
2021年は、新築マンション価格の高値市場でした。また、新築と連動して、中古のマンション価格も上昇傾向でした。
住宅ローン金利や住宅ローン控除改正の影響で、2022年も上昇トレンドが続くかどうかの見極めは難しい状況ですが、もしあなたがマンションの購入・売却を検討しているなら、価格推移のトレンドを知っておくべきでしょう。
ぜひ最後までお読みいただき、2022年のマンション購入・売却にお役立てください。
不動産会社選びで、売却は数百万円「売値」が変わります。
査定価格は不動産会社によって違うので、高く・早く売るなら、複数の不動産会社の査定価格を比較することが大切です。
かんたん一括査定で複数の査定価格を取り寄せましょう。
Contents
1. 2022年マンション価格はどう動く?
1-1.2021年マンションはバブル期越え
不動産経済研究所の発表によると、2021年に売り出された首都圏の新築マンションの平均価格は6,260万円で、バブル期の最高値6,123万円を上回る過去最高額となりました。
これは、神奈川・千葉・埼玉といった首都圏の新築マンションの流れにとどまりません。東京カンテイが2022年2月に発表したレポートによると、大阪・神戸・京都を含む近畿圏の新築・中古マンションの坪単価も、新築が前期比プラス12.5%、中古もプラス2.5%、と上昇の一途をたどっています。
参考:全国新築分譲マンション市場動向2021年(不動産経済研究所)
参考:新築・中古マンションの市場動向レポート2021年第4四半期(東京カンテイ)
1-2.2022年から住宅ローン金利が上昇
一方で、メガバンク5行が2022年3月から、以下のように一斉に10年固定型住宅ローンの金利引き上げを行いました。
10年固定金利 | 前月比 | |
---|---|---|
三井住友 | 1.35% | +0.05 |
みずほ | 1.05% | +0.15 |
三菱UFJ | 0.89% | +0.05 |
りそな | 0.85% | +0.10 |
三井住友信託 | 0.70% | +0.05 |
また、長期住宅ローンのフラット35も昨年からじわじわと上昇し、3年ぶりの高水準(1.43%)となってきています。
住宅ローンの金利はマンション購入者の増減にダイレクトに影響します。2021年まで活況だったマンション市場の価格も落ち着いてやや横ばいとなってくる可能性があるでしょう。
一方で、住宅ローン控除の対象の築年数の大幅延長など、中古マンションの流通を後押しするトピックもあります。どちらにせよ、高値市場がいつまで続くかは不透明なため、売却を検討しているのであれば早めに動くのが得策です。
「マンションがいくらで売れるか気になる」、「マンション売却を考えている」のであれば、まずは、全国1,800の不動産会社と提携した一括査定サービス「不動産売却 HOME4U」で査定額を比較してみましょう。市場を反映した現在のマンション査定額を無料で知ることができます。
2. 新築マンション価格推移(首都圏・近畿圏)│2012年~2021年
マンションの価格は新築価格がけん引しているといわれています。日本はまだまだ新築人気が高いため、新築マンション価格が高騰すると購入できなかった層が中古マンションに移行し、連動して中古マンションの価格も上昇するケースが多いからです。また、新築マンションの売値に引っ張られる形で周辺エリアの中古マンション価格が上昇することもあります。
そのため、新築価格の推移を確認しておくことは大切です。以下、首都圏と近畿圏における直近10年の価格推移を押さえておきましょう。
2-1.首都圏のマンション価格推移
不動産経済研究所が発表している、2012年~2021年までの直近10年間にわたる首都圏の新築マンション平均価格のグラフは以下の通りです。
2012年以降、右肩上がりで上昇し、2020年の新型コロナウイルスでも上昇が止まらなかった首都圏のマンション価格。2022年も引き続き大規模・高層マンションを含めた新築が供給される予定です。
大規模マンションが建設されると、新しいショッピングモールやインフラの整備など、街全体が活性化します。そのため、近隣エリアの中古マンションも、連動して高値になることが期待できます。
2-2.近畿圏のマンション価格推移
次に近畿圏のマンション価格推移をみてみましょう。不動産経済研究所が発表している、2012年~2021年にわたる首都圏の新築マンション平均価格のグラフは以下の通りです。
大阪、名古屋、京都、神戸など関西の主要都市を含む近畿圏も、ここ10年間で右肩上がりの上昇を続けています。2015年から2018年までは3,800万円前後でしたが、2020年から一気に4,000万台になり2021年には過去最高の4,562万円をたたき出しました。
2025年には大阪万博も控えており、2022年の新築マンションの供給数も増加見込みのため、大阪駅周辺エリアや直結する路線沿いなどはさらなる高値を更新する可能性もあるでしょう。
3. 中古マンション価格推移(5大都市)│2012~2021年
中古マンションも新築マンション同様に上昇が続いています。
東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の主要都市の中古マンション価格をそれぞれ見ていきましょう。
3-1.東京都の中古マンション価格推移
参照:土地総合情報システム 不動産取引価格情報検索(国土交通省)
※ 時期>第1四半期、種類>中古マンション等で各エリアごとに集計
2021年東京都の中古マンション価格平均(第1四半期~第3四半期までの集計)は3,910万円と、新築同様に上昇傾向が続き、過去最高の4,000万円台に近付きました。
ただし、23区の中古マンションが6,860万平均に対して、23区外は4,110万円平均と2極化が顕著になっています。23区の高騰により、より現実的な価格のマンションを求めて、郊外の中古へ向かう傾向が強まりそうです。
3-2.大阪市の中古マンション価格推移
参照:土地総合情報システム 不動産取引価格情報検索(国土交通省)
2012年以降、首都圏同様に、大阪市でも中古マンションの価格上昇が続いています。2022年は新築マンション供給数が前年より増加する見込みのため、近隣エリアの中古マンションも価格が押し上げられる可能性は高いでしょう。
参考:首都圏・近畿圏マンション市場予測2022年(不動産経済研究所)
3-3.名古屋市の中古マンション価格推移
参照:土地総合情報システム 不動産取引価格情報検索(国土交通省)
名古屋の中古マンションは、2020年にコロナ禍の影響で2,000万円前半まで減少しましたが、2021年には持ち直し、過去最高値を更新しました。2027年には品川~名古屋間のリニア開通が予定されており、実現すればさらなる価格の上昇が見込まれます。
3-4.福岡市の中古マンション価格推移
参照:土地総合情報システム 不動産取引価格情報検索(国土交通省)
リーマンショック以降、福岡市の中古マンション価格はほぼ横ばいが続いていましたが、2012年以降、上昇に転じました。福岡市が発表した人口ビジョンによると2035年まで人口は増加し続けると見込まれるため、2022年も堅調に推移すると予測されます。
3-5.札幌市の中古マンション価格推移
参照:土地総合情報システム 不動産取引価格情報検索(国土交通省)
札幌市、特に中央区には新築マンションの建設が相次ぎ、連動して中古価格も上昇傾向になっています。また、2030年には札幌と鹿児島を結ぶ北海道新幹線の開業計画が進められており、新築・中古ともにさらなる札幌市周辺の値上がりが見込まれます。
4. 2022年マンション価格に影響する6つのトピック
マンションを売買するベストなタイミングについては、さまざまな見解があるため、見極めが難しいと感じる方が多いと思います。6つのトピックを手掛かりに2022年のマンション売買価格について解説していきます。
4-1.新築マンションの供給数
マンション価格の上昇の原因のひとつに、需要に対して新築マンションの供給が足りていないという実情があります。特に2019年は直近20年以内でもっとも少ない約3万1,000戸で、価格の上昇に拍車をかけました。
2022年は、東京都心や郊外を含めて昨年比4.6%増の34,000戸の新築マンションの供給、大阪府でも11,000戸のマンション供給とやや供給数に回復が見込まれます。
また、近年では戸数を増やし続けるよりも、立地が良く確実に売れる物件を供給しようとするデベロッパーが増えています。したがって、デベロッパーが見込んで新築マンションが供給されるエリアでは、中古も価格上昇となる可能性が高いでしょう。
参考:首都圏・近畿圏マンション市場予測2022年(不動産経済研究所)
4-2.住宅ローン控除率の引き下げ
2022年の税制改革により、4月1日から住宅ローン控除率の引き下げが決まりました。改正では、以下の措置が予定されています。
これまで1%だった控除率が0.7%になることで、マンション市場にマイナスの影響が出るのではという声もあります。
しかし、新築や買取再販(中古住宅を不動産会社が買い取り、リフォームして再販する物件)など一定の条件を満たした物件は、減税の対象期間が10年から13年に延長される予定です。また、対象の中古住宅(既存住宅)の築年数が新耐震基準(1981年6月以降の建築物件)までに大幅に緩和されます。
そのため、築年数の経った中古マンションも控除の対象となり、以前より売買しやすくなる物件も出てくるでしょう。
4-3.住宅ローン金利の上昇
「1-2.10年型固定住宅ローン金利の上昇」の通り、2022年3月にメガバンク6行が一斉に固定金利(10年)の引き上げを開始しました。
一方で、変動金利は低水準をキープしています。
引用:「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」フラット35(住宅金融支援機構)
多くの金融機関は、毎年4月と10月に変動金利の見直しを行います。これからマンション購入を検討している人にとって、住宅ローン金利の変動は大きく注目されるトピックです。
金利アップによって、購買層の動きがにぶれば、マンション価格の見直しが迫られるケースもでてくるでしょう。中古マンションの売買では、相場と適正な価格を知ることがより重要となります。
4-4.インフレ・スタグフレーション
不動産をはじめさまざまな物価が上昇し続けるのがインフレ(インフレーション)です。2022年は、ロシアを取り巻く情勢の悪化により原油やガスが高騰し、さらに世界的なインフレが加速することが懸念されます。
日本でも、木材価格の高騰(ウッドショック)や大手セメント会社が価格引き上げを行うなど、建築資材にもインフレの波が押し寄せています。また、インフレは起きているのに景気が悪くなるスタグフレーションとなる可能性も少なくありません。
そのため、高騰する新築マンションには手が届かないが、適切な価格で中古マンションを手に入れたいと考える層が増え、中古市場を後押しすることも予測されます。
4-5.コロナウイルス変異株
新型コロナウイルスの感染が拡大したことにより、不動産価格が下落すると見込まれていましたが、実際は大きな下落は見られていない状況です。
これは、変異株の感染者が急増した2022年1月にも当てはまります。特に取引の流動性が高いマンションは高価格帯を維持しており、新年度に向けた繁忙期という背景も重なって、都心のマンションは新築・中古ともに好調な売れ行きです。
4-6.生産緑地の2022年問題
税制優遇を受けていた生産緑地が2022年に期限を迎えることで、大量の農地が市場にあふれると予測されていた生産緑地の2022年問題。地価の暴落や都市部の緑地の減少などが起こることが懸念されていました。
しかし、2018年に「特定生産緑地制度」が導入され、実質、生産緑地の10年延長が可能となりました。
そのため、多くの生産緑地が一斉に放出される可能性は大幅に減少しました。2022年のマンション、戸建て、土地の価格に生産緑地問題が影響することはあまりないと考えてよいでしょう。
5.マンションを高く売るための注意点3つ
「2022年、マンションを売却したい」とお考えの方へ、マンションを高く売るための3つの注意点についてご紹介します。
5-1.利益が出そうなら税率を意識する
マンションの売却で利益が出ると、所得税と住民税が課税されます。
ただし、マイホームを売却するときには3,000万円までの利益が非課税になる制度があるので、課税対象にならないケースがほとんどですからご安心ください。
「3,000万円の特別控除」が適用されるためにはいくつか要件があるので、詳しくは国税庁ホームページをご覧ください。
「3,000万円の特別控除」が適用されないケースでは、所有期間に注意が必要です。
不動産の売却益に課税される税金は、所有期間によって税率が違います。
所有期間が5年を超えていれば所得税・住民税合わせて約20%ですが、5年未満の場合は約39%もの税金がかかってしまいます。
所有期間が5年を超えるかどうかは、売却した年の1月1日現在で判断されるので注意が必要です。
ただし、5年未満で売却するのが必ずしも損になるとは限りません。
現在は中古マンション市場が高値で推移しているので、5年未満で売却して税率が高くなっても、総合的には有利になる可能性があります。
売却したいマンションの所有期間が5年未満のときには、不動産会社に早めに相談し、高値のうちに売ってしまうかどうか、売却のタイミングを相談してみることをおすすめします。
5-2.築年数を意識する
中古マンション市場では、購入希望者は築10年までを条件に絞り込むことも多いので、10年を超えるかどうかで売り出し後の反響に大きな差が出ます。
築8~9年くらいで売却を考えている場合には、早めに不動産会社に相談することを心がけてください。
また、買い手にとっての重要なポイントに、築年数とローン期間の関係があります。
分譲マンションの構造の多くは、鉄筋コンクリート造(RC)または鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)で、この場合の法定耐用年数は47年です。
原則として、法定耐用年数を超えてローンが組めない金融機関が多いので、築12年なら35年まで、築17年なら30年までというように、築年数が経つにつれ買い手がローンを長く組めなくなってしまいます。
そのために購入予算が低くなり、あなたの物件に興味があっても検討対象から外れてしまうことも起こり得ます。
築年数は少しでも浅いほうが高く売りやすいので、売却するときは1ヶ月でも早く不動産会社に相談し、少しでも築年数の浅い状態で売り出せるようにしましょう。
5-3.高く売る方法を意識する
現在のマンション市場は高値で売却しやすいタイミングですが、売り方を失敗したら高く売ることはできません。
できるだけ高く売却するには「どうやって売るか」という販売戦略が重要です。
最適な販売戦略を決めるためには、頼れる不動産会社を見つける必要があります。
不動産会社にはそれぞれ得意分野がありますので、中古マンション売却を得意としていて、高く売ってくれる不動産会社を選ぶことがポイントです。
最適な不動産会社探しには、一括査定サービス「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」が便利です。
大手不動産会社から地元密着型の中小企業まで、バランスよく提携しているHOME4Uでは、一度の情報入力をするだけで、マンションの所在地に応じて最適な複数の不動産会社を自動ピックアップし、最大6社に無料でまとめて査定依頼ができます。
不動産会社によって査定する際の根拠が異なるため、査定価格にバラつきが生じます。
そのため、初めから1社に絞ってしまうより、複数の不動産会社へ査定依頼をして比較検討することをおすすめします。
まとめ
それではおさらいです。
近年、様々な要因を受けて、新築・中古ともにマンション価格の推移は上昇傾向が続いています。
マンションの購入を検討している場合、住宅ローンの固定金利の上昇、住宅ローン控除の適用住宅の築年数の幅が広がりなどは、注視すべきトピックです。ただし、購入に際しては、マンション市場の動向を予想して決めるよりも、無理ない資金計画とライフステージに応じて購入のタイミングを決めることが大切です。
一方、マンションの売却を予定している場合には、堅調な値動きが継続することが予測できるため、引き続き売却のチャンスといえます。マンションの売却時には次の3つのポイントを意識してください。
- 利益が出そうなら税率を意識する
- 築年数を意識する
- 高く売る方法を意識する
中古マンション価格は上昇していますが、売り方を失敗したら高く売ることはできません。
「不動産売却 HOME4U」でしっかり比較検討して、マンションを高く売る力を持った不動産会社を見つけてください。
この記事のポイント まとめ
新築マンションの直近10年(2012~2021年)の価格推移は、「2. 新築マンション価格推移│2012年~2021年」をご覧ください。
中古マンションの価格の動きは、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌によって異なります。詳しくは「 3. 中古マンション価格推移│2012~2021年」をご覧ください。
2022年のマンション売買前には、以下の6つのトピックについて知っておきましょう。
- 新築マンションの供給数
- 住宅ローン控除率の引き下げ
- 住宅ローン金利の上昇
- インフレ・スタグフレーション
- コロナウイルス変異株
- 生産緑地の2022年問題
詳しくは「4. 2022年マンション価格に影響する6つのトピック」をご覧ください。
納得できる価格でマンションを売却するには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 売却益が出そうなら税率を意識する
- 築年数を意識する
- 高く売る方法を意識する
詳しくは「5.マンションを高く売るための注意点3つ」をご覧ください。