マンションの購入または売却を検討している方の中には、マンションの買い時・売り時が分からずに、悩んでいる方も多いと思います。マンション売却・購入を成功させるには、マンションの価格推移と今後の動向を把握することが大切です。
この記事では、2024年のマンション価格と今後の見通し、エリアごとのマンションの価格推移、価格の変動要因などを解説します。
マンション売買のタイミングが分からずに悩んでいる方も、この記事を読むことによって売買のベストタイミングが分かるでしょう。
- エリア別のマンション価格推移
- 築年数ごとのマンション価格推移
- 今後のマンション価格の見通し
Contents
1.2024年5月:マンション価格推移
2024年5月現在、全国のマンション価格は、引き続きの右肩上がり状況となっています。
以下のグラフは、国土交通省が公表する不動産価格指数です。
2010年の全国平均のマンション価格を100とした場合の、相対的な価格推移を確認できます。
出典「国土交通省.”不動産価格指数(令和6年1月・令和5年第4四半期分)”.(参照2024-04-30)」
グラフから分かるように、2013年ごろから前半からマンションが上昇し続けています。
同年から開始された日銀による、異次元金融緩和が大きな要因と考えられます。
日銀は、2024年3月にマイナス金利政策を解除しましたが、依然として緩和的な状況は続いており、住宅ローン金利も低金利な状態です。
そのため、マンション価格の上昇は2024年5月時点でも好調です。
中古マンションの在庫状況を見てみると、コロナ禍の2021年は在庫件数が少なく、需要過多の状態でした。
2022年あたりから在庫件数が増え続けているため、供給過多になり、マンション価格も弱含むかと思われましたが、堅調に価格を伸ばしています。
出典:“不動産市場動向データ集”. 全国宅地建物取引業協会連合会. 2024-03. (参照2024-05-01)
マンション価格が高騰している背景については4章で詳しく解説いたします。
2.2024年5月:エリア別マンション価格推移
過去10年の新築マンションの価格は、首都圏・関西圏ともに右肩上がりに推移していましたが、中古マンションの価格推移がどのようになっているのか気になっている方も多いと思います。
この章では、取引が活発な以下の地域の、13年分のマンション価格推移を紹介します。
- 首都圏
- 東京都
- 神奈川県
- 愛知県
- 大阪府
2-1.首都圏のマンション価格推移
参考:“中古マンションの基本指標[首都圏]”. REINS TOWER. (参照2024-05-01)
首都圏全体のマンション価格を見ていると、2013年から1.7倍を超える水準まで高まっています。
特に東京、神奈川、埼玉でのマンション取引は活発です。
リモートワークの普及により、東京外のマンションも需要を伸ばしているので、今後も価格上昇に多いに期待できます。
2-2.東京都のマンション価格推移
東京都心3区における直近のマンションの価格推移は以下の通りです。
参考:“中古マンションの基本指標[東京都]”. REINS TOWER. (参照2024-05-01)
事業用の不動産も含めて、取引が最も活発な東京都では、平均的な中古マンション売買価格が5,000万円を超えています。
最近も、歌舞伎町タワーや麻布台ヒルズをはじめとした、大型商業施設が続々とオープンしています。
さらなる賑わいを見せる東京都ですから、各地へのアクセスがいい路線、駅近のマンションは堅調に価値を高めていくことが期待できます。
2-3.横浜市のマンション価格推移
横浜市における直近のマンションの価格推移は以下の通りです。
参考:“中古マンションの基本指標[横浜・川崎]”. REINS TOWER. (参照2024-05-01)
都内へのアクセスが良い横浜市は、テレワークの需要の増加で注目度が高まっていますが、東京都に比べて、まだまだ割安なマンション価格となっています。
こうした行動様式の変化は、神奈川のマンションにも追い風吹かせる状況となっていますが、今後住宅ローンの金利上昇など、売買を鈍化させる動きには注意が必要です。
2-4.大阪府のマンション価格推移
大阪府における直近のマンションの価格推移は以下の通りです。
参考:“中古マンションの基本指標[大阪府]”. 近畿レインズ. (参照2024-05-01)
2025年は大阪万博を控えているため、新築マンションの供給数の増加にともない、新築マンションよりも安価なマンションの需要も高まることが予想されています。
中古マンションも、新築マンションを追従するような価格上昇の可能性が考えられます。
大阪市のマンション価格については、以下の記事で詳しく解説しています。
2-5.愛知県のマンション価格推移
愛知県における直近のマンションの価格推移は以下の通りです。
参考:“中古マンションの基本指標[愛知県]”. 中部レインズ. (参照2024-05-01)
愛知県のマンション価格も、名古屋を筆頭に強く上昇しています。
2013年から2022年を比べると、10年間で1.5倍ほど上昇していますが、首都圏に比べると伸び悩んだ印象です。
2027年には品川~名古屋間のリニア開通が予定されているため、影響の及ぶ沿線付近は価格上昇が期待できます。
3. 築年数ごとのマンション価格の推移
公益財団法人・東日本不動産流通機構が公開した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」によると、マンションの成約価格は築年数によって以下のように推移しています。
出典:“築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)”. 公益財団法人・東日本不動産流通機構. (参照2024-05-01)
築20年までは、価格の下落度合が比較的ゆるやかで、5,000万円台後半以上の水準となっています。
一方、築21年から築31年超にかけての価格は、5,000万円台前半から2,000万円台前半と、下落幅が大きくなります。
こうした築年数による価格の推移から、築20年までのマンションは資産価値が高いと評価されることがわかります。
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4.マンション価格を変動させた5つの要因
現在、高騰を続けるマンション価格相場ですが、なぜこのように価格を上げてきたのでしょうか。
この章では、マンション価格を高めた、以下5つの要因について解説します。
それぞれの要因を詳しく見ていきましょう。
4-1.円安による建築費高騰
2024年4月29日の為替相場では、一時的に『1ドル160円』を超え、34年ぶりの円安状態となりました。
円安が、マンション価格に与える影響として真っ先に考えられるのが、輸入価格の上昇に伴う、マンション建築費の高騰です。
マンションの建築費が高騰すれば、新築マンションの価格もその分高くなります。
新築マンション価格が高くなると、新築マンションを変えない人が増え、中古マンションに需要が流れやすくなります。
結果的に、新築・中古マンション、どちらも取引価格が上がっていきます。
円安に傾き始めたのが2012年後半から2013年前半にかけての事で、新型コロナウイルスの影響でさらに円安になりました。
ちょうどマンション価格も2013年頃から右肩上がりとなっています。
この背景には日本の金利の低さがありますが、円安となるか円高となるかも、表面的に今後のマンション価格を判断する材料となります。
4-2.インフレーション
インフレーションは、物やサービスの価格が上がっていく状態を意味します。
以下は、物価の変化を表したグラフで、2020年の物価を100とした場合の、相対的な価格変化が示されています。
2021年あたりから、物価が上昇していることが分かります。
「総務省.”2020年基準 消費者物価指数”.2024-04-19.(参照2024-05-02)」をもとに、HOME4Uが独自に作成
物価が上昇すれば、マンションの価格も当然上がっていきます。
日本銀行は、物価目標を2%としているので、思惑通りにいけばマンション価格も2%ずつ上がっていくことになります。
無論、その他の要因でもマンション価格は上下します。
2020年頃からマンション価格の上昇速度が上がっていますが、日本国内でのインフレーションが一つの要因と考えられます。
4-3.低金利な住宅ローン
大規模金融緩和による住宅ローンの金利引き下げは、マンション市場に資金が流入しやすい状況を作りました。
2016年にはマイナス金利政策もスタートし、今日までの間、住宅ローンは非常に低い金利で推移しています。
金利は需要と密接にかかわっており、住宅ローン金利が低くなれば不動産の価格は高まり、住宅ローン金利が高くなれば不動産の価格は下がっていきます。
今後も住宅ローンの低金利状態が続けば、マンション価格がさらに高まっていく可能性もあります。
その他の要因でマンション価格が下がることもありますが、金利の低さによる需要の高さが、価格を下支えすると考えられます。
ただし2024年は、日本の金利も高まることが予想されています。
詳しくは、「5-1.【上昇要因】堅調な地価の回復」をご覧ください。
4-4.新築マンションの供給量の減少
新築マンションの供給量が減少し、需要が供給を上回れば、価格が上昇します。
需要の方が大きい状態は、売り手に有利な市場であり、高く買ってもらいやすくなります。
以下のグラフは、過去13年間の、首都圏における新築分譲マンション供給戸数の推移です。
2013年以降、供給量が減少傾向にあると分かります。
「工業市場研究所.”過去の首都圏分譲マンション市場動向”.(参照2024-05-08)」をもとに、HOME4Uが独自に作成
価格が上昇するのは新築マンションだけではありません。新築マンションと比べて安価で手に入りやすいことに加え、新築の供給量が減って買えなかった方が中古の購入に切り替えるなどの理由から、中古の需要が高まることによる価格上昇も予想されるでしょう。
不動産の需要の変化は、月単位でも特徴が見られます。
具体的に、新年度目前の3月は需要が高くなるため、高く売れる、あるいは高く売られる可能性があるので抑えておきましょう。
供給量も増えるため、周辺地域の売り出し事情加味すると、より有利なタイミングを探れます。
4-5.新型コロナウイルスの蔓延
新型コロナウイルスの蔓延による不動産の影響は限定的なもので、それにより市場が暴落することはありませんでした。
かえって、リモートワークをはじめとした生活様式の変化が、住宅の購入需要を高める結果となりました。
また、コロナ禍により円安が加速したことも、マンション価格高騰の原因です。
円安によるマンション価格の影響については、4-1.円安による建築費高騰で解説しています。
5.今後のマンション価格の見通し
国土交通省が公表した「不動産価格指数」によると、区分所有マンションの価格は以下のように推移しています。
「国土交通省.”不動産価格指数(令和6年1月・令和5年第4四半期分)”.(参照2024-04-30)」をもとに、HOME4Uが独自に作成
長期的に右肩上がりに推移していることが分かります。以下では、この流れが今後どのように変化していくのかを考えていきます。
それぞれ詳しく見ていきます。
5-1.【上昇要因】堅調な地価の回復
2021年は、新型コロナウイルス蔓延の影響を受けて、全国的に地価が下落基調となりました。
2022年、地域によっては2023年には、地価の回復が見えており、今後の上昇も期待されています。
地価が上昇すると、デベロッパーの土地仕入れ価格が上がるため、新築マンションの価格も上がります。
新築マンションから流れるニーズで、中古マンション価格も追従すると考えられます。
5-2.【上昇要因】さらなる円安の続伸
2024年5月現在、一時的ではありますが「1ドル160円」を記録しており、円安に拍車がかかっています。
円高方面への調整も考えられますが、対外国との金利差が大きいため、急に円高方面に傾く可能性は少ないと考えられます。
これまでマイナス金利政策をはじめとした大規模な金融緩和政策を続けてきた日本ですから、急激に金利を高めるとは考えにくく、円安問題は長期化すると思われます。
円安が続伸すれば、建築費が高騰するため、マンション価格も高くなります。
これ以上の円安とならない場合でも、円高方面に大きく傾かなければ、建築費の高さがマンション価格を下支えするでしょう。
5-3.【下落要因】年内に金利が若干上昇する可能性
2024年3月、日本銀行がマイナス金利政策を終了させました。
これにより、今後段階的に金利が上がっていくと予想されます。
日本銀行が定める政策金利が高まると、国内の様々な金利が徐々に高っていきます。
住宅ローン金利のうち変動金利は、政策金利の影響を大きく受けます。
利用者の多い、住宅ローン変動金利が上昇すると、購入需要は落ち込み、マンション価格が下落していくと考えられます。
ただし、依然として金融緩和的な状態ではあるため、過度に金利が高まるとは考えられません。
「年内に0.25%程度の上昇」という意見が多くあり、この通りであれば、今年中にマンション価格が暴落する可能性は相当低いと考えられます。
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この記事のポイント
新築マンション価格の推移は、首都圏・関西圏ごとに以下の通りです。
- 2013年よりマンション価格は右肩上がり。異次元金融緩和が大きな要因か。
- 2020年より全住宅の価格上昇。コロナにより戸建て需要も増した様子。
詳細は「1.2024年1月:マンション価格推移」をご覧ください。
築年数によるマンション価格の推移のポイントは以下の2点です。
- 築20年までは6,000万円台~5,000万円台
- 築21年から築31年超にかけては4,000万円台~2,000万円台
詳細は「3. 築年数ごとのマンション価格の推移」をご覧ください。
2024年のマンション価格と今後の見通しは以下の通りです。
- 地価高騰でマンションの売却価格は上昇傾向
- 金利上昇で売却価格が高止まりの可能性
- コロナ禍の影響は大きくないので今後も堅調な推移が予想される
詳細は「5.今後のマンション価格の見通し」をご覧ください。
マンション価格を変動させた7つの要因は以下の通りです。
- 周辺地域の開発状況
- インフレーション
- コロナウイルス変異株
- 住宅ローン金利
- 住宅ローン控除率の引き下げ
- 生産緑地問題
- 新築マンションの供給量の減少
詳細は「4.マンション価格を変動させた7つの要因」をご覧ください。