1日以降になるもの。
また、2017年4月1日に消費税増税の場合の経過措置は、次の図のようになっていました。
増税前には経過措置が適用され、注文住宅の場合は半年前までに請負契約を交わしていれば、完成して引き渡しするのが2017年4月1日を過ぎても8%が適用される、という具合です。
住宅メーカー、工務店など建築を依頼する会社によっても、依頼から完成までの期間が異なります。増税が予定されているタイミングでの住宅の売買は、引き渡しがぎりぎりにならないよう、なるべく早く行動を起こしたいものです。
2019年に消費税は10%に増税される見通しですが、今回のように住宅取得に関わる税制上の経過措置が設けられることが考えられます。上記と同様なら、半年前の2019年3月31日までに請負契約をしていれば、引き渡しが10月以降となっても旧税率が適用されるかもしれませんが、まだ決まっていません。
今から最新の情報をチェックしておきたいですね。
2. 増税によって何がどれくらい変わる?
では実際に、住宅の売買において消費税の増税がどのように影響するのか、売却時と購入時に分けて紹介します。
2-1. 売却時にかかる消費税
仲介手数料
不動産会社に家の仲介を依頼し、買い手を見つけてもらったときに支払う成功報酬です。売買契約時と引き渡し時の2回に分けて支払うのが一般的となっています。
取引価格が3,000万円の場合、簡易の計算式に当てはめると3,000万円×3%+60,000円=960,000円となり、960,000円が仲介手数料です。
これに8%の消費税が加わると1,036,800円ですが、消費税が10%になると、1,056,000円と19,200円の負担増になります。
また、登記手続きを依頼する際、司法書士への報酬が必要となりますが、このときも消費税が必要です。
2-2. 購入時にかかる消費税
(1) 建物金額
土地には消費税はかかりませんが、建物部分は課税対象です。
建物価格2,000万円で消費税8%なら1,600,000円、10%なら2,000,000円と400,000円増になります。
(2) 住宅ローン手数料 、登記関係の手数料
住宅ローン申込時の手数料、購入後に登記手続きを行う際の司法書士へ支払う報酬に関しても消費税がかかり、それぞれ2%アップします。
(3) 新居の家具やインテリア費用、引っ越し費用
新居用の家具やインテリア、カーテンなどの出費は、購入時期によってもれなく影響を受けます。事前に買っておいてどこかに保管できるものなら良いですが、そうはできない品物もあるでしょう。また引っ越し費用自体も、実際に引っ越す際に発生します。これらが積み重なると税率アップが2%といえども、大きな負担となってきます。
3. 受け取れるお金「すまい給付金」と住宅ローン減税制度
増税も気になりますが、マイホームを購入したときに給付や税金の控除が受けられる制度もあります。現在はすまい給付金と住宅ローン減税制度がありますが、2019年の増税の際、もしかしたらまた新しい制度が設けられるかもしれません。
こうした制度は売買の仲介を依頼した不動産会社の方から教えてくれることもありますが、売買の予定があるのなら、自分自身でもしっかりアンテナを張っておくことをおススメします。
4. まとめ
それでは、おさらいです。
消費税が10%にアップする予定は2019年10月1日からとなりました(2016年11月現在)。住宅を売買する時の消費税は、引き渡し日の税率が適用されます。
ただし、経過措置を受けられるケースが出てくる可能性がありますので日ごろから情報収集を心がけつつ、実際に売買をすることになったら、契約する不動産会社や物件の所在地の役所に、適用される制度がないかも念のために聞いてみてください。
いつ住み替えるかは、ライフプランや預貯金額に影響しますが、増税前に実現したいと考えているなら、なるべく早く行動を起こしてみてはいかがでしょうか。
くれぐれも駆け込みで物件を選んで、後悔することがないようにしてくださいね。
(2019/10/2追記:本記事の掲載内容は、公開日時点での情報です。)