所有するアパートが老朽化しリフォームを検討しているものの、どの程度の費用がかかるのか疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。外観や室内環境は入居率に影響する重要な部分であるため、適切にリフォームする必要があります。
この記事ではアパートリフォームの費用相場や補助金について解説します。アパートのリフォームにかかる費用やポイントを把握し、今後のアパート経営の計画を立てていきましょう。
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Contents
1.アパートリフォームの費用相場
アパートの外観や室内環境は入居率に影響する重要なポイントです。築年数が経過して劣化すると入居者が決まりにくくなるので、適切なメンテナンスは重要です。
ただ、「アパートをリフォームするか」「部分的な修繕をするか」は、かかる費用によるところでもあるでしょう。
本章では以下3つの箇所のリフォーム費用相場を解説します。
- 内装の費用相場
- 水回りのリフォーム費用相場
- 外装のリフォーム費用相場
1-1.内装のリフォーム費用相場
内装は入居希望者が重点的にチェックする部分です。設備が古い、内装が傷んでいるといった状態では印象が良くないため、室内状況を確認してリフォームを検討しましょう。
例えば、建物の築年数が経過していても畳をフローリングに変更するだけで新しい印象を与えられます。
各箇所のリフォーム費用は以下の表を参考にしてください。
リフォーム箇所 | 費用 |
---|---|
壁紙張り替え | 800円〜1,500円(1平米あたり) |
和室から洋室 | 60万〜150万円(6〜8畳あたり) |
畳からフローリング | 30万〜100万円(6〜8畳あたり) |
押入れからクローゼット | 8万〜20万円 |
ドア交換 | 6万〜50万円 |
間取りの変更 | 80万〜200万円(30〜40平米の部屋) |
フローリングの張り替え | 10万〜20万円(6畳あたり) |
リフォーム費用に幅があるのは、使用する素材などによって価格が異なるためです。
例えばフローリングには「合板フローリング材」と「無垢フローリング材」があります。無垢フローリング材は合板フローリング材よりも高価ですが、合板フローリング材にはないぬくもりやおしゃれなデザインが特徴です。
さらに無垢フローリング材のなかでもスギ材やナラ材、パイン材など数種類に分かれています。入居者のターゲット層によって使用するべき素材も異なるため、ターゲット層をイメージしながらリフォームをしましょう。
1-2.水回りのリフォーム費用相場
トイレや浴室、キッチンなどの水回りをリフォームすると、清潔感のある室内になります。水回りが古いと部屋がきれいでも敬遠されてしまう傾向にあるため、費用をかけてでもリフォームしておくべき箇所です。
水回りの一般的な交換費用は、以下の表を参考にしてください。
リフォーム箇所 | 費用 |
---|---|
システムキッチンの交換 | 50万〜150万円 |
ミニキッチンの交換 | 25万〜40万円 |
トイレの交換 | 4万〜50万円 |
和式トイレから洋式トイレ | 30万〜50万円 |
ユニットバスの交換 | 40万〜150万円 |
浴槽の交換 | 10万〜50万円 |
バランス釜の交換 | 10万〜20万円 |
3点ユニットバスの交換 | 30万〜90万円 |
洗面台の交換 | 5万〜30万円 |
キッチンや浴室はサイズやグレードによって価格が大きく異なります。システムキッチンは一般的な壁付けキッチンを想定していますが、ペニンシュラキッチンやL型キッチンの場合はさらに高額になると考えましょう。
アパートが単身者向けかファミリー向けかでリフォーム費用に大きな差が生じます。
また、トイレもタンクレストイレやシステムトイレなどさまざまな種類があるため、入居者層に適したものを選ぶ必要があります。
1-3.外装のリフォーム費用相場
外装は建物の印象を左右するだけでなく、建物を守る役割もあります。
外装リフォームを疎かにすると、外壁にひびが入り雨や害虫が入ってくる原因になります。雨漏りが発生すると建物が腐食して耐久性が下がり地震で倒壊する恐れもあるため、定期的にリフォームしなければなりません。
また、すきま風で室内の温度が下がるため、入居者の不満にも繋がってしまいます。
外装リフォームでは使用する塗料のグレードによって費用が変動します。費用の目安は以下の表を参考にしてください。
リフォーム箇所 | 費用 |
---|---|
外壁塗装 | 200万〜500万円(2階建てアパート) |
ベランダの防水塗装 | 4,000円〜8,000円(1平米あたり) |
外壁塗装は防水工事を含むか含まないかで費用が大きく異なります。防水工事を含まない場合の費用は200〜300万円ほどです。
また、ベランダの防水塗装は「トップコート」と「防水層」に分かれます。防水層の上にトップコートが塗装されている状態ですが、劣化がひどく防水層から塗り替える場合は費用が高くなります。
2.アパートリフォームを成功させるポイント
アパートのリフォームは室内をきれいにするだけでは不十分です。投資である以上、費用対効果を踏まえて実施する必要があります。
アパートリフォームを成功させるためにも、以下のポイントを意識しましょう。
- リフォーム費用の回収計画を立てておく
- ニーズに合わせたリフォームを行う
- リフォーム会社は相見積もりを取る
- 設備を近代化する
- 間取りを変更する
それぞれについて解説します。
2-1.リフォーム費用の回収計画を立てておく
アパートをリフォームする際は、予算だけでなく費用対効果を考える必要があります。
費用対効果を考えずにリフォームすると、リフォーム費用を回収するまでに時間がかかり、利益を得られない可能性があるためです。
リフォームにかけた費用をどれくらいの年月で回収できるかを、以下の計算式で考えてみましょう。
回収期間=リフォーム費用÷年間家賃収入
例えば、年間家賃収入が200万円のアパートに400万円のリフォーム費用をかけた場合、2年で回収できます。
しかし、上記の計算式は簡易的なものであるため、家賃収入にかかる税金などを踏まえるとさらに長い期間が必要になります。一方で、リフォームをした結果家賃収入が増える場合は、より短い期間で回収できるでしょう。
アパート経営では空室期間も生じるため、過去の入退去の履歴を踏まえて現実的な数値で計算する必要があります。
2-2.ニーズに合わせたリフォームを行う
リフォームの費用対効果を上げるためにも、入居者のニーズに合わせたリフォームをしましょう。ニーズに合っていないリフォームをすると、かけた分の費用を回収できない恐れがあります。
具体的には入居者のターゲット層をもとにリフォーム内容を検討しましょう。
例えば、費用をかけてシステムキッチンやモニター付きインターホンを導入したとしても、単身男性が多いエリアの場合、収益アップに結びつかない恐れがあります。
上記のようなリフォームではなく「キッチンを小さくしてリビングを広くする」「黒を基調とした重厚感のある室内にする」といった部分に費用をかけたほうが、収益アップに繋がる可能性があります。
地域や環境をもとにどのような方が借りるのかを想定して、ニーズに応えられるリフォームをしましょう。イメージが難しい場合は、近隣の入居率が高いアパートを参考にするのもおすすめです。
2-3.リフォーム会社は相見積もりを取る
リフォームする際は複数のリフォーム会社に相談して相見積もりを取りましょう。
同じリフォーム内容でもリフォーム会社によって費用は異なります。リフォーム費用を抑えると費用回収までの期間が短くなるため、投資効率が上がります。
また、ターゲット層に適したリフォーム内容の提案をしてくれるリフォーム会社もあるため、複数社の話を聞き信頼できる会社を選びましょう。
2-4.設備を近代化する
入居率を高めるには設備を近代化して充実させるのがおすすめです。具体的には以下の通りです。
- 追い焚き機能
- オートロック
- ユニットバス
- 温水洗浄便座
- 無料インターネット
年々住宅に関する設備は機能性が向上し、一般家庭に普及しています。設備が充実した実家から独立して一人暮らしをする方にとって、上記のような設備はあるのが当然という考えであり、備えられていないと検討の候補から外されてしまうでしょう。
特に水回りは清潔感が重要であり、近代化が重視される傾向にあります。
2-5.間取りを変更する
リフォームする際は設備の交換だけでなく間取り変更も検討しましょう。
例えば「3LDKの部屋を2LDKにしてリビングを広くする」「リビングと洋室をスライドドアで仕切り、間取りを柔軟に変更できるようにする」などです。
ファミリー世帯では3LDKの間取りが主流ですが、近年では少子化の影響もあり2LDKの間取り需要が高い傾向にあります。また、テレワーク用の個室を設けるのも時流に合った間取りです。
アパートがあるエリアによって需要は異なるため、どのような間取りにすると入居率が最も高くなるのかを考えてみましょう。
3.アパートリフォームで使える補助金・ローン
アパートをリフォームしたいものの、予算が足りないと悩んでいる方も多いでしょう。
そのような方は、アパートリフォームで使える補助金やローンを調べてみましょう。
日本は地球温暖化対策の一環として、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目標に掲げており、住宅分野においてもさまざまな補助金を用意しています。
本章ではアパートリフォームで使える代表的な補助金やローンを紹介します。
3-1.補助金や軽減措置
アパートリフォームで使える補助金や軽減措置のなかには、国が用意しているものと各自治体で用意しているものがあります。
自治体の補助金は対象条件や補助金額がさまざまですが、省エネ性能を高めるリフォームへの支援や、バリアフリー、耐震強化への支援などが一般的です。
具体的な制度はアパートがある自治体の補助金を調べてみましょう。
ここからは国が用意している以下の補助金制度について解説します。
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業
- 住宅セーフティネット制度による補助金
3-1-1. 長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、既存住宅の性能向上や子育てしやすい環境を整備するためのリフォームを支援する制度です。
補助金額は以下の表を参考にしてください。
事業タイプ | 概要 | 補助限度額 |
---|---|---|
評価基準型 | 長期優良住宅の認定基準には満たないが、一定の水準を満たす場合 | 100万円/戸 |
認定長期優良住宅型 | 長期優良住宅認定を取得した場合 | 200万円/戸 |
また、既存住宅を購入し工事を実施する場合や、一次エネルギー消費量を省エネ基準比▲20%とする場合などは、1戸あたり50万円が加算されます。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の要件は以下の通りです。
①リフォーム工事前にインスペクションを行うとともに、維持保全計画およびリフォームの履歴を作成すること
②【リフォーム工事後に次の性能基準を満たすこと】
- <必須項目>劣化対策、耐震性(新耐震基準適合等)、省エネルギー対策の基準
- <任意項目>維持管理・更新の容易性、高齢者等対策(共同住宅)、可変性(共同住宅)の基準
③上記②の性能項目のいずれかの性能向上に資するリフォーム工事、三世代同居対応改修工事、子育て世帯向け改修工事、防災性・レジリエンス性の向上改修工事のうち一つ以上行うこと
※引用:国土交通省住宅局『令和4年度長期優良住宅化リフォーム推進事業に関する説明資料』
なお、補助金の適用を受けるには申請が必要です。申請手続きが完了する前に着手したリフォームは補助金の対象外となる点に注意しましょう。
3-1-2. 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業とは、断熱のためのリフォームやリフォームと同時に行う高性能設備の導入を支援する制度です。
補助金額や補助対象製品は以下の表を参考にしてください。
【トータル断熱】
補助対象製品 | 補助率 | 補助金の上限額 |
---|---|---|
高性能建材(ガラス・窓・断熱材・玄関ドア・LED照明) | 補助対象経費の1/3 | 集合住宅1戸当たり:15万円 (このうち、玄関ドアは集合住宅1戸ごとに:5万円) |
家庭用蓄電システム | 20万円 | |
家庭用蓄熱設備 | 20万円 | |
熱交換型換気設備等 | 5万円 |
制度の適用を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 本事業の補助対象製品を用い、事業要件の詳細に従った既存住宅の断熱改修を行うこと
- 本事業に係る契約締結および建物本体の着工は、本事業の交付決定通知書に記載する交付決定通知日以降に実施すること
- 完了実績報告書を提出期限内に提出すること
- 本事業の補助対象には、他の国庫補助金を受けたものが含まれていないこと
なお、既存住宅における断熱リフォーム支援事業には「トータル断熱」以外に「居間だけ断熱」がありますが、2つの制度は併用できない点に注意しましょう。
3-1-3. 住宅セーフティネット制度による補助金
住宅セーフティネット制度とは、高齢者や障害者、低所得者など、住宅確保が難しいとされている方に対して「入居を拒まない賃貸住宅の供給」を促進する制度です。
この制度のなかで、住宅確保要配慮者のみが入居可能な住宅として登録された住宅を「専用住宅」と言います。
専用住宅として登録することで、改修費の補助や家賃補助を受けられます。具体的な補助は以下の表を参考にしてください。
国による直接補助 | 区市町村を通じた補助 | |
---|---|---|
事業主体 | 貸主 | |
補助対象工事等 | ①共同居住用住居に用途変更するための改修・間取り変更 ②バリアフリー改修工事(外構部分のバリアフリー化を含む) ③防火・消火対策工事 ④子育て世帯対応改修 ⑤耐震改修 ⑥「新たな日常」に対応するための工事 ⑦居住のために最低限必要と認められた工事 ⑧居住支援協議会等が必要と認める改修工事(ヒートショック対策工事など) ※上記工事に係る調査設計計画(インスペクションを含む)も補助対象 |
|
補助率 | 1/3 | 2/3(原則) |
補助限度額 |
※一部の工事については加算あり |
|
入居対象者 |
|
|
家賃 |
※例:文京区:6.7万円、世田谷区:6.5万円、豊島区:6.5万円、墨田区:5.5万円 |
|
その他主な要件 | 住宅確保要配慮者専用住宅としての管理期間が10年以上であること |
補助金を受ける場合、住宅確保要配慮者の入居を拒めません。専門住宅として登録してから10年以上管理・運営できるかを考慮しましょう。
3-2.ローン
リフォームするための資金が不足している場合や、自己資金を減らしたくない場合は以下のような金融機関によるローンを検討しましょう。
- 民間の銀行
- 信用金庫
- 住宅金融支援機構
- 日本政策金融公庫
例えば、日本政策金融公庫の一般貸付では、以下のような条件のローンを用意しています。
- 融資限度額:4,800万円
- 利用用途:運転資金・設備資金
- 返済期間:5〜10年以内
- 利率(年):1.5〜3%程度
- 担保・保証人:要相談
利率は担保の有無などによって異なるため、詳細の条件は担当者に確認してみましょう。
4.アパートリフォームの前に売却も検討しよう
アパートはリフォームも大切ですが、築年数などによってはリフォーム費用を回収できない場合があります。賃貸需要も日々変化するため、以前は需要のあったエリアでも現在は需要が低下していることもあるでしょう。
もしもリフォームするべきか悩んでいる方は、併せて売却も検討してみましょう。アパート経営では出口戦略が重要であり、どこかのタイミングで売却する必要があります。
現在高値で売却できる市況であれば、リフォームよりも売却したほうがトータルの利益が多くなる可能性があります。売却かリフォームかを判断するためにも、まずは現在のアパート価格を把握しましょう。
不動産会社に査定を依頼すると、現在のアパート価格がわかります。しかし、一社だけの査定価格では相場価格を把握できないため、複数社に依頼するのがおすすめです。
複数社に依頼すると各社の査定価格を比較できるため、高値成約にも繋がります。
複数社に査定を依頼する際に便利なのが、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」がおすすめです。
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信頼できる優良な不動産会社を探すなら、「不動産売却 HOME4U」をぜひご活用ください。
5.この記事のポイントまとめ
アパートのリフォーム費用の相場は、使用する素材のグレードや設備によって大きく異なるため、室内状況や予算に応じて適切なリフォームを実施する必要があります。
詳しくは「1.アパートリフォームの費用相場」をご覧ください。
アパートリフォームを成功させるポイントは以下の通りです。
- リフォーム費用の回収計画を立てておく
- ニーズに合わせたリフォームを行う
- リフォーム会社は相見積もりを取る
- 設備を近代化する
- 間取りを変更する
詳しくは「2.アパートリフォームを成功させるポイント」をご覧ください。
アパートのリフォームでは国や自治体の補助金を利用できます。断熱性の向上やバリアフリーなど、リフォーム内容に要件はありますが、要件に該当する場合費用を抑えられます。また、自己資金を減らしたくない場合はローンも検討しましょう。
詳しくは「3.アパートリフォームで使える補助金・ローン」をご覧ください。
リフォームと売却のどちらが良いかはアパートの状態や景気、個人の資金計画によって異なります。しかし、いずれにしても現在のアパート価格を把握しておいて損はありません。不動産会社へ査定を依頼し、アパート価格を把握したうえで今後の計画を立てましょう。
詳しくは「4.アパートリフォームの前に売却も検討しよう」をご覧ください。