マンションの売却時に提示を求められる書類のひとつに「権利書」があります。
この記事では、マンションの権利書がなぜ必要なのか解説した上で、紛失したときの対策方法をご紹介します。
- マンション売却をスムーズに行うための権利書の基礎知識
- マンションの権利書を紛失したときの対処法
- マンション売却で権利書が必要なタイミング
これを読めば、権利書の詳細がわかり、マンションの売却を速やかに行えるでしょう。
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Contents
1.マンションの権利書とは
マンションの権利書とは、マンションを購入して、名義人を売主から買主に変更する登記を行う際に取得する書類 です。
マンションをはじめとした土地の売却をする際に、所有者の確認や、名義人を変更する手続きなどのために不動産会社に提示を求められるのが一般的です。
正しい名称は「権利証」ですが、申請時に書類が発行されるため、「権利書」とも呼ばれます。
「権利書」と呼ばれるものには、「登記済権利証」と「登記識別情報」の2種類があります。
1-1.登記済権利証
「登記済権利証」は、不動産の所有権に関する情報が記載された書類 です。
書面には、法務局による「登記済」の判が押されています。
申請する場合は、法務局に足を運び、窓口から手続きを行います。
2005年3月7日からは、不動産登記法の改正によって「登記済権利証」は発行されないことになりました。以降は、オンライン申請ができる「登記識別情報」に一本化されています。
なお、発行済みの「登記済権利証」は現在も有効です。
1-2.登記識別情報
「登記識別情報」は、不動産の所有権を証明するための12桁の符号が記載された情報 です。
登記識別情報をオンライン申請すると、符号の部分に情報保護シールが貼られた書面が届きます。
この書面を「登記識別情報通知」と呼びます。
出典:登記識別情報|法務省(参照2024-8-28)
登記済権利証から登記識別情報に切り替えはできない
権利書(登記済権利証)は不動産登記法が改正される前に発行された書類です。
紛失を理由に、改正された後に発行された登記識別情報への切り替えを希望する方もいると思います。
しかし、権利書から登記識別情報に切り替えることはできません。
権利書も登記識別情報も、移転登記が完了したことを証明する書類なので、所有者が変更した場合しか発行してもらえないのです。
2.マンション売却で権利書が必要なタイミング
マンション売却で権利書が必要になるのは、代金の決済とマンションの引き渡しのタイミング です。
マンションの売却では、売買契約の締結から2~3か月程度の期間があいて、代金の決済と引き渡しが行われます。このタイミングで名義人を売主から買主に変更するための「所有権移転登記」の申請を行うため、権利書の提出を求められます。
ただ、マンションの購入から年月が経っていて、権利書を紛失してしまったというケースも少なくありません。
売買契約の締結時に権利書の紛失に気付いていれば、十分な時間があるので速やかに対策を講じれば間に合います。
しかし決済直前に権利書の紛失に気付いた場合は、決済が中止になるおそれがあります。
そのため、決済の1か月前には権利書の有無を確認しておきましょう。
3.マンションの権利書を紛失したときの対策方法
マンションの売却時に権利書を紛失したことに気づいた場合は、以下のいずれかの方法で所有権を証明できれば売却は可能です。
対策方法 | 概要 |
---|---|
事前通知制度を利用する | 権利書なしで所有権移転登記をする方法。 法務局から郵送される事前通知に2週間以内に署名、 捺印をして返信する。 |
司法書士に本人確認を依頼する | マンションの所有者と売主が同一人物であることを 証明する書類を司法書士に作成してもらう方法。 |
公証人に本人確認を依頼する | 公証人役場を訪れて、公証人に本人確認をしてもらう方法。 |
上記のなかで もっとも費用負担なく済むのは、法務局で事前通知制度を利用する方法 です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.事前通知制度を活用する
事前通知制度とは、権利書が提供されないで行われた移転登記の申請手続きが、所有者の意思に基づいて申請されたものかどうか確認する制度です。
法務局からの通知に対して、売主が署名・押印し、2週間以内に返送すれば移転登記が完了します。
手続きの際には以下の書類が必要です。
必要書類
- 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 実印
- 印鑑証明書
事前通知制度の利用時は数千円程度の費用がかかります。
しかし、申請に時間がかかるというデメリットがあるため、早急に手続きを進めたい場合は、ほかの方法を選びましょう。
事前通知制度のメリット・デメリット
<メリット>
数千円程度の費用で手続きできる
<デメリット>
申請に時間がかかる
3-2.司法書士に本人確認を依頼する
司法書士と面談して、売却予定のマンションの所有者と売主が同一人物であることを証明してもらいます。
司法書士は国が認めた国家資格の所有者で、信頼性が高く、利用すれば権利書がないマンションの売却が可能になります。
司法書士に本人確認を依頼する際には、以下のような書類が必要です。
必要書類
- 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 実印
- 印鑑証明書
- 所有者であることを証明するもの(売買契約書や固定資産税納付書など)
ただし、司法書士に依頼する際は3~5万円程度の費用がかかります。
司法書士に本人確認を依頼するメリット・デメリット
<メリット>
手続きに時間がかからない
<デメリット>
3~5万円程度の費用がかかる
3-3.公証人に本人確認を依頼する
公証人役場を訪れて、公証人に本人確認をしてもらいます。
公証人とは、公証人法の規定により法務大臣が任命し、国の公務をつかさどる人を指します。
依頼の際の費用は数千円程度。手続きには、以下のような書類が必要です。
必要書類
- 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 実印
- 印鑑証明書
司法書士に本人確認を依頼する場合と比べて費用を抑えられますが、司法書士による本人確認と比べて細かい点まで確認していないこともあるため、無効になるリスクがある 点に注意しましょう。
公証人に本人確認を依頼するメリット・デメリット
<メリット>
数千円の認証費用で手続きできる
<デメリット>
- 平日に公証役場を訪れる手間・時間がかかる
- 本人確認が無効になるリスクがある
権利書の再発行はできない
マンションの権利書の再発行はできません。
権利書は、あくまでも所有権の移転登記が完了したことを証明するための書類だからです。
しかし、マンションの権利書を紛失しても所有権を失うことはありません。
所有権は、登記簿に記載されている人が有しています。
そのため、移転登記が完了したことを証明するだけの権利書を紛失しても所有権自体はなくならないのです。
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この記事のポイント まとめ
マンションの権利書とは、マンションを購入して、名義人を売主から買主に変更する登記を行う際に取得する書類です。正しい名称は「権利証」ですが、申請時に書類が発行されるため、「権利書」とも呼ばれます。
詳しくは「1.マンションの権利書とは」をご覧ください。
マンション売却で権利書が必要になるのは、代金の決済とマンションの引き渡しのタイミングです。
詳しくは「2.マンション売却で権利書が必要なタイミング」をご覧ください。
マンションの権利書を紛失したときは、以下のいずれかの対策方法を選択することで代替できる可能性があります。
- 司法書士に本人確認を依頼する
- 公証人に本人確認を依頼する
- 事前通知制度を活用する
詳しくは「3.マンションの権利書を紛失したときの対策方法」をご覧ください。