家を購入すると、火災保険を付保することが一般的です。
火災保険は選べる補償の範囲も広く、過剰な補償を設定すると保険料が高くなってしまいます。火災保険はいくらかけるのが妥当なのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事を読めば、火災保険の概要を知ることができ、いくらくらいかければ良いのか目安がわかるようになります。家の購入前に売却を行う方は、不動産売却の全体的な流れをご覧ください
- 「不動産を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
- 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります ※依頼する6社の中での最高価格
- 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
Contents
1.火災保険とは
火災保険とは、主に火災から自分の家を守るために掛ける保険のことです。
保険料は補償対象によって異なります。
火災保険をかける際は、補償範囲を知った上でプランを選択することが重要です。
1-1.補償対象は建物か家財あるいはどちらも
火災保険には、次の2種類があります。
- 建物
- 家財
建物とは文字通り建物を対象とした保険であり、家財とは家具全般を対象とした保険です。
住宅ローンを組む際は、建物の火災保険の加入が条件となることが一般的となっています。
そのため、「最低限、いくらかけるべきか?」という問いに対しては、「建物の火災保険のみをかければ良い」ということになります。
ただし、実際には任意ですが家財の火災保険にも加入する人は多いです。
1-2.補償範囲は火災だけではない
保証範囲は火災だけではありません。火災保険は火災だけでなく、オプションを選択することによってさまざまな災害に対して補償できる点が特徴です。
火災保険で補償対象にできる範囲は、以下のような災害になります。
- 火災、落雷、破裂、爆発
- 風災、ひょう災、雪災
- 水災
- 水ぬれ
- 物体の落下、飛来、衝突
- 騒じょう、集団行動などによる破壊
- 盗難による破壊、汚損
- 偶発的な事故による破損・汚損
上記のうち、「火災、落雷、破裂、爆発」は基本補償です。「風災、ひょう災、雪災」も一部の保険会社を除き基本補償となっていることが多いといえます。
その他はオプションとなっており、選択しなければ保険料を安くすることができます。例えば、物件の場所や種類によっては「水災」を外すというのも考え方の一つです。
浸水リスクの低い高台にある場所に建っている戸建てや、マンションの高層階等は水災を外すことも検討できます。
また、台風や雪の心配のない地域や、頑丈に建っている建物であれば、「風災、ひょう災、雪災」を外すというのも一つの考え方です。
国土交通省のハザードマップ(https://disaportal.gsi.go.jp/)等も参考にしながら、補償対象を選ぶという方法もあります。
1-3.地震や噴火は地震保険
地震保険とは、地震による被災者の生活再建を目的とした保険となります。
地震保険に加入するには主契約となる火災保険に加入していることが条件です。
地震保険は単独で加入することはできませんが、とりあえず火災保険に加入しておけば後から地震保険に加入することはできます。
また、地震保険は国も運営に関与している一種の社会保障的な保険である点も特徴です。
2.建物の火災保険はいくら?決定要因は2つ
火災保険料が決まる要因について解説します。
2-1.建物の構造
火災保険は火災に対する保険であるため、建物の燃えにくさ(構造)が保険料に影響します。
基本的には燃えやすい木造が高く、燃えにくい鉄筋コンクリート造は安くなります。
火災保険では、建物の構造を次の3つに分類しています。
- H構造(非耐火構造)
- T構造(耐火構造)
- M構造(マンション構造)
『H構造』は、一般的な木造住宅のことです。
またM構造やT構造に該当しない建物もH構造となります。
『T構造』とは、主に一般的な木造以外の戸建ての構造のことです。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造、耐火建築物、準耐火建築物の一戸建て、または省令準耐火建物等が該当します。
『M構造』とは、主にマンションのことです。
鉄筋コンクリート造や耐火建築物の共同住宅等の建物が該当します。
2-2.建物の評価額
火災保険料は建物の評価額(保険金額算出のもとになる建物価格)も影響します。
評価額が高ければ高いほど、保険金額は高くなり、支払う保険料も高くなります。
建物の評価額は、「再調達価額(新価)」と「時価」の、どちらかの方法で求めます。
再調達価額とは、対象の建物の再建築にかかる費用と同等です。
滅失した状態で、新しく立て直すために5000万円かかるなら、評価額も5,000万円となります。
再調達価額で保険金額を設定すれば、再建築にかかる費用を全額保証してもらうことができます。
一方の時価とは、再調達価額から経年の損耗分を控除した価額となります。
5,000万円で購入した建物でも、1年たった今4,500万円の価値になっていたら、評価額もまた4,500万円となります。
時価で保険金額を設定すると、火災により滅失した場合でも時価分が限度額となります。
現在は、再建築価格を評価額として保険金額を設定する方法が主流となっています。
再調達価格は、どんな物件を所有しているかで求め方が異なります。
新築の場合は、建物の購入費がそのまま再調達価格として計算できます。
中古の場合は、建築時の価格に物価変動指数を乗じて計算します。
建築費が分からない(マンションの一室など)場合は、保険会社が基準としている建築単価から計算できます。
3.家財の火災保険料はいくら
家財の火災保険料は、設定する家財の評価額によって決まります。
家財の評価額は、保険会社が有する簡易評価表を参考に決める人が多いです。
簡易評価表は保険会社によって若干異なりますが、標準的な金額のものを示すと下表のようになります。
単位:万円
世帯主年齢 | 夫婦のみ | 夫婦+子供 1人 |
夫婦+子供 2人 |
夫婦+子供 3人 |
独身・単身 |
---|---|---|---|---|---|
25歳前後 | 500 | 600 | 700 | 800 | 300 |
30歳前後 | 700 | 800 | 900 | 1,000 | |
35歳前後 | 1,000 | 1,100 | 1,200 | 1,300 | |
40歳前後 | 1,200 | 1,300 | 1,400 | 1,500 | |
45歳前後 | 1,400 | 1,500 | 1,600 | 1,700 | |
50歳前後 | 1,500 | 1,600 | 1,700 | 1,800 |
家財も補償対象は建物と同じであり、「水災」や「水ぬれ」、「物体の落下、飛来、衝突」等のオプションを付けることができます。補償の範囲を広げれば、家財の保険料も高くなるという仕組みは建物と同じです。
また、家財の火災保険も実損払いとなります。実損払いとは、保険料は実際に損失が発生したものだけに支払われるということです。
よって、例えば家財の評価額を800万円で設定しても、実際には家財を300万円しか持っておらず、損害も300万円しか発生しない場合は支払われる額は300万円となります。
保険会社の家財の簡易評価表は、感覚的に高いと感じる人も多いようです。例えば、上表では「夫婦+子供1人の30歳前後」の家財は800万円となっています。どう考えても800万円も家財を持っていないようであれば、設定額としては高過ぎです。家財の評価額を適正に設定することで、無駄な保険料を払わずに済みます。
4. 保険会社を選ぶポイント
保険会社は、火災保険料の安さで選ぶのがポイントです。
特に、不要な特約が保険料に含まれていないかどうかをしっかりと確認しておきましょう。
たとえば火災保険料に「携行品損害補償特約」が込みの場合。
「携行品損害補償特約」とは、外出先で家財を不慮の事故などで破損・紛失したときに補償が受けられる特約です。
補償内容が自宅の火災と関係がないので、火災保険の特約としては加入する必要がないと感じる方も多いでしょう。
このような特約が含まれていない火災保険を選ぶと、保険料を抑えられます。
なお、地震保険はどの保険会社であっても保険料は一律です。
そのため、保険会社は火災保険料の安さを比較検討して選ぶと失敗することが少ないでしょう。
次の章では、保険料が安い会社の探し方を含めた「火災保険を安くする方法」をご紹介します。
5.火災保険を安くする方法
火災保険を安くする方法として、次の2つがあります。
- 相見積もりを取る
- 長期契約にする
- 免責金額(自己負担額)を設定する
次項では、それぞれについて解説します。
5-1.相見積もりを取る
火災保険料は保険会社によって金額が若干異なります。
そのため、保険料を安くしたいのであれば相見積もりを取って保険料が安い会社を探すことが効果的です。
ただし、地震保険は国が関与している保険であるため、保険料はどの保険会社でも同じになっています。つまり、相見積もりによって差が出るのは火災保険の部分となります。
5-2.長期契約にする
保険料は長期一括契約にすると単年度あたりの保険料を安くすることができます。
長期一括契約の保険料は、単年度の保険料に長期係数を乗じて求めます。
一般的な長期係数は下表の通りです。(長期係数は保険会社によって異なります)
(火災保険の長期係数)
保険期間 | 長期係数 |
---|---|
2年 | 1.85 |
3年 | 2.70 |
4年 | 3.50 |
5年 | 4.30 |
6年 | 5.10 |
7年 | 5.90 |
8年 | 6.70 |
9年 | 7.45 |
10年 | 8.20 |
例えば、10年の長期係数は8.20ですので、8.2年分の保険料を支払えば10年分の保険を付保できることになります。
なお、地震保険も長期一括払いをすることで安くすることが可能です。
地震保険は最長で5年であり、長期係数は下表のようになります。
(地震保険の長期係数)
保険期間 | 長期係数 |
---|---|
2年 | 1.90 |
3年 | 2.75 |
4年 | 3.60 |
5年 | 4.45 |
5-3.免責金額(自己負担額)を設定する
火災保険料は免責金額を設定することで安くすることができます。
免責金額とは、受け取れる保険金のうち、自己負担する金額のことです。自己負担額とも呼ばれます。
例えば自己負担額を5万円と設定し、本来受け取れる保険金が30万円であったなら、実際に受け取れる保険金は25万円(=30万円-5万円)になるというのが免責金額です。免責金額を設定しておくと保険会社の実質的な負担が減ることから、保険料も安くなるという仕組みになります。
火災保険では、「保険料は安くしたいけれども補償の範囲を狭めたくない」といったこともあると思います。補償対象を一定の範囲で残しつつ、かつ、保険料を安くしたい場合には免責金額を設定することが効果的です。
この記事のポイントまとめ
- 火災保険には建物と家財の2種類があり、火災以外(地震を除く)の自然災害への補償も選択できます
- 地震による被災者の生活再建には地震保険が必要です。
詳しくは「1.火災保険の補償内容」をご覧ください。
火災保険は、主に「建物の構造」と「建物の評価額」できまります。
詳しくは「2.建物の火災保険はいくら?決定要因は2つ」をご覧ください。
家財の火災保険料は家財の評価額によって決まります。
詳しくは「3.家財の火災保険料はいくら」をご覧ください。
保管会社は、火災保険料の安さで選ぶのがポイントです。
特に、契約時に不要な特約が含まれていないかどうかをしっかりと確認しておきましょう。
詳しくは「4. 保険会社を選ぶポイント」をご覧ください。
- 相見積もりを取る
- 長期契約にする
- 免責金額(自己負担額)を設定する
詳しくは「5.火災保険を安くする方法」をご覧ください。