
マンションの購入または売却を検討している方の中には、マンションの買い時・売り時が分からずに、悩んでいる方も多いと思います。マンション売却・購入を成功させるには、マンションの価格推移と今後の動向を把握することが大切です。
この記事では、2023年のマンション価格と今後の見通し、エリアごとのマンションの価格推移、価格の変動要因などを解説します。
マンション売買のタイミングが分からずに悩んでいる方も、この記事を読むことによって売買のベストタイミングが分かるでしょう。
- エリア別のマンション価格推移
- 築年数ごとのマンション価格推移
- 今後のマンション価格の見通し
- 「マンションを売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
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Contents
1.2023年12月:マンション価格推移
2023年12月現在、全国のマンション価格は、引き続きの右肩上がり状況となっています。
以下のグラフは、国土交通省が公表する不動産価格指数です。
2010年の全国平均のマンション価格を100とした場合の、相対的な価格推移を確認できます。

グラフから分かるように、2013年ごろから前半からマンションが上昇し続けています。
同年から開始された日銀による、異次元金融緩和が大きな要因と考えられます。
上昇の流れは2023年7月時点でも好調で、物価の上昇こそあれど、住宅ローンの超低金利状態は、依然として購入需要を支えています。
また、コロナウイルス蔓延による不動産業界へのネガティブな影響は少なく、結果として全住宅の価格を押し上げる様に推移しています。
コロナ禍は世界規模で経済を大きく揺るがす非常自体で、不動産市場を動かす様々な要因がありましたが、一つは売手にとても有利な市場で合ったと言えます。
コロナウイルスによる生活の変化がより良い住宅を求めるきっかけとなり、購入需要が促進された一方で、個人や起業の売却検討の先延ばしが起こり、需要過多の状況となっていました。
以下は、全国宅地建物取引業協会連合会の発表した、首都圏における中古マンション在庫件数の前年比推移です。
2022年あたりは、マンション在庫が減少傾向にあることがわかります。

出典:全国宅地建物取引業協会連合会『不動産市場動向データ集』
これまでの流れからみると、2023年以降は供給過多の状態に突入しても不思議ではありませんが、2023年5月の時点では前年度よりも新規登録物件が20%以上も低い状況となりました。
今後のマンション価格の見通しについて詳しくは4章をご覧ください。
2.2023年12月:エリア別マンション価格推移
過去10年の新築マンションの価格は、首都圏・関西圏ともに右肩上がりに推移していましたが、中古マンションの価格推移がどのようになっているのか気になっている方も多いと思います。
この章では、マンションの取引が活発である東京都心3区と主要な地域の、直近のマンション価格推移について詳しく紹介します。
- 東京都心3区(千代田区,中央区,港区)
- 横浜市
- 大阪市
- 愛知県
- 福岡県
- 北海道
2-1.東京都心3区
東京都心3区における直近のマンションの価格推移は以下の通りです。

※REINS TOWER「月例速報Market Watch2023(令和5)年6月度」をもとに作成
事業用の不動産も含めて、取引が最も活発な東京都心3区(千代田区,中央区,港区)では、取引の閑散期と繁忙期で、1,000万円以上の乖離が多く見られます。
純粋に2022年6月と、2023年6月を比較すると、ここにも1,000万円の乖離が見られ、全国的なマンション価格上昇の流れが、都心3区を中心に広がっていると実感できます。
東京都のマンション売却相場については『【2023年最新】東京都内のマンション売却相場と調べ方!高く売るためのコツもわかりやすく解説』をご覧ください。
2-2.横浜市
横浜市における直近のマンションの価格推移は以下の通りです。

※REINS TOWER「月例速報Market Watch2023(令和5)年6月度」をもとに作成
東京都心3区と比べると、横這いの相場と言えます。
不動産取引の閑散期である7~8月、1~2月があたりが大きな押し目となっており、最高値と最安値の差が500万円以上開いています。
都内へのアクセスが良い横浜市は、テレワークの需要の増加で注目度が高まっていますが、まだまだ割安な相場に今後も安定かつ上向きな相場が期待できます。
2-3.大阪府
大阪府における直近のマンションの価格推移は以下の通りです。

※REINS TOWER「月例速報Market Watch2023(令和5)年6月度」をもとに作成
大阪府も横浜市同様に、横這いの相場です。
2025年は大阪万博を控えているため、新築マンションの供給数の増加にともない、新築マンションよりも安価なマンションの需要も高まることが予想されています。
中古マンションも、新築マンションを追従するような価格上昇の可能性が考えられます。
大阪市のマンション価格については、以下の記事で詳しく解説しています。
2-4.愛知県
愛知県における直近のマンションの価格推移は以下の通りです。

※REINS TOWER「月例速報Market Watch2023(令和5)年6月度」をもとに作成
愛知県は、横浜市や大阪府にくらべると上昇傾向がうかがえます。
取引量のすくなくなりやすい1~2月も、高い成約価格で取引されており、市場の活発さがうかがえます。
2027年には品川~名古屋間のリニア開通が予定されているため、影響の及ぶ沿線付近は価格上昇が期待できます。
2-5.福岡県
福岡県における直近のマンションの価格推移は以下の通りです。

※REINS TOWER「月例速報Market Watch2023(令和5)年6月度」をもとに作成
福岡県も乱高下のない、堅調な相場となっています。
福岡市の令和4年3月に発表した「福岡市人口ビジョン」では、2020年の福岡市の人口は1,612万人と人口が推計を上回るペースで増加しています。推計では2035年頃にピークを迎える見込みとなっており、ピークに向けてマンション価格の堅調な推移が予想されるでしょう。
2-6.北海道
北海道における直近のマンションの価格推移は以下の通りです。

※REINS TOWER「月例速報Market Watch2023(令和5)年6月度」をもとに作成
2022年6月と2023年6月の平均価格を比べると、約60万円上昇していますが、北海道もまた、堅調に価格が推移といえます。
札幌市が公表している「建築着工統計調査」によると、特に札幌市の中央区は、令和2年が665戸であるのに対し、令和3年は709戸と新築マンションの建設が相次いでおり、連動してマンションの価格も上昇傾向にあります。
2030年に札幌と鹿児島を結ぶ北海道新幹線の開業計画が進められていることもあり、マンションの価格上昇が予想されています。
3. 築年数ごとのマンション価格の推移
公益財団法人・東日本不動産流通機構が公開した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」によると、マンションの成約価格は築年数によって以下のように推移しています。

参考:公益財団法人・東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
築20年までは6,000万円台~5,000万円台と、価格の低下は比較的ゆるやかです。
しかし、築21年から築31年超にかけての価格は4,000万円台~2,000万円台と急降下しています。
こうした築年数による価格の推移から、築20年までのマンションは資産価値が高いと評価されることがわかります。
築年数ごとのマンションの成約数も確認してみましょう。

公益財団法人・東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」をもとに作成
築20年を超えると在庫数と成約数がほぼ横ばいになり、築25年を超えると在庫数が成約数を上回ることがわかります。
このような観点からも、売れ残りを避けてマンションを売るには、築20年を経過する前に売却するよう計画を立てておくのが得策です。
4.今後のマンション価格の見通し
国土交通省が公表した「不動産価格指数」によると、区分所有マンションの価格は以下のように推移しています。

長期的に右肩上がりに推移していることが分かります。なぜ不動産価格が上昇傾向にあるのか、また今後の動向について考察してみましょう。
- 地価高騰でマンションの売却価格は上昇傾向
- 金利上昇で売却価格が高止まりの可能性
- コロナ禍の影響は大きくない
それぞれ詳しく見ていきます。
4-1.地価高騰でマンションの売却価格は上昇傾向
マンション価格が上昇傾向にある理由の1つに地価高騰が挙げられます。
不動産バブル崩壊後、日本の不動産の地価は長期にわたって下落傾向にありましたが、日銀が2013年に開始した大規模金融緩和政策によって首都圏を中心として地価が上昇しました。地価上昇にともない、2013年を起点にマンション価格も高騰しています。
4-2.金利上昇で売却価格が高止まりの可能性
日本の住宅ローンは、日銀がマイナス金利政策を導入した2016年以降、低金利が続いています。
しかし、急激に世界規模のインフレが進行したため、インフレ対策として金利を引き上げる国が増えています。すでに日本でも金利引き上げの動きが出てきています。

引用:一般財団法人住宅金融普及協会「住宅ローン金利の推移(店頭表示金利)」
住宅ローンの金利が上昇しても「変動金利」は低水準での推移が続く見通しです。
しかし、「固定金利」は各金融機関が相次いで引き上げを発表しているため注意しましょう。
4-3.コロナ禍の影響は大きくない
マンション価格は需要の影響を受けます。そのため、コロナ禍における転出・転入人口の変化がマンション価格に影響を与えないか気になった方も多いと思います。
総務省統計局が令和5年7月27日に公表した「住民基本台帳人口移動報告2023年(令和5年)6月結果」によると、東京圏、名古屋圏、大阪圏の2021年11月と2022年11月の移動者を比べても、以下のように大きな変化は見られません。
東京圏 | 名古屋圏 | 大阪圏 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
転入者数 | 転出者数 | 転入者数 | 転出者数 | 転入者数 | 転出者数 | |
2022年6月 | 29,866 | 26,680 | 8,340 | 9,634 | 14,004 | 14,336 |
2021年6月 | 29,891 | 29,431 | 8,911 | 10,557 | 14,219 | 14,678 |
そのため、2023年も引き続き需要が安定していると考えられるので、マンション価格の上昇が継続すると予想されます。
マンションの価格推移と動向については『 【2022年最新│マンション価格推移】新築・中古・地域別どう動く?』をご覧ください。
5.マンション価格を変動させる7つの要因
マンションの価格は日々変化しますが、どのような理由で価格が変化するのか気になっている方も多いと思います。価格が変化する主な要因として、以下の7つが挙げられます。
- 周辺地域の開発状況
- インフレーション
- コロナウイルス変異株
- 住宅ローン金利
- 住宅ローン控除率の引き下げ
- 生産緑地問題
- 新築マンションの供給量の減少
それぞれの要因を詳しく見ていきましょう。
5-1.周辺地域の開発状況
1つ目の要因は周辺地域の開発状況です。
例えば、新宿駅周辺、名古屋駅周辺、大阪駅周辺などでは、利便性の向上、ビルの老朽化対策などの観点から大規模な再開発が実施されています。都市開発には観光客を増やす狙いもあります。
上記のような再開発が実施されている地域では、利便性が向上することによって地価が上昇するため、マンション価格の上昇が期待できるでしょう。
5-2.インフレーション
2つ目の要因はインフレーションです。インフレーションとは、物価が上昇する現象のことです。
2022年はロシアのウクライナ侵攻によって世界情勢が悪化していることもあり、燃料価格の高騰に加えて円安の進行によってインフレーションが加速しました。
2023年もインフレーションによる新築マンション価格の高騰が続き、比較的安価で手に入る中古マンションの需要が高まることが予想されています。
5-3. コロナウイルス変異株
3つ目の要因は新型コロナウイルス変異株です。ウイルスが発見された当初は、不動産価格への影響が懸念されましたが、大きな下落は見られませんでした。
しかし変異株の影響が長引くようであれば、マンション価格の下落をもたらす可能性があるので注意が必要です。
また、テレワークの普及によって、交通の利便性にかかわらずマンション全般の需要が高くなっています。いつまで需要の変化が続くかは分かりませんが、マンション価格に影響を及ぼす一因と言えるでしょう。
5-4.住宅ローン金利
4つ目の要因は住宅ローン金利の上昇です。大規模金融緩和による住宅ローンの金利引き下げは、マンション市場に資金が流入しやすい状況を作りました。
しかし、低金利状態も終焉を迎える可能性があります。急激に進んだインフレ対策として世界的に金利引き上げの流れになっています。日本もその流れに便乗した場合は、住宅ローン金利が高くなることによって需要が低下するため、価格下落の要因となるでしょう。
5-5.住宅ローン控除率の引き下げ
5つ目の要因は住宅ローン控除率の引き下げです。住宅ローン控除とは、住宅ローンを契約して不動産を購入すると、所得税が減税されるというものです。
税制改正で1%から0.7%に控除率が引き下げられたため、マンション価格の下落要因と言えます。
控除率が引き下げられた一方で、一定要件を満たした場合には対象期間が13年に延長されます。また、中古住宅の築年数の要件が緩和されたため、一部のマンションは需要が高まることで価格が上昇する可能性があるでしょう。
5-6.生産緑地問題
6つ目の要因は生産緑地問題です。生産緑地問題とは、税制優遇を受けていた生産緑地が2022年に期限を迎え大量の農地が市場に売り出される可能性があるという問題です。
供給過多による不動産価格の下落が予想されていましたが、2018年に特定生産緑地制度が導入されたことによって影響を受けることはほとんどなくなりました。
しかし、特定生産緑地制度は生産緑地の期限を10年延長するものなので将来的にはその影響を受ける可能性があるということを理解しておきましょう。
5-7.新築マンションの供給量の減少
7つ目の要因は新築マンションの供給量の減少です。新築マンションの供給量が減少し、需要が供給を上回れば、価格が上昇します。供給量の不足によって高くても売れる状況になるためです。
価格が上昇するのは新築マンションだけではありません。新築マンションと比べて安価で手に入りやすいことに加え、新築の供給量が減って買えなかった方が中古の購入に切り替えるなどの理由から、中古の需要が高まることによる価格上昇も予想されるでしょう。
この記事のポイント
新築マンション価格の推移は、首都圏・関西圏ごとに以下の通りです。
- 2013年よりマンション価格は右肩上がり。異次元金融緩和が大きな要因か。
- 2020年より全住宅の価格上昇。コロナにより戸建て需要も増した様子。
詳細は「1.2023年12月:マンション価格推移」をご覧ください。
築年数によるマンション価格の推移のポイントは以下の2点です。
- 築20年までは6,000万円台~5,000万円台
- 築21年から築31年超にかけては4,000万円台~2,000万円台
詳細は「3. 築年数ごとのマンション価格の推移」をご覧ください。
2023年のマンション価格と今後の見通しは以下の通りです。
- 地価高騰でマンションの売却価格は上昇傾向
- 金利上昇で売却価格が高止まりの可能性
- コロナ禍の影響は大きくないので今後も堅調な推移が予想される
詳細は「4.今後のマンション価格の見通し」をご覧ください。
マンション価格を変動させる7つの要因は以下の通りです。
- 周辺地域の開発状況
- インフレーション
- コロナウイルス変異株
- 住宅ローン金利
- 住宅ローン控除率の引き下げ
- 生産緑地問題
- 新築マンションの供給量の減少
詳細は「5.マンション価格を変動させる7つの要因」をご覧ください。