土地を早く売る方法のひとつに「買取」があります。
「仲介」で売却するのとどちらを選ぶべきか迷っている方もいるでしょう。
この記事では、土地を買取で売却するメリット・デメリットをご紹介し、どんな人におすすめできるかまでお伝えします。
これを読めば、土地売却を成功させるコツがつかめるでしょう。
土地の売却について基礎から詳しく知りたい方は『土地売却の流れ』も併せてご覧ください。
1.土地の買取と仲介は何が違う?
土地の売却方法は大きく「買取」と「仲介」に分けられます。
買取とは、不動産会社に直接不動産を売る方法です。
一方、仲介は不動産会社を通して購入を希望する買主と取引する方法です。
買取と仲介との大きな違いは、「売却にかかる時間」と「売却価格」です。
不動産会社に仲介を依頼すると、高額売却が期待できますが、購入希望者を探すところから始めるため売却までに時間がかかります。
買取の場合は、最初から不動産会社が購入すると決まっているため、売却までに時間がかかりません。ただ、売却価格は仲介より低くなります。
仲介 | 買取 | |
---|---|---|
買主 | 一般顧客 (主に個人) |
不動産会社 |
売却価格 | 相場価格で売却が可能 (敷地・周辺環境などを加味) |
仲介の6~8割程度 |
売却期間 | 平均3~6ヶ月程度 | 数日から1ヶ月程度 |
以上の違いから、高い需要が見込まれる土地は仲介、需要が低いと考えられる土地は買取で売却するのが得策です。
2.土地買取のメリット
土地の買取を依頼するべきか判断するために、メリットとデメリットをおさえておきましょう。
まずはメリットからご紹介します。
【土地買取のメリット】
- 早く売れる
- 契約不適合責任がない
- 仲介手数料が不要
- 売れにくい土地も買い取ってもらえる
- 建物を解体しなくても買い取れる
- 内覧が不要
- 周囲に知られずに売却できる
ひとつずつ見ていきましょう。
2-1. 早く売れる
買取の大きなメリットは、仲介よりも早く土地を売れることです。
仲介による売却では、広告などを活用して買い手を見つける必要があるので、売却できるまでに平均3ヵ月程度の時間がかかります。
買い手が現れない場合には、さらに時間を要してしまうでしょう。
しかし、買取では不動産の査定後、売り手が提示された買取条件に同意できれば、すぐに売却できます。
不動産会社にもよりますが、最短で数日から1ヵ月程度で売却可能です。
買取は売却活動に時間をかけずに済むので、相続や空き家など、早期売却をしたい場合に適しています。
2-2.契約不適合責任がない
買取で売却した場合、売主は契約不適合責任を負わないのが一般的です。
契約不適合責任とは、不動産売買で契約内容が事実と異なっていた際に、売り手が責任を負うことです。
例えば、売却後に土地に埋設物が見つかった場合、売主の責任での撤去や損害賠償を行わなければなりません。
仲介の場合は、売主は契約不適合責任を負います。
しかし買取の場合は、買主は不動産会社専門家であるため、現在の状態での引き渡しを認めてもらえるのが一般的です。
契約不適合責任を免除されるので、売却後にトラブルが発生する心配がありません。
2-3.仲介手数料が不要
買取では、不動産会社が直接不動産を買い取るため、仲介手数料は不要です。
仲介の場合は、不動産会社が以下の仲介手数料を請求することが法律で認められています。
手数料上限は以下の通りです。
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下の部分 | 売却価格の5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 売却価格の4%+消費税 |
400万円を超える部分 | 売却価格の3%+消費税 |
売却価格が400万円を超える場合、仲介手数料 は売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税で計算可能です。
価格が高ければ割高になるため、仲介手数料がない点は大きなメリットといえるでしょう。
2-4. 売れにくい土地も買い取ってもらえる
買取の場合には、仲介では買い手が付きにくい土地でも買い取ってもらえるのが一般的です。
以下のような売れにくい土地も即売却できます。
【売れにくい土地の例】
- 立地条件が悪い
- 不整形地である
- 土壌汚染や埋設物などの懸念がある
- 境界線が定かでない土地
不動産会社が売りにくい土地でも買い取ってくれるのは、さまざまな土地活用が可能だからです。
例えば、不整形地であれば、不利な建築条件とならないように分割して販売することもできますし、境界が定かでない場合は、確定させてから販売できます。
また、住居に限らず駐車場などの活用など、土地に応じた使い道があるので、売れにくい土地を買取しても問題ないのです。
2-5.建物を解体しなくても買い取れる
買取では、古家付きの物件でも建物を解体せずに売却できます。
仲介で土地を売却する場合、古い建物が残ったままでは解体費用が必要になるため、買手から敬遠されることが多いのです。
そのため土地を仲介で売る場合には、一般的に建物は解体してから売却活動を行います。
解体費用の相場は、30~40坪程度の戸建てで100~150万円程度です。
買取の場合は、建物を解体する必要がありません。
解体の費用分買取価格は下がるものの、売り手が解体業者を手配する手間がかからないというメリットがあります。
2-6.内覧が不要
買取で売却すれば、内覧をする必要がありません。
仲介による売却の場合、売主は購入希望者への内覧を行います。
そのため、購入希望者が現れる度に対応をしなければなりません。
相続で取得した遠方にある土地を売る場合には、大変な手間となるでしょう。
買取であれば不動産会社が直接購入するので、内覧は不要です。
2-7. 周囲に知られずに売却できる
買取は、周囲に知られずに土地を売却できる点こともメリットのひとつです。
仲介で土地を売却する場合、物件情報が不動産会社の広告やポータルサイトなどに掲載されます。
詳細情報については掲載されていなくても、現地の近くに住む人は、どの土地なのかが分かってしまうこともあるでしょう。
一方、買取で売却する場合は広告を出す必要がありません。
そのため、近所の人などに売却しようとしていることが知られないのです。
誰にも知られずに売却したい場合には、買取を選択したほうがいいでしょう。
3.土地買取のデメリット
ここまで土地買取のメリットについて紹介してきました。
つづいて、デメリットをご紹介します。
【土地買取のデメリット】
- 買取価格の相場は仲介の6~8割
- 悪徳業者も存在する
- 不動産会社との交渉で不利になりやすい
- 買取できないケースもある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.買取価格の相場は仲介の6~8割
買取の場合は、仲介よりも価格の相場が低くなることがデメリットです。
買取の価格は、仲介の6~8割程度になります。
買取の価格が仲介よりも下がるのは、不動産会社が買い取ったあと後、必要な整備などを行って転売するか、別の活用を行うことになるからです。
その費用を考慮して価格が低くなります。
買取価格も不動産会社によって異なります。
少しでも高く売りたいなら、複数の不動産会社で条件を比較することをおすすめします。
3-2.悪徳業者も存在する
相場に見合わない安値で売買を成立させようとする悪質な買取業者も存在します。
明らかに安い査定額を提示し、「今この場で売らないと売れ残ってしまいますよ」などといった煽り文句で取引を急かすのです。
このような業者には注意しましょう。
実際、独立行政法人国民生活センターには、「強引に勧誘され、安価で自宅を売却する契約をしてしまった」と悪質な買取業者についての相談が寄せられています。
また、「原野商法」という不当な勧誘方法を行う悪徳業者にも注意が必要です。
「原野商法」とは、買取と同時に資産価値がほとんどない原野や山林の土地を売りつける手口です。
「将来的に必ず価格が上がる」などと騙し、買い手がつかない土地の購入を促します。
このような詐欺まがいの業者が紛れ込んでいる点が、買取で売却するデメリットのひとつです。
3-3.不動産会社との交渉で不利になりやすい
土地を売りたいときに仲介ではなく買取を選ぶ人は、仲介では売りにくい理由を抱えていることが多いです。
例えば、以下のような理由があります。
- 相続などで時間に余裕がなく急いでいる
- 早く現金が必要な理由がある
- 仲介では売れにくい土地である
不動産会社はこれらの売主の事情を把握しています。
そのため、良心的でない不動産会社の場合、相場よりも大幅に低い金額提示など、不利な交渉を持ちかけられるおそれがあります。
売主の弱みに付け込んでくる不動産会社には、買取を依頼しないほうがいいでしょう。
3-4.買取できないケースもある
買取では、仲介ではなかなか売れない土地であっても、売却できるケースが多いです。
しかし、どんな土地でも売却可能というわけではありません。
再販が難しい土地の場合には、買取不可となるケースもあるでしょう。
例えば、再建築不可物件は、次に建物を建てることができないため、利用用途が限られます。
そのため査定額がほとんどつかず、買取を断られてしまうこともあるのです。
しかし再建築不可物件を取り扱う不動産会社なら、他社で断られた物件でも買取できる可能性があります。
1社で諦めずに、複数に依頼してみることがポイントです。
4.土地買取をおすすめする人
土地を売却するとき、仲介・買取どちらを選んだら良いか迷う方もいるでしょう。
メリット・デメリットを踏まえると、買取をおすすめするのは、以下のいずれかの状況に当てはまる人です。
【土地買取をおすすめする人】
- 土地をできるだけ早く売りたい人
- 売れにくい土地を所有している人
- 瑕疵や埋設物がある土地を所有している人
それぞれ、なぜおすすめといえるのか、詳しく説明します。
4-1. 土地をできるだけ早く売りたい人
土地をできるだけ早く売りたい人に、買取はおすすめです。
一般の売却では、不動産会社が買い手を探さなければならないため、時間がかかります。
売却活動には、平均で3ヵ月程度の時間がかかることが多く、売りにくい土地の場合はさらに時間を要することも珍しくありません。
また、確実に売れる保証はありません。
買取であれば、不動産会社の査定が終わり、売買契約を締結すれば良いので、最短数日で売却可能です。
相続などで土地をできるだけ早く売る必要がある場合には、買取が適しています
4-2. 売れにくい土地を所有している人
以下に該当する売れにくい土地を所有している人には、買取のほうが確実に売却できます。
- 立地条件が悪い
- 敷地面積が広すぎたり狭すぎたりする
- 不整形地など、建物の建築に制約が出るケース
立地条件が悪い土地は、需要が低く、売買が成立しにくい傾向にあります。
また、敷地が広すぎる場合は土地購入価格が割高になります。
狭すぎる場合や不整形地では、建物の建築に制約があり、購入しても思ったような建物を建てられないリスクがあるので、一般の人からは敬遠されることが多いのです。
こうした条件に該当する土地は、売りに出しても売れない状態が続くこともあるでしょう。
その点、買取であれば条件が良くない土地でも売却が可能です。
4-3. 瑕疵や埋設物がある土地を所有している人
土地に瑕疵や埋設物がある場合にも買い手が付きにくいため、確実に売りたいなら買取の利用がおすすめです。
瑕疵には、以下の4種類があります。
物理的瑕疵:土壌汚染や埋設物がある物件
心理的瑕疵:事故物件など、心理的に利用が憚られる物件
法律的瑕疵:法令上の制限があり、所有者が自由にできない物件
環境的瑕疵:騒音・振動など不動産そのものではなく、周囲の環境に問題がある物件
例えば、周辺に悪臭や騒音、振動を発生させる施設があった場合は「環境的瑕疵」のある物件とされ、仲介で購入希望者を募るのは難しくなります。
このような瑕疵のある物件を早く処分したいなら、買取を利用したほうがいいでしょう。
また、埋設物が残っている場合も、買取が適しています。
埋設物がある土地を仲介で売却するには、契約不適合責任を問われるリスクを避けるために撤去作業が必要です。
埋設物の種類や規模環境によっては、大きな費用負担となります。
買取なら、埋設物が残ったままでも売却できます。
契約不適合責任を免除されるため、売却後のトラブルの心配もありません。
5.失敗しない買取業者の選び方のポイント
土地の買取を扱う不動産会社業者は数多くあります。
業者不動産会社選びを失敗すると、相場より大幅な金額で買い叩かれてしまい、損をするケースもあります。
買取で失敗しないためには、以下のポイントを順番におさえておきましょう。
【買取業者選びのポイント】
- 【準備】売却する土地の相場を調べておく
- 買取の実績を確認する
- 査定額が高い業者を選ぶ
順を追って見ていきましょう。
5-1.【準備】売却する土地の相場を調べておく
買取価格が適切であるかを判断するために、買取を依頼する前に、売却予定の土地の相場を調べておきましょう。
土地の相場は、国土交通省の「土地総合情報システム」でカンタンに調べられます。
公示価格や地価、実際に取引された不動産取引価格のデータが見られるので、これらを参考にして相場感をつかみましょう。
5-2.買取の実績を確認する
買取を依頼する不動産会社を選ぶ際は、「売却したい土地がある地域での買取実績」を確認しておきましょう。
不動産会社買取業者は、エリアによって得意・不得意があります。
買取実績の豊富さを判断するためには、不動産会社のホームページで近隣エリアや似た物件の再販事例が数多く掲載されているかを確認しましょう。
実績豊富で再販のノウハウを持つ不動産会社は、結果的に買取の査定価格提示額が高くなる傾向にあります。
5-3.査定額が高い業者を選ぶ
買取の場合は、見積もりの査定額で買い取ることになります。
なるべく査定額の高い不動産会社業者を選ぶことをおすすめします。
とはいえ、買取を行っている不動産会社業者は数多くあるため、1社ごに見積りを依頼するのは、手間がかかり非効率的です。
複数の不動産会社の査定を受けたいなら、一括査定サイトの利用をおすすめします。
複数社に査定を依頼する際に便利なのが、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」です。
「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」はカンタンな情報を入力するだけで、全国の優良な不動産会社2,100社のなかから、最大6社を選んでまとめて査定依頼ができます。
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この記事のポイントまとめ
買取とは、不動産会社に直接不動産を売る方法で、仲介は不動産会社を通じて取引を行う方法です。
詳しくは「1.土地の買取と仲介は何が違う?」をご覧ください。
買取が仲介より優れているのは、以下の7点です。
- 早く売れる
- 契約不適合責任がない
- 仲介手数料が不要
- 売れにくい土地も買い取ってもらえる
- 建物を解体しなくても買い取れる
- 内覧が不要
- 周囲に知られずに売却できる
詳しくは「2.土地買取のメリット」をご覧ください。
買取を選んだ場合、仲介と比べて以下4つのデメリットが生じる点に注意が必要です。
- 買取価格の相場は仲介の6~8割
- 悪徳業者も存在する
- 不動産会社との交渉で不利になりやすい
- 買取できないケースもある
詳しくは「3.土地買取のデメリット」をご覧ください。
土地の買取は以下の条件のいずれかに該当する人におすすめです。
- 土地をできるだけ早く売りたい人
- 売れにくい土地を所有している人
- 瑕疵や埋設物がある土地を所有している人
詳しくは「4.土地の買取がおすすめな人」をご覧ください。