サラリーマンにも人気の不動産投資。
最近では都市部を中心としたマンション価格の値上がりを背景に、タワーマンションのような高級物件を次々と転売して利益を得る「空中族」 や、何棟ものマンションを購入し賃貸経営で年収が数千万円にもなる「メガ大家」といった言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
そこまで行かなくとも、「本業とは別に毎月安定した収入が入ってくる」ということは、とても魅力的に見えますよね。
特に、アパートやマンションの一棟売り物件は、大きな収益につながる可能性を持っています。
「マンション経営がうまくいったら、将来は脱サラしたいな~」などとひそかに考えている人は、毎月数万円しか手元に残らない区分所有よりも、一棟で売りに出されているマンションのオーナーを狙うのが効率的です。
もちろん、投資ですから必ずうまくいくとは限りません。
一棟売り物件の投資は、用意すべき自己資金も多くなりますし、高額なローンを組むことにもなります。
もし失敗してしまったら、簡単にはリカバリーできません。
良くも悪くも人生を変える可能性があるので、できれば手堅くいきたいですよね。
成否を決めるポイントは2つ。
1つは、「どんな物件をいくらで買うか」ということです。
そもそも「失敗物件」を買ってしまったら、後からどんなに頑張っても高い収益を上げることは難しくなるので、購入する物件はよく吟味する必要があります。
そして、もう1つは「物件の管理」です。
賃貸収入は「不労所得」といわれますが、本当に何もしなくて良いわけではありません。
やるべきことは意外とたくさんあるのです。
具体的には、次のような仕事になります。
- 家賃の集金と滞納督促
- 入居者募集
- 入居や退居の立ち合い
- 退居費用の清算
- 原状回復工事の手配
- 設備の保守点検、故障時の修理手配
- 定期清掃
- 隣室との騒音トラブルの調整
とてもサラリーマンが休日を使ってできる量ではありません。
また、物件の管理状況で、入居率は大きく変わってきます。
空室が多くなったら、期待した利回りは得られません。
できるだけ空室を出さないためにも、オーナーの良きパートナーになるしっかりした管理会社を見つけることは、高収益を得るために欠かせない事柄です。
そこで今回は、「一棟売り物件を選ぶときに注意すべきポイント 」と、安定した収益を得るために重要な「管理会社の選び方 」をお伝えします。
もしかしたら「管理なんてまだ先の話だ」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、一棟売り物件は、買う時点ですでに入居者がいるので、オーナーになったらすぐに建物を管理する義務が発生します。
そのときに慌てないためにも、ぜひ最後までお読みになって、今後の参考にしてくださいね。
Contents
1. 気をつけよう!一棟売り物件は「担保力」と「稼働力」が重要
一棟でも区分所有でも、マンションやアパートなどの投資物件を選ぶ際に注目すべきポイントは、次の3つです。
- どのくらい収益が得られるか?という「利回り」
- その物件を担保にどのくらい融資を受けられるか?という「担保力」
- 部屋がどのくらい埋まるか?という「稼働力」
そのうち、一棟売り物件で特に重視するべきなのは「担保力」と「稼働力」です。
これを読んでいる人の中には、「とにかく高い利回りの物件を見つけたい」と考えて、収益物件サイトで「利回り20%以上」といった条件を入力して、日々検索を繰り返している人もいるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
そもそも金融機関から借り入れができなければ、一棟売り物件への投資は始められません。
あなたがどのくらい融資を受けられるかは、購入する物件の「担保力」が影響してきます。
逆に言えば、「担保力」が高い物件を見つけることができれば、その分多額の融資を受けることが可能です。
賃貸オーナーとしては「利回り」が気になるのは当然のことですが、ここではしっかり「担保力」も見て行きたいところです。
また、「利回り」がいくら良くても、「稼働力」がなければ収益は得られません。
一棟の中にはどうしても日当たりの悪い部屋や、人気のない部屋が出てきてしまうため、全体の「稼働力」が重要です。
もし空室が増えてしまったら、収益どころか自腹でローンを返していく羽目になりかねませんよね。
ですから、一棟売り物件を探すときには、「利回り」だけを重視するのではなく、「担保力」「稼働力」の高いものを見つけていく ことが大切です。
利回りについて詳しくは「利回りの基礎知識|不動産投資の利回りについて学ぼう」を参考にしてください。
1-1. 一棟買いの絶対条件「担保力」を知るための計算方法
「担保力」の判断には、「積算価値」の計算がおすすめです。
ちょっと複雑ですが、下の式で計算できますので、参考にしてください。
「積算価値」が販売価格より高ければ、物件としての「担保力」が高い といえます。
土地の価値を求めるための「路線価」は、国税庁の「財産評価基準書」ページで調べることができます 。
1,000円単位の表記なので、注意してください。
たとえば前面の道路に「215D」と書かれていたら、その土地の路線価は215,000円になります。
建物の価値を求める式は一見複雑に感じますが、構造・床面積・築年数がわかれば計算できます。
いずれも物件情報としてサイトや広告に載っていますので、上の図を参考に計算してみてくださいね。
1-2. 買った後では遅すぎる!「稼働力」を左右する立地条件
もう1つの重要な要素の「稼働力」は、「立地」に大きく左右されます。
残念ながら、立地については後から努力してもどうにもなりませんので、購入前によくチェックしておくことが大切です。
たとえば、「駅に近い物件」「人気の沿線」「コンビニが近い物件」などは、入居者が決まりやすく、稼働率も高くなります。
こうした物件に巡り会えたらラッキーです。
逆に、「最寄り駅から遠い物件」「人口が減っている地方都市」「隣に騒音や悪臭を伴う施設がある物件」は、稼働率が低くなりがちです。
墓地が見える物件も人気がなく、家賃の値下げ交渉を頻繁にされることになります。
避けておくのが無難です。
とはいえ、賃貸オーナーを目指す人全員が、立地の良い好物件に出会えるわけではありませんし、「並の物件なら並の稼働力しか期待できないのか」と言ったらそうではありません。
「稼働力」は管理会社の管理次第で向上させることも可能 な要素です。
そこで、次章では「稼働力」を上げるための管理会社の選び方について、ご紹介したいと思います。
2. 失敗しないための優良な管理会社の選び方
では、ここからは物件の「稼働力」を上げるための管理会社の選び方を説明します。
人に個性があるように、管理会社にもそれぞれ個性や得意分野があります。
ここであなたが選ぶべきなのは、「空室を埋めるのが得意な会社 」です。
といっても、はじめて一棟のオーナーになる方は、何を基準にどう選んで行けば良いのかイメージがわかないと思われます。
そこでまず最初に、「賃貸管理会社を選ぶ流れ」をご紹介します。
2-1. 賃貸管理会社選び3ステップ
賃貸管理会社を選ぶ流れを図で示すと次のようになります。
【第1段階】リサーチと候補のピックアップ
物件周辺で、賃貸管理業務を委託できる会社を探します。
おすすめなのは、「賃貸経営HOME4U(ホームフォーユー)」のような、賃貸管理会社への一括問い合わせサービスを利用することです。
物件の所在地などを簡単に入力するだけで、たくさんの管理会社に無料で相談できますので、とても便利です。
この段階では1社に絞らずに、複数の不動産会社に相談しておくと、各社の諸条件などを比較できるため効率的です。
【第2段階】電話でアポイント
ピックアップした会社に、ネットやメールではなく、「電話」で訪問のアポイントをとります。
わざわざ「電話」と指定したのは、電話対応が良くない会社というのは、やはり「それなり」だからです。
電話をすることで、面倒くさそうな対応をしないか、たらいまわしにしないか等、自分自身で体感することができます。
【第3段階】会社訪問をして選別を進める
「第2段階」でふるいにかけた後、最終選考に残った管理会社を実際に訪れて、詳しい話を聞きます。
管理料金や体制の説明を受けるほか、いろいろと質問して、どんな会社か確かめましょう。
また、営業所の雰囲気が悪くないかをチェックするチャンスでもあります。
自分の物件を任せても大丈夫か、総合的に判断しましょう。
以上が、賃貸管理会社を選ぶときの流れです。
少し具体的なイメージがわいてきたのではないかと思います。
2-2. 賃貸管理会社選び6つのチェックポイント
前章で「流れ」のイメージがつかめたと思いますので、「管理会社を選ぶ時に気をつけたいポイント」について、もう少し詳細にご紹介しますね。
次の6点がポイントになります。
(1)賃貸に力を入れているか
「管理業務をやっている」といっても、実際は売買仲介が中心で、賃貸はあまり熱心にやっていない会社もあります。
実際に取り扱っている管理戸数や、賃貸管理担当者の人数、管理物件への入居率を質問してみましょう。
賃貸管理にどれくらい力を入れている会社なのかわかります。
(2)入居者募集を熱心にやっているか
空室を埋める力がなければ、物件の稼働率は上がりませんので、もっとも重視したいポイントです。
入居者募集に利用している媒体を必ず聞きましょう。
今はスマホで部屋を探す人が多いので、インターネットを積極的に活用している会社がおすすめです。
また、インターネットに掲載する写真で部屋の印象はガラっと変わります。
その会社が実際に出している募集広告をチェックして、どんな写真を使っているか確認すると良いでしょう。
そのほかに、空室を埋めるための具体的な方法や、ズバリ「自分の物件を満室にできるか」を聞いてみるのも有効といえます。
自信を持って「できます」といってくれるような会社にお願いしたいものですね。
(3)物件の所在エリアに強みがあるか
物件のあるエリアで営業力を持っていなければ、入居者は集まりません。
そのエリアで、他にも管理物件があるか、聞いてみると良いでしょう。
あなたの物件の近くに営業所があるようなら、何かあったときに駆けつけてもらえるので、その点でも安心です。
(4)管理方法は適切か
入居希望者が内見に来たときに、共用部の電灯が切れていたり、建物が汚れていたりすると、印象が悪くなります。
清掃や定期巡回、保守点検の頻度と内容を確認しておきましょう。
求められる清掃頻度は戸数や家賃によりますが、少なくとも月1回は必要です。
また、入居者から家賃が回収できなければ、不動産投資をしている意味がありません。
確実に家賃を回収する体制が整っているかも確認しましょう。
保証会社を利用していれば確実に回収できますので、利用の有無や、滞納督促の方法なども聞いてみてください。
(5)管理料金は適切か
管理料金や諸条件は、契約書を提示してもらいしっかり確認しましょう。
一般的な管理手数料の相場は、集金した家賃の3~8%といわれます。
目安として参考にしてください。
もちろん、相場より多少高くても、それに見合う管理内容だと思えれば、支払うのも1つの選択です。
(6)組織としての基本的な対応ができているか
オーナーへの報告頻度や内容を聞いておきます。
また、物件の担当者が誰になるかなど、具体的な管理体制も確認しておきましょう。
管理会社はあなたの不動産経営のパートナーですから、信用できる会社なのかを見極めることが大切です。
電話をかけて現地を訪問すれば、担当者の対応、営業所の雰囲気、社風など、肌で感じ取れるものがあるはずです。
誠実に対応してもらえそうなのか、自分の中で「自分と相性の良い会社だな」と思えるか等、採点してみましょう。
以上6つのポイントをしっかりおさえて、良い管理会社を選んでいただければと思います。
ただし、どんなに良い管理会社を選んでも、丸投げでお任せしているだけではうまくいきません。
なぜなら、管理会社はそのビジネスパートナーであり、そのパートナーをうまく動かすかどうかは、あなた自身の対応に関わっているからです。
そこで、次章では、パートナーたる管理会社と信頼関係を構築するための心構えをご紹介したいと思います。
2-3. 信頼関係を構築するためのオーナーの「心構え」3箇条
では最後に、管理会社との信頼関係を構築するために大切な「心構え」を3つご紹介しておきます。
賃貸管理会社とは、次の3つを心がけながら、丁寧にコミュニケーションをとりましょう。
(1)上から目線でものを言わないようにする
物件の管理をしてもらう中で、いろいろとこちらから依頼する場面が出てきます。
なかなか空室が埋まらないとき、少し強くお願いしたくなることもあるでしょう。
そんなとき、管理料を払っているからといって上から目線で接するのはNGです。
相手のやる気までそいでしまっては、元も子もありません。
あくまでも対等な立場で賃貸経営をしているという姿勢を示すのが得策です。
たとえば「○○号室だけなかなか決まらないようですが、何か理由があるのですか?」と現場の意見を聞いてみて、必要ならばリフォームをするなど、お互いに知恵を出し合って進めていくようにしましょう。
(2)ある程度の裁量権を持たせる
入居希望者への対応をしてくれる人には、ある程度の裁量権を持たせてあげると良いでしょう。
たとえば、和室からフローリングへの交換、温水洗浄便座の設置、エアコンの交換、決めた範囲での家賃の値下げなど、いちいちオーナーに聞かなくても、管理会社の判断で進めてもらえるようにするのです。
値下げを乱発されるのは困りますが、内見に来た人が入居を迷っているときの「切り札」として使ってもらえれば、空室が埋まりやすくなるはずです。
(3)手土産で心の距離を縮める
関係性を深めるためには、ねぎらいや感謝を大切にしましょう。
訪問するときには、必ずちょっとした手土産を持っていきます。
日頃のコミュニケーションの中で、担当者に喜ばれそうなものを、さりげなく聞いておくと良いでしょう。
最終的に、自分が何もしなくても空室がすぐ埋まり、スムーズに賃貸経営が回るようになるのが、一棟オーナーとしての理想形ですので、そのためのパートナーである管理会社とは粘り強く信頼関係を築いていくことが大切です。
3. まとめ
今回は、サラリーマンがアパートやマンションの一棟売り物件に投資するときに重要な「物件選びのポイント」と、収益確保の鍵となる「管理会社の選び方」をお伝えしました。
ポイントをおさらいしましょう。
- 一棟買いの不動産投資は「物件選び」と「管理会社選び」で成否が決まる
- 物件を選ぶ際には「利回り」だけにとらわれず、「担保力」と「稼働力」も重視する
- 稼働力を高めてくれるような管理会社を選ぶ
- 管理会社の担当者とは密にコミュニケーションをとって信頼関係を構築する
ぜひ参考にして、賃貸オーナーの成功事例になって頂ければと思います!