初めての不動産売却、これからどんなスケジュールで進めればいいのか、先が見えないと不安ですね。
転勤や進学のタイミングに合わせて売りたい場合も、なるべく早く売りたい場合も、まずは全体の流れを知った上で、ダンドリ良く進めることが重要となります。
そこでこの記事では、不動産売却の一連の流れをわかりやすく説明し、どんなスケジュールで進めていけばいいか解説していきます。
売却をスタートする時期は、その物件に応じて変わります。
築浅、人気エリアのマンションなら、売りたいタイミングの半年前までにスタートしましょう。
例えば、お子様の進学に合わせ3月にはすべて完了させたいと思うなら、8~9月までの始動が必要です。
築年数が古い場合や、駅から遠いなど、条件に自信がないマンションを売る場合には、売りたいタイミングの1年前までにスタートしましょう。
土地、一戸建てを売る場合も、1年前までのスタートがおすすめです。
戸建や更地は、マンションよりも買い手が見つかるまで時間がかかるのが普通です。
また、隣地との境界確定・測量の手続きに時間がかかったり、状況によってはリフォームや修繕が必要となる可能性があります。
一年あれば大丈夫、と思っても意外と時間がありません。
この記事を読んでしっかり準備し、余裕を持って不動産売却をスタートさせてくださいね。
不動産売却について基礎から詳しく知りたい方は『不動産売却の基本』も併せてご覧ください。
Contents
1. 不動産売却の流れとスケジュールの立て方
それでは早速、不動産売却の流れと、スケジュールをどのようにイメージすればいいのか解説します。
1-1. 不動産売却の流れ
不動産売却の流れは、次の6ステップです。
まずは買主を見つけて引き渡すところまでを目指し、6ステップの流れを押さえて、スケジュールを立ててください。
それでは、手順1から6まで順に見ていきましょう。
【手順1】相場の確認
まず、住宅ローンが残っている場合には、現在の残高を確認しておきます。
そして、売却予定の不動産の相場を把握しましょう。
現在売りに出ている物件の相場を調べるなら、「中古住宅 HOME4U(ホームフォーユー)」を使うと便利です。
マンション・一戸建て・土地それぞれ、広さや間取り別に相場がつかめます。
また、「レインズマーケットインフォメーション」を使うと、実際に成立した取引価格を調べることができます。
これらを利用しておおまかな相場をつかんでおくと、【手順2】で説明する「不動産会社の査定」を受けたときに、査定根拠などが理解しやすくなり、適切な売り出し価格を決められます。
【手順2】査定
次に、いくつかの不動産会社に売却価格の査定を依頼します。
不動産を売るときには、不動産会社に直接売るのではなく、買主探しのためのサポート(仲介)を不動産会社に頼むのが一般的です。
どの不動産会社に仲介を依頼するかで、価格も売却期間も大きく変わってくるので、複数の会社に依頼するのが成功への鉄則となります。
とても大事なポイントのため、査定の受け方の具体的な方法は3章でしっかり解説します。
なお、あわてて掃除をしても査定額は変わりません。
なぜなら、不動産会社は不動産の価値を見抜くプロなので、表面的な汚れではなく、建物そのものの傷み具合などを見て査定するからです。
「散らかっているから狭く見えるのでは?」といった心配も要りません。
査定の準備としては、購入時の売買契約書・マンションなら管理規約などを準備しておくとその後の流れがスムーズです。
【手順3】不動産会社選び・媒介契約
3章で説明する手順を踏んで、査定依頼した不動産会社の中から、高く売ってくれそうな会社を選んで媒介契約を結びます。
媒介契約とは、不動産会社に売却の仲介を依頼するための契約です。
媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
「専任媒介」と「専属専任媒介」は1社のみと仲介契約を結びますが、「一般媒介」は2社以上と仲介契約を結ぶことができます。
いずれの場合でも、売買を成立させてくれた不動産会社だけに仲介手数料を支払うので、手数料に差はありません。
それぞれメリット・デメリットがありますが、基本的に「専任媒介」か「専属専任媒介」がおすすめです。
「専任媒介」「専属専任媒介」なら、他社で先に成約する心配がないので、広告や販売活動を熱心に行ってもらえるため、スピーディーな売却が期待できます。
売主としても、窓口が1本なら手間が省けるうえ、不動産会社によっては「専任」「専属専任」だけの様々なサービスが付いていることもありメリットも多いです。
媒介契約についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事「「専任媒介契約」が「一般媒介」よりもあなたに有利な3つの理由。」
【手順4】物件の売り出し
不動産会社と媒介契約を締結したら、売り出し価格を決めて販売活動開始です。
不動産会社が窓口となりインターネットサイトや店頭の広告、チラシなどを通じて購入希望者を探してくれます。
なお、一戸建てや土地の場合は、売り出しと並行して、境界確定・測量の手続きをスタートする場合があります。
測量が必要かどうかはケースバイケースなので、不動産会社にアドバイスを求めましょう。
【手順5】内覧者の対応
売り出した物件に興味を持った購入希望者が、直接物件を見に来ます。これが内覧です。
売却のチャンスを逃さないため、しっかり準備しておきましょう。
空き家や土地の売却では、売主が立ち会う必要はありませんが、ゴミの不法投棄などがないか確認しておくと安心です。
- できるだけ見学者の希望に合わせてスケジュールを調整しましょう。
- 水回りは絶対キレイに。この際ハウスクリーニングを利用するのもおすすめです。
- ペット、ごみ、タバコの臭いはしませんか?内覧前は必ず空気の入れ替えをしましょう。
- 居住中の場合は、快適な生活がイメージできるように整理整頓と掃除をして迎えましょう。物が多いなら一時的にトランクルームに預けるのも手です。
- 広く明るくキレイに見えるよう努力しましょう。家具などを配置してくれるホームステージングというサービスもあります。
- ご近所の印象、学校や買い物の情報なども会話の中でお伝えしましょう。
【手順6】売買契約・決済・引き渡し
買主が決まり、金額や条件について売主・買主の双方が合意したら、売買契約を結びます。
売買契約時には、代金の5~10%程度の手付金を受領します。
一度契約したら簡単に解除することはできないので、事前に契約内容を十分に確認しましょう。
決済・引き渡し日には、残金を受領し、登記申請を行って、カギや説明書等を引き渡します。
また、年払いしてある固定資産税や、マンション管理費などを日割り精算します。
ちなみに、売却の翌年には確定申告が必要になることがあります。
確定申告についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にして頂ければと思います。
関連記事「するの?しないの?すべきなの?不動産売却の確定申告全知識」
1-2. 売却にかかる期間とスケジュール
次に手順ごとに、どれくらい時間がかかるか、みていきましょう。
手順1~3(相場を調べて不動産会社の査定を受け、会社を選んで媒介契約を結ぶまで)
2週間~1ヶ月
任せる不動産会社を決めたり、売り出し価格を決める時期。
どれだけ時間をかけるかは人によって違いますが、適当に選んでしまうと後悔することになるので、妥協せず納得できる会社を選びましょう。
手順4~5(売り出してから買主が決まるまで)
マンション:立地条件などが良い場合は2~3ヶ月、条件に自信のないマンションは6ヶ月以上
一戸建て:6ヶ月以上かかることが多い
土地:6ヶ月以上かかることが多い
一戸建てと比べると、マンションのほうが買い手は見つかりやすい傾向にあります。
築年数が浅く、駅から近いマンションであれば、2~3ヶ月以内に買主を決めたいところです。
ただし、駅から遠かったり古かったりすると反響が少なく、思うように売却が進まないことがあります。
不動産物件が売れやすい1~3月、またはお盆~10月を狙って販売するのもよいでしょう。
手順6(売買契約を結び、決済・引き渡しまで)
2週間~1ヶ月
買主が住宅ローンを利用する場合、審査には1ヶ月前後かかります。
古い家を取り壊してから引き渡したり、土地の測量が終わってから引き渡すなど、さらに時間が必要になることもあります。
2. 不動産売却は早めにスタートするのが有利な5つの理由
不動産売却は早めにスタートするのがおススメです!
なぜなら、次の5つの理由があるからです。
- 売り出しのタイミングを選べる
- 建物は築年数が経てばたつほど価値が下がる
- 焦って値引きせずにすむ
- 予想外の時間ロスにも対応できる
- 相続税の取得費加算特例には期限がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1. 売り出しのタイミングを選べる
早く売るためには、売却時期は重要です。
不動産の売買には波があり、売れる時期と売れない時期があります。
一般的に、新生活に向けて1~2月は物件数も成約数も増え、夏には低下し、9~10月にふたたび増えます。
一日でも早く活動をスタートすれば、不動産会社への相談や内覧準備など先にしっかり行え、繁忙期を狙って売却することができますね。
また、早めに売却をスタートすれば、ライバルの動向を見て判断できるメリットもあります。
同じマンション内の部屋の売り出しなどが重複していると、競合して売れにくくなることがあり、値引きが必要になるかもしれません。
ライバル物件が売れるまで一度販売をやめ、状況を見つつ時期をずらして売りに出した方が希望の価格で通ることがあります。
場合によっては、リフォームしてライバルと差別化する戦略をとることもできます。
タイミングを見極めて柔軟に対応するため、早め早めのスタートが有利です。
2-2. 建物は築年数が経てばたつほど価値が下がる
建物の資産価値は、年数が経てば経つほど減少していきます。
買い手にとって、築年数は大きな検討材料です。
例えば築9年と10年では印象が違います。
実際、購入希望者は不動産サイトで「築●年以下の物件」などと絞り込んで検索するので、築年数の変わり目で運命が変わるかもしれません。
また、築年数は、買主が住宅ローンを組みやすいかどうかにも影響します。
中古物件の住宅ローンの借入期間は、「法定耐用年数」を超えられない金融機関が多いので、築年数の経過に伴って融資期間が短くなっていきます。
(住宅の法定耐用年数は、木造22年、鉄筋コンクリート47年です。)
できるだけ築年数が浅いうちに売却するほうが、高く買ってもらいやすいので、有利に売却を進められます。
2-3. 焦って値引きせずにすむ
売らなければならない期限が迫っていると、焦って値引きしたくなるのが人情です。
そのような事情は購入希望者にも何となく伝わるものです。
時間的に余裕があれば、強気の価格で売り出して様子をみることも可能です。
不動産売却はタイミングと「ご縁」の要素も大きいので、時間的な余裕が良い結果を引き寄せます。
2-4. 予想外の時間ロスにも対応できる
不動産の売却では、次のような予想外の出来事で通常よりも回り道になってしまうことがあります。
例1:買主が決まったのに、買主のローン審査が通らなくて契約が白紙になってしまった。
売買契約では、ローンが通らなかったら契約が白紙解除される「ローン条項」を定めるのが一般的です。
売買契約までたどり着いても、契約が解除されて、また買主探しをしなければいけなくなる可能性はゼロではありません。
例2:隣地所有者が境界確定に協力してくれなくて、測量に時間がかかってしまった。
土地や一戸建ての売却では、境界確定、測量が必要になることがあります。
場合によっては半年以上かかることもあるので、早めに手続きを進めましょう。
例3:最初に依頼した不動産会社に熱心に売ってもらえず、3ヶ月後に別の不動産会社に変更するはめになった。
不動産会社との媒介契約は、3ヶ月間で締結するのが一般的です。
「専任媒介」と「専属専任媒介」では1社しか契約できないので、会社の変更は基本的に契約期間終了のタイミングまで待つことになります。
遠回りして時間を無駄にしないためにも、最初の不動産会社選びは慎重に行いましょう。
こういった思わぬロスで焦らない為にも、少しでも早く販売活動を始めて、ゆとりをもって対応することが大切です。
2-5. 相続税の取得費加算特例には期限がある
5つ目は、相続税を支払った方に該当する項目です。
相続した不動産を売却する場合には、「相続税の取得費加算の特例」という制度があります。
これは、相続した財産を相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に売却した場合、所得税と住民税を節税できる制度です。
その資産を相続するために支払った相続税を取得費として、売却時にかかる税金から一部控除できます。
制度を利用できる期限が過ぎてしまうのも損ですが、慌てて売却しようとして安くなってしまうのも損ですから、早めに販売活動を始めましょう。
3. 査定をしっかり受けることが不動産売却の成功のカギ
不動産をできるだけ高くスムーズに売るためには、不動産会社選びが大切です。
不動産会社には、「マンションが得意」「一戸建ての売買が多い」「賃貸がメイン」といった特色があるからです。
また、頻繁に取引している営業エリアも限られています。
おまけに、査定額も会社によって数十万円違うケースが多々あります。
そのため、あなたの不動産の売却を得意とする、最適な不動産会社を選ぶことが必須です。
「でも、どこの不動産会社に売却を依頼すればいいのかわからない」という場合に、必ず実践していただきたいのは、「不動産会社を比較してから決める」ということです。
複数の不動産会社の査定を受けて、じっくり比較してみると、特別な知識がなくても違いが一目瞭然になります。
不動産会社を比較検討するには、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」の一括査定サービスがおすすめです。
HOME4Uを利用すると、所在地などの基本情報を入力するだけで、その不動産の売却に適した複数の不動産会社をシステムが自動で選び出し、まとめて査定を依頼することができます。
一昔前のように、貴重な休日を潰して、不動産会社を探し回る必要はありません。
HOME4Uには、大手はもとより、地元に根差して見込み客を常に抱えているような中小の会社まで揃っています。
しかも、NTTデータグループが運営しているので、厳しい基準によって悪徳業者が排除されているのも安心して利用できるポイントです。
ちなみに、査定を受けたら、比較していただきたいのは、査定額の違いだけではありません。
「査定の根拠」「具体的な販売活動の内容」「仲介実績の多さ」「担当者は専門知識が豊富で親切か」といった違いを比べていけば、最適な不動産会社がおのずと見極められます。
親身になってサポートしてくれる不動産会社さえ見つければ、売却の成功はすぐそこです。
4. 予想よりも早く売れすぎて困る2つのパターンと解決策
売りたい時期が決まっている方の中には、「予想よりも早く売れすぎたら困ってしまう…」という心配があるかもしれません。
最後にその点を見ていきましょう。
4-1. 住み替えの予定時期よりも早く売れてしまうと困る
新居完成、転勤、進学などに合わせて住み替えたい場合はどうしたらよいのでしょうか。
住み替えの時期より早く売れてしまった場合、引き渡し時期を調整してもらえる場合もありますが、基本的に家は買主に引き渡すことになります。
仮住まいに移ることになれば、アパート代や引っ越し費用の負担と手間がかかります。
【解決策】
査定時に人気物件かどうか、すぐ買い手がつきそうか、不動産会社にしっかり確認しましょう。
早々に売れそうなら、販売時期を少しずらすなどのスケジューリングを相談しておきます。
そのためには、こちらの希望に沿ったタイミングで売却できるよう、地域の情報に詳しくコーディネート能力の高い不動産会社を見つけておくことが肝心です。
最適なタイミングで売却するために、不動産会社選びに時間をかけるつもりで、査定を早めにスタートしましょう。
4-2. 取得して5年以内の不動産は売却益が出ると税金が高い!?
所有期間5年以内に売却するときに、少し注意が必要なケースがあります。
それは、「マイホーム以外の売却」で「買ったときよりも値上がりしている」ときです。
そもそも売却で税金(所得税・住民税)がかかるのは、利益が出たときだけです。
税率は所得税・住民税合わせて、所有期間5年超は約20%、5年以下は40%です。
物件を所有して5年以内に売却し、利益が出ると、税金を高く取られてしまうのですね。
ただし、自宅を売却する場合は、一定の要件を満たせば、売却益のうち3,000万円まで非課税になります。
詳細は国税庁のホームページで確認できます。
参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」
この「3,000万円の特別控除」があるので、マイホームの売却で、制度の要件に当てはまる場合には、5年を超えるかどうか気にしなくて良いでしょう。
※所有期間の数え方の詳細
所有期間は、売却した年の1月1日現在で、5年を超えて所有していたかどうか判断します。
相続の場合は、相続から5年ではなく、故人が取得してから5年以内となります。
【解決策】
所有期間5年前後なら、所有期間の数え方について税務署に確認しましょう。
同時に、市況について不動産会社に相談しましょう。
最近は全国的に地価が上昇傾向で、中古マンション市況も好調です。
そのため、税率が高くなったとしても、市況が良く築年数が浅いうちに売ったほうが有利になる可能性もあります。
所有期間5年以下の場合は特に、税金をカバーできるくらい高く売ってくれるパワーのある不動産会社を探すことが大切です。
まとめ
それではおさらいです。
不動産売却の流れは、「相場確認→不動産会社の査定→媒介契約→売り出し→内覧対応→売買契約→決済・引き渡し」でしたね。
スケジュールの目安としては、売り出しから買主が決まるまで、築年数の浅い、駅近くのマンションで2~3ヶ月程度。
条件がやや不利なマンションや土地・一戸建ては6ヶ月程度かかるのが一般的です。
売れやすい時期は1~2月と、9~10月頃となります。
不動産売却の成功の秘訣は「ゆとりをもってスケジュールを組み、早めの行動をとること」。
早めにスタートするのが有利な理由は、築年数が新しいうちに、売り出しのタイミングを見極め、値引きを避けられるからです。
早く売れすぎたら困る場合にも、最適なタイミングで売却するために、コーディネート能力の高い不動産会社を早めにじっくり選んでください。
不動産の売却では、買主の住宅ローンが否決されるなど、予想外の時間ロスもありえます。
スケジュールに余裕を持つためにも、「不動産売却 HOME4U」を通じて早めの不動産会社選びをスタートし、あなたと一緒に最良な売却方法を考えてくれる不動産会社を見つけて、売却を成功させましょう。